『長くつ下のピッピ』12作品比較。絵やシリーズなど特徴別まとめ。

投稿日:2018年10月25日 更新日:


『長くつ下のピッピ』は、スウェーデンの作家リンドグレーンが生んだ、児童文学。

現在さまざまな出版社から刊行されているので、特徴別にまとめてみた。

  • 2018年11月に徳間書店より刊行!「長くつ下のピッピの本」
  • シリーズで定番をそろえたいなら「岩波少年文庫」
  • ニイマンの絵を楽しみたいなら、「徳間書店の絵本シリーズ」
  • ハードカバーの愛蔵版にするなら「ローレン・チャイルドのピッピ」
  • 小さい子でも読みやすい本なら「ポプラ世界名作童話」

こんな方におすすめ

  • 『長くつ下のピッピ』読んでみたいけど、どれを選んだらいいか迷っている。
  • シリーズ、挿絵がいっぱい、ハードカバーなど、特徴で選びたい。
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『長くつ下のピッピ』についてざっくり説明。

『長くつ下のピッピ』出版社用ポスター原画。イングリッド・ヴァン・ニイマン絵。

『長くつ下のピッピ』(原題:Pippi Långstrump)は、アストリッド・リンドグレーンによる童話。

1945年、イングリッド・ヴァン・ニイマンの挿絵で、スウェーデンで第1巻が刊行された。

リンドグレーンによる児童文学「ピッピ」シリーズは『長くつ下のピッピ』『ピッピ 船に乗る』『ピッピ 南の島へ』の三部作。

日本では、1964年、大塚勇三の翻訳により『長くつ下のピッピ』が岩波書店より刊行された。

参考:Wikipedia

リンドグレーンとニイマンの紹介

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本の感想

『長くつ下のピッピ』本の感想。スウェーデン発の世界的な児童文学。

『長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、大塚勇三訳、桜井誠絵、1964年、岩波書店 「長くつ下のピッピの世界展」が面白かったので、さっそく本を読んでみた。 初めて読んだけど、子どもの時に読んでもピンとこ ...

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本家イングリッド・ヴァン・ニイマンの絵を楽しみたい!

絵本にも掲載のピッピのお誕生会のシーン。「長くつ下のピッピの世界展」にて撮影。

スウェーデンで初版の挿絵を担当したイングリッド・ヴァン・ニイマン。

日本で初めてニイマン絵のピッピが紹介されたのは2004年だけど、本国スウェーデンでは、ピッピと言えばこのニイマンの絵なんだよね。

リンドグレーン自身、「ピッピの絵はイングリッドのものでなくてはならない」と言いきるほど、ニイマンの挿絵を気に入っていたとのこと。

ピッピのお話とニイマンの絵、両方を楽しめる本を紹介するね。

 

①3作が1冊に!『決定版 長くつ下のピッピの本』

『決定版長くつ下のピッピの本』リンドグレーン作、石井登志子訳、イングリッド・ヴァン・ニイマン絵、2018年、徳間書店

徳間書店より2018年11月に刊行されたのは、「シリーズ三作」をリンドグレーン自身が1952年に1冊の本にまとめた、『長くつ下のピッピの本』

イラストはスウェーデンで初版の挿絵を担当したイングリッド・ヴァン・ニイマンのカラーイラスト。

ハードカバーながら、A5サイズで大きすぎない。

翻訳は、徳間書店のピッピ絵本シリーズの翻訳を手掛けた石井登志子。

シリーズ3作から選りすぐった24話を1冊にまとめたもの。

シリーズ3作の全部のお話が入っているわけではない

  • 元祖ピッピを描いたニイマンの絵の本がいい!
  • 読みやすい大きさがいい!
  • ハードカバーの愛蔵版がいい!

そんな希望がある人は、この1冊をおすすめ。

380ページ、徳間書店、2018年。

どうしてって?あたしたちは、自由な国に住んでるんじゃないの?好きなように歩いちゃいけない?

