オルコットの名作『若草物語』は、映画、アニメなどでも愛されている。
この記事では、これまで映像化されてきた『若草物語』を紹介するよ。
本の『若草物語』は別記事でまとめています。
こんな方におすすめ
- 2020年6月公開『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』を見てストーリーにひかれた
- 過去に制作された『若草物語』映画にはどんなものがあるのか知りたい
『若草物語』最新情報

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『若草物語』とは?

上段左から松本恵子訳、新潮文庫、1986年
麻生九美訳、光文社古典新訳文庫、2017年
矢川澄子訳、T・チューダー絵、福音館文庫、2004年
下段:上下巻、海都洋子訳、バーバラ・クーニー絵、岩波少年文庫、2013年
いずれも『若草物語』ルイザ・メイ・オルコット作
『若草物語』(原題”Little Women”)は、アメリカの女流作家ルイザ・メイ・オルコットが1868年に発表した小説。
シリーズは『若草物語』、『続 若草物語』(原題”Little Women Married, or Good Wives”)、『第三若草物語』(原題”Little Men”)、『第四若草物語』(原題”Jo's Boys”)の全4作で、『若草物語』は第1作目にあたる。(邦題は角川文庫より)
日本では1906年、北田秋圃の翻訳で『小婦人』と題され発表された。
現在では定番のタイトルとなっている『若草物語』は、1933年アメリカ制作の映画の邦題以降使われるようになった。
参考:Wikipedia、『若草物語』オルコット 麻生九美:訳/光文社古典新訳文庫
オルコット紹介、『若草物語』感想
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小説『若草物語』あらすじと感想。四姉妹の成長と家族の絆を描く名作
小説『若草物語』は、アメリカの女流作家ルイザ・メイ・オルコットの自伝的な作品。 世界で最も愛される四人姉妹の一年間の成長物語。 この記事でわかること 小説『若草物語』あらすじとみどころ 4人姉妹ひとり ...
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『若草物語』映像化作品比較
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
引用元:『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』公式サイト監督・キャスト
- 監督:グレタ・ガーウィグ
- ジョー(主演):シアーシャ・ローナン
- メグ:エマ・ワトソン
- ベス:エリザ・スカンレン
- エイミー:フローレンス・ピュー
- マーチ夫人:ローラ・ダーン
- ローリー:ティモシー・シャラメ
- ベア教授:ルイ・ガレル

古典なのに現代的な風が感じられる爽やかな作品。
現実を「自らの意志で」選択していく、強く軽やかな四姉妹。
衣装や風景、四姉妹の美しさにもくぎづけ。
2020年6月に公開されたのが映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』。
主演のジョーをシアーシャ・ローナン、メグをエマ・ワトソン、ローリーをティモシー・シャラメが演じるという、豪華俳優陣。
アカデミー賞では作品賞、脚色賞、主演女優賞(シアーシャ・ローナン)、助演女優賞(エイミー役フローレンス・ピュー)にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した。
監督は『レディ・バード』でシアーシャ・ローナン、ティモシー・シャラメと組んだグレタ・ガーウィグ。
女性と結婚と仕事
今作で焦点が当てられるのが、「女性と結婚と仕事」という、現代の女性にも身近なテーマ。
女性に対する社会的制約が多かった19世紀のアメリカで、ジョー・メグ・エイミーは「何を大切にしたいのか?」を自分に問い、それぞれ違う志を持つ。

ジョーは結婚に興味がなく、自分で仕事をして生きていくという志をもつ。
メグは貧乏でも愛する人と結婚し、母親になるという志をもつ。
エイミーは「結婚は経済」と割り切り、お金持ちと結婚するという志をもつ。
男女平等が叫ばれる現代から見ると、ジョーが進歩的で、メグやエイミーは保守的に見える。
だけど、本当は「どの志が正しい」というのはなく、大切にしたいものがそれぞれ違っていた、というだけのこと。
今作を見ると、だれひとり状況の「被害者」になっているわけではなく、自ら望んでいることがよく分かる。

