絵本『なまえのないねこ』感想。ジャケ買いしたら中身も秀逸な猫絵本

2020年9月8日

『なまえのないねこ』竹下文子(文)町田尚子(絵)小峰書店、2019年

絵本『なまえのないねこ』は、表紙をひと目見て「うちのこに似てる!」と、思わずジャケ買いした猫の絵本。

読んでみたら、主人公の猫の言葉にならない気持ちが、じんわり心に響いた

猫のいろんなアングルもかわいくてたまらない、猫好き必読の絵本。

この記事で紹介する本

この記事のポイント

  • 絵本『なまえのないねこ』のみどころと感想
  • うちの猫にそっくりツイート
  • 町田尚子の猫の絵本紹介

絵本『なまえのないねこ』とは?

絵本『なまえのないねこ』は、小峰書店より2019年に刊行された絵本。

児童文学作家の竹下文子氏が文を手がけ、町田尚子氏が絵を手がけた

第12回MOE絵本屋さん大賞2019第1位獲得。

第3回未来屋えほん大賞大賞受賞。

第10回リブロ絵本大賞大賞受賞。

絵本『なまえのないねこ』特設ページ

 

竹下 文子(文)

児童文学作家。

東京学芸大学在学中より執筆活動を始める。

1979年『星とトランペット』で第17回野間児童文芸推奨作品賞受賞するなど、多くの文芸賞を受賞する。

夫であり画家の鈴木まもると、多くの絵本を共作している。

猫飼い歴35年、今作刊行時5匹の猫と暮らしている。

参考:Wikipedia、『なまえのないねこ』竹下文子(文)町田尚子(絵)小峰書店、2019年

代表作(絵本)

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町田 尚子(絵)

イラストレーター、絵本作家。

武蔵野美術大学短期大学部卒業。

2018年、絵を手がけた『たぬきの花よめ道中』で日本絵本賞受賞

自身も猫を飼っており、2016年には愛猫の「白木」をモデルにした絵本『ネコヅメのよる』を刊行している。

参考:Wikipedia、『なまえのないねこ』竹下文子(文)町田尚子(絵)小峰書店、2019年

代表作(絵本)

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内容紹介

一言あらすじ

だれにも名前をつけてもらったことのないのら猫

名前がほしいのら猫は、商店街に住む名前のある猫たちをうらやましそうに眺める。

一生懸命名前を探すのら猫は、最後に、本当にほしかったものに気づく。

 

絵本『なまえのないねこ』を読んだきっかけ

うちの猫。

ももちんと絵本『なまえのないねこ』との出会いは、地元の本屋さん。

絵本コーナーに平積みになっていた『なまえのないねこ』の表紙をひと目見たとたん、衝撃が走った

ももちん

う、うちの猫に似ている・・・!!

吸い寄せられるように手に取り、中をパラパラと見たら、お話も素敵。

即決で絵本『なまえのないねこ』をお買い上げし、帰って夫に見せました。

ももちん

キジトラの猫を飼っている人なら、誰もがビビッと来る表紙。

ありふれたキジトラにスポットが当たるのって嬉しいな。

 

参考

「キジトラ」っていうのは猫の模様の一種で、焦げ茶と黒の縞模様が特徴。

日本で一番多い模様の猫とも言われているよ。

参考:キジトラってどんな猫?性格や特徴、サバトラとの違いは?/petsmilenews

 

絵本『なまえのないねこ』感想

『なまえのないねこ』竹下文子(文)町田尚子(絵)小峰書店、2019年

この本のポイント

本物の猫のような絵と、シンプルで心に残る文

心がほんのりあたたかくなり、「小さなものを大事にする気持ち」がよみがえる

絵本『なまえのないねこ』は、町に住む一匹ののら猫を描いた絵本

絵本なんだけど、ファンタジーじゃない。

もしかすると、私たちが住む町の片隅で起こっているかもしれないお話。

身近にいる本物の猫のような絵と、シンプルで心に残る文は、「想像」と「現実」を優しくつなぐ

絵本『なまえのないねこ』を読むと、心がほんのりあたたかくなり、忘れていた「小さなものを大事にする気持ち」がよみがえってくる。

 

圧倒的画力

 

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絵本を見てまず圧倒されたのが、絵そのものの力。

初めて絵本を見たとき、猫の絵にくぎづけになって、「かわいいかわいいかわいい・・・」とうなりながら、お話そっちのけで最後までめくりました。

ももちん

そうそう、その仕草、そのフォルム・・・(*´ェ`*)

