文字なし絵本『ゆきだるま』感想。名作アニメ『スノーマン』の原作本

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『ゆきだるま』レイモンド・ブリッグズ作、評論社、1978年


絵本『ゆきだるま』は、少年とゆきだるまの一夜を絵だけで描いた物語。

絵本『さむがりやのサンタ』の作者が描いたもう一つの冬の絵本。

アニメ『スノーマン』の原作としても有名だけど、絵本は違った味わいがあるよ。

こんな方におすすめ

  • 『さむがりやのサンタ』が好き。同じ作者の絵本を読んでみたい
  • アニメ『スノーマン』が好き。原作絵本を読んでみたい
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1.背景

『ゆきだるま』(原題"THE SNOWMAN")は、イギリスの絵本作家レイモンド・ブリッグズ作で、1978年に出版された絵本。

日本では、1978年、評論社より初版が発行されている。

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2.内容紹介

ももちん

雪が降ったある日、少年がつくったゆきだるま。

その夜ゆきだるまが動き出し、少年とゆきだるまの冒険の一夜が始まる。

家の中を案内したり、空を飛んだり・・・

『さむがりやのサンタ』のレイモンド・ブリッグズが絵だけで描く、ファンタスティックな冬の定番絵本。

 

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3.絵本を読んだきっかけ

ブリッグズ『さむがりやのサンタ』すがはらひろくに訳、1974年、福音館書店

ももちんは、『さむがりやのサンタ』という絵本が大好き

サンタクロースのクリスマス・イブのおしごとの様子を描いた絵本なんだけど、皮肉屋のサンタがおもしろいんだよね。

同じレイモンド・ブリッグズの作で『ゆきだるま』という絵本があるのは知ってたんだけど、読んだことがなかった。

『さむがりやのサンタ』とならんで有名な絵本なので、今回読んでみました。

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4.絵本を読んだ感想

『ゆきだるま』レイモンド・ブリッグズ作、評論社、1978年

こどもの頃、だれでも一度はゆきだるまを作ったこと、作ってみたいと思ったことってあると思う。

絵本『ゆきだるま』では、少年とゆきだるまの一夜を、文字なし絵本で表している

国や世代問わず、すべての人に共通の「雪ふる日のトキメキ」が、絵から直接心に伝わってくる

 

4−1.文字なし絵本の魅力

今作のような文字なし絵本を読むたびに、「言葉ってヤボだよなあ」って思う。

絵本『ゆきだるま』では、絵を一コマ一コマじっくり見ていくと、五感や心の動きがしっかり伝わってくる

雪の日の朝のひんやり感。

少年が雪の中に飛び出すときのドキドキ。

ゆきだるまが動き始めたときのわくわく。

もしここに文字があったら、自分の中にある感覚を、ここまでほりおこすことはない

絵本『ゆきだるま』は、「不感症」になりつつある大人が「感じる」ことを思い出すためのリハビリ絵本にもなる。

ももちん

実は、絵だけではわからない場面もいくつかありました。

冷蔵庫なのか、氷なのか、、、とかね。

後で紹介する『スノーマン』の絵本で答えがわかったよ。

当ブログで紹介した文字なし絵本

 

4−2.一生懸命作った雪だるまが動いたら・・・

絵本『ゆきだるま』では、物語のいたるところに、かつて子どもだった頃の自分が想像していたことが散りばめられている。

こどものとき、みんな思ったり感じたりすること。

雪が降ったら、外に飛び出したくて、いてもたってもいられない

自分がつくったゆきだるまに、マフラーと帽子をかぶせて、ていねいに顔をつけてあげる。

もし、このゆきだるまが動き出したら?

一緒に空を飛んだら、楽しいだろうなあ。

男の子は、夜になっても雪だるまを気にして、テレビを見ながら、歯をみがきながら、窓からゆきだるまをながめる

ながめながら、ゆきだるまに何を話しかけているんだろう?

ももちん

あなたなら、自分のが作ったゆきだるまに、なんて話しかける?

ももちんは、「ひとりで寂しくないかな? あした、家族を作ってあげようかな?」って思うかも。

 

4−3.教えてあげるということの喜び

真夜中に目がさめた男の子が外に出ると、ゆきだるまは動き出す

ゆきだるまは大きくてほほえんでいて、まるでトトロみたいな、包みこんでくれるような安心感がある。

動き出したゆきだるまにおどろきもせず、得意げに握手する男の子がかわいい。

ももちん

心の中では一緒にはしゃぎたくてたまらない男の子のわくわく感も伝わってくる!

