『ムーミン谷の仲間たち』本の感想。シリーズ唯一の個性豊かな短編集

投稿日:2019年6月19日 更新日:

『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年


『ムーミン谷の仲間たち』はトーベ・ヤンソンの小説「ムーミン」シリーズの7作目。

シリーズの中で唯一の短編集である今作には、個性あふれる9つの物語が描かれる。

他の作品とは、トーベ・ヤンソンの絵のタッチがまったくちがうのも見どころ。

こんな方におすすめ

  • 小説『ムーミン谷の仲間たち』全体の見どころを知りたい
  • ひとつひとつのお話の感想を知りたい

目次

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1.『ムーミン谷の仲間たち』とは?

上段左から『ムーミン谷の彗星』下村隆一訳
『たのしいムーミン一家』山室静訳
『ムーミンパパの思い出』小野寺百合子訳
『ムーミン谷の夏まつり』下村隆一訳
下段左から『ムーミン谷の冬』山室静訳
『ムーミン谷の仲間たち』山室静訳
『ムーミンパパの海へいく』小野寺百合子訳
『ムーミン谷の十一月』鈴木徹郎訳
『小さなトロールと大きな洪水』冨原眞弓訳
いずれもヤンソン作、講談社、2011年

『ムーミン谷の仲間たち』(原題”Det osynliga barnet”)は、フィンランドの女流作家・画家のトーベ・ヤンソンにより、1962年に刊行された。

1945~1970年に刊行された小説「ムーミン」シリーズ全9作のうち第7作目。

日本では1968年、山室静訳で講談社より刊行された。

参考:「ムーミン展 THE ART AND THE STORY」図録、『ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン』トゥーラ・カルヤライネン著、セルボ貴子・五十嵐淳訳、河出書房新社、2014年、Wikipedia

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2.あらすじ

すてきなムーミン一家を中心に北国のムーミン谷にすむ仲間たちの楽しい生活を描いた九つの短編集。(中略)国際アンデルセン大賞受賞作家ヤンソンの詩情あふれる楽しいファンタジー。

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

エピソード一覧

  1. 春のしらべ:スナフキンが名前のないはい虫と出会い、名前をつけてほしいと頼まれる。
  2. ぞっとする話:赤ちゃんの弟のおもりに飽きたあにきホムサは、恐ろしいものが登場するお話を作り出す。
  3. この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ:フィリフヨンカは大きな嵐の予感に恐怖心をつのらせていく。
  4. 世界でいちばんさいごの竜:ムーミントロールはとても珍しい竜の生き残りを見つけ、可愛がるが、竜はそっけない。
  5. しずかなのがすきなヘムレンさん:ヘムレンさんは年金で静かに暮らすことを望んでいるが、職場の遊園地が流されてしまう。
  6. 目に見えない子:心が傷つき姿の見えなくなった人には、おしゃまさんに連れられてムーミン一家とともに暮らしはじめる。
  7. ニョロニョロのひみつ:ムーミンパパは、家族をおいて一人ニョロニョロとともに航海の旅に出る。
  8. スニフとセドリックのこと:大切なセドリックをあげてしまい、落胆するスニフに、スナフキンはあるお話を聞かせる。
  9. もみの木:クリスマス前に冬眠から起こされたムーミン一家は、はじめてのクリスマスの準備をする。

※登場人物は各エピソードの感想に書いています。

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3.本の感想

『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

『ムーミン谷の仲間たち』は、ムーミンシリーズの中で唯一の短編集。

おさめられている9つのお話は、どれも派手さはないけれど、心情描写が濃密に描かれている。

子どもが読んでもおもしろいけど、大人が読むほうがより共感でき、味わえると思う。

全体の感想

全体を読んで感じたことは次の通り。

  • トーベ・ヤンソンの絵の画風があたらしい
  • 前作までを読んでいる「ムーミン通」向けの物語

トーベ・ヤンソンの絵

 

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『ムーミン谷の仲間たち』の挿絵は、他の作品の挿絵とタッチがまったくちがう。

線がシャッシャッって感じなんだよね(笑)