最高・・・

特にももちんが萌えたポイントは次のとおり。

萌ポイント

  • 下から見上げる猫の目
  • 模様のついた肉球
  • 女の子に頭をすりよせる仕草
  • 背表紙の猫の後ろ姿

「わかりやすい」ポイントというよりは、「自分でも気づいてなかったかわいさに気づかされる」ようなポイント

描いている人、絶対猫飼ってるよなぁ・・・ってわかる、新鮮なのにどこか懐かしい、味わい深い絵たちです。

 

無表情の中にみえる「気持ち」

猫の「かわいさ」って、決して人間に媚びるようなものではない。

たとえば猫は無表情なので、一緒に住んでいても「痛い」「苦しい」「悲しい」「楽しい」が分かりづらい

ももちん

ちょっとした目つきから想像することが多いなぁ。

今作の主人公ののら猫も、どのページでも表情はほとんど変わらない

まんまるな目、キュッと閉じた小さな口、ピンクの上を向いた鼻。

余分な何かを付け足さない、一匹の猫のありのままの姿。

だけど不思議とお話と一緒に読むと、どことなく野良っぽい警戒を感じたり、心をひらいてきたりが伝わってくる

ふだん言葉をかわすことのないのら猫と、同じ目線にたっている気持ちになって、ドキドキする。

 

名前がほしい猫

主人公ののら猫は、生まれてから一度も名前をつけてもらったことがない

だから、自分だけの「なまえ」にあこがれている。

のら猫は町の家やお店をのぞきながら、「なまえ」で呼ばれている猫たちをじっと見つめる

 

町に住む猫たち

絵本の見どころの一つが、町に住む個性豊かな猫たち

それぞれの猫が住むの家の特徴と名前の由来が語られ、キャラクターがしっかりしている。

ももちん

八百屋さんに住む大きな「チビ」。

お寺に住む「じゅげむ」は長生きするようにつけられた名前。

どの猫も可愛がられ、その家の人たちにとって「特別な猫」であることが伝わる。

同じ猫なのに、のら猫である自分とは決定的に違う「何か」

その「何か」って、本当に「なまえ」なんだろうか?

まだはっきりわからないけど、なんだかうらやましい。

どのページでも、端っこから見つめるのら猫のまんまるな目が印象的。

ももちん

絵のアングルも秀逸。

それぞれの家に住む猫が大きく真ん中に描かれる。

猫目線だと野菜も大きいし、人間の足元しか見えていない

 

名前を探す猫

お寺の猫「じゅげむ」は、「自分で自分に好きな名前をつければいい」と言う。

のら猫は、自分だけの「なまえ」を探し始める。

かんばん。じてんしゃ。

どんなに素敵なもの名前でも、なんか違う。。

しっくりこないのは、なぜだろう?

一生懸命周りを見渡しながら、自分の「なまえ」をさがす猫の表情は、どこか寂しげ

 

名前をほしかった理由

そもそも、猫が名前をほしかった本当の理由って何だと思う?

それは、この猫がふだんどう呼ばれているか? を読むと、感じることができる。

しっしっ!

あっちいけ!

こら!

のら猫がかけられる言葉は、そんな言葉ばっかり。

そんな言葉をかけられたときの寂しさ、悲しみ。「一人ぼっち」という感覚。

もしかすると猫は、「なまえ」さえあれば寂しくないし、悲しくないって思ったのかも

 

本当にほしかったものは?

猫は「なまえ」を探すのをやめ、雨の中、ひとりベンチの下で縮こまる

自分で「なまえ」をつけても、意味ない

自分が本当にほしいものは「なまえ」じゃないことに気づいた猫は、どんな気持ちだったかな?

一人ぼっちは寂しい? 町に住む猫たちのように、誰かの「特別」な猫でいたい?

きっとそれは、知りたくなかった気持ち

だって、のら猫が誰かの「特別」になることは、きっととても難しいことだから。

 

女の子との出会い

 

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のら猫の心が雨でいっぱいになったとき、そっとのぞきこむ女の子と目が合う

その瞬間のら猫の心はほっとゆるみ、はっきりと感じる。

自分が「本当にほしかったもの」が何なのか

例えば「名前を呼んでもらう」でもいいし、「やさしく見てくれる」でもいい。

そんなちょっとしたことが、猫にとってはかけがえのないものなんだよね。

女の子と見つめる猫のまっすぐな横顔にきゅんとくる。

ももちん

女の子が猫につける名前もかわいい

こんなかわいい名前つけてもらってよかったね。

 

表紙の裏もおもしろい

 