男の子は、両親を起こさないようにしずかにしずかに、ゆきだるまを家に招きいれる。

家の中のことがわからないゆきだるまに、ひとつひとつ教えてあげる男の子

明かりをつけてみたり。

両親の寝室に忍び込んで、お父さんの服を着せてみたり。

食べ物を準備して、精一杯のもてなしをしたり。

どんなときも男の子は笑顔で、そこには「なにかを教えてあげることの喜び」があふれている

ひとつひとつの新しい体験に、おどろいたり、失敗したりもするゆきだるま

男の子と同じ目線でものごとを一緒に体験するゆきだるまは、親しみやすくて、もっと好きになる。

 

4−4.ゆきだるまとの冒険

家の中でたくさんの初体験をしたゆきだるま。

今度は、ゆきだるまが男の子を連れ出す番。

男の子の手を取り空にジャンプ、大冒険が始まる

ももちん

日常から冒険へ、スケールが大きくなる。

絵のカットも大きくなり、壮大な風景がくりひろがる。

広い雪原に広がる空をどんどん飛んでいく、ゆきだるまと男の子の場面は圧巻。

宮殿や歩く人々を下に見ながらゆうゆうと飛ぶ気持ちって、どんなに爽快だろう。

絵を見ているだけで、ひんやり、気持ちよさが伝わってくる

空を飛ぶのも、夜の空も、ゆきだるまが一緒なら怖くない。

男の子はゆきだるまに守られながら、最後に我が家に到着するまで安心して冒険を味わう

冒険が終わり家に入るとき、しっかりとハグし合うゆきだるまと男の子。

男の子は、どんなことを思ったのかな?

ももちん

また、明日も遊ぼうね。

って思ったんじゃないかな?

 

4−5.夢の終わり

朝がきてとびおきた男の子は、真っ先にゆきだるまのところへ行く

そこにあったのは、ゆきだるまが溶けたあとと、マフラーと帽子。

それを見つめてたたずむ男の子のうしろ姿が印象的。

だけど、きっとこのあとまたすぐに遊び始めるんだろうな、とも思う。

大冒険が終わるあっけなさと寂しさ、そしてまた始まる日常の予感を、この一つの絵から感じる。

 

4−6.ブリッグズの絵

絵本『ゆきだるま』のブリッグズの絵は、色鉛筆のもの。

『さむがりやのサンタ』のようにはっきりした絵じゃないんだよね。

色鉛筆で描かれる夢の世界は、やさしく、どこかはかなく、幻想的。

物語のほとんどは夜なんだけど、部屋のうすぐらさ、暗い中にも月明かりに照らされているところなど、繊細に伝わってくる。

ももちん

同じ明るいでも、ランプの明るさと月明かり、太陽の日差しの違いがちゃんとわかるのがすごい。

空を飛ぶ場面の壮大さもすばらしい。

一面のほとんどが雪と夜におおわれているのに、そこには心地よい風が吹いていて、決して怖いものじゃない、ということがわかるんだよね。

そして、少ない登場ながらも存在感があるのが、お父さんとお母さん。

その表情から、お母さんは男の子を愛して見守っているのがわかる。

ももちん

両親の寝室には男の子の写真が飾られている。

何気ない日常の絵の中に、家族の愛を感じる。

ブリッグズの絵本

 

5.『ゆきだるま』関連アニメ・絵本

絵本『ゆきだるま』は、アニメ『スノーマン』の原作絵本としても有名。

ここでは『ゆきだるま』関連絵本やアニメがあるので、紹介するね。

 

アニメ『スノーマン』

アニメ『スノーマン』(原題”The Snowman”)は、絵本『ゆきだるま』(原題”The Snowman”)を元に1982年に制作された、26分のアニメーション映画。

日本では1986年にVHSが販売された。

全編音楽と映像のみで、セリフはなし

オープニングのナレーションをミュージシャンのデヴィッド・ボウイが担当している。

1983年にアカデミー賞アカデミー短編アニメ賞にノミネートされた。

映画でも原書の色鉛筆のやさしい質感や色合いが際立っている。

絵本のストーリーをさらにひろげ、他のゆきだるまたちやサンタクロースに会うなど、アニメオリジナルの場面もある。

ももちん

絵本は知らないけど、こどものときアニメを大好きでよく見た、という30代は多いみたい。

参考:Wikipedia

 