線が重なってて粗いので、素人のももちんが見ると「3分で描けそう・・・」って思った。

ももちん
プロの視点からだといろんな技術が使われているんだとおもう。。

だけど、絵から受ける印象はとてもダイナミックでひきこまれる

見慣れてるはずのキャラクターなんだけど、受け取る雰囲気がちがって新鮮だった。

スナフキンが気持ち良さそうに眠っていたり、ムーミンパパの不機嫌な表情がほんとに怖かったり・・・。

短編集ならではの多彩なキャラクターの表情も見どころ。

『ホビット』挿絵の影響

今作『ムーミン谷の仲間たち』と同時進行でトーベが手がけていた仕事が、トールキン『ホビットの冒険』のスウェーデン語版の挿絵。

トーベは『ホビットの冒険』であたらしい画風に挑戦し、今作にもその画風を取り入れたそう。

なんと挿絵を描くように説得をしたのは、『長くつ下のピッピ』のリンドグレーンとのこと。

同じ時代に、スウェーデンとフィンランドから二人の大作家が活躍していたって、なんかすごいなぁ。

参考:「ムーミン展 THE ART AND THE STORY」図録

「ムーミン通」向けの物語

『ムーミン谷の仲間たち』全体を読んで感じたのは、今作は、前作までを読んでいる「ムーミン通」向けの物語であるということ。

前作までを読んでいれば、それぞれのキャラクターのだいたいの性格が頭にはいっているから、いろんなことをなんとなく理解できるんだよね。

ももちん
ムーミンパパ、相変わらず夢見がちね・・・
ももちん
めずらしくしずかなヘムレンさん登場!おもしろそう

みたいな感じ。

もし、今作が初めてのムーミン小説なら、ちょっととまどう。

ももちん
ミイってなんでこんなに意地悪なの?
ももちん
スニフって、なんかちょいちょい引っかかるわぁ。

みたいな感じ。

いろんなことに「?」が浮かぶから、物語の心情描写とか、繊細なところが感じづらくなってしまう。

今作に限っては、ムーミンシリーズの前作までをしっかり読んでから読むほうがおすすめ

※ヘムルやフィリフヨンカ、ホムサ、はい虫は、同じ種族のちがう個人が登場。

ももちん
ここからは、一つずつのお話の感想だよ。

春のしらべ

「春のしらべ」は、スナフキンが旅の途中名前のない一匹のはい虫に出会い、名前をつけてあげるお話。

登場人物

  • スナフキン:ムーミントロールの親友。自由と孤独、音楽を愛する旅人。
  • ティーティ・ウー:旅の途中のスナフキンと出会うはい虫。

ひとりが好きなスナフキン

このお話を読むと、スナフキンは本当にひとりの時間を愛しているんだなぁ、と感じる。

ひとりで歩きながら、美しい自然や歌をつくることに幸せを感じるスナフキンに、こっちまでほっこりする。

ももちんがスナフキンを素敵だなって思うのは、なんにも持っていないことが幸せなんだってよく知ってるところ。

持ち物を守ろうともしないし、もっとほしいとも思っていない。

ふつうなら、どうやって食べていこう?って不安に思う場面でも、心はいつも自由

今日という日にはなんの問題もないって、よくわかってるんだよね。

春のしらべがすぐそこまでやっているのを感じたスナフキンは、キャンプしながら、ひとり静かな夜に「歌をつかまえる」準備をする。

はい虫との出会い

そんなキャンプの夜に、スナフキンは一匹のはい虫と出会う。

はい虫は、初めて見るスナフキンにおびえながらも、憧れをいだきながら見つめ、自分から話しかける。

歌をつかまえるのをじゃまされたスナフキンは、不機嫌に対応。

はい虫は、自分に名前がないことを寂しく思い、スナフキンに名前をつけてくれるように頼むんだけど、その返答も引き気味。

「おまえさん、あんまりおまえさんがだれかを崇拝したら、ほんとの自由はえられないんだぜ。ぼく、よく知ってるがね」

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

恋愛でも宗教でもそうだけど、良さそうななにかを自分と一体化させて、依存しはじめたとたん、自由はなくなる。

スナフキンはそのことをシンプルに伝えているんだよね。

スナフキンはそもそも、言い寄られるのはあまり好きじゃない。

崇拝する側だけでなく、崇拝される側だって、やさしい心を持っていたら影響はめっちゃ受けるもんね。

このお話の中でも、自分を崇拝しすぎているムーミントロールを思い浮かべては心配になり、「あいつのことは考えまい」とする。

だけど、あきらめて行きかけたはい虫に、スナフキンは「ティーティ・ウー」と名づけてあげるんだよね。

名前をつけてもらったとたん、ティーティ・ウーは、うっとりとその名をさけんだ。

自我が芽生えたティーティ・ウー

翌朝、ふたたび出発したスナフキンは、どうしてもティーティ・ウーのことが頭からはなれない。

頭からふりきろうとしても、昨日交わした言葉のひとつひとつがはっきり浮かんでくるんだよね。

スナフキンも、一時的にティーティ・ウーの崇拝者になって、心が不自由になっていたのかなぁ。

とうとうスナフキンは昨日出会った場所にもどり、新月に願をかけてティーティ・ウーを探す。

あらわれたティーティ・ウーは自信に満ち、これから自分の家をつくるところだった。

昨日は一匹のはい虫に過ぎなかったけれど、名前をつけてもらったとたん、ティーティ・ウーは新しく生まれたんだよね。

「いまは、ぼく、一個の人格なんです。だから、できごとはすべて、なにかの意味をもつんです。だって、それはただおこるんじゃなくて、ぼく、ティー・ティ=ウーにおこるんですからね。

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

「名前をもつこと」のパワーってすごい。

人は当たり前に名前があるからわかりづらいけど、名前があるから個性があるし、他の人との境界線や違いがはっきりする

ティーティ・ウーは初めて個性がめばえ、この自分で残りの人生を体験していくことをいそいでいたんだね。

思えばムーミンシリーズのキャラクターって、個人の名前がついていないことが多い

「ムーミントロール」「スノーク」「ミムラ」「ヘムル」などは、種族の名前で一個人の名前ではない。

そういう意味では、トーベ・ヤンソンは一個人のドラマではなく、誰しもに当てはまることとして描きたかったのかもしれない。

足早に去っていくティーティ・ウーを見送り、スナフキンは野原に寝そべり、春のしらべを感じはじめる・・・。

ももちん
自我を持つことのパワーと不自由さ、どちらも考えさせられるお話。

ぞっとする話

「ぞっとする話」は、空想好きの少年ホムサが、自分のおそろしい空想にのみこまれてしまうお話。

登場人物

  • ホムサ:赤ちゃんのおもりに飽きた少年ホムサ。
  • ホムサの家族:少年ホムサの両親と、弟の赤ちゃんホムサ。
  • ちびのミイ:裁縫箱にもぐりこめるほど小さく、少年ホムサをだます。
  • ミイのおばあさん:ミイのおばあさん。ミイのいたずらに手を焼いている。

大人への反抗心

子どもの頃って、よく「〇〇ごっこ」みたいな遊びをやっていた。

このお話のホムサは、弟の赤ちゃんホムサの面倒を見ながら、ひとりで「戦いごっこ」をやっている。

敵を突きころしたり、果物に毒がはいっていると思い込んだり。

だけど、自分の空想についてこれない弟に対して、あにきホムサは、軽蔑の言葉をなげる。

その調子でいくと、おまえはたちまち、おとなになるな。(中略)そうなったら、おまえはただありきたりのことしか、見たりきいたりしないんだ。

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

大人に対しての反抗心をあらわにするあにきホムサ。

世の中にヘコヘコしてる(ようにみえる)大人にいらつく気持ち、反抗期の頃ってあるよね。

ももちん
いつのまにか大人の世界に染まってるんだけどね・・・

家に帰ってからも、理不尽な叱られ方をしてふてくされ、家出の決意をする。

空想を本当のことと思いこむ

このホムサのあぶなっかしいところは、空想を本当のことと思いこんでしまうこと。

赤ちゃんホムサと遊んでいて見失ったときも、「赤ちゃんがどろへびにたべられた」と母親に泣きつく。

「どろへび」はあにきホムサが空想でつくりだしたものなんだけど、ホムサ本人にとってはリアルだったんだよね。

それは、弟が無事だったとわかったときの反応からもわかる。

「わあ、すてき」

と、ホムサはいいました。

「そうじゃない?おとうだってうれしいでしょ。ぼくはとってもうれしいな。赤ちゃんがたすかったんだもの。」

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

自分がうそをついているという自覚があれば、こんな反応にはならない。

だけど、両親はそれがうそだとわかるから、当然叱るんだよね。

ホムサは、悪い子なんかじゃない。

うそは悪いことだし、自分のはうそじゃないって本気で信じてるんだ。

家出をしたホムサは、あるきながら「どろへび」「幽霊馬車」の気配におびえながら、一軒の家を見つけ、入っていく。

平気でうそをつくミイ

ホムサが入った家の中で見つけたのは、小さいミムラ。

一目瞭然、ちびのミイ(笑)

ミイはなぜか洋服ダンスの上にのって、初めからホムサを小バカにする。

バカにされたホムサは「タンスの上にのっかって、バカみたい」と反撃するが、ミイはびくともしない。

ミイはホムサと違い、自分がおそろしい話をしているのを、完全にうそだとわかっている。

その上でホムサを怖がらせるためにいろんな工夫をして話すから、もっとおそろしいんだよね。

悪意のかたまり(笑)

ホムサは、心の底から「生きたきのこがおそってくる」と信じきって、必死で長いすの下にかくれる。

ミイのおばあちゃんとホムサの父親が入ってきて、ようやくうそだったとわかるんだ。

ホムサは、自分がうそをつかれて初めて、うそというものがどんなに人を傷つけるものかわかったんだよね。

だからといって、このあとホムサがうそをつかなくなるかはわからないけどね。

大人が入れない子どもどうしの世界で、「うそをつく」ということのおもしろさや残酷さを体験したのは、ホムサにとって大きかったのだと思う。

この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ

「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」は、一人暮らしのフィリフヨンカが、誰も信じない嵐の気配におびえるお話。