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絵本『なまえのないねこ』は、表紙の裏面もみどころ

表紙を開くとズラッと並ぶのが、たくさんの猫たち

お話を堪能した後、裏表紙の裏には、同じ猫たち1匹1匹に名前が印字されている。

そこで初めて、絵本に登場していた猫たちもこの中にいる!って気づいた。

主人公の猫も特別ではなく、その中の一匹としてまぎれこんでるのがおもしろい。

この物語は、たくさんの猫の中の一匹の視点なんだなぁ。

 

『なまえのないねこ』ポイント

  • 圧倒的画力
  • 町に住む個性豊かな猫たち
  • 猫が本当にほしかったものは?
  • 表紙の裏もおもしろい

 

絵本『なまえのないねこ』関連情報

絵本『なまえのないねこ』関連情報を紹介。

絵本雑誌「MOE」にインタビュー掲載

絵本雑誌「MOE」が主催している「MOE絵本屋さん大賞」2019年第1位を獲得したのが、今作『なまえのないねこ』

「MOE」2020年2月号では、見開きで竹下文子さんと町田尚子さんのインタビューを掲載。

絵本『なまえのないねこ』制作秘話のほか、スケッチ画も見ることができる。

デザイナー大島依提亜さんと町田尚子さんとのやりとり、素敵だった。

『なまえのないねこ』インタビュー

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「MOE」2020年6月号では、「妖しいほど美しい 町田尚子の絵本」と題し、町田尚子さんのインタビューが4ページに渡り掲載。

影響を受けた画家、絵を描く上で大切にしていること、転機となった作品など、これまで手がけた絵本の見開き画像も交えながら掲載されている。

町田尚子インタビュー

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うちの猫にそっくりツイート

「MOE」2020年2月号のインタビューでも書いてあったんだけど、絵本『なまえのないねこ』をみて「うちのこに似てる」と思う人、続出しているみたい。

やっぱりももちんだけじゃなかったんだ・・・(笑)

そこで、絵本『なまえのないねこ』をみて「うちのこに似てる」と思ったひとの反応、集めてみた。

ももちん

他の読者の方のかわいい猫ちゃんの写真も見れて、ほっこりします。

 

町田尚子の猫の絵本

 

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町田尚子さんがこれまでに手がけた「猫」をテーマにした絵本を紹介するよ。

紹介する3作品とも、町田尚子氏が絵も文も手がけている。

【2020年9月刊行】『ねこは るすばん』

2020年9月、ほるぷ出版より刊行されるのが、絵本『ねこはるすばん』。

表紙には、窓から外をながめる茶トラ猫のどアップ。

今回記事に書いた『なまえのないねこ』のキジトラ猫とは違い、何かたくらんでいそうな表情がかわいい。。

留守番中にどんなことが起こるのか気になる・・・!

 

『ネコヅメのよる』

『ネコヅメのよる』町田尚子(作)WAVE出版、2016年

2016年WAVE出版より刊行されたのは、町田尚子氏の愛猫「白木」が主役の絵本『ネコヅメのよる』。

この表紙絵、絵だから描ける悪いお顔・・・!って思ってたら、「白木」さんの写真そっくりでした(笑)※

ある日、「あれ?」と反応する一匹の家猫。

何かを察知した猫は、その夜そっと窓から抜け出す。

そこで待っていたのは・・・・?

夜と月と猫。どこか妖しくファンタジックな絵の世界がたまらない。

絵本『なまえのないねこ』のように、いろんな猫を堪能できる。

※「白木」の写真・町田尚子氏インタビューは読書サイト「好書好日」(https://book.asahi.com/article/12466731)で読むことができます。

 

『ねことねこ』

『ねことねこ』町田尚子(作)こぐま社、2019年

2019年こぐま社より刊行されたのは、絵本『ねことねこ』。

ページをめくるごとに登場する2匹の猫。

一見全然違うように見えるけど、同じところはどこ?

小さいお子さんはもちろん猫好きの大人もじっくり見入って楽しめる、上質な猫の絵本。

 

まとめ

絵本『なまえのないねこ』みどころまとめ。

『なまえのないねこ』ポイント

  • 圧倒的画力
  • 町に住む個性豊かな猫たち
  • 猫が本当にほしかったものは?
  • 表紙の裏もおもしろい

もっと詳しく

  • 絵本雑誌「MOE」にインタビュー掲載
  • うちの猫にそっくりツイート
  • 町田尚子の猫の絵本

 

猫の姿もかわいくてたまらない、内容もじんわり心に響く、猫好きなら必読の絵本だよ。

 

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ももちん

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Kindleまとめ



そもそも電子書籍って何?っていうところから、Kindleアプリの操作、Kindle Unlimitedまで、Kindleの記事をまとめたよ。

  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

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