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クマのプーさん展2022感想。百町森を抜けてカラー原画に会いに行こう

2022年7月23日

東京・立川で開催中の「クマのプーさん展2022」に行ってきた。

イギリスの森に迷い込んだ感覚で、「クマのプーさん」のカラーの原画を思いっきり堪能できたよ。

ももちん
「クマのプーさん展2022」は全日程終了しました。

 

「クマのプーさん展2022」公式サイト

この記事でわかること

  • 「クマのプーさん展2022」の感想と楽しむポイント
  • 展示を見る前に読もう!「クマのプーさん」
  • 混雑状況・グッズ情報

「クマのプーさん展2022」とは?

1926年、A.A.ミルン作・E.H.シェパード絵で発表された児童文学『クマのプーさん』。

「クマのプーさん展2022」展では、この後の1950〜1960年代、E.H.シェパードが描き下ろしたカラー原画約100点を展示する。

 

クマのプーさん展2022ポイント

  • 1950〜60年代、シリーズ新装版のためにE.H.シェパードが描いた原画を約100点展示
  • 作家の梨木香歩さんによる書き下ろし文章、ミュージシャンの坂本美雨さんによる詩の朗読を取り入れた演出
  • 物語の誕生や日本での広がりなどをAからZの26項目で解説
  • アッシュダウンの森の朝から夜を体験できる映像インスタレーションを展示

 

「クマのプーさん展2022」公式サイト

 

『クマのプーさん』とは?

左上『クマのプーさん』石井桃子訳、岩波書店、2000年
右上『プー横丁にたった家』石井桃子訳、岩波書店、2000年
左下『クリストファー・ロビンのうた』小田島雄志・小田島若子訳、河出書房新社、2018年
右下『クマのプーさんとぼく』小田島雄志・小田島若子訳、河出書房新社、2018年
いずれもA.A.ミルン作、E.H.シェパード絵

『クマのプーさん』(原題”Winnie-the-Pooh”)は、1926年に発表されたA・A・ミルンの児童文学

1928年には同様の構成をもつ続編『プー横丁にたった家』(原題”The House At Pooh Corner”)も発表された。

『クマのプーさん』のシリーズはこの二つの物語集と、二つの詩集『クリストファー・ロビンのうた(原題”When We Were Very Young”)』(1924年)『クマのプーさんとぼく(原題”Now We Are Six”)』(1927年)の計4冊からなっている。

挿絵はいずれもE.H.シェパードが手がけている。

日本では1940年に『熊のプーさん』、1942年に『プー横丁にたった家』が石井桃子の翻訳で、岩波書店より刊行された。

参考:Wikipedia

「岩波少年文庫」公式ページ

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A.A.ミルン(作)

A.A.ミルン1922年[public domain]

 

イギリスの作家、詩人。

1882年ロンドン生まれ。

ケンブリッジ大学に学び、風刺雑誌「パンチ」編集と執筆にたずさわる。

1956年死去。

参考:Wikipedia

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E.H.シェパード(絵)

今回の展示で紹介されていたE.H.シェパード

イギリスの画家。

1879年ロンドン生まれ。

ロイヤル・アカデミーで学んだのち、風刺雑誌「パンチ」の挿絵画家として活躍。

娘のメアリー・シェパードも挿絵画家で、『メアリー・ポピンズ』シリーズで知られる。

1976年死去。

参考:Wikipedia

代表作(絵)

E.H.シェパード(絵)の本をAmazonで見る

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巡回情報

【終了】東京・立川会場

場所:PLAY!   https://play2020.jp/

開催期間:2022年7月16日(土)〜10月2日(日)

 

【終了】愛知・名古屋会場

場所:名古屋市美術館    https://art-museum.city.nagoya.jp/

開催期間:2022年10月8日(土)~11月27日(日)

 

 

「クマのプーさん展2022」を見たきっかけ

2019年のプーさん展ポスター。

ももちんが児童文学としての『クマのプーさん』を知ったのは大人になってから。

先に『メアリー・ポピンズ』シリーズを読んでいて、挿絵のメアリー・シェパードのお父さんが『クマのプーさん』の絵のE.H.シェパードであることを知った。

ちょうどそのタイミングで2019年の『クマのプーさん展』を見に行って、プーさんの世界が好きになりました。

前回の展示ではプーさんの鉛筆画の原画をたっぷり見ることができた。

今回は、カラーの原画を見ることができると知って、楽しみに見に行きました。

 

前回のプーさん展

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「クマのプーさん展2022」感想

「クマのプーさん」展2022ポイントは次のとおり。

 