ももちん
ももちんが一番心に残ったのは、この物語。

登場人物

  • フィリフヨンカ:几帳面できれい好きの女性の生き物。
  • ガフサ夫人:フィリフヨンカの友人で、少しこわい。

「ねばならない」のかたまり

このお話に登場するフィリフヨンカは、一人暮らしで、浜辺でじゅうたんを洗うのが好きな女性。

几帳面な性格で、義理や形だけの付き合いを重んじるので、日々おもしろくもなさそうに、きゅうくつな生活を送っているんだよね。

物語の初めから、フィリフヨンカの心は「ねばならない」でいっぱい。

  • おばあさまに敬意をはらって気に入らない家に住む
  • 引っ越しのお知らせを送ってしまったからと、その家に住みつづける
  • ガフサ夫人は紅茶にミルクをいれないと知りながら、ミルクを用意する
  • ガフサ夫人が来たかどうか窓からのぞいてはいけないとがまんする
  • ガフサ夫人は好きではないが、他に話す友だちがいないのでがまんする

まわりの目を気にするのが板について、自分の本当の気持ちを見えないようにしているんだよね。

ももちん
こんな性格の人が主人公だと、読んでるこっちまで息苦しくなってくる・・・

だけど、現実社会で義理を重んじて生きている人間のももちんにとっては、フィリフヨンカの気持ちはよくわかる。

自分ではそんな自分を居心地良く思っていないから、読んでて気持ちが重くなるんだよね。

きっと、あなたのまわりにも一人はこういうタイプの女性、いるんじゃないかな?

わかりあえない怒り

まわりの目を気にして生きているフィリフヨンカだけど、ただひとつ、誰にも言わずに確信を持っていることがあった。

それは、まもなく「この世の終わり」がやってくるということ。

フィリフヨンカは恐怖をはっきり感じているんだけど、ただの妄想なのか、それとも本当にこの世の終わりがくるのかは、この時点ではわからない。

だけどフィリフヨンカは、胸にある不安を流してしまわずに、誰かに話したいという気持ちを大切にしたんだよね。

わたし、わたしがなにかにおびえていることをだれかしらに話して、なんとかいってもらいたいのよ。(中略)だけど、ほんとうのところ、なにをおそれることがあるんでしょう。

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

おかしいって思われるのが一番きらいなフィリフヨンカが、この選択をするのがえらいとおもった。

フィリフヨンカは、この日お茶に招いていたガフサ夫人に胸にある不安について打ち明ける。

言葉をつくして伝えるんだけど、ガフサ夫人は、まったく取り合わないんだよね。

あからさまに恐怖についての話題をさけるガフサ夫人に、フィリフヨンカはがっかりして口をつぐむ。

ガフサ夫人の気持ちもわかる。

楽しいお茶の時間を過ごそうと思ってきたのに、よくわからない恐怖について語られても、聞きたくないよね。

きっと、ガフサ夫人の心の奥の方にちょっとあった恐怖が、無理やりあおられる気持ちになったんじゃないかな?

別れぎわにフィリフヨンカはもう一度伝えてみるんだよね。

実際に災難が起こるかどうかは、ほんとうはどっちでもいい。

結果がどうなろうと、いま自分の中にある恐怖のことを、フィリフヨンカは、伝えたかった。

これは、きっと誰にも当てはまる恐怖。

たとえば、まだ起こったことのない死。

たとえば、いま持っている財産がなくなってしまうこと。

たとえば、大切な人がいなくなってしまうこと。

人は、大切ななにかを失う恐れを常に抱えながら、気づかないようにうまく隠して生きているんだよね。

こうなってくると、フィリフヨンカの妄想のお話ではなく、誰にも当てはまる恐怖についてのお話だということがよくわかる。

嵐とのたたかい

ガフサ夫人が帰ったあと、本当に嵐がやってきた。

フィリフヨンカの心にあった恐怖はいよいよふくれあがり、実際に起こっている嵐よりもずっとあらあらしく、真っ黒に感じていた。

おびえながらも、心のどこかでは、この災難をほこりにしている気持ち、わかってくれなかったガフサ夫人に対する復讐心も感じていたんだよね。

いまごろはあの人、家にすわって、わたしがなんにも知らないおじょうさんだと思ってることでしょうよ。だけどわたしは、この世のおわりを、毎日毎日、見ているんだわ。

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

こわいだけじゃない、いろんな気持ちが描かれているのがすごい。

いよいよ嵐が強くなり、えんとつが崩れ落ち、穴から強風が吹き込んでくる。

家の中の大切にしていた家具や飾りなど、ありとあらゆるものがくだけちり、吹き飛ばされる。

フィリフヨンカはたまらず外へ飛び出し、外にいるほうが安全であることに気づく

あんなに恐れていたなにかがきてしまい、大切なものを失ってみると、そこには心からの安らぎがあることを知ったんだよね。

すべてのおわり

嵐がふきやんだとき、家は建物のみが残り、煙突や中のものはすべて失われていた。

フィリフヨンカは、嵐にすべてをひっくりかえされて、自分自身も変わってしまったことを感じる。

その一方で、家や品物の修理をして元の生活に戻らねば、という義務感も感じるんだよね。

この葛藤の描写がおもしろい。

一度は、昔のおびえる生活、おびえる自分に戻りたくない!という気持ちを奮い立たせるんだけど、家を見たとたん、元に戻ろうという強い義務感を感じる。

ママがフィリフヨンカの義務というものを、思いださせてくれたようだわ

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

いくら心が揺れ動いても、きっかけとなる大事件が起こっても、自分が慣れ親しんでいるパターンを終わらせるのは、とても難しいものなんだよね。

そのとき、奇跡が起こる。

突然大きなたつまきが発生し、フィリフヨンカが見とれているうちに、家ごと持ち去っていってしまうんだ。

そのときもはや、義務感を発動させる家すらもなくなったフィリフヨンカは、とうとう自由を得ることができるんだ。

何かを失う恐怖、失ってしまったときの安堵と喪失感、最後まで守ろうとする習性・・・

このお話の中では、人間の誰しもに共通する心の大切なからくりが描かれている。

ももちん
人は、恐怖という考えで自分をしばりつけているんだね。

自分の力で守れなくなり、ついに失ったとき、見えてくるものを教えてもらった。

世界でいちばんさいごの竜

「世界でいちばんさいごの竜」は、ムーミントロールが小さな竜の生き残りを見つけ、かわいがるお話。

登場人物

  • 世界でいちばんさいごの竜:とても珍しい竜の生き残り。
  • ムーミントロール:ムーミン一家の好奇心旺盛な優しい男の子。
  • スナフキン:世界でいちばんさいごの竜に好かれる。
  • ちびのミイ:ムーミントロールの秘密にいち早く気づく。
  • ムーミンパパムーミンママスノークのおじょうさんミムラねえさん:ムーミン屋敷に一緒に暮らす。

