絵本『クリスマス・イブ』感想。マーガレットワイズブラウンの遺作。

2018年11月20日

『クリスマス・イブ』マーガレット・ワイズ・ブラウン文、ベニ・モントレソール絵、矢川澄子訳、ほるぷ出版、1976年

『クリスマス・イブ』はアメリカの有名な絵本作家マーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本。

子どもたちが体験する心たかなるクリスマスの夜を、繊細に表現している絵本。

この記事で紹介する本

こんな方におすすめ

  • 大人におすすめのクリスマスの絵本を探している
  • マ-ガレット・ワイズ・ブラウンの絵本を読んでみたい

1.背景

『クリスマス・イブ』(原題”ON CHRISTMAS EVE”)は、1961年にアメリカで初版が刊行された絵本。

アメリカの絵本作家マーガレット・ワイズ・ブラウンが遺した文に、イタリアの芸術家ベニ・モントレソールが絵をつけたもの。

日本では1976年、矢川澄子の翻訳により、ほるぷ出版より刊行された。

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ベニ・モントレソール(絵)

1964年頃のベニ・モントレソール。カール・ヴァン・ヴェクテン撮影。[public domain]

イタリアの芸術家。オペラ演出家、映画監督、デザイナー、絵本作家など、活躍は多方面にわたった。

1926年生まれ。

1959年までに30作にもおよぶイタリア映画の美術畑の仕事をし、34歳のときにアメリカ合衆国に移住。

アメリカ合衆国では、オペラの舞台監督・衣裳デザイナーとして知られた。

1965年に絵を担当した絵本May I Bring a Friend?”(邦題『ともだちつれてよろしいですか』)でコルデコット賞受賞。

2001年死去。

引用元:Wikipedia

代表作(絵)

矢川澄子(訳)

東京大学美学科在学中の矢川澄子。 『ユリイカ』2002年10月臨時増刊号 総特集=矢川澄子 不滅の少女[public domain]

作家、詩人、翻訳家。

1930年東京都生まれ。学習院大学独文学科卒業後、東京大学文学部美学美術史学科に学士入学したが中退。

1959年、小説家・澁澤龍彦と結婚。1968年離婚。

1969年頃から翻訳業を始め、以降、多数の絵本・児童文学の翻訳作品を刊行。

2002年死去。

引用元:Wikipedia

代表作(翻訳)

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2.内容紹介

まちにまったクリスマス・イブの夜。

ねむれない子どもたちは、そっとベッドをぬけだして、階下へ冒険にでかけました。

そこで子どもたちがみたものは・・・。

マーガレット・ワイズ・ブラウンの遺作に、イタリアの舞台芸術家出身のベニ・モントレソールが絵をつけた、静かで美しいクリスマスの絵本。

引用元:『クリスマス・イブ』マーガレット・ワイズ・ブラウン文、ベニ・モントレソール絵、矢川澄子訳、ほるぷ出版、1976年

 

3.絵本を読んだきっかけ

『クリスマス・イブ』マーガレット・ワイズ・ブラウン文、ベニ・モントレソール絵、矢川澄子訳、ほるぷ出版、1976年

ももちんは、もともとマーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本『たいせつなこと』『ちいさなもみのき』を読んだことがあった。

シンプルで、物語の派手さはないんだけど、心に残る文が好きだなぁ、と思っていた。

先日、図書館でクリスマス関連の絵本を探していた時に、この『クリスマス・イブ』を発見。

表紙イラストのオレンジの飾りの美しさに惹かれて、手に取ってみた。

開いてみると、中身もオレンジベースで温かみがあり、マーガレット・ワイズ・ブラウンの文もとても素敵で、心が温かくなった。

 

4.絵本を読んだ感想

子どものとき、クリスマスって一年で一番わくわくする日だった。

プレゼントをもらえるのはもちろんうれしいことだけど、クリスマスには、ほかにも、目に見えない不思議なわくわくがつまっているんだよね。

絵本『クリスマス・イブ』を読むと、そんな子どものころに感じていたわくわくを思い出す。

 

子どもにとって特別な聖夜

物語はクリスマス・イブの真夜中のこと。

ベッドを並べて、布団に入ったまま目を覚ましている4人の子どもたち。

明日は待ちに待ったクリスマスかと思うと、そわそわして眠れない。

ひとりの子どもが言う。

「ねむるまえにみんなでしたへいってクリスマス・ツリーにさわっておねがいごとをしよう」

さあ、子どもたちの小さな冒険が始まる。

 

