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文字なし絵本『天使のクリスマス』感想。静かで不思議な一夜の世界!

2018年11月13日

『天使のクリスマス』ピーター・コリントン作、ほるぷ出版、1990年

『天使のクリスマス』はイギリスの絵本作家ピーター・コリントンによる文字なし絵本。

女の子が寝静まった後に動き出す、クリスマス・イブの天使のお仕事を、精密な絵だけで表現している。

この記事で紹介する本

こんな方におすすめ

  • 大人におすすめのクリスマスの絵本を探している
  • 文字なし絵本の魅力を知りたい

『天使のクリスマス』とは?

『天使のクリスマス』(原題”ON CHRISTMAS EVE”)は、1990年、イギリスで初版が発行された絵本。

日本では、同じく1990年、ほるぷ出版より刊行された。

作者はピーター・コリントン。

ピーター・コリントン(作)

イギリスのイラストレーター、絵本作家。

1948年生まれ。

大学で写真と美術を学んだのち、1986年に「リトル・ピックル」(未訳)で絵本作家としてデビュー。

高い評価を受け、1987年には第2作「ちいさな天使と兵隊さん」(すえもりブックス刊)でスマーティー賞を受賞。

絵だけで表現されている「文字なし絵本」が特徴。

参考:『天使のクリスマス』ピーター・コリントン、ほるぷ出版、1990年

代表作(絵本)

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内容紹介

ももちん

えんとつのない家に住む子どもたちにも、サンタクロースはちゃんとくる。

そこには、たくさんの天使たちの働きと、静かに静かにプレゼントを用意するサンタさんの姿。

繊細な絵だけでクリスマスを味わう文字なし絵本。

 

『天使のクリスマス』を読んだきっかけ

ももちんが絵本『天使のクリスマス』を知ったのは、つい最近のこと。

銀座の書店、教文館内にある、子どもの本の店「ナルニア国」で見つけた。

教文館では、毎年11月からクリスマスフェアを開催していて、各階でクリスマスグッズや本の豊富なラインナップを楽しめるんだ。

「ナルニア国」でも、もちろんクリスマスにちなんだ絵本が特集されていた。

1冊ずつ開いてみて、見つけたのが『天使のクリスマス』。

文字のない静かで豊かな世界に、一瞬にしてひきこまれた。

数日後、地元の図書館で見つけたので借りてきました。

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『天使のクリスマス』を読んだ感想

『天使のクリスマス』ピーター・コリントン作、ほるぷ出版、1990年

物語の初めに作者から読者へのメッセージ。

「この本を、えんとつのない家にすむ子どもたちに贈ります。」

そう、この絵本は、えんとつがない家にすむ少女のクリスマス・イブが舞台。

考えてみたら、今の時代、ほとんどの人がえんとつがない家に住んでいるよね。

じゃあ、えんとつのない家に住む子どもたちには、どうやってサンタクロースが来てくれるのかな?

そんな子どもたちや大人たちの疑問に、絵で答えてくれるのが、この物語。

 

文字がいらない!豊かに表現される世界

『天使のクリスマス』を見ると、「文字はいらない」どころか「文字はじゃまだ」くらいに思えるんだよね。

絵だけでこんなに豊かにストーリーを味わえるんだと、新しい感動があった。

言葉を介さない分、直接心に響いてくる感じ。

 

小さな天使たちの活躍

えんとつがない家のクリスマスには、サンタクロースのお仕事を小さな天使たちがお手伝いする。

子どもが寝静まったころ、静かに一人の天使が姿を現す。

この天使、とっても小さくて、羽がついていて、小さな魔法のつえを持っている。まるで妖精みたい。

だけど、そのかわいさとは裏腹に、子どもたちのために、きっちり仕事をこなす天使(笑)

まずは、子どもがサンタクロースに書いたプレゼントのリクエストをチェック。

リビングのツリーに飾られたたくさんのキャンドルに火をともす。

内側からドアのかぎを開け、たくさんの天使たちを呼び入れる。

天使たちは、サンタクロースが遠くからみえるように、キャンドルをもって外に出るんだ。

 

サンタクロースとの共同作業

サンタが到着すると、天使がプレゼントリストをもって、プレゼントを探すお手伝い。

この物語では、ひとりの子どもが願うプレゼントって、一つじゃないんだ・・・

こんなにたくさんのプレゼントあげちゃって大丈夫?って思っちゃった。

1枚の紙にたくさん書き連ねているリストを、一つ一つチェックしながらサンタクロースの仕事を見守る天使、なんだか秘書みたい(笑)

そして、いよいよ女の子の部屋に、プレゼントをおきに行く。

女の子が起きてしまったときはドキッとしたけど、そんなときも天使は機転を利かせる。

おかげで、女の子に気づかれることなく、無事にプレゼントを届けることができて、ああよかった。

 

かわいいラスト

朝が来て、女の子が目を覚ます。

プレゼントに大喜びする女の子を確認し、静かに姿を消す天使。

一仕事終えた後、我が家に帰り、くつろぐ天使の姿が、めっちゃかわいらしい。

天使にも、メリー・クリスマス!