ひみつのペット

ムーミントロールは夏のある日、池でたまたま、マッチ箱ほどの大きさの竜を見つける。

とっくに絶滅したとされていた竜の生き残りを見つけ、その美しさにムーミントロールはすっかり夢中になる。

ムーミントロールは、竜を大切にびんにいれて持ち帰るんだよね。

この日から、竜はムーミントロールにとって「ひみつのペット」になる。

ひみつをかぎつけるミイ

ムーミントロールの秘密をいちはやくかぎつけるのが、ちびのミイ

ムーミントロールが誰にもあわないように裏口の階段にいくと、ミイがとびだしてくる。

このときはなんとか隠しとおしたけど、「ムーミントロールがひみつの生き物をかくしている」ということはすぐに家族中にしれわたる。

隠しておきたかった自分だけの秘密をバラされてしまい、ムーミントロールはふてくされる

そして、まだなにも知らないスナフキンを驚かそうと出かける。

スナフキンのやさしさ

スナフキンを見つけたムーミントロールは、スナフキンを驚かせることができる期待でうれしくなる。

どきどきしながら、「竜に出会ったことがある?」と問いかけるムーミントロールに、なにかを感じるスナフキン。

へえ、そんなことはもちろん、まるっきりの空想さ

おどろきというものがどのようにしてしくまれるか、それをよく知っているスナフキンは、答えました。

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

ムーミントロールの期待やどきどき感をまるごと読みとって、わざと疑うセリフをいうスナフキン、かっこいい。

スナフキンは疑いからの驚き、そして感心するところまで、ムーミントロールが期待していたとおりの反応を見せ、喜ばせる。

相手を喜ばせられるなら、ちょっと空気をよむことくらいどうってことない、という余裕が感じられる。

竜が好いてくれない

ムーミントロールにとっては、竜が怒ってかんだり火を吹いても、すべてがいとおしい。

「きみは、おこったんだね。そうだろ? なんてらんぼうで、おこりんぼで、いじわるなんだ、きみは? だからぼくは、きみがすきで、すきで、すきなんだよ、小さい竜くん!

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

怒っている竜もこんなにかわいがるムーミントロール、完全にいかれてる(笑)

ももちん
ちなみにミイが竜にかまれたときは、シンプルに「ちくしょう!」とどなって竜をぶつ(笑)

ムーミントロールとミイの反応が違いすぎておもしろい。

スナフキンになつく竜

つかまえられた竜のほうは、まったくムーミントロールになつかない。

そこにスナフキンがあらわれて、竜の態度は一変する。

竜は、ムーミントロールそっちのけで、ひと目見たスナフキンの方になついてしまうんだよね。

スナフキンは別に竜を好きなわけじゃないから、竜に好かれても困るだけなんだよね。

スナフキンが帰ると竜は泣き出すしまつ。

ムーミントロールのやさしさ

大好きなものが自分を好いてくれず、目の前で他の誰かになつきいたとき、ムーミントロールはせつなかっただろうなぁ。

スナフキンが去り、悲しんでいる竜を見たムーミントロールは、竜を逃がすことを決める。

竜は、ムーミントロールがドアを開けたとたん飛び出していった。

竜と別れるのはもちろん辛いけれど、それよりも竜自身の幸せを願って逃してあげるムーミントロールの優しさに、じんわりきた。

スナフキンの選択

竜が自分のもとにとんできたとき、スナフキンは複雑な気持ちだった。

自分を好いてくれる竜がかわいく思えてくる気持ち。

百年も生きる竜と生きるのはまっぴらな気持ち。

竜をうしなったムーミントロールを思いやる気持ち。

スナフキンはつりをしながら、からまりあう気持ちをゆっくりと整理していく。

そうしているあいだに、へムルがのるボートが川をくだってきて、スナフキンはある決断をする。

ヘムルにつった魚をやるかわりに、眠っている竜を居心地の良い場所へはなしてもらう、という交換条件をとりつけるんだよね。

ムーミントロールとスナフキン、どちらもわだかまりがない最良の選択。

竜はスナフキンにふられて悲しむかもしれないけど、もともと野生だし、また別の人を好きになるかもしれないもんね。

竜への執着をてばなす

夕方ムーミントロールがスナフキンをたずね、元気がなさそうに竜のことを聞く。

スナフキンは、「自分のところにはきていない、竜はつかまえておけるもんじゃない」という。

ムーミントロールは、長い沈黙のあと、自分に言い聞かせるようにいう。

「たぶん、きみのいうとおりかもしれない。にげていってしまって、それでいいんだろうね。うん、そうだ。ぼく、そう思うよ、スナフキン。

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

竜をずっとそばにおいてかわいがりたかった気持ちはまだ消えていなかったと思う。

だけど、竜の方はそれを望んでいなかったこと、望んでも叶わないことがあることを、ムーミントロールは学んだんだよね。

それを受け入れるなかで、「竜がスナフキンのところに行っていなかった」ということは、せめてもの救いだったと思う。

短いお話から、ムーミントロールの純粋さと、スナフキンのムーミントロールへの思いやりが胸にしみてきた。

しずかなのがすきなヘムレンさん

「しずかなのがすきなヘムレンさん」は、年金生活を夢みて遊園地で働くおとなしいヘムレンの物語。

登場人物

  • ヘムレンさん:遊園地で入場係をしているヘムルで、騒がしいことが嫌い。
  • 親戚のヘムレンたち:共同で遊園地を経営している陽気な一族。
  • お使いホムサ:遊園地の再開をまちのぞみ、ヘムレンさんにお弁当を届ける。

静かなヘムレンさん

このお話で登場するヘムレンさんは、いままで出てきたヘムレンさんとはちょっとちがう性格。

おとなしく一人が好きで、毎日好きでもない仕事をもくもくとやっているんだよね。

ヘムレンさんには一つの夢があった。

その夢とは、この仕事を引退し、年金生活を送ること

ずっと先の老後の安心のために、いま一生懸命働くという考え方は、現代の多くのひとたちに共通する考え方だよね。

ヘムレンさんにとっては、「いま」はがまんする時間でしかなかった。

子どもたちが騒ぐ音も、他のヘムレンたちの陽気な姿も、みんなに話しかけるのも好かなかったんだよね。

大雨と夢の実現

そんなある日、八週間もの間大雨がふりつづき、遊園地が水に流されてしまう。

仕事仲間のヘムレンたちに「また仕事に戻れるよ」と言われたヘムレンさんは、ついに本音を出すんだ。

自分は仕事になんて戻りたくない。ひとり静かに年金生活を送りたいのだと。

それをきいた親戚のヘムレンたちは大わらいをする。

なんでだと思う?