引用元:『決定版長くつ下のピッピの本』リンドグレーン作、石井登志子訳、イングリッド・ヴァン・ニイマン絵、2018年、徳間書店

『長くつ下のピッピの本』はこんな人におすすめ
  • ピッピシリーズ3作品を読みたい
  • ニイマンの絵をカラーで楽しみたい
  • 特別感のあるハードカバーで読みたい

 

②岩波書店より新訳・新装丁のピッピシリーズ

上中央:『長くつ下のピッピ 』 2018年
左下:『ピッピ 船にのる』2018年
右下:『ピッピ 南の島へ』2019年
いずれもリンドグレーン作、菱木晃子訳、イングリッド・ヴァン・ニイマン絵、岩波書店

岩波書店より2018年8月より新しく刊行されている『長くつ下のピッピ』シリーズは、スウェーデンではおなじみのイングリッド・ヴァン・ニイマンのイラストをもりこんだ。

ニイマンの絵のピッピは、当初はモダンすぎて日本人にはなじまないとされていたが、半世紀が過ぎ、絵本に続き、刊行されるに至った。

翻訳は、「長くつ下のピッピの世界展」の監修も務めている菱木晃子。

スウェーデンでは2016年にピッピ三部作がそれぞれ改訂され、差別と受け取られかねない表現などが改められた。

新装版ピッピの翻訳は、この2016年改訂版をもとにしている。

岩波少年文庫の大塚訳よりも、現代に近い言葉づかいが読みやすい。

大塚訳では「味付けパン」と訳されているのが菱木訳では「シナモンロール」となっていて、イメージしやすかった。

後で紹介するローレン・チャイルドの絵のピッピの翻訳も菱木晃子が手掛けているが、言葉の選び方や文字の配置を見直した。

「どうしてって?」ピッピはききかえしました。「あたしたちは、自由の国に住んでるんでしょ?好きなように歩いちゃいけないっていうの?(中略)」

出典:『長くつ下のピッピ』 リンドグレーン作、菱木晃子訳、2018年、岩波書店

 

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読みやすい児童文庫

児童文学の名作として知られている『長くつ下のピッピ』なので、さまざまな児童文庫にラインナップされているよ。

翻訳や挿絵にもそれぞれ特徴があるので、チェックしてみよう。

 

③岩波少年文庫

左:『長くつ下のピッピ』
中央:『ピッピ船にのる』
右:『ピッピ南の島へ』
いずれもリンドグレーン作、大塚勇三訳、桜井誠絵、2000年、岩波書店

日本で最初に『長くつ下のピッピ』を刊行した岩波書店は、リンドグレーン作品に力を入れている。

岩波少年文庫からは、『長くつ下のピッピ』の続編として、『ピッピ 船にのる』と『ピッピ 南の島へ』が刊行されている。

シリーズ通して、大塚勇三の翻訳と、桜井誠の挿絵なので、『長くつ下のピッピ』の世界観のまま楽しむことができる。

大塚勇三の翻訳は、言葉のしゃれのような部分も全て訳した完訳版。できるだけ原作をそのまま伝える工夫がされている。

「~かしら?」「~じゃないこと?」など、ピッピの言葉づかいにクラシックな品を感じる。

239ページ、岩波書店、2000年。

なぜ、うしろむきにあるいたか?・・・わたしたちの国は、自由な国じゃないこと?わたしがすきなようにあるいちゃ、いけないかしら?

出典:リンドグレーン『長くつ下のピッピ』大塚勇三訳、2000年、岩波書店

本の感想

『長くつ下のピッピ』本の感想。スウェーデン発の世界的な児童文学。

『長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、大塚勇三訳、桜井誠絵、1964年、岩波書店 「長くつ下のピッピの世界展」が面白かったので、さっそく本を読んでみた。 初めて読んだけど、子どもの時に読んでもピンとこ ...

