東京・立川で開催中の「クマのプーさん展2022」に行ってきた。
イギリスの森に迷い込んだ感覚で、「クマのプーさん」のカラーの原画を思いっきり堪能できたよ。
この記事でわかること
- 「クマのプーさん展2022」の感想と楽しむポイント
- 展示を見る前に読もう!「クマのプーさん」
- 混雑状況・グッズ情報
「クマのプーさん展2022」とは?
【#プーさん展2022 🍯見どころ】
「クマのプーさん」貴重な原画約100点1950-60年代、新装版のために描かれた原画約100点(アメリカから来日!)をたっぷり展示しています。これは、岩波書店『クマのプーさん プー横丁にたった家』『絵本 クマのプーさん』の表紙や口絵に使われているお馴染みのもの。 pic.twitter.com/FR6Us09xNo
— PLAY_2020 (@PLAY_2020) July 18, 2022
1926年、A.A.ミルン作・E.H.シェパード絵で発表された児童文学『クマのプーさん』。
「クマのプーさん展2022」展では、この後の1950〜1960年代、E.H.シェパードが描き下ろしたカラー原画約100点を展示する。
クマのプーさん展2022ポイント
- 1950〜60年代、シリーズ新装版のためにE.H.シェパードが描いた原画を約100点展示
- 作家の梨木香歩さんによる書き下ろし文章、ミュージシャンの坂本美雨さんによる詩の朗読を取り入れた演出
- 物語の誕生や日本での広がりなどをAからZの26項目で解説
- アッシュダウンの森の朝から夜を体験できる映像インスタレーションを展示
『クマのプーさん』とは?
『クマのプーさん』(原題”Winnie-the-Pooh”)は、1926年に発表されたA・A・ミルンの児童文学。
1928年には同様の構成をもつ続編『プー横丁にたった家』(原題”The House At Pooh Corner”)も発表された。
『クマのプーさん』のシリーズはこの二つの物語集と、二つの詩集『クリストファー・ロビンのうた(原題”When We Were Very Young”)』(1924年)『クマのプーさんとぼく(原題”Now We Are Six”)』(1927年)の計4冊からなっている。
挿絵はいずれもE.H.シェパードが手がけている。
日本では1940年に『熊のプーさん』、1942年に『プー横丁にたった家』が石井桃子の翻訳で、岩波書店より刊行された。
参考:Wikipedia
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A.A.ミルン(作)
イギリスの作家、詩人。
1882年ロンドン生まれ。
ケンブリッジ大学に学び、風刺雑誌「パンチ」編集と執筆にたずさわる。
1956年死去。
参考:Wikipedia
E.H.シェパード(絵)
展示作品も紹介していくよ♪
プーさんの物語のはじまりは、クリストファー・ロビンが、プーをひきずりながら、階段をおりてくるところ。
バタン・バタン、ってプーのあたまがちょっと痛そうだよ。#プーさん #原画 #階段 pic.twitter.com/xq5Uzt17BM— クマのプーさん展 【公式】 (@wp2019jp) 2019年1月2日
イギリスの画家。
1879年ロンドン生まれ。
ロイヤル・アカデミーで学んだのち、風刺雑誌「パンチ」の挿絵画家として活躍。
娘のメアリー・シェパードも挿絵画家で、『メアリー・ポピンズ』シリーズで知られる。
1976年死去。
参考:Wikipedia
代表作(絵)
巡回情報
【終了】東京・立川会場
場所:PLAY! https://play2020.jp/
開催期間:2022年7月16日(土)〜10月2日(日)
【終了】愛知・名古屋会場
場所:名古屋市美術館 https://art-museum.city.nagoya.jp/
開催期間:2022年10月8日(土)~11月27日(日)
「クマのプーさん展2022」を見たきっかけ
ももちんが児童文学としての『クマのプーさん』を知ったのは大人になってから。
先に『メアリー・ポピンズ』シリーズを読んでいて、挿絵のメアリー・シェパードのお父さんが『クマのプーさん』の絵のE.H.シェパードであることを知った。
ちょうどそのタイミングで2019年の『クマのプーさん展』を見に行って、プーさんの世界が好きになりました。
前回の展示ではプーさんの鉛筆画の原画をたっぷり見ることができた。
今回は、カラーの原画を見ることができると知って、楽しみに見に行きました。
前回のプーさん展
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「クマのプーさん展2022」感想
「クマのプーさん」展2022ポイントは次のとおり。
クマのプーさん展2022ポイント
- 百町森に迷い込んだ感覚になる
- 「プーさん A to Z」で物語や背景を知る
- たっぷりのカラー原画を楽しむ
- 映像インスタレーション
百町森に迷い込んだ感覚になる
展示では、PLAY!MUSEUM特有の楕円形の展示室が『クマのプーさん』の「百町森」に見立てた空間になっている。
木の壁、風に揺れる大きな布、十分な余白をとった配置で、原画1点1点が宝物のように展示されている。
いつのまにかプーさんの森に迷い込んだ感覚で、物語と詩を体験できる。
百町森を見立てた展示室へ向かう道には、児童文学作家の梨木果歩さんが紡ぐ文の布が揺れる。
書かれているのは、百町森のモデルとなったイギリス南部にある「アッシュダウンの森」の四季の移り変わり。
プーさんにまつわる歌のような詩とともに、森の風景を感じられる。