ももちんははじめ、「夢みたいなこといっても、現実はそうはいかないんだよ」っていう見下した笑いかと思った。

けど、ちがった。

ヘムルたちにとっては、したいことは今するのが当たり前。

だから、ヘムレンさんだって当然好きで遊園地の仕事をしていると思ったのに、全然違ったことがおもしろかったんだね。

「ひとり静かにおもちゃの家をつくって暮らしたい」というヘムレンさんの本当の望みをしった親戚のヘムレンたちは、笑いながらも、その夢を応援する。

ヘムレンさんは、すぐに静かな広い公園を譲りうける。

青々とした木々やたくさんの星を見ながら、ヘムレンさんは自分の夢がかなったことに、満ち足りた気持ちになるんだよね。

自分が「周りに合わせてそうするべきだ」としていた考えは、周りの人ははじめから持っていなかった。

自分の望みはいつだって許されていたのに、自分だけがいまやることを許さず、あきらめていただけだった。

「当たり前」にしている考えを疑ってみること、本音を思いきって伝えてみることの大切さを感じた。

ホムサの訪問

初めてのひとり静かな夜が明けると、一人の少年ホムサがヘムレンさんの公園を訪問する。

ホムサは伝えたいことがあったんだよね。

遊園地がなくなって、子どもたちみんなが悲しんでいること。

遊園地の遊具の部品はほとんど水の中から救い出して、保管してあること。

その部品を組み立て直して、遊園地の再開を親戚ヘムレンたちにお願いしにいくつもりなこと。

ヘムレンさんはホムサの話を聞きながら、また入場券切りをやらなければいけないのか?とちょっと不安になる。

だけど結局、子どもたちの訴えはきいてもらえないんだよね。

ヘムレンさんの葛藤

ヘムレンさんは、一瞬子どもたちに同情するものの、すぐに考え直す。

自分は遊園地に戻らなくてすむし、さっそく公園に一人でくつろげるあずま屋を建てよう。

翌朝ヘムレンさんは、門の所に、大量の部品とホムサからの手紙があるのを見つける。

手紙には、部品をヘムレンさんにあげること、また一緒に遊んでほしいことが書いてあった。

ヘムレンさんは見なかったことにして、あずま屋の仕事に没頭する。

ぼくはたったいま、いやですということを、おぼえたところなんだ。ぼくは老人年金をもらってるんだ。すきなことだけして、ほかのことはやるもんか

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

ヘムレンさんだって、我慢してた仕事をやっとやめて、勇気と決意を持って夢の暮らしを実現した。

そうして手に入れた暮らしがおびやかされる恐怖、よくわかる。

だけど、根はやさしいヘムレンさん、全然目をそらせないんだよね(笑)

葛藤のあげく、ヘムレンさんは怒りながら、とうとう部品を敷地の中に運びこむ

ヘムレンの決断

こころならずも子どもたちが遊べる公園の建設に取りかかり始めたヘムレンさんは、怒鳴りながらリーダーシップをとっていく

公園の中にみんなが不思議なものを持ちよって、どんどんオリジナルな公園ができていき、とうとう完成するんだ。

さあ、できました

と、ヘムレンさんはいいました。

「ただ、このことはわすれないようにねーこれは遊園地でなくて、沈黙の園なんだよ

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

子どもたちを受け入れてるのに「沈黙」を守らせようとするヘムレンさん、おもしろい(笑)

子どもたちがひみつの楽しい遊びをしている気配を感じながら、ヘムレンさんは心地よく眠る。

自分が望んでいた静かな暮らしを手放し、目の前にやってきた「仕事」を受け入れたヘムレンさん。

「仕事を押し付けられた」ととらえたら嫌な気持ちになるけど、結果的にそれ以上のものを受け取ったんだね。

目に見えない子

 

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「目に見えない子」は、姿が見えなくなってしまった女の子ニンニがムーミン一家とともに過ごす物語。

登場人物

  • ニンニ:おばさんからひどくいじめられて、姿が見えなくなってしまう女の子。
  • おしゃまさん:ムーミントロールの友だち。ニンニをムーミン屋敷に連れてくる。
  • ちびのミイ:ニンニに暴言を浴びせる。
  • ムーミントロール・パパ・ママ:姿の見えないニンニに優しく接する。

姿の見えないニンニ

ある秋の夕方、おしゃまさんが透明で姿の見えない女の子を連れて、ムーミン屋敷にやってくる

女の子の名前はニンニ。

一緒に暮らしていたおばさんからひどくいじめられて、心が傷ついたニンニは透明になってしまったんだよね。

おしゃまさん

物事を冷静に見通すことのできるおしゃまさんは、ニンニのおばさんを責めることもできたけれど、そんなことをしても役に立たないと判断した。

そのうえで、ニンニには、自分と一緒にいるより、母親のような愛情が必要だと感じ、連れてきたんだよね。

おしゃまさんは、わかりやすい優しさや愛情表現はしないけれど、いつも相手の気持ちを読みとって行動しているんだよね。

ムーミンママ

ムーミン一家は、おしゃまさんの期待にピッタリ合うような家庭だった。

ムーミンママは、ニンニがもとめていた母親の愛情をかけてあげるんだよね。

ムーミンパパがいち早く「姿が見えるようになるにはどうするか」を考えたのに対し、ムーミンママは「そっとしておくこと」を提案する。

ニンニのねどこをすっかリ整えて、安心して眠れるようにしたうえで、いつでも好きにしていいというんだよね。

あたたかく包み込んでくれるムーミンママの愛情、とってもほっとするよね。

ミイとニンニ

翌朝、ニンニがねどこからおりてくると、足だけが見えるようになっていた。

ニンニはムーミンママの愛情に安心したので、「透明」というよろいがちょっと溶けたんだよね。

でも、そんなムーミンママの努力を悪気なくだめにしてしまうのが、ほかの家族。

ムーミンパパは、ニンニがそばにいるのに気づかず、「見えない相手に話しかけるのはかなしい」とぼやく。

ムーミントロールは、なぐさめようとして「おばさんのことなんか考えなくていい」といい、逆に思い出させる。

不安になったニンニはまた色が薄くなってしまう。

ムーミントロールもムーミンパパも、ニンニへの接し方がわからなかっただけなんだけど、ムーミンママはちょっとがっかり。

でも、変に気をつかわずにムーミン一家が家の仕事をしていると、ニンニも自然と参加して、少しずつ元気になっていく。

ミイ

おどおどしているニンニに対して、暴言をぶつけるのがちびのミイ。

ミイはニンニを嫌っているわけではなくて、ニンニを怒らせて、透明のよろいを破りたかったんだよね。

だけどニンニは、ミイの暴言におどおどしているばかり。

それがあんたのわるいとこよ。たたかうってことをおぼえなうちは、あんたには自分の顔はもてません

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

怒りのマスターミイ、かっこいい。。

ミイにもあきらめられ、結局ニンニは笑うことも怒ることもしないまま、月日は過ぎていく

怒りと笑い

ニンニの顔はあいかわらず見えないままだったけど、ムーミン一家と暮らすことで、着実に変わっていった

ニンニは声を出すことができるようになり、ムーミンママにつくってもらったピンクの洋服を着て、体はわかるようになっていた。

そしてなにより、ニンニはやさしいムーミンママのことを大好きになるんだよね。

ムーミンママは決してニンニを怒らず、見えないまんまにさせてくれたので、ニンニはムーミンママのあとをついてまわるようになった。

怒りの爆発

ある日、ムーミン一家は海辺へ出かける。

ムーミンママが桟橋から海をのぞき込んでいるのを見て、ムーミンパパはふざけて、ムーミンママの背中を押すそぶりを見せる

もちろん、本当に押すつもりはなく、ただ、まわりにいた子どもたちを笑わせようとしただけだった。

そのとき、ムーミンパパは突然しっぽにかみつかれるんだよね。

ニンニは桟橋の上につったっていました。もしゃもしゃはえた赤い毛の下に、ししっ鼻をした、小さい怒った顔が見えていました。

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

ニンニの顔が見えた瞬間だった。

これまで、ミイになにを言われても怒ることのなかったニンニは、大好きなムーミンママを傷つけられると思って、とうとう怒りの地雷を爆発させるんだよね。

ニンニのかんしゃくをみて、「ブラボー!」と喜ぶのはちびのミイ(笑)

