児童文学 絵本

絵本「長くつ下のピッピ」感想。ニイマンが描く元祖「ピッピ」!

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『こんにちは、長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、2004年、徳間書店

絵本『長くつ下のピッピ』は、児童文学をさらに小さい子でも楽しめるように、リンドグレーン自身が書き下ろした。

スウェーデンでは定番とされているニイマンの絵を、日本で初めて紹介した絵本でもあるよ。

「長くつ下のピッピの世界展」に行って好きになった人は、必ず見ておきたい絵本。

今回は絵本『長くつ下のピッピ』を紹介するよ。

  1. リンドグレーン、ニイマン紹介
  2. 内容紹介
  3. 絵本のピッピを読んだきっかけ
  4. 絵本の感想、文庫とは違う魅力
  5. シリーズ紹介
この記事はこんな人におすすめ
  • 『長くつ下のピッピ』の絵本が気になっている
  • 『長くつ下のピッピ』の、絵本ならではの魅力を知りたい

 

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1.背景

『こんにちは、長くつ下のピッピ』(原題:kanner du pippi langstrump?")は、1947年、スウェーデンで出版された絵本。

1945年に出版された童話『長くつ下のピッピ』(原題:Pippi Långstrump)の作者リンドグレーンが、小さな子でも読めるようにと書き下ろした物語。

絵を担当したのは、童話の初版イラストも手掛けたイングリッド・ヴァン・ニイマン。

日本では2004年、石井登志子翻訳により、徳間書店より刊行された。

1-1.アストリッド・リンドグレーン(作)

アストリッド・リンドグレーン肖像写真(1924年) [Public domain]

スウェーデンの児童文学作家。児童書の編集者。

リンドグレーンの略歴・主な作品はこちら。

1-2.イングリッド・ヴァン・ニイマン(絵)

イングリッド・ヴァン・ニイマン肖像写真(1930~1940年の間) [Public domain]

デンマークの画家。

1916年、デンマークの知識人の家庭に生まれる。

コペンハーゲンで19歳から芸術を学ぶ。

1945年、『長くつ下のピッピ』のイラストで成功をおさめ、その後もリンドグレーンと直接打ち合わせを重ねながら作品作りを続ける。

スウェーデンでは、ピッピの物語はニイマンの描く絵とわかちがたいものとして定着している 。

1959年に身体的、心理的な多くの病気に悩まされ、自殺。

主な作品(絵本ピッピシリーズ以外)

1-3.石井登志子(翻訳)

児童文学の翻訳家。

1944年生まれ。同志社大学卒業。

スウェーデンのルンド大学でスウェーデン語を学ぶ。

リンドグレーン作品を多数翻訳。

主な作品(翻訳・リンドグレーン作品)

2.内容紹介

世界一強い女の子ピッピがおとなりにひっこしてきた!

それからはまいにち、たのしいことばかり!

ピッピの生まれた国スウェーデンで世代を超えて愛されているピッピの絵が初めて日本にお目見えしました!

元気いっぱいの「ピッピ」と友だちになってね!

出典:『こんにちは、長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、イングリッド・ヴァン・ニイマン絵、いしいとしこ訳、2004年、徳間書店