瞬間を丁寧に切り取る

ぬきあしさしあしで、階下に降りる子どもたち。

ドキドキしながら静かに階段を降りる様子。

あたりからただようモミの木のにおいや、まだあたたかい廊下。

窓の外にちらちらと降っている雪。

何気ない瞬間が、子どもたちにとっては特別な瞬間なのが伝わってくる。

そっと居間に入ると、消えかけの火が燃える暖炉と靴下、立派なツリーと、その下にあるプレゼントの包みたち。

その一つ一つが、息をのむくらい素晴らしくて、子どもたちは動くこともできない。

やがて、外から歌声が聞こえてきて・・・

 

ファンタジーは起こらないけどドキドキ

絵本『クリスマス・イブ』には、おなじみのサンタクロースや天使たちは登場しない。

おもしろい空想の要素は、一切入っていないんだよね。

登場するのは子どもたちだけ。

クリスマス・イブの夜に、子どもたちがどんなことを感じるのか、どんなにドキドキしているのか。

時間にするとわずか数分の、世界中の子どもたちに本当に起こっているストーリーが、丁寧に描かれている。

心を動かされるのに、強い刺激も、空想の冒険もいらない。

目の前にある一瞬を、奇跡みたいに感じることができる心の大切さを、しみじみと感じられる。

 

オレンジベースのあたたかな絵

絵本『クリスマス・イブ』は、マーガレット・ワイズ・ブラウンが遺した文に、画家ベニ・モントレソールが絵をつけたもの。

絵はオレンジの地に黒で描かれている。

クリスマスと言えば、赤や緑でカラフルなものが多いけれど、『クリスマス・イブ』はとてもシンプルカラーなんだよね。

だからこそ、大きなツリーや暖炉、プレゼントの包みの華やかさが目をひく。

点描のようなタッチの絵は、どこか幻想的で、瞬間のはかない美しさを切り取るのにぴったり。

舞台芸術家としても活躍したベニ・モントレソールの絵の構図は、まるで舞台を見ているかのように、家全体のつくりもしっかり描いている。

 

5.マーガレット・ワイズ・ブラウンのクリスマス絵本

マーガレット・ワイズ・ブラウンが手掛けたクリスマスの絵本は他にもあるので、紹介するね。

『ちいさなもみのき』

『ちいさなもみのき』マーガレット・ワイズ・ブラウン文、バーバラ・クーニー絵、上條由美子訳、福音館書店、1993年

『ちいさなもみのき』(原題”THE LITTLE FIR TREE”)は、1954年にアメリカで刊行された。

日本では、1993年、上條由美子翻訳により刊行された。

マーガレット・ワイズ・ブラウンのクリスマスの絵本と言えば、この『ちいさなもみのき』を挙げる人も多いと思う。

1本の小さなモミの木と男の子の物語。

自分で動くことができないモミの木が体験する喜びやさみしさは、どこかヴァージニア・リー・バートンの絵本『ちいさいおうち』レビュー記事)にも通ずるものを感じる。

コルデコット賞を二度受賞した画家、バーバラ・クーニーの絵は、自然の美しさを過不足なく描いている。

マーガレット・ワイズ・ブラウンのシンプルな文に、よく合っている。

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『こねこのみつけたクリスマス』

『こねこのみつけたクリスマス』マーガレット・ワイズ・ブラウン(文)アン・モーティマー(絵)ほるぷ出版、1994年

『こねこのみつけたクリスマス』(原題”A pussycat's Christmas”)は、1949年、アメリカで刊行された。

日本では、中川千尋の訳により、1994年、ほるぷ出版より刊行された。

こねこの目にうつったクリスマスをあらわしていて、猫好きには必読の1冊。

イラストを手がけたアン・モーティマーは、今作以外にも猫を描いた絵本を複数刊行している。

細部まで丁寧に描かれた猫の絵がみどころ。

 

まとめ

絵本『クリスマス・イブ』みどころまとめ。

  1. 著者紹介
  2. 絵本を読んだきっかけ
  3. 子どもにとって特別な聖夜
  4. 瞬間を丁寧に切り取る
  5. ファンタジーは起こらないけどドキドキ
  6. ベニ・モントレソールの絵
  7. マーガレット・ワイズ・ブラウンのクリスマス絵本紹介

子どもの心そのものがファンタジーであることを、やさしく教えてくれる絵本だよ。

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  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

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