クマのプーさん展2022ポイント

  • 百町森に迷い込んだ感覚になる
  • 「プーさん A to Z」で物語や背景を知る
  • たっぷりのカラー原画を楽しむ
  • 映像インスタレーション

 

百町森に迷い込んだ感覚になる

木、風、水を思い起こさせるゆったりした空間

展示では、PLAY!MUSEUM特有の楕円形の展示室が『クマのプーさん』の「百町森」に見立てた空間になっている。

木の壁、風に揺れる大きな布、十分な余白をとった配置で、原画1点1点が宝物のように展示されている。

いつのまにかプーさんの森に迷い込んだ感覚で、物語と詩を体験できる。

 

「百町森」の展示室へ続く道

百町森を見立てた展示室へ向かう道には、児童文学作家の梨木果歩さんが紡ぐ文の布が揺れる。

 

文章は梨木香歩さん

書かれているのは、百町森のモデルとなったイギリス南部にある「アッシュダウンの森」の四季の移り変わり。

プーさんにまつわる歌のような詩とともに、森の風景を感じられる。

ももちん
展示室内の写真撮影もOK。

 

「プーさん A to Z」で物語や背景を知る

展示室入口から始まるAtoZ

展示は、「プーさんAtoZ」ゾーンから始まる。

ここでは「プーさん」のキャラクターについてはもちろん、A.A.ミルン、E.H.シェパードについてなど、「プーさん」にまつわるAからZまでの26項目で知ることができる。

ももちん
”A”は”America”で、アメリカでのプーさんについて。

”I”では『プーさん』を日本で初めて翻訳した石井桃子を紹介している。

的確ながら愛情を感じる紹介

項目を絞っているので一つ一つしっかり読めるし、なによりアルファベットごとの展示がかわいくて見入ってしまう。

 

物語に登場するキャラクターとエピソードも紹介。

主要キャラクターは、パネルとともにその性格を解説。

物語を知らない人にはもちろん、すでに知っている人でも、キャラクターの意外な一面が見えてくる。

 

物語を知っている人なら思わず微笑む場面

物語の中で印象的な場所や物も展示。

今回の展示ではエピソードを詳しく紹介していないので、原作を読んだ人だけが「あの場面ね」とニヤニヤできる。

 

余白をたっぷりとった空間

1文字1文字寄り道しながら、物語の中と背景を行ったり来たりして知っていく。

Zまで行くと、「プーさん」のことが立体的に理解できるようになっている。

 

A.A.ミルンとE.H.シェパード

A.A.ミルンとクリストファー・ロビン

E.H.シェパード

AtoZの中盤、MとSのところに、「プーさん」を生んだA.A.ミルン、E.H.シェパードの紹介があった。

ももちん
E.H.シェパードの顔初めて見れた。かっこいい。。

今回の展示では、作者の年譜とかはなく、「プーさん」シリーズ初版の原画・資料展示もほとんどない

あくまで「百町森の空間でカラー原画を」というのがメインのなかで、この「引き算の紹介」がポイントになっていた。

 

プーさん4作品
左から”When We Were Very Young”
”Winnie-The-Pooh”
”The House At The Corner”
”Now We Are Six”

ミルンの戦争体験の記述

今回改めて知ることができたのが、A.A.ミルンの戦争体験について。

悲惨な体験があったからこそ、「プーさん」には一切その空気を持ち込まなかった。

ももちん
「プーさん」を読むとその平和さにほっとする。

それは、戦争を体験したミルンが一番求めていた感覚だったのかもしれない。

 

たっぷりのカラー原画を楽しむ

『クマのプーさん プー横丁にたった家』見返し

1924〜1928年に発表された「プーさん」シリーズの挿絵は、モノクロのペン画。

今回の展示のメインは、1950〜1960年代に新たに描かれた「プーさん」シリーズのカラー原画

「プーさん」の絵を描くために、何度もアッシュダウンの森に行って観察し、スケッチを重ねたE.H.シェパード。

きっと、モノクロでは表現しきれない「色」もたくさん感じ取っていたはず。

年月を経て新たに描き下ろしたカラー原画には、そんなシェパードの洗練された技術と情熱が1点1点に込められている

 

『絵本 クマのプーさん』裏表紙

『クマのプーさん プー横丁にたった家』第6話

『クマのプーさん プー横丁にたった家』第10話

 

ももちん
この原画を挿絵に使っている本はこちら。

物語抜粋の絵本

プー物語2作品合本版

 