ほかの家族も、びっくりしながらも喜ぶ。

だけど、ここでめでたしめでたし、って終わらない。

ニンニの笑い

次の瞬間、海に落とした帽子を拾おうとしたムーミンパパが海に落ちると、ニンニははじめて笑う。

ちょっと微笑むくらいじゃなくて、桟橋がゆれるほど、けたたましく笑うんだ。

このニンニの姿を見て、おしゃまさんはいう。

ちびのミイ子より、なおわるくなったわ。でも、かんじんなのは、もちろん、あの子が見えるようになったってことだわ

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

おしゃまさん、どこまでも冷静(笑)

あんなにおどおどしていたニンニは、いつのまにかありのままの自分でいいっていうことに自信をつけていた

それが、怒りや笑いとなってはちきれたんだね。

ももちん
ニンニが赤毛の女の子っていうところもおもしろい。

赤毛=かんしゃくもち、やんちゃというイメージは、『長くつ下のピッピ』『赤毛のアン』からも読みとることができる。

おしゃまさん登場作

『ムーミン谷の冬』本の感想。ひとり冬眠からさめたムーミントロール

『ムーミン谷の冬』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年 『ムーミン谷の冬』はトーベ・ヤンソンの小説「ムーミン」シリーズの6作目。 ムーミントロールがひとリ冬眠から目をさまし、初めて冬の世界を見る。 ...

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ニョロニョロのひみつ

 

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「ニョロニョロのひみつ」は、ムーミンパパがニョロニョロたちと海を航海する物語。

登場人物

  • ニョロニョロ:小さい白いお化け。身体に電気を帯びている。
  • ムーミンパパ:ニョロニョロとともに航海の旅に出る。

ニョロニョロへのあこがれ

お話では、ムーミンパパがふらっと旅に出る。

ムーミンパパがどこへ向かうのか、だれと一緒なのか、いつ帰ってくるのか、ムーミンママにさえもわからない

人間の世界で考えたら、家族をおいて蒸発するなんて、無責任なお父さんってことになると思う。

だけど、ムーミン一家では、どこへいくのも自由で、心配したり責めることはない

ゆううつなムーミンパパ

『ムーミンパパの思い出』を読めばわかるんだけど、ムーミンパパは、根っからの冒険好き。

大人になって落ち着いたいまでも、たまにむくむくと冒険心が立ち上がるんだよね。

ときどき海でニョロニョロを見かけては、その危険で自由な生活にあこがれを抱く

ある夕方、ムーミンパパはぬるま湯のような生活をしていることが嫌になり、家をとびだす。

なぞめいたニョロニョロ

何も考えずに浜辺を歩いていると、たまたま三人のニョロニョロがのったボートに出くわす。

ムーミンパパはあいさつをしたり、話しかけてみるけれど、ニョロニョロは無反応

ムーミンパパは、そんなニョロニョロたちを「神秘的で謎めいている」と感じ、自分も乗せてもらうことにする。

そしてはるかかなたの水平線の先には冒険が待っている、と、期待に胸をふくらませるんだ。

理解できないニョロニョロ

航海が進むにつれて、ムーミンパパは、心が期待や不安で大きくゆれうごいていることに気づく。

ムーミンパパのドラマ

ここまで読むとわかるけど、ニョロニョロは、なんにも言わないし、表情もない。

そんなニョロニョロに、ムーミンパパが勝手に意味をつけているだけなんだよね。

やつらはあんな手つきをして、ぼくの心の中を読んでいるんだろうか。もちろん、はらをたててるにちがいない・・・

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

相手がなにを考えているかわからないって、予想以上に怖いもの。

考えることをやめようと思っても、考えはとまらない。

そんなちっぽけなパパの心をニョロニョロに読まれたら、きっと見下されるはずだ・・・

どんどんオリジナルのストーリーを心で作りあげていく様子が、客観的に見るとよくわかる

いらだちとあきらめ

やがてボートは小さな島にたどり着き、ニョロニョロたちは無言でおりていく。

ムーミンパパはニョロニョロの行動の意味がわからないので、仲間はずれにされてる気持ちになるんだよね。

なにを話しかけても答えないニョロニョロに、ムーミンパパはいらだちをつのらせ、とうとう怒りを爆発させる。

それでもおしだまっているニョロニョロに、ムーミンパパは、だんだんと話しかけることをあきらめていく

心の中はだんだん静かになり、不安や後悔の気持ちも薄れていくんだよね。

ぼくはニョロニョロににてきたんじゃないかな

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

ニョロニョロを理解したり仲間になろうとすることに疲れ、そのまま受け入れたムーミンパパ。

そのあきらめで、逆にニョロニョロに似た質が出てきたんだね。

ももちん
私もこうやって自分のストーリーにはまっていくんだな。

目の前の相手はただいるだけなのにね。

意味がなかったと悟る

いよいよ本当にニョロニョロの仲間になりそうなムーミンパパだったけど、ある日突然目をさますんだよね。

そのきっかけは、激しい夕立。

無数のニョロニョロがひとつの島に集まって夕立を浴び、叫んだり歌ったりするのを、ムーミンパパは初めて聞くんだ。

ニョロニョロにとって夕立の雷は生命の源であり、それだけをもとめてさまよっていることがわかったんだよね。

ニョロニョロのことがはっきりわかると同時に、ムーミンパパは自分がどんな思い違いをしていたかもはっきりさとり、すぐに家に帰る決断をする。

本当の自分を思い出したとき、ムーミンパパは家にいながらにして、どれだけ自由で幸福でいられるかもわかった

それは、冒険心を失うということではない。

まわりのだれかと比べて目指すことをやめたとき、すでにそうであったと気づいただけなんだよね。

ももちん
次作『ムーミンパパ海へいく』では、なんと家族を連れて灯台守になるパパ。

夢追い人の性格は変わらないのね・・・。

『ムーミンパパ海へいく』感想

小説『ムーミンパパ海へいく』感想。灯台守になるパパと家族の気持ち

『ムーミンパパ海へいく』ヤンソン作、小野寺百合子訳、講談社、2011年 『ムーミンパパ海へいく』はトーベ・ヤンソンの小説「ムーミン」シリーズの8作目。 ムーミンパパが家族を連れて島へ移住し、灯台守にな ...

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スニフとセドリックのこと

 

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「スニフとセドリックのこと」は、大好きなものをあげてしまい後悔するスニフに、スナフキンがお話をきかせる。

登場人物

  • スニフ:臆病で、宝石などキラキラ光る物が大好き。
  • セドリック:スニフがとても大切にしていた、ビロード製の犬。
  • スナフキン:セドリックをなくしたスニフにお話を聞かせる。

後悔するスニフ

スニフはきらきらひかるものが好きで、なんでも自分のものにしたがる性格

ビロード(ベルベッド)でできた犬のセドリックも、そんな大切なものの一つだったんだよね。

ある時スニフは、セドリックを好きでもない子にあげてしまう

後でめちゃくちゃ後悔するスニフは、食べることも眠ることもできないほど。

なぜ、そんな大好きなものをあげてしまったと思う?