19世紀に比べて女性の社会進出の機会が拡大している現代でも、なお不平等を叫ぶ声は多い。
なにかひとつを大切に、しなやかに生きていく姉妹の姿から、今の自分も学ぶものがあった。
現在と過去が入り混じる
映画『ストーリー・オブ・マイライフ』は、大人になったジョーが、出版社に原稿を持ち込む場面から始まる。
これは、原作シリーズでは2作目『続 若草物語』後半にあたる場面。
これまでの実写版映画のように、少女時代から大人になるまでが時系列で進んでいく形ではないんだよね。
大人のジョーの視点から物語が始まることで、少女時代の回想(原作シリーズ1作目『若草物語』)がいっそう鮮やかに浮かび上がる。
参考:Wikipedia
DVD&ブルーレイ
メイキング本
詳しい感想
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映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』感想と魅力
映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』観てきました。 古典なのに現代的な風を感じる爽やかな映画。 現実を「自らの意志で」選択していく四姉妹に、強さと軽やかさを感じました。 この記事でわ ...
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1994年映画
引用元: 『若草物語』予告編/YouTube ムービー監督・キャスト
- 監督:ジリアン・アームストロング
- ジョー(主演):ウィノナ・ライダー
- メグ:トリニ・アルバラード
- ベス:クレア・デインズ
- エイミー:キルスティン・ダンスト/サマンサ・マシス
- マーチ夫人:スーザン・サランドン
- ローリー:クリスチャン・ベイル
- ベア教授:ガブリエル・バーン

名優の若かりし頃が見られる良作。
ジョー役のウィノナ・ライダーが美人すぎ。
エイミー役を2人が演じているので、成長過程にギャップあり。
1994年に公開されたのは、オーストラリア出身のジリアン・アームストロング監督による『若草物語』。
主演のジョー役をつとめたウィノナ・ライダーは、本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。
名女優スーザン・サランドン演じるマーチ夫人を中心にまとまる4姉妹は可愛らしく好感がもてる。
ロマンスが丁寧に描かれる
本作の特徴は、エイミーとローリー、ジョーとベア教授のロマンスが丁寧に描かれているところ。
家族愛だけではなく、若い女性が求めている恋愛の要素もたっぷり味わえる。
だけど、ジョー役のウィノナ・ライダーが美人すぎ。
原作からのイメージよりだいぶ女らしいので、ローリーをふる場面も、なんか鼻につくんだよね。。

映画後半でジョーが自分のことを「ブス」という場面があるんだけど、全然説得力ないんだよね。。。
いやいや、はっとするほど美人じゃん。ってことで。
ローリー役のクリスチャン・ベイルと、ベア教授役のガブリエル・バーンの対比がとても良い。
ジョーがベア教授のような優しく知的な男性にひかれていくのが自然に描かれている。
現在活躍する俳優の若かりし頃
本作では、ドラマ『HOMELAND』のクレア・デインズ(ベス役)、『バッドマン』シリーズのクリスチャン・ベイル(ローリー役)など、現在も最前線で活躍する俳優の若かりし頃が見られる。
ベス役を演じたクレア・デインズは、本作が映画デビュー作。
おとなしさの内に秘めたベスの愛情や強さがあらわれていて、何度見ても泣ける。
12歳頃のエイミーを演じたのは、『スパイダーマン』シリーズのヒロインでも有名なキルスティン・ダンスト。
これがハマり役で、金髪の巻毛が可愛らしく、小憎たらしくて目が離せない。
ジョーの原稿を燃やすケンカのシーンもしっかり描かれている。
成長してからのエイミーはサマンサ・マシスが演じているんだけど、顔が違いすぎて初め誰だかわからなかったし、おとなしい印象。