いくつかのお話を原画と一緒に楽しめる

展示室には、「プーさん」のお話のいくつかを原画と一緒に見ることができた。

ももちんが好きなエピソードが展示されていたのが嬉しかった。

 

広がる「プーさん」

クマのプーさんドイツ語版表紙

プーさんのお料理読本表紙

「プーさん」の物語は絵本シリーズにもなったし、もちろん世界中で翻訳されている。

また物語の枠を超えて、料理の本なども刊行された。

そのときどきで、シェパードは新しい絵を制作し、「プーさん」の世界を広げ続けていたんだよね。

この部分が、「プーさん」関連作は2冊の物語と2冊の詩集の発表できっぱりやめたミルンと対照的

 

詩集のカラー原画

スロープに沿って詩の原画の展示

今回の展示でとても良かったのが、2冊の詩集『クリストファー・ロビンのうた』『クマのプーさんとぼく』のカラー原画

日本では、『クマのプーさん』『プー横丁にたった家』は有名だけど、詩集はそこまで知られていない。

書籍として刊行されているのも、日本ではモノクロペン画の挿絵のもののみ。

今回は、日本では未発表の詩集2冊合本版”The World of Christopher Robin”(1957年)と、詩集抜粋版”The Christopher Robin Book of Verse”(1967年)のカラー原画が集結。

クリストファー・ロビンの空想の世界がそのまま絵に描かれていて、それに色がつくことで、わくわくする気持ちがダイレクトに伝わってくる。

クリストファー・ロビンの世界
クマのプーさんとぼく
ぼくたちふたり

クリストファー・ロビンのおはなしの本
ハードカバー版の表紙ジャケットのための色版

クリストファー・ロビンのうたの本
クマのプーさんとぼく
ぼくたちふたり

プーさんが描かれている絵もたくさんあった。

クリストファー・ロビンの世界にプーさんの存在は欠かせないんだね。

 

クリストファー・ロビンのうたの本
せんとしかく

クリストファー・ロビンのうたの本
クマのプーさんとぼく
くらやみのなかで

いくつかの原画は、詩と一緒に展示されていた。

その詩は、子どもの頃だれもが一度は考えていたことが、そのまんまリズミカルにうたわれている

ももちん
道路の線を踏んだら死んじゃうとか、よく想像して遊んでたなあ。。

シェパードの原画から、ミルンが紡ぐ詩の魅力を改めて見させられ、詩集をもう一度読みたくなりました。

 

ももちん
この詩を読める本はこちら。(挿絵はモノクロ)

 

映像インスタレーションでゆったり

座って眺めるアッシュダウンの森の映像

四方を森の映像に囲まれ、ゆっくり

展示の途中、または最後にゆっくりできるのが、アッシュダウンの森の映像のエリア。

森の日の出から日の入りまでの風景・動物たち・草花の映像を、座ってゆっくり見ることができる。

映像だけでなく、鳥の音、森の香りがして、目を閉じると本当に森を感じる

しばらくここで深呼吸してました。

 

展示の感想おさらい

  • 百町森に迷い込んだ感覚になる
  • 「プーさん A to Z」で物語や背景を知る
  • たっぷりのカラー原画を楽しむ
  • 映像インスタレーション

 

展示を見る前に読みたい『クマのプーさん』

今回の展示は絵をじっくり味わうので、前もって絵本を読んでいなくても十分楽しめる。

だけど、展示を見る前にぜひプーさんの本を読んでみることをおすすめする。

展示では次の本の原画を見ることができるよ。

2冊合本版

絵本

詩集

 

次の記事でプーさんの本をまとめているよ。

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まとめ

クマのプーさん展まとめ。

クマのプーさん展2022ポイント

  • 1950〜60年代、E.H.シェパードが描いた原画を約100点展示
  • 作家の梨木香歩さんによる書き下ろし文章、ミュージシャンの坂本美雨さんによる詩の朗読を取り入れた演出
  • 物語の誕生や日本での広がりなどをAからZの26項目で解説
  • アッシュダウンの森の朝から夜を体験できる映像インスタレーションを展示

展示の感想

  • 百町森に迷い込んだ感覚になる
  • 「プーさん A to Z」で物語や背景を知る
  • たっぷりのカラー原画を楽しむ
  • 映像インスタレーション

 

展示に行く前に絵本を読んでから行くと、味わいが深まるよ。

 

「クマのプーさん展2022」公式サイト

 

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  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

-イベント(児童文学・絵本), 『クマのプーさん』シリーズ
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