児童文学 絵本 まとめ記事

『長くつ下のピッピ』12作品比較。絵やシリーズなど特徴別まとめ。

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『長くつ下のピッピ』は、スウェーデンの作家リンドグレーンが生んだ、児童文学。

現在さまざまな出版社から刊行されているので、特徴別にまとめてみた。

  • 2018年11月に徳間書店より刊行!「長くつ下のピッピの本」
  • シリーズで定番をそろえたいなら「岩波少年文庫」
  • ニイマンの絵を楽しみたいなら、「徳間書店の絵本シリーズ」
  • ハードカバーの愛蔵版にするなら「ローレン・チャイルドのピッピ」
  • 小さい子でも読みやすい本なら「ポプラ世界名作童話」
この記事はこんな方におすすめ
  • 『長くつ下のピッピ』読んでみたいけど、どれを選んだらいいか迷っている。
  • シリーズ、挿絵がいっぱい、ハードカバーなど、特徴で選びたい。

 

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『長くつ下のピッピ』についてざっくり説明。

『長くつ下のピッピ』(原題:Pippi Långstrump)は、アストリッド・リンドグレーンによる童話。

1945年、スウェーデンで第1巻が刊行された。

日本では、1964年、大塚勇三の翻訳により『長くつ下のピッピ』が岩波書店より刊行された。

アストリッド・リンドグレーン

アストリッド・リンドグレーン肖像写真(1924年) [Public domain]

スウェーデンの児童文学作家。児童書の編集者。

1907年、スウェーデンのヴィンメルビュー生まれ。

1945年、娘のために話して聞かせていた物語『長くつ下のピッピ』を執筆。

以降『やかまし村の子どもたち』『名探偵カッレくん』シリーズなど、数々の物語を作り出す。

子どもの権利の擁護者としても知られ、1978年にドイツ書店協会平和賞授賞式で訴えた子どもの虐待反対のスピーチは、日本でも新井良二絵による絵本『暴力は絶対だめ!』(岩波書店、2015年)として出版されている。

1.ついに刊行!全てをかねそろえた決定版

①決定版!『長くつ下のピッピの本』

徳間書店より2018年11月に刊行されたのは、「シリーズ三作」をリンドグレーン自身が1冊の本にまとめた、『長くつ下のピッピの本』

イラストはスウェーデンで初版の挿絵を担当したイングリッド・ヴァン・ニイマンのカラーイラスト。

ハードカバーながら、A5サイズで大きすぎない。

翻訳は、徳間書店のピッピ絵本シリーズの翻訳を手掛けた石井登志子。

  • 『長くつ下のピッピ』をシリーズで読みたい!
  • 元祖ピッピを描いたニイマンの絵の本がいい!
  • 読みやすい大きさがいい!
  • ハードカバーの愛蔵版がいい!

そんな希望がある人は、すべてかねそろえているこの1冊をおすすめ。

早く図書館に入らないかなぁ・・・。

『長くつ下のピッピの本』紹介/徳間書店公式サイト

2.「ピッピ」をシリーズで読みたい!

『長くつ下のピッピ』はシリーズになっていて、日本では『ピッピ船にのる』『ピッピ南の島へ』が刊行されている。

現在シリーズで刊行されている「ピッピ」を紹介するよ。

②岩波少年文庫

『長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、大塚勇三訳、桜井誠絵、1964年、岩波書店

日本で最初に『長くつ下のピッピ』を刊行した岩波書店は、リンドグレーン作品に力を入れている。

岩波少年文庫からは、『長くつ下のピッピ』の続編として、『ピッピ 船にのる』と『ピッピ 南の島へ』が刊行されている。

シリーズ通して、大塚勇三の翻訳と、桜井誠の挿絵なので、『長くつ下のピッピ』の世界観のまま楽しむことができる。

大塚勇三の翻訳は、「~かしら?」「~じゃないこと?」など、ピッピの言葉づかいにクラシックな品を感じる。

「きみ、なぜ、うしろむきにあるいてたの?」

すると、ピッピはいいました。

「なぜ、うしろむきにあるいたか?・・・わたしたちの国は、自由な国じゃないこと?わたしがすきなようにあるいちゃ、いけないかしら?(中略)」

出典:リンドグレーン『長くつ下のピッピ』大塚勇三訳、2000年、岩波書店

③岩波書店、ハードカバー

岩波少年文庫のピッピシリーズと同じ、大塚勇三訳・桜井誠の絵で、ハードカバーの単行本も刊行されている。

こっちの方が字が大きいので、子どもが読むにはおすすめ。

シリーズ3作とも刊行されている。

岩波書店より新しいピッピシリーズが刊行予定!