できれば成長してからのエイミーもキルスティン・ダンストに演じてほしかった・・・子どもだっただから無理だけど。
参考:Wikipedia
1949年映画

Japanese poster for Little Women (1949) (若草物語)[public domain]
監督・キャスト
- 監督:マーヴィン・ルロイ
- ジョー(主演):ジューン・アリソン
- メグ:ジャネット・リー
- ベス:マーガレット・オブライエン
- エイミー:エリザベス・テイラー
- マーチ夫人:メアリー・アスター
- ローリー:ピーター・ローフォード
- ベア教授:ロッサノ・ブラッツィ

ジューン・アリソン演じるジョーがとびきりキュート!
エリザベス・テイラー演じるエイミーは「三女」という設定。
1949年に公開されたのは、当時としては画期的なカラー映画として制作された『若草物語』。
魅せられるのは、映像のクラシックなあたたかさ。
絵に描いたような風景の美しさはもちろん、室内装飾、四姉妹の服装など、古い映像だからこそ味わい深い。
原作から飛び出したようなジョー
ハマっているのは、原作から飛び出してきたようなジョーを演じるジューン・アリソン。
元気で飾り気がなく、ハスキーボイスでボーイッシュ。
エリザベス・テイラー演じる、美人で気どったエイミーとの対比がはっきりしていておもしろい。
チャーミングな魅力のジョーが挫折したり、恋をすることでどんどん女性として魅力的になっていく姿を見ることができる。
エイミーが三女、ベスが四女に
本作では、若き日のエリザベス・テイラーがエイミー役をつとめ、年齢に合わせるため三女(ベスが四女)という設定になっている。
当時17歳のエリザベス・テイラーは、すでに大人の色っぽさが出ちゃってる。
三女にしても、学校のシーンや子どもが着るワンピースは似合わないんだよね。。
その分、大人になってからのエイミーは美しいレディの感じが出ていて素敵。
ベス役のマーガレット・オブライエンは、健気でみんなに可愛がられる末っ子感が出ていて、この設定も悪くないと思った。

やっぱり「エイミーの成長をどう描くか」は、どの実写映画だと課題だよね。
1994年版にはあった、ベスが息を引き取る場面、ジョーとエイミーのけんかの場面、エイミーとローリーのロマンスの場面がない。
だけど、メグがマーチおばへの反発でジョン・ブルックへの愛に気づく場面は見れてよかった。
参考:Wikipedia
1933年映画

ロビーカード(1933)[public domain]
監督・キャスト
- 監督:ジョージ・キューカー
- ジョー(主演):キャサリン・ヘプバーン
- メグ:フランシス・ディー
- ベス:ジーン・パーカー
- エイミー:ジョーン・ベネット
- マーチ夫人:スプリング・バイイントン
- ローリー:ダグラス・モンゴメリー
- ベア教授:ポール・ルーカス
1933年に公開されたのは、アカデミー賞常連の名監督ジョージ・キューカーによる『若草物語』。
ジョージ・キューカーは本作でアカデミー監督賞にノミネートされ、のちに『マイ・フェア・レディ』では受賞をはたしている。
主役ジョーを演じるのは、アカデミー主演女優賞を4度獲得した歴史的名女優キャサリン・ヘプバーン。
長身で細身、かっこいい風貌にくぎづけになる。
参考:Wikipedia
現代版『若草物語』
引用元:Little Women Trailer #1 (2018) | Movieclips Trailers監督・キャスト
- 監督:クレア・ニーダープルーム
- ジョー(主演):サラ・ダヴェンポート
- メグ:メラニー・ストーン
- ベス:アリー・ジェニングス
- エイミー:テイラー・マーフィ/エリーゼ・ジョーンズ
- ミセス・マーチ:リー・トンプソン
- ローリー:ルーカス・グラビール
- フレディ・ベア:イアン・ボーエン