 

ピーター・コリントンの絵

物語はピーター・コリントンによる140もの絵で構成されている。

その一枚一枚が、本当に精密で、気配まで感じ取れるみたい。

靴下の網目の一つ一つ、クリスマスツリーの葉の1枚1枚を、色鉛筆と水彩で細かく描きあげているんだ。

白いベッドのシーツだって、ちゃんと影やしわがある。

どこ一つ手抜きなく、リアルに描かれている絵を、文字がない分、五感で味わうことができるんだよね。

 

サンタクロースの到着

サンタクロースが到着する場面が圧巻。

しんと静まり返る真夜中の住宅街。

その絵から、しんしんと降り積もる雪の音、そりの走る音まで聞こえてくるみたい。

こんなに寒くて静かな夜には、天使たちがともすキャンドルがとてもあたたかくありがたく見える。

 

おっちょこちょいのサンタクロース

物語の中で、サンタクロースは一つ失敗するんだよね。

女の子の部屋で音を立てて、女の子が起きてしまうんだ。

この描写も、一切文字がなく、絵だけで表現しているところがすごい。

そして、女の子が起きてしまった時の、天使とサンタクロースの「しまった!」という表情!

めっちゃリアルで、若干怖いです・・・(笑)

全体的に、ピーター・コリントンの絵はかわいい感じではなく、リアルで美しい感じ。

ほんと、1枚1枚の絵に見入ってしまうので、大人にも絶対みてみてほしいな。

 

江國香織の解説

物語を最後まで味わった後、巻末に作家の江國香織による解説が書かれている。

ここにきて久しぶりに文字を見ると、一気に現実に返る感覚がわかる。

そのとき、夢の世界にひきこまれていた自分に初めて気づくんだよね。

 

守護天使について

解説の中で、この絵本に出てくる「守護天使(Guardian Fairy)」についての説明がある。

どうやらこの絵本に登場する天使は、一般的な天使とは違うみたい。

特定の誰かをマンツーマンでまもる、個人的な天使という在り方。

北欧では家ごとに「トムテ」という妖精が住んでいるという言い伝えがあるけれど、ちょっと近いものがあるのかもしれない。

この解説を読んで、天使についてもっと知りたくなった。

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関連トピック

アニメになった”ANGEL & SOLDIER BOY”

出典:organa kids公式チャンネル/You tube

ピーター・コリントンは、『天使のクリスマス』以外にも文字なし絵本を数冊刊行している。

その中の1冊が、1990年にすえもりブックスから刊行された、『ちいさな天使と兵隊さん』(原題”ANGEL & SOLDIER BOY”)。

イギリスでは絵本は高い評価を受け、アニメにもなってテレビで放映されたんだよね。

この絵本に出てくる天使も、ちいさくてかわいらしい天使。

『天使のクリスマス』に登場する天使とよく似ている。

 

もう一つの文字なしクリスマス絵本『聖なる夜に』

『聖なる夜に』ピーター・コリントン作、BL出版、2000年

ピーター・コリントンは、『天使のクリスマス』以外に、もう1冊クリスマスにちなんだ文字なし絵本を刊行している。

それが、BL出版より2000年に刊行された、『聖なる夜に』(原題”A Small Miracle”)

『聖なる夜に』でも、小さな人たちが大活躍するよ。

天使ではなく、クリスマスの飾り「クリブ」の人形たちがね。

とても素敵な絵本なので、別記事でレビューしたよ。

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まとめ

絵本『天使のクリスマス』みどころまとめ。

  1. 著者紹介
  2. 絵本を読んだきっかけ
  3. 文字がいらない!豊かに表現される世界
  4. ピーター・コリントンの絵
  5. 江國香織の解説
  6. ピーター・コリントンの他の絵本紹介

ページをめくりながら、心の中で言葉があふれだす不思議な絵本だよ。

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  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

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