岩波書店より2018年8月に刊行された、新訳・新装版『長くつ下のピッピ』。

2018年12月『ピッピ船にのる』、2019年2月『ピッピ南の島へ』が順次刊行予定。

後ほど詳しく紹介。

④角川つばさ文庫

角川つばさ文庫は、2011年に創刊された児童文庫。

本を読むのがちょっと苦手という子にも「読んでみたい」気持ちを応援する。

もけおの現代的な絵が88点掲載され、文字が苦手な子どもにも読みやすくなっている。

続編『新訳 長くつ下のピッピ 船にのる』は木村由利子の翻訳により2014年刊行されている。

総ルビ、小学校中学年以上向け。

「なんで、きみ、後ろむきに歩いてるの?」

「なんで、あたしが、後ろむきに歩いてるかって?」と、ピッピはいいました。「ここは自由の国でしょ。すきなように歩いちゃいけない?

出典:『新訳 長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、冨原 眞弓訳、2013年、KADOKAWA

3.本家イングリッド・ヴァン・ニイマンの絵を楽しみたい!

絵本にも掲載のピッピのお誕生会のシーン。「長くつ下のピッピの世界展」にて撮影。

スウェーデンで初版の挿絵を担当したイングリッド・ヴァン・ニイマン。

日本で初めてニイマン絵のピッピが紹介されたのは2004年だけど、本国スウェーデンでは、ピッピと言えばこのニイマンの絵なんだよね。

リンドグレーン自身、「ピッピの絵はイングリッドのものでなくてはならない」と言いきるほど、ニイマンの挿絵を気に入っていたとのこと。

ピッピのお話とニイマンの絵、両方を楽しめる本を紹介するね。

⑤岩波書店より新刊

『長くつ下のピッピ 』 リンドグレーン作、菱木晃子訳、イングリッド・ヴァン・ニイマン絵、2018年、岩波書店

岩波書店より2018年8月に新しく刊行された『長くつ下のピッピ』は、スウェーデンではおなじみのイングリッド・ヴァン・ニイマンのイラストをもりこんだ。

ニイマンの絵のピッピは、当初はモダンすぎて日本人にはなじまないとされていたが、半世紀が過ぎ、絵本に続き、刊行されるに至った。

翻訳は、「長くつ下のピッピの世界展」の監修も務めている菱木晃子。

スウェーデンでは2016年にピッピ三部作がそれぞれ改訂され、差別と受け取られかねない表現などが改められた。

新装版ピッピの翻訳は、この2016年改訂版をもとにしている。

岩波少年文庫の大塚訳よりも、現代に近い言葉づかいが読みやすい。

大塚訳では「味付けパン」と訳されているのが菱木訳では「シナモンロール」となっていて、イメージしやすかった。

後で紹介するローレン・チャイルドの絵のピッピの翻訳も菱木晃子が手掛けているが、言葉の選び方や文字の配置を見直した。

2018年12月『ピッピ船にのる』、2019年2月『ピッピ南の島へ』が順次刊行予定。

「どうして、うしろむきに歩いてきたの?」

「どうしてって?」ピッピはききかえしました。「あたしたちは、自由の国に住んでるんでしょ?好きなように歩いちゃいけないっていうの?(中略)」

出典:『長くつ下のピッピ』 リンドグレーン作、菱木晃子訳、2018年、岩波書店

⑥徳間書店絵本シリーズ

『こんにちは、長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、2004年、徳間書店

徳間書店より2004年より刊行されているピッピの絵本シリーズ。

スウェーデンで愛され続けているオリジナル版絵本の日本版。

「長くつ下のピッピの世界展」でたくさんの原画が展示されている、イングリッド・ヴァン・ニイマンの絵がふんだんに使われている。

翻訳は、初めに紹介した決定版『長くつ下のピッピの本』の翻訳も担当した石井登志子。

絵本シリーズは2018年10月現在4作品刊行されている。

絵本『こんにちは、長くつ下のピッピ』レビュー記事はこちら。

4.読みやすい児童文庫

児童文学の名作として知られている『長くつ下のピッピ』なので、さまざまな児童文庫にラインナップされているよ。

翻訳や挿絵にもそれぞれ特徴があるので、チェックしてみよう。

⑦偕成社文庫

偕成社文庫『長くつ下のピッピ』は、1988年に出版された。

