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『さむがりやのサンタ』感想。一度は読みたいクリスマス絵本の名作!

2018年5月6日

ブリッグズ『さむがりやのサンタ』すがはらひろくに訳、1974年、福音館書店

クリスマスが近づくと、あったかいココアを飲みながら、絵本でも読んでほっこりしたくなるよね。

クリスマスの絵本の中でも、ももちんが一番好きなのは『さむがりやのサンタ』

今回は『さむがりやのサンタ』の魅力をたっぷりお伝えするよ。

この記事で紹介する本

こんな方におすすめ

  • 大人が読んであじわえるクリスマスの絵本を探している
  • アニメ『ファーザー・クリスマス』が好き。原作を読んでみたい

絵本『さむがりやのサンタ』とは?

『さむがりやのサンタ』(原題"Father Christmas")は、1973年に英語版で出版された絵本。

日本では、1974年、菅原啓州(すがはらひろくに)翻訳で、福音館書店より初版が発行されている。

レイモンド・ブリッグズ

イギリスのイラストレーター、漫画家、作家。

1934年イギリスのロンドン生まれ。

幼少時から漫画書きの道を追い続け、美術学校で短期間絵画を学んだ後、プロのイラストレーターとなり、すぐに児童文学作品での活動を開始した。

『さむがりやのサンタ(英語版) Father Christmas』で、ケイト・グリーナウェイ賞受賞

『スノーマン The Snowman』(1978年)文字なし絵本で、アニメ化されてアカデミー賞にノミネートされた。

『風が吹くとき When the Wind Blows 』(1982年)では、老夫妻が核戦争の恐怖に直面する物語を描いた。

参考:Wikipedia

代表作(絵本)

ブリッグズの絵本

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菅原 啓州(すがはら・ひろくに)

代表作(翻訳)

 

内容紹介

ももちん

皮肉屋できむずかしそうなサンタクロースの一日が、絵とセリフのみで描かれる

クリスマス・イブに目をさましたサンタは、しかめ面をしながら仕事の準備。

ぶつぶつ言いながらも仕事や動物、子どもたちへの愛情が見えちゃうサンタのクリスマス。

刊行から40年以上愛され続けている、クリスマスの定番絵本。

 

『さむがりやのサンタ』を読んだ感想

『さむがりやのサンタ』のサンタは、ふだんはふつうの人と同じような生活をしている。

クリスマスイブのプレゼント配りも「仕事」であって、特別なことをしているわけではないみたい。

そんな親しみやすいサンタが、なにげなく空を飛んだり、煙突からしのびこんだりするのもおもしろい。

仕事終わりの自分の時間を大切にするのも、とても共感する。

 

サンタの裏の生活

子どもの頃、サンタクロースはクリスマスにプレゼントをくれたよね。

決して姿を見ることはできなかったから、いつも想像するだけだった。

サンタさんって、ふだんはどんな生活をしてるんだろう?

どうやって家の中に入ってくるんだろう?

そんな謎めいたサンタさんの一日を、まるで隠しカメラからのぞくように見ることができるのが、『さむがりやのサンタ』なんだよね。

子どもたちが寝静まっている間に、こっそりえんとつからしのびこむサンタ。

家ごとに用意してくれている差し入れを、なんやかんや言いながら食べたり飲んだりするサンタ。

自由自在に空中を走れるそりで、どんな家でもたどり着けるサンタ。

ふだんは絶対に見ることができないからこそ、新鮮でおもしろいんだよね。

 

人間味のあるサンタ

サンタさんが1年で一番忙しい日、12月24日、目覚ましで起きるところから、物語は始まる。

このサンタさん、はじめから愚痴だらけなんだよね。

最初に発する言葉が「やれやれまたクリスマスか!」なんだもん。

ほかにも、愚痴はたくさん出てくる。

想像では、サンタさんて、優しくて親切な神様みたいな人かと思ってたけど、このサンタさんはもっと身近。

近所に住んでる人間のおじさんみたい。仕事への愛も感じる。

クリスマスの朝方に、牛乳配達屋のおじさんとあいさつする場面があるんだけど、みんなが寝静まってる間に仕事する仲間同士なんだよね。

特別な存在ではなく、町での一つの仕事としてなじんでいるサンタクロース。

サンタクロースってこうやって働いてるんだ、って思うと、なんだか嬉しくなる。

そして、ふだんは文句ばかり言ってても、根は優しいサンタクロース。

猫のクロや犬のポチ、トナカイたちにも話しかけながら世話をする。

クロがいつもサンタの肩に乗っているのがかわいい。

 

イギリスの文化がわかる

『さむがりやのサンタ』の住まいはイギリス。

サンタさんの生活も、イギリス的な一面が見られておもしろい。

まず、朝起きて飲む一杯。コーヒーじゃなくて紅茶なんだよね。

「おいしい紅茶がなによりだ」って言って紅茶を入れるサンタさんにほっこり。

仕事を終えて帰ってからも、「おいしい紅茶をわかして・・・」って言いながら、お湯を沸かす。

生活の中に紅茶という文化がしっかり組み込まれているんだ、ってわかる。

日本ではみないお菓子も登場。

クリスマスプディングっていう、イギリスのクリスマスには欠かせないお菓子なんだって。素敵だよね。

 

自分の時間を大切にするサンタ

家では食卓と身なりを整えて、ひとりのクリスマスの時間を満喫するサンタクロース。

お酒を楽しみ、テレビを見ながら居眠りしてしまうサンタも、なんだか家にいるお父さんみたいでおもしろい。

満たされた時間が、読んでいる方にも伝わってくる。

 

英語版”Father Christmas”

図書館に英語版があったので、借りてみたよ。

絵は同じなんだけど、セリフから感じられるニュアンスがちょっと違っておもしろかった。

”Father Christmas”では、サンタクロースのセリフ(特に文句や愚痴)の中に、たくさん”Blooming”という言葉が出てくるんだよね。その数、なんと15回!