実は、スニフなりの損得勘定がはたらいたからなんだよね。

「あれはムーミントロールのせいなんだい。あいつがぼくにいったんだーもし自分がほんとうにすきなものを人にやったら、それが十倍にもなってかえってくる。だから、あとで、とてもすばらしい思いをするってさ。

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

スニフは、ムーミントロールの道徳的な話を、損得でとらえたんだよね。

犬のセドリックの十倍すばらしいものをもらうために、犬のセドリックをあげてしまった。

ももちん
見返りをもとめてそんなことをしても意味がないのになぁ。

このスニフの姿、人間のももちんにはとってもなじみ深い。

ももちんも、心のどこかで計算をしながら動いていることけっこうある。

良い人に思われたくて、親切にする、とかね。

心から親切が湧いてきたわけじゃなく、「感謝される」という見返りをもとめてるもんね。

物語で読むとスニフのようなキャラクターは「ちっさいやつだな」って思われがちだけど、実は一番自分に似てるキャラクターなのかもな、って思った。

スナフキンの話に反発

スニフは、眠れない夜に散歩していると、スナフキンに出会う。

スナフキンは落ち込んでいるスニフに、お話を一つ聞かせてあげるんだよね。

お話の内容は、いまのスニフにぴったりの内容。

ものをたくさん集めていた女の人が余命宣告を受け、持ち物を残らず人にやってしまい、心が軽くなり、結果的に死なずにすんだっていうお話。

だけど、スニフは話の途中でぼやいたり、結末を予想したり、文句をつけたりして、スナフキンの話の腰をどんどんおっていくんだよね。

特に気に入らなかったのは、持ち物を全部人にやってしまうところ

スニフは「持ち物を人にあげることは良いことだ」というお話はもう聞きたくなかったんだよね。

さすがのスナフキンも、とうとうスニフに愛想をつかす。

おまえはばかだよ

と、スナフキンはいいました。

でなけりゃ、なおわるいことに、お話のぶちこわし屋だ。

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

持ち物を減らすと心が軽くなって、ずっと望んでいたことも楽にできるようになる。

ものを持たないスナフキンは、自分がマスターしている「手放すことの極意」をわかりやすく説明してくれていたんだよね。

だけど、スナフキンが話したかったことは、スニフにはまったく伝わらなかった

戻ってきたセドリック

犬のセドリックはどうなったかって言うと、スニフが雨の中にころがっているのを見つけて、持ち帰ってきた。

その日からスニフは、セドリックを本当に大切にしたんだよね。

セドリック自身は、以前のようなキラキラした飾りは取れてしまっていたけれど、スニフにとってはそんなことは関係なかった。

キラキラしていなくてもセドリックを愛するスニフ、けっこうめずらしい(笑)

スニフのセドリックへの愛は、キラキラしているからじゃなく、ただセドリックだからだった。

そのことに気づけたことが、スニフにとって大切なものをあげたことで得た「良いこと」だったのかもしれない

もみの木

 

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「もみの木」は、ムーミン一家が初めての「クリスマス」を過ごす物語。

登場人物

  • ヘムレンさん:冬眠中のムーミン一家を起こす。
  • ムーミントロール、パパ、ママ、スノークのおじょうさん:「クリスマス」がなにかわからないまま準備をする。
  • クリスマスのはい虫:クリスマスを知らないムーミン一家から招かれ、幸せなひとときを過ごす。

冬眠から目覚める

お話は、いらいらしたヘムレンさんがムーミン一家をどなり起こすところから始まる。

ヘムレンさんは、みんながクリスマスの準備で忙しくしているのに、ぐっすり眠り込んでいるムーミン一家に腹を立てているんだよね。

でも、ずかずか人の家にどなりこんでくるヘムレンさんはうざい。

ももちん
勝手に忙しくしてればいいじゃん。

こっちは冬眠してるんだから、クリスマスを押しつけてくんなよ・・・。

怒ってるのはももちんだけで、起こされたムーミン一家はまったく気にしてないんだけどね(笑)

ムーミン一家は毎年冬眠をするので、「クリスマス」はおろか、「冬」のことすらはまったく知らない

ムーミントロールだけは、前作『ムーミン谷の冬』で一人だけ早く目覚めたけれど、すでにあたらしい年を迎えていたので、「クリスマス」がなにかは知らないんだよね。

ヘムレンさんがすごい剣幕で起こしてくるから、ムーミン一家は、「クリスマスとは、なにかおそろしいものなんだ」と考える。

クリスマスの準備

外にでてみると、周りの人はいそがしそうに歩いている。

ムーミン一家は、それをみて「なにかおそろしいものがくる備えでいそがしいんだな」と思うんだ。

そこで、人に出会うたびに、どんな準備をすればいいかをきいて、みようみまねで準備するんだ。

もみの木

まず準備したのは「もみの木」。

ムーミンパパは自分の家のもみの木は切りたくないので、おとなりのガフサ夫人の敷地にあるもみの木をこっそり切る

ももちん
ガフサ夫人て、ちょっと怖いんだよね。

帰りにガフサ夫人が通りかかるけど、いそがしく通り過ぎてしまう。

人の家の木をぬすんで、ばれずに喜ぶムーミン親子に力が抜ける・・・

かざりつけ

ガフサ夫人から、もみの木はかざりつけるものだと聞きつけたムーミンパパ。

さっそく家に持ち帰り、家族みんなでかざりつけをする。

貝がらや首かざりなど、それぞれきれいだと思うものをもちよって、もみの木を美しくかざりつけるんだよね。

ももちん
てっぺんには、赤いバラ!

星じゃないってところが新鮮。

ごちそうをつくる

次にへムルおばさんから聞きつけたのは、「クリスマスのごちそう」。

どうやら「クリスマス」は人で、ごちそうを食べるらしい、とムーミン一家は考えた。

そこで腕をふるうのは、もちろんムーミンママ。

午後中かかって、ありとあらゆるごちそうをつくる。

プレゼント

夜がやってきて、通りかかったへムルさんからは、「プレゼントを用意すること」と聞く。

ムーミン一家は、それぞれ「クリスマスさま」にあげるためのプレゼントを用意する。

美しいもみの木のまわりにはごちそうとプレゼントがならべられ、準備が整った。

はい虫と過ごすクリスマス

今にもおそろしい「クリスマスさま」がやってくるかもしれないと、ムーミン一家は雪の中をまちかまえる。

ムーミン一家の準備から見守っていた小さなはい虫は、おずおずという。

クリスマス、おめでと

と、はい虫ははずかしそうにいいました。

「そんなことをいったのは、きみがはじめてだよ。きみはクリスマスがきても、ちっともこわくないのかね?