3.絵本を読んだきっかけ

今回ももちんが『長くつ下のピッピ』を読んだきっかけは、「長くつ下のピッピの世界展」を見に行ったから。

『長くつ下のピッピ』を読んだことがなかったんだけど、ポスターのカラフルな絵にひかれて観に行ったんだよね。

観に行ってみたら、このポスターの絵が、スウェーデンの画家、イングリッド・ヴァン・ニイマンのものであるということがわかった。

「長くつ下のピッピの世界展」で出逢ったニイマン「ピッピ」の世界を、味わうことができるのは絵本だということがわかったので、さっそく図書館で借りてみた。

4.絵本を読んだ感想

『こんにちは、長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、2004年、徳間書店

図書館で岩波少年文庫の『長くつ下のピッピ』も一緒に借りることができたので、物語を読み比べてみた。

児童文学のピッピと絵本のピッピ、やっぱり読んでみた世界観がちがう。

絵本ならではの魅力をお伝えしていくよ。

岩波少年文庫『長くつ下のピッピ』レビュー記事はこちら。

4-1.ニイマンの絵をたっぷり味わう

絵本にも掲載のピッピのお誕生会のシーン。「長くつ下のピッピの世界展」にて撮影。

絵本のピッピシリーズの魅力は、なんといってもイングリッド・ヴァン・ニイマンの絵にある。

絵本がスウェーデンで出版されたのは1947年なんだけど、その前の1945年に児童文学としてのピッピが出版されている。

ニイマンは、はじめに児童文学ピッピの初版本の挿絵を手掛け、リンドグレーンのお気に入りの画家となり、続編や絵本のイラストもニイマンが手掛けることになった。

日本で初めにニイマンの絵のピッピが紹介されたのは、スウェーデンでの出版から60年近くたった2004年、この絵本『こんにちは、長くつ下のピッピ』でのことだった。

ニイマンの絵のピッピは、当初はモダンすぎて日本人にはなじまないとされていたとのことだけど、こうして日本でも見られるようになってうれしい。

とにかくカラフル!

ごたごた荘の大型模型。「長くつ下のピッピの世界展」にて撮影。

絵本の「ピッピの世界」は、とにかくカラフル!