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④岩波書店、ハードカバー

リンドグレーン『長くつ下のピッピ』大塚勇三訳、1964年、岩波書店

岩波少年文庫のピッピシリーズと同じ、大塚勇三訳・桜井誠の絵で、ハードカバーの単行本も刊行されている。

こっちの方が字が大きいので、子どもが読むにはおすすめ。

シリーズ3作とも刊行されている。

262ページ、岩波書店、1964年。

 

⑤角川つばさ文庫

角川つばさ文庫は、2011年に創刊された児童文庫。

本を読むのがちょっと苦手という子にも「読んでみたい」気持ちを応援する。

もけおの現代的な絵が88点掲載され、文字が苦手な子どもにも読みやすくなっている。

続編『新訳 長くつ下のピッピ 船にのる』は木村由利子の翻訳により2014年刊行されている。

総ルビ、小学校中学年以上向け。

214ページ、アスキーメディアワークス、2013年。

「なんで、あたしが、後ろむきに歩いてるかって?」と、ピッピはいいました。「ここは自由の国でしょ。すきなように歩いちゃいけない?

出典:『新訳 長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、冨原 眞弓訳、2013年、KADOKAWA

 

⑥偕成社文庫

偕成社文庫『長くつ下のピッピ』は、1988年に出版された。

児童文庫だけれど、海外の古典・名作は完訳を基本としているところが特徴。

翻訳は、ムーミンシリーズの翻訳も手がけている下村隆一。

岩波少年文庫シリーズ大塚勇三の翻訳と雰囲気が似ていて、ピッピの言葉づかいはちょっと古風で品がある。

挿絵は山田三郎。繊細でいきいきとした挿絵がふんだんに盛り込まれている。

200ページ。

どうして、うしろむきに歩いてたかって?わたしたち、自由な国でくらしてるんじゃないかしら?すきなように歩いちゃいけないの?

引用元:『長くつ下のピッピ 』 リンドグレーン作、下村 隆一訳、1988年、偕成社

下村龍一氏翻訳作品

『ムーミン谷の彗星』本の感想。地球の危機に不気味さを感じる異色作

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⑦講談社青い鳥文庫

『長くつしたのピッピ』リンドグレーン作、尾崎義訳、和地あつお絵、講談社、1993年

講談社青い鳥文庫は、1980年に創刊された小中学生向けの児童文庫。

子どもが「与えられて読む」のではなく、「自分ですすんで読む」ように、現代風の挿絵やふりがななど、読みやすく工夫されている。

原書は、1952年にスウェーデンで刊行された『長くつ下のピッピ物語』

ももちん
徳間書店の『決定版 長くつ下のピッピの本』と同じ原書だけど、こちらの方がエピソードが1話多い。

シリーズ3作品から、おもしろい話だけをリンドグレーン自身が選んでまとめているので、シリーズ全体の話を読みたいときにおすすめ

尾崎 義訳では、ピッピの家を「ビッレクッラ」(他の訳ではごたごた荘、きまぐれ荘など)とそのまま表記している。

和地 あつおの絵は、社会の教科書に載っているような絵。

絵を楽しむなら岩波少年文庫や偕成社文庫の方が好き。

366ページ。

「なぜ、うしろむきにあるいているかって。」と、ピッピは答えました。「あたしたち、自由の国に住んでるんじゃない?すきなようにあるいちゃいけないの。

引用元:『長くつしたのピッピ 』 リンドグレーン作、尾崎 義訳、和地 あつお絵、1993年、講談社

 

⑧ポプラポケット文庫

児童書専門の出版社として出発したポプラ社は、さまざまな年齢向けに『長くつしたのピッピ』を数種類出版している。

2005年に創刊したポプラポケット文庫からは、木村由利子の翻訳のピッピが刊行されている

翻訳は現代語でわかりやすくシンプル。

198ページ。

 

児童文庫はこんな人におすすめ
  • 一般の文庫では難しく感じる。もう少し易しい翻訳がいい
  • 一般的な文庫より大きめのサイズがいい
  • 挿絵も楽しみたい
  • 大きな字やふりがな付きがいい

 

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⑨ローレン・チャイルド絵の大型本(岩波書店)