『若草物語』として観なければ、心温まるファミリー映画。
原作を知っていたらいろいろつっこんでしまう。
2018年に公開されたのは、舞台を現代に置き換えた『若草物語』。
父親が戦争に行って不在のなか、母親と四姉妹が助け合って生きていくという大筋のストーリーは原作どおり。
現代でもわざとらしくならないように、さまざまな設定変更がされている。

メグやベスが参加するパーティーは若者のクラブ的な感じ。
ベスは猩紅熱ではなく、白血病になる。
ファミリー映画としては良くできていて、ももちんはふつうに感動して泣きました。
四姉妹を結ぶ絆は、時代関係なく共通。
ただ、古典の題材を現代にもってくるには、やっぱりいろいろ無理を感じたのも確か。
以前はプライム・ビデオで見ることができたが、2020年10月現在視聴不可。
参考:Wikipedia
アニメ
フジテレビ系列『世界名作劇場(ハウス世界名作劇場)』では、『若草物語』シリーズを原作にしたアニメが2作品放送されている。
『若草物語』アニメ
- 1987年『愛の若草物語』(原作は『若草物語』)
- 1993年『若草物語 ナンとジョー先生』(原作は『第三若草物語』)

初めて『若草物語』に触れたのはアニメ、という人も多いよね。
1987年『愛の若草物語』
引用元:愛の若草物語 第1話「パパが帰ってきた!!」/日本アニメーション・シアター『愛の若草物語』は、世界名作劇場シリーズ通算第13作目として放送された。全48話。
監督は、アニメ『小公女セーラ 』を手がけた黒川文男。
原作ではベスは13歳、エイミーは12歳だが、アニメではそれぞれ10歳、7歳に設定変更されている。(メグ・ジョーは原作通り。)
アニメのオリジナルキャラクターとして、新聞記者でジョーに想いを寄せる青年アンソニーが登場する。
主役ジョーの声をつとめたのは、1979年のアニメ『赤毛のアン』のアン・シャーリー役としても知られる山田栄子。
参考:Wikipedia
1993年『若草物語 ナンとジョー先生』
引用元:若草物語 ナンとジョー先生 第1話「プラムフィールドへようこそ」/日本アニメーション・シアター『若草物語 ナンとジョー先生』は、世界名作劇場シリーズ通算第19作目として放送された。全40話。
監督は、2005年4月からリニューアルしたアニメ『ドラえもん 』の総監督もつとめた楠葉宏三。
ジョーと夫のベア教授がプラムフィールドに開いた学校生活が描かれている。
原作『第三若草物語 (角川文庫)』では明確な主人公はなく、エピソードごとに違う人物にスポットがあたっていたが、アニメでは少女「ナン」を主役においている。
ナン役の声をつとめたのは、松倉羽鶴。
ナンに想いを寄せる少年トミーの声は、アニメ『楽しいムーミン一家』でムーミントロール役をつとめた高山みなみ。
『愛の若草物語』につづき、ジョー先生役を山田栄子がつとめている。
参考:Wikipedia
原作本の感想
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小説『第三若草物語』あらすじと感想。ジョーと子どもたちの学校生活
小説『第三 若草物語』は、オルコット『若草物語』シリーズの三作目。 前作『続 若草物語』最後にジョーとベア教授が開いた学校「ベア学園」で、生徒や姉妹の子どもたちが織りなす半年間を描いている。 少年たち ...
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まとめ
『若草物語』映像化作品まとめ。
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映画『ストーリー・オブ・マイライフわたしの若草物語』を見たあとで過去作品も見てみると、違いがわかって面白い。
原作を読むとまた理解が深まっておもしろいよ。どの本を読むか迷ったら、こちらの記事をどうぞ。
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小説『若草物語』34作品比較。文庫や児童文庫、電子書籍の特徴まとめ
『若草物語』は、アメリカの女流作家ルイーザ・メイ・オルコットが生んだ名作。 現在さまざまな出版社から刊行されているので、特徴別にまとめてみた。 映画やアニメの『若草物語』は別記事でまとめています。→→ ...
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