絵本『スノーマン』

『スノーマン』レイモンド・ブリッグズ作、きやまかすみ訳、竹書房、1994年

絵本『スノーマン』(原題”The Snowman The Book of the Film”)は、アニメ『スノーマン』をもとに編集し、絵本にしたもの。

原書は1992年に刊行され、日本では1994年、樹山かすみ訳で竹書房より刊行された。

アニメーションの絵のカットにお話がついていて、ストーリーもアニメに沿っている

ももちん

基本的に、1ページに4〜6カットの絵があり、文章で説明する感じ

絵本『ゆきだるま』のような空を飛ぶときの迫力とかはない。

アニメが好きなあなたはこっちの『スノーマン』のほうが楽しいかも。

 

アニメ『スノーマンとスノードッグ』

アニメ『スノーマンとスノードッグ』(原題”The Snowman and the Snowdog”)は、2012年に制作された、25分のアニメーション映画。

アニメ『スノーマン』から30周年を記念して制作された。

全編音楽と映像のみで、セリフはなし

主人公は、前作『スノーマン』と同じ家に引っ越してきた男の子ビリー。

愛犬を亡くしたビリーは、部屋の床下からスノーマンと見知らぬ男の子がうつった写真を見つける。

ビリーは庭に、写真とそっくりのスノーマンと、愛犬を思いスノードッグをつくる

その夜、スノーマンとスノードッグとの魔法の一夜が始まる。

ももちん

空を飛んだり、世界中のスノーマンが集まったり、前作『スノーマン』と似たような場面もある。

前作ファンにも、今の子どもたちにもおすすめ。

参考:Wikipedia

 

絵本『スノーマンとスノードッグ』

『スノーマンとスノードッグ』レイモンド・ブリッグズ作、きやまかすみ訳、竹書房、2013年

絵本『スノーマンとスノードッグ』(原題”The Snowman and the Snowdog””)は、アニメ『スノーマンとスノードッグ』をもとに編集し、絵本にしたもの。

原書は2012年に刊行され、日本では2013年、樹山かすみ訳で竹書房より刊行された。

アニメーションの絵のカットにお話がついていて、ストーリーもアニメに沿っている

カットもお話も工夫されていて、絵本ならではの魅力があふれている。

ももちん

アニメーションが色鉛筆で描いたような繊細なタッチなので、絵本になっても美しい色合いが楽しめる。

ストーリーも感動的。

 

絵本『ゆきだるま ストーリー・ブック』

『ゆきだるま ストーリー・ブック』レイモンド・ブリッグズ作、松川真弓訳、1994年

絵本『ゆきだるま ストーリー・ブック』(原題”The Snowman Story Book”)は、『ゆきだるま』の絵にブリッグズ自身がお話をつけた絵本。

原書は1990年に刊行。

日本では松川真弓訳で、1994年に評論社より刊行された。

『ゆきだるま』の絵をそのまま使っているが、お話にそって半分弱の絵がカットされている

絵は物足りないけど、ストーリーがわかりやすい。

ももちん

絵をじっくり味わうなら、だんぜん『ゆきだるま』!

『ゆきだるま ストーリー・ブック』は、読み聞かせにはおすすめ。

 

6.【2019年9月公開】映画『エセルとアーネスト』

引用元: 『エセルとアーネスト ふたりの物語』公式サイト

 

2019年9月に日本で公開されたのは、レイモンド・ブリッグズ作のグラフィックノベルをアニメーション化した映画『エセルとアーネスト ふたりの物語』

レイモンド・ブリッグズの両親の出会いから、この世を去るまでの約40年にわたる日々を描いた、ブリッグズの自伝的ストーリー。

レイモンド・ブリッグズの大ファンだという監督のロジャー・メインウッドは、映画でも第二次世界大戦前後のイギリスの日常生活を丁寧に描いている。

ブリッグズ自身がエグゼクティブ・プロデューサーをつとめている。

『エセルとアーネストふたりの物語』公式サイト

原作本

インタビュー掲載

 

まとめ

絵本『ゆきだるま』みどころまとめ。

ココがおすすめ

  • 文字がないので絵をじっくり味わえる
  • 色鉛筆の繊細なタッチ
  • こどものときのトキメキを思い出す
  • 親しみやすいゆきだるま
  • 関連映画、絵本

絵本『さむがりやのサンタ』の作者が描いたもう一つの冬の絵本。

アニメ『スノーマン』の原作としても有名だけど、絵本は違った味わいがあるよ。

『ゆきだるま』をちょっと試し読みする(絵本ナビへ) 

 

ブリッグズの絵本

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