引用元:『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

自分たちが恐れている「クリスマス」を、小さなはい虫が恐れていないことに、とまどうムーミン一家。

結局、もみの木とごちそうとプレゼントははい虫たちに全部あげてしまい、ムーミン一家は家の中に入る。

結局、真夜中になっても「クリスマスさま」はあらわれず、ムーミン一家はまた、春までの眠りにつく・・・

ムーミン一家には「クリスマス」ってなにかがわからないままだし、自分たちはなんにも祝ったり楽しんだりしていない。

だけど結果的に、はい虫たちにとってもすてきな「クリスマス」をプレゼントしたんだね。

4.『ムーミン谷の仲間たち』が読める本の形

今回ももちんが読んだのは、講談社文庫の『ムーミン谷の仲間たち』。

『ムーミン谷の仲間たち』は、文庫以外にも、児童文庫やハードカバーで刊行されている。

中でも、2019年春から刊行が始まっているソフトカバーの新版は、翻訳が読みやすくクリアな挿絵とのこと。

一度手に取って読んでみたいなぁ。

【2020年春】ソフトカバーの新版刊行!

2019年3月に講談社より新しく刊行されているのが、ソフトカバーの『ムーミン全集[新版]』

講談社1990年刊のハードカバー『ムーミン童話全集』を改訂したもの。

翻訳を現代的な表現・言い回しに整え、読みやすくし、クリアなさし絵に全点差し替えられている。

ソフトカバーなので持ち歩きやすい。

これから「ムーミン」シリーズを買って読もうと思っているなら、最新版のこちらがおすすめ。

『ムーミン谷の仲間たち』は2019年秋刊行予定。

電子書籍版あり。

新版はココがおすすめ

  • 翻訳が現代的な表現、言い回しに整えられているので読みやすい
  • クリアなさし絵に全点差し替え
  • ふりがな少なめで大人が読みやすい
  • ソフトカバーなので持ち歩きやすい
  • 電子書籍で読める

講談社文庫

『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2011年

講談社文庫の「ムーミン」シリーズは、1978年に初めて刊行された。

2011年に新装版が刊行。

写真では2011年刊行時の表紙だが、2019年3月現在、フィンランド最新刊と共通のカバーデザインに改められている。

文庫版だけど挿絵が豊富で、ふりがなも少なく読みやすい。

大人が手軽にムーミンを読みたいなら、講談社文庫がおすすめ。

電子書籍版あり。

文庫はココがおすすめ

  • ふりがな少なめで大人が読みやすい
  • 値段がお手頃で気軽に読める
  • 電子書籍で読める

青い鳥文庫

『ムーミン谷の仲間たち』ヤンソン作、山室静訳、講談社、2013年

講談社青い鳥文庫は、1980年に創刊された児童文庫。

「ムーミン」シリーズは2013〜2015年に新装版が刊行された。

児童文庫だけど、字は小さく漢字も多い。ふりがなもふられているが、難易度は文庫版とそんなに変わらない

児童文庫はココがおすすめ

  • 文庫よりサイズが大きめで読みやすい
  • ふりがな付き
  • 児童文庫にしては文字が小さいので、子どもが読むなら童話全集か新版の方がおすすめ

4.アニメで見れる『ムーミン谷の仲間たち』

ここからは、アニメやパペットアニメーションで見られる『ムーミン谷の仲間たち』を紹介するよ。

【2020年2月DVD発売】アニメ『ムーミン谷のなかまたち』

引用元:『ムーミン谷のなかまたち』公式サイト

 

2019年NHK BS4Kで放送されたのが、3Dアニメ『ムーミン谷のなかまたち』

フィンランドとイギリス合作のアニメシリーズで、声優陣も豪華。

ムーミントロール役はタロン・エガートン(『キングスマン』主演)、ムーミンママはロザムンド・パイク(『ゴーン・ガール』主演)、ほかにもケイト・ウィンスレットとか、映画にあまり詳しくないももちんでもよく知ってる俳優さんばかり。

2020年2月には、DVD/Blu-rayセットが発売。

小説『ムーミン谷の仲間たち』と、アニメ『ムーミン谷のなかまたち』は、題名は同じでも、扱っているエピソードは違う。

小説『ムーミン谷の仲間たち』からエピソードをとったものは「春のしらべ」「世界でいちばん最後の竜」「姿の見えない子」の3話

『ムーミン谷のなかまたち』公式サイト

パペットアニメーション

1979年、トーベ・ヤンソンとラルス・ヤンソン監修のもとポーランドで制作されたのは、パペットアニメーション(全78話)のムーミン。

日本では、カルピスまんが劇場シリーズでムーミンの声をつとめた岸田今日子が一人ですべてのキャラクターの吹替を演じ、1990年にNHKBS2で放映された。

2012年、フィンランドでデジタル・リマスター版が制作されると、日本でも松たか子・段田康則の吹替で再吹き替えされた。

小説『ムーミン谷の仲間たち』からエピソードをとったものは、岸田今日子の吹替版では次の通り。

  • 「冬のゆめ(目に見えない子)」
  • 「クリスマス・イブ(もみの木)」
  • 「大あらし(この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ)」
  • 「ムーミン谷のさいごのドラゴン(世界でいちばんさいごの竜)」
  • 「犬のセドリック(スニフとセドリックのこと)」

松たか子・段田康則の吹替版では次の通り。

  • 「犬のセドリック」
  • 「世界でいちばん最後の竜」
  • 「クリスマスイブ」
  • 「フィリフヨンカの不安(この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ)」

どちらもDVDで見ることができる。

参考:Wikipedia、『pen』2015年2月15日号(CCCメディアハウス)

岸田今日子版・全78話

松たか子・段田康則版・全50話

映画『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』

引用元:映画『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』 公式サイト

「もみの木」を題材にしたパペットアニメーションの映画が、『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』。

パペットアニメーション(全78話)のムーミンは、1979年、トーベ・ヤンソン監修のもとポーランドで制作された。

パペットアニメーションとは、人形やぬいぐるみを被写体とし、コマ撮りで制作されたアニメーションのこと。

『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』は、2017年に公開された。

「もみの木」のお話をベースに、『ムーミン谷の冬』のキャラクター「メソメソ」や「おしゃまさん」も登場する。

主人公・ムーミントロールの吹替は宮沢りえが担当している。

『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』公式サイト

まとめ

『ムーミン谷の仲間たち』本の感想まとめ。

全体の感想

  • トーベ・ヤンソンの絵の画風があたらしい
  • 前作までを読んでいる「ムーミン通」向けの物語

エピソード

  1. 春のしらべ:自我が芽生えると、強いパワーと不自由さがうまれる
  2. ぞっとする話:空想を本当と思い込んだ少年ホムサが、ミイにだまされる
  3. この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ:嵐と竜巻で執着と手放しを知る
  4. 世界でいちばんさいごの竜:自分の大切なものが必ず自分を好いてくれるわけではない
  5. しずかなのがすきなヘムレンさん:理想の生活を手放し、やってきたものを受け入れることの豊かさ
  6. 目に見えない子:ありのままを肯定してもらえる安心感が、個性を爆発させる
  7. ニョロニョロのひみつ:目の前の相手に自由に意味づけをして、さいごに目が覚める
  8. スニフとセドリックのこと:道徳的な話を損得でとらえるスニフ
  9. もみの木:クリスマスが何かわからないまま、結果的に平和に終わる

個性あふれる9つの物語が描かれた、シリーズ唯一の短編集。

他の作品とは、トーベ・ヤンソンの絵のタッチがまったくちがうのも見どころ。

次作『ムーミンパパ海へいく』については、こちらの記事をどうぞ。

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Kindleまとめ

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