ごたごた荘は黄色い壁に赤い屋根。家の中の壁は緑色。

ピッピ、トミー、アニカが着ている服も赤とか青とか、原色がいっぱい。

絵を見ているだけで元気になれるし、わくわくしてくる。

北欧デザイン

絵本では、ニイマンしか描けない、北欧のインテリアも感じることができるよ。

ピッピの部屋には、スウェーデンの陶芸家、リサ・ラーソンの作品にそっくりな猫の置物も描かれている。

リサ・ラーソンは、リンドグレーンとも交流があり、「長くつ下のピッピの世界展」でも、新作の陶器が展示・販売されている。

アニカが来ている服も、北欧ならではのデザインを思わせるシンプルなストライプや水玉が多く、見ていて楽しい。

世界中を旅したピッピ

ごたごた荘の中は、世界中を旅したピッピだからこその物がたくさんおいてある。

食器棚の上には東洋の花瓶。

壁のいたるところに船の絵。ピッピは船が大好きなんだね。

たんすの中には、おもちゃ屋さんにはないような、素敵なものがいっぱい。

しんじゅ貝の取っ手のついたナイフ、チョウの形のブローチ、とりのたまご・・・

ピッピは子どもたちを夢中にさせる宝物をたくさん持っているんだよね。

文庫版より幼い「ピッピ」

『長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、大塚勇三訳、桜井誠絵、1964年、岩波書店

岩波少年文庫『長くつ下のピッピ』は、1964年、桜井誠の挿絵で出版されている。

日本でピッピと言えば、この桜井誠が描くピッピをあげる人も多いんだよね。

ニイマンの描くピッピと見比べてみると、桜井誠のピッピの方が、大人びて見える。

ニイマンのピッピは、天真爛漫、元気なピッピという感じ。

桜井誠のピッピは、ちょっと成長して、意志の強さや優しさが混じっているように感じる。

岩波少年文庫は小学校中級以上、絵本は小さな子どもも絵だけで楽しめるので、読む年頃に合わせたピッピに出会うことができるようになっている。

4-2.物語の読みやすさ

絵本のピッピシリーズは、リンドグレーン自身が、小さい子でも読みやすいようにと絵本用に書き下ろした物語。

ピッピの魅力が詰まっていて、絵本にしかないおもしろさを感じることができる。

児童文学のダイジェスト版ではなく、エピソードを厳選して丁寧にえがかれている。

「ピッピってどんな子?」「ピッピってどれくらい力持ち?」

小さい子がもつ疑問に答えるように、サーカスやどろぼうのエピソードがちりばめられている。

児童文学との違い

岩波少年文庫のピッピと読み比べてみて感じたのは、絵本には「大人とやりとりをするピッピ」が登場しない。

絵本に登場する大人は泥棒とサーカスの人だけ。

文庫で出てくるような、警察官や学校の先生、トミーとアニカのお母さんのような、「ふつうの大人」が出てこないんだよね。

文庫では、ピッピの自由奔放ぶりは、ふつうの大人から見たらお行儀が悪くみえて、叱られることがある。

叱られてピッピが悲しくなる場面もある。

絵本では、そういう「大人から見たらピッピってこう見えるんだ」というのが省略されていて、ピッピはもっと「空想上のキャラクター」になっている。

それぞれで違ったピッピを味わえるので、両方読んでみるとおもしろい。

意外と文字がいっぱい

絵本のピッピシリーズ、意外と文字が小さくて多い。

漢字は全てふりがな付きだけど、文中でもたくさん使われている。

小学校に上がる前の子が一人で読むにはハードルが高いなと感じた。

もちろん、絵だけでも十分楽しめるし、物語を読み聞かせたらめっちゃ楽しいと思う。

エピソード紹介

岩波少年文庫『長くつ下のピッピ』 絵本『こんにちは、長くつ下のピッピ』
ピッピ、ごたごた荘にひっこす
ピッピ、もの発見家になり、けんかをする
ピッピ、おまわりさんと鬼ごっこをする 省略
ピッピ、学校にいく 省略
ピッピ、門にこしかけ、木にのぼる 省略
ピッピ、遠足にいく 省略
ピッピ、サーカスにいく
ピッピ、どろぼうに、はいられる
ピッピ、コーヒーの会によばれる 省略
ピッピ、英雄になる 省略
ピッピ、誕生日パーティーをひらく

5.広がる『長くつ下のピッピ』

5-1.「長くつ下のピッピの世界展」

ももちんは、絵本を読む前に「長くつ下のピッピの世界展」を見に行って、そこでニイマンの絵を知った。

ニイマンの描くピッピの原画がたくさん展示されている「長くつ下のピッピの世界展」は、絵本が気に入った人には必ず見てほしい展示。

絵本の世界をより深めることができるし、日本では刊行すらされていないニイマン「ピッピ」の漫画や、他の原画にも出会うことができるよ。

公式グッズも、ニイマンのピッピをモチーフにしたオリジナルグッズがたくさんあって、めっちゃ楽しい。

「長くつ下のピッピの世界展」感想記事はこちら。

5-2.絵本シリーズ

今回紹介した『こんにちは、長くつ下のピッピ』は、絵本シリーズの第1作目。

絵本シリーズは2018年10月現在4作品刊行されている。

5-3.児童文学『長くつ下のピッピ』

『長くつ下のピッピ』は、もともとはリンドグレーンによる児童文学。

児童文学のピッピは、絵本よりエピソード数も多く、ピッピのことをもっとたくさん知ることができるよ。

岩波少年文庫『長くつ下のピッピ』レビューはこちら。

『長くつ下のピッピ』出版社リストはこちら。

2018年11月刊行!決定版『長くつ下のピッピの本』

徳間書店より2018年11月に刊行されたのは、「シリーズ三作」をリンドグレーン自身が1冊の本にまとめた、『長くつ下のピッピの本』

イラストはスウェーデンで初版の挿絵を担当したイングリッド・ヴァン・ニイマンのカラーイラスト。

ハードカバーながら、A5サイズで大きすぎない。

翻訳は、徳間書店のピッピ絵本シリーズの翻訳を手掛けた石井登志子。

『長くつ下のピッピの本』紹介/徳間書店公式サイト

2018年8月刊行!ニイマン絵のピッピ

岩波書店より2018年8月に新しく刊行された『長くつ下のピッピ』は、スウェーデンではおなじみのイングリッド・ヴァン・ニイマンのイラストをもりこんだ。

翻訳は、「長くつ下のピッピの世界展」の監修も務めている菱木晃子。

スウェーデンでは2016年にピッピ三部作がそれぞれ改訂されたが、新装版ピッピの翻訳は、この2016年改訂版をもとにしている。

2018年12月『ピッピ船にのる』、2019年2月『ピッピ南の島へ』が順次刊行予定。

まとめ

絵本『長くつ下のピッピ』見どころまとめ。

  1. リンドグレーン、ニイマン紹介
  2. 内容紹介
  3. 絵本のピッピを読んだきっかけ
  4. 絵本の感想、文庫とは違う魅力
  5. シリーズ紹介

「長くつ下のピッピの世界展」が気になっている人、行ってみて好きになった人には絶対おすすめ。

「長くつ下のピッピの世界展」について、詳しくはこちらの記事をどうぞ。

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