”Blooming”っていうのは、ふつうなら「花盛りの、咲きほこる」という意味だけど、イギリスでは俗語で「ひどい、途方もない」という意味でも使われるんだ。

Father Christmasさむがりやのサンタ
Blooming Christmas here again!やれやれ またクリスマスか!
Blooming snow!おやおや ゆきかい
Blow the blooming snow!なんてこったい いやなゆきだよ まったく!
Brr! Blooming cold!うーさむ
Blooming snow!ひでえゆきだ!
Blooming chimneys!えんとつなんて なけりゃいいのに!
Blooming soot!すすだらけに なっちまった
Blooming aerials!じゃまっけな アンテナだ
Blooming cats!どらねこっ!
Hm,no blooming chimneys,anyway.ふん、ともかく いけすかないえんとつは、ないわい
Blooming cookers!なんだいなんだい このだいどころは
Getting a blooming cold,now.おや かぜをひいちまったかな
Brr!Blooming feet frozen!やれやれ あしがこごえちまった
Blooming awful tie from aunt Elsie!ごたいそうなネクタイをくれたもんだ エルシーおばちゃんたら
Happy blooming christmas to you,too!ま、おまえさんもたのしいクリスマスをむかえるこったね

こうして比べてみると、英語版ではサンタの口癖として表現されている”blooming”だけど、日本語版ではさまざまな言葉を使って愚痴があらわされているよね。

すがはらひろくにの翻訳も秀逸!

それと、サンタクロースが一緒に暮らしている犬のポチと猫のクロ。

英語版ではなんと名前がないんだ。

呼びかける時も、サンタクロースは”dog””cat”と呼びかけている。

翻訳するときに、名前があった方が親しみやすいと思って名前をつけたんだね。おもしろい!

 

『さむがりやのサンタ』関連アニメ・絵本

絵本『さむがりやのサンタ』は、アニメ『ファーザー・クリスマス』の原作絵本としても有名。

ここでは『さむがりやのサンタ』関連絵本やアニメを紹介するね。

アニメ『ファーザー・クリスマス』

出典:ColumbiaMusicJp

『さむがりやのサンタ』の続編に『サンタのなつやすみ』っていう絵本がある。

この二冊の絵本を原作として、1991年にイギリスで『ファーザー・クリスマス』っていうアニメが制作された。

子どもの頃にこのアニメを観て好きな人たちもいるみたい。

ももちんはまだ観たことないから、近いうち観てみたいなあ。

予告編だけで、絵本の世界がそのまま映像になっていて、嬉しくなる。

 

絵本『サンタのクリスマス』

『サンタのクリスマス』レイモンド・ブリッグズ作、きやまかすみ訳、竹書房、1994年

絵本『サンタのクリスマス』(原題”FATHER CHRISTMAS The Book of the Film”)は、アニメ『ファーザー・クリスマス』をもとに編集し、絵本にしたもの。

原書は1992年に刊行され、日本では1994年、樹山かすみ訳で竹書房より刊行された。

アニメーションの絵のカットにお話がついていて、ストーリーもアニメに沿っている

ももちん

基本的に、1ページに4〜6カットの絵があり、文章で説明する感じ

絵とセリフだけの『さむがりやのサンタ』とはまったく味わいが違う。

アニメオリジナルのエピソード満載なので、アニメが好きなあなたはこっちの『サンタのクリスマス』のほうが楽しいかも。

 

絵本『ごきげんなサンタのせかいりょこう』

『ごきげんなサンタのせかいりょこう』レイモンド・ブリッグズ作、松川真弓訳、評論社、1996年、メーカー在庫なし・重版未定

絵本『ごきげんなサンタのせかいりょこう』(原題”FATHER CHRISTMAS HAVING A WONDERFUL TIME!”)は、アニメ『ファーザー・クリスマス』をもとに編集し、絵本にしたもの。

原書は1993年に刊行され、日本では1996年、松川真弓訳で評論社より刊行された。

現在はメーカー在庫なし・重版未定のため、中古でのみ入手可能。

アニメーションの絵のカットにお話がついていて、ストーリーもアニメに沿っている

絵本『サンタのクリスマス』の約半分の長さと絵の数で、よりコンパクトにしあがっている。

ももちん

絵のカットが写真やハガキのように描かれていて、まるで旅先からの手紙を読んでいるみたい。

 

アニメ『スノーマン』紹介

文字なし絵本『ゆきだるま(スノーマン)』感想。名作アニメの原作本

左:『ゆきだるま』1978年 右:『スノーマン』2021年いずれもレイモンド・ブリッグズ作、評論社 絵本『ゆきだるま(スノーマン)』は、少年とゆきだるまの一夜を絵だけで描いた物語。 絵本『さむがりやの ...

続きを見る

 

まとめ

『さむがりやのサンタ』みどころまとめ。

『さむがりやのサンタ』感想

  1. サンタの裏の生活がわかる
  2. 人間味あふれるサンタ
  3. イギリスの文化がわかる
  4. 自分の時間を大切にするサンタ
  5. 英語版を読んでみる
  6. アニメにもなっている

 

大人も子どももクリスマスに読むのにぴったりの絵本だよ。

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ブリッグズの絵本について知りたい人は、こちらの記事をどうぞ。

ブリッグズの絵本

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  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

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