児童文庫だけれど、海外の古典・名作は完訳を基本としているところが特徴。

『長くつ下のピッピ (偕成社文庫)』 リンドグレーン作、下村 隆一訳、200ページ、1988年、偕成社

⑧講談社青い鳥文庫

講談社青い鳥文庫は、1980年に創刊された小中学生向けの児童文庫。

子どもが「与えられて読む」のではなく、「自分ですすんで読む」ように、現代風の挿絵やふりがななど、読みやすくく工夫されている。

『長くつしたのピッピ (講談社青い鳥文庫)』 リンドグレーン作、尾崎 義訳、和地 あつお絵、366ページ、1993年、講談社

⑨ポプラポケット文庫

児童書専門の出版社として出発したポプラ社は、さまざまな年齢向けに『長くつしたのピッピ』を数種類出版している。

2005年に創刊したポプラポケット文庫からは、木村由利子の翻訳のピッピが刊行されている

『長くつしたのピッピ (ポプラポケット文庫 (404-1))』 リンドグレーン作、木村 由利子訳、198ページ、2005年、ポプラ社

5.愛蔵版にしたい、ハードカバー

⑩ローレン・チャイルド絵の大型本(岩波書店)

『長くつ下のピッピ』 リンドグレーン作、菱木晃子訳、ローレン・チャイルド絵、2007年、岩波書店

リンドグレーン生誕100年記念版として2007年に刊行された『長くつ下のピッピ』は、大型の本。

イギリスの人気絵本作家ローレン・チャイルドがイラストを担当している。

ローレン・チャイルドのイラストはコラージュを使っているので、木や服が立体的に描かれていたり、北欧っぽいデザインがそのまま使われていて面白い。

イラストと文が一体となって、イラストの中に言葉があったり、言葉が太字やぐにゃぐにゃに書かれていたりする。

翻訳は、先に紹介した新装版『長くつ下のピッピ』の翻訳の菱木晃子。

全体的な翻訳は新装版『長くつ下のピッピ』と同じだけど、今作では個性的な挿絵とレイアウトを優先し、言葉の選び方や文字の配置にも制約があったらしい。

ふりがながない漢字もあるので、小学校高学年以上向け。207ページ。

「どうしてうしろむきに歩いてきたの?」

「どうしてって?」ピッピはききかえしました。

あたしたちは、自由の国に住んでるんでしょ?好きなように歩いちゃいけないっていうの?(中略)」

出典:『長くつ下のピッピ』 リンドグレーン作、菱木晃子訳、2007年、岩波書店

6.小さい子にも読みやすい!

⑪ポプラ世界名作童話(ポプラ社)

ポプラ社の「ポプラ世界名作童話シリーズ」は、小学校に入って、はじめて世界名作に出会う子どもたちのためのシリーズ。

翻訳は、自身も児童文学作家として活躍する、角野栄子

絵本『くまのがっこう』シリーズで有名なあだちなみのカラーイラストがちりばめられ、子どもが読み進めやすくなっている。

小学校低学年向け。

『長くつしたのピッピ (ポプラ世界名作童話)』 リンドグレーン作、角野栄子訳、あだちなみ絵、133ページ、2015年、ポプラ社

⑫子どものための世界文学の森(集英社)

集英社「子どものための世界文学の森」は、子どものうちに、ぜひ読んでおきたい世界の名作40編を精選。

作品理解を深めるために、ページの余白にコラムや用語解説などをふんだんに掲載。

『長くつ下のピッピ』は、全40巻のうち第13巻。

『赤毛のアン―少年少女世界名作の森〈14〉☆レビュー☆』の挿絵も手がける田中槇子の挿絵。

『長くつ下のピッピ (子どものための世界文学の森 13)』 リンドグレーン作、須藤 出穂訳、田中 槙子絵、144ページ、1994年、集英社

まとめ

この中でもおすすめをあげていくね。

  • 2018年11月に徳間書店より刊行!「長くつ下のピッピの本」
  • シリーズで定番をそろえたいなら「岩波少年文庫」
  • ニイマンの絵を楽しみたいなら、「徳間書店の絵本シリーズ」
  • ハードカバーの愛蔵版にするなら「ローレン・チャイルドのピッピ」
  • 小さい子でも読みやすい本なら「ポプラ世界名作童話」

自分のとっておきの1冊を見つけてね!

『長くつ下のピッピ』内容についてのレビューは、こちらの記事をどうぞ。

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