『長くつ下のピッピ』 リンドグレーン作、菱木晃子訳、ローレン・チャイルド絵、2007年、岩波書店

リンドグレーン生誕100年記念版として2007年に刊行された『長くつ下のピッピ』は、大型の本。

イギリスの人気絵本作家ローレン・チャイルドがイラストを担当している。

ローレン・チャイルドのイラストはコラージュを使っているので、木や服が立体的に描かれていたり、北欧っぽいデザインがそのまま使われていて面白い。

イラストと文が一体となって、イラストの中に言葉があったり、言葉が太字やぐにゃぐにゃに書かれていたりする。

翻訳は、先に紹介した新装版『長くつ下のピッピ』の翻訳の菱木晃子。

全体的な翻訳は新装版『長くつ下のピッピ』と同じだけど、今作では個性的な挿絵とレイアウトを優先し、言葉の選び方や文字の配置にも制約があったらしい。

ふりがながない漢字もあるので、小学校高学年以上向け。207ページ。

「どうしてって?」ピッピはききかえしました。

あたしたちは、自由の国に住んでるんでしょ?好きなように歩いちゃいけないっていうの?(中略)」

出典:『長くつ下のピッピ』 リンドグレーン作、菱木晃子訳、2007年、岩波書店

 

こんな人におすすめ
  • 特別感のあるハードカバーで読みたい
  • ローレン・チャイルドの絵を存分に楽しみたい

 

活字が苦手な人でも読みやすい!

『長くつ下のピッピ』は児童文学なので、挿絵や解説、大きな字などで工夫されている書籍もたくさん刊行されている。

子どもが読む本と侮ってはいけない。

実は、活字が苦手な大人にもおすすめなんだよね。

 

⑩徳間書店の絵本シリーズ

左から『こんにちは、長くつ下のピッピ 』2004年
『ピッピ、南の島で大かつやく』2006年
『ピッピ、公園でわるものたいじ』2009年
『ピッピ、お買い物にいく』2015年
いずれもリンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、徳間書店

徳間書店より2004年より刊行されているピッピの絵本シリーズ。

スウェーデンで愛され続けているオリジナル版絵本の日本版。

「長くつ下のピッピの世界展」でたくさんの原画が展示されている、イングリッド・ヴァン・ニイマンの絵がふんだんに使われている。

翻訳は、初めに紹介した決定版『長くつ下のピッピの本』の翻訳も担当した石井登志子。

絵本シリーズは2018年10月現在4作品刊行されている。

本の感想

絵本「長くつ下のピッピ」感想。ニイマンが描く元祖「ピッピ」!

『こんにちは、長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、2004年、徳間書店 絵本『長くつ下のピッピ』は、児童文学をさらに小さい子でも楽しめるように、リンドグレーン自身が書き下ろ ...

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⑪ポプラ世界名作童話(ポプラ社)

ポプラ社の「ポプラ世界名作童話シリーズ」は、小学校に入って、はじめて世界名作に出会う子どもたちのためのシリーズ。

翻訳は、自身も児童文学作家として活躍する、角野栄子

絵本『くまのがっこう』シリーズで有名なあだちなみのカラーイラストがちりばめられ、子どもが読み進めやすくなっている。

小学校低学年向け。133ページ。

 

⑫子どものための世界文学の森(集英社)

集英社「子どものための世界文学の森」は、子どものうちに、ぜひ読んでおきたい世界の名作40編を精選。

作品理解を深めるために、ページの余白にコラムや用語解説などをふんだんに掲載。

『長くつ下のピッピ』は、全40巻のうち第13巻。

『赤毛のアン―少年少女世界名作の森〈14〉☆レビュー☆』の挿絵も手がける田中槇子の挿絵。

144ページ。

 

絵本・児童書はこんな人におすすめ
  • ふだん小説を読まない、活字が苦手な大人
  • イラストがたくさんある方が好き
  • 解説やコラムつきがいい
  • 大きな字の本がいい
  • あらすじとみどころをわかりやすく知りたい

 

まとめ

この中でもおすすめをあげていくね。

  • 2018年11月に徳間書店より刊行!「長くつ下のピッピの本」
  • シリーズで定番をそろえたいなら「岩波少年文庫」
  • ハードカバーの愛蔵版にするなら「ローレン・チャイルドのピッピ」
  • 子どもでも読みやすい本なら「徳間書店の絵本シリーズ」

自分のとっておきの1冊を見つけてね!

 

『長くつ下のピッピ』内容についてのレビューは、こちらの記事をどうぞ。

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