「プーさん A to Z」で物語や背景を知る
展示は、「プーさんAtoZ」ゾーンから始まる。
ここでは「プーさん」のキャラクターについてはもちろん、A.A.ミルン、E.H.シェパードについてなど、「プーさん」にまつわるAからZまでの26項目で知ることができる。
”I”では『プーさん』を日本で初めて翻訳した石井桃子を紹介している。
項目を絞っているので一つ一つしっかり読めるし、なによりアルファベットごとの展示がかわいくて見入ってしまう。
主要キャラクターは、パネルとともにその性格を解説。
物語を知らない人にはもちろん、すでに知っている人でも、キャラクターの意外な一面が見えてくる。
物語の中で印象的な場所や物も展示。
今回の展示ではエピソードを詳しく紹介していないので、原作を読んだ人だけが「あの場面ね」とニヤニヤできる。
1文字1文字寄り道しながら、物語の中と背景を行ったり来たりして知っていく。
Zまで行くと、「プーさん」のことが立体的に理解できるようになっている。
A.A.ミルンとE.H.シェパード
AtoZの中盤、MとSのところに、「プーさん」を生んだA.A.ミルン、E.H.シェパードの紹介があった。
今回の展示では、作者の年譜とかはなく、「プーさん」シリーズ初版の原画・資料展示もほとんどない。
あくまで「百町森の空間でカラー原画を」というのがメインのなかで、この「引き算の紹介」がポイントになっていた。
今回改めて知ることができたのが、A.A.ミルンの戦争体験について。
悲惨な体験があったからこそ、「プーさん」には一切その空気を持ち込まなかった。
それは、戦争を体験したミルンが一番求めていた感覚だったのかもしれない。
たっぷりのカラー原画を楽しむ
1924〜1928年に発表された「プーさん」シリーズの挿絵は、モノクロのペン画。
今回の展示のメインは、1950〜1960年代に新たに描かれた「プーさん」シリーズのカラー原画。
「プーさん」の絵を描くために、何度もアッシュダウンの森に行って観察し、スケッチを重ねたE.H.シェパード。
きっと、モノクロでは表現しきれない「色」もたくさん感じ取っていたはず。
年月を経て新たに描き下ろしたカラー原画には、そんなシェパードの洗練された技術と情熱が1点1点に込められている。
物語抜粋の絵本
プー物語2作品合本版
展示室には、「プーさん」のお話のいくつかを原画と一緒に見ることができた。
ももちんが好きなエピソードが展示されていたのが嬉しかった。
広がる「プーさん」
「プーさん」の物語は絵本シリーズにもなったし、もちろん世界中で翻訳されている。
また物語の枠を超えて、料理の本なども刊行された。
そのときどきで、シェパードは新しい絵を制作し、「プーさん」の世界を広げ続けていたんだよね。
この部分が、「プーさん」関連作は2冊の物語と2冊の詩集の発表できっぱりやめたミルンと対照的。
詩集のカラー原画
今回の展示でとても良かったのが、2冊の詩集『クリストファー・ロビンのうた』『クマのプーさんとぼく』のカラー原画。
日本では、『クマのプーさん』『プー横丁にたった家』は有名だけど、詩集はそこまで知られていない。
書籍として刊行されているのも、日本ではモノクロペン画の挿絵のもののみ。
今回は、日本では未発表の詩集2冊合本版”The World of Christopher Robin”(1957年)と、詩集抜粋版”The Christopher Robin Book of Verse”(1967年)のカラー原画が集結。
クリストファー・ロビンの空想の世界がそのまま絵に描かれていて、それに色がつくことで、わくわくする気持ちがダイレクトに伝わってくる。
プーさんが描かれている絵もたくさんあった。
クリストファー・ロビンの世界にプーさんの存在は欠かせないんだね。
いくつかの原画は、詩と一緒に展示されていた。
その詩は、子どもの頃だれもが一度は考えていたことが、そのまんまリズミカルにうたわれている。
シェパードの原画から、ミルンが紡ぐ詩の魅力を改めて見させられ、詩集をもう一度読みたくなりました。
映像インスタレーションでゆったり
展示の途中、または最後にゆっくりできるのが、アッシュダウンの森の映像のエリア。
森の日の出から日の入りまでの風景・動物たち・草花の映像を、座ってゆっくり見ることができる。
映像だけでなく、鳥の音、森の香りがして、目を閉じると本当に森を感じる。
しばらくここで深呼吸してました。
展示の感想おさらい
- 百町森に迷い込んだ感覚になる
- 「プーさん A to Z」で物語や背景を知る
- たっぷりのカラー原画を楽しむ
- 映像インスタレーション
展示を見る前に読みたい『クマのプーさん』
今回の展示は絵をじっくり味わうので、前もって絵本を読んでいなくても十分楽しめる。
だけど、展示を見る前にぜひプーさんの本を読んでみることをおすすめする。
展示では次の本の原画を見ることができるよ。
2冊合本版
絵本
詩集
次の記事でプーさんの本をまとめているよ。
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まとめ
クマのプーさん展まとめ。
クマのプーさん展2022ポイント
- 1950〜60年代、E.H.シェパードが描いた原画を約100点展示
- 作家の梨木香歩さんによる書き下ろし文章、ミュージシャンの坂本美雨さんによる詩の朗読を取り入れた演出
- 物語の誕生や日本での広がりなどをAからZの26項目で解説
- アッシュダウンの森の朝から夜を体験できる映像インスタレーションを展示
展示の感想
- 百町森に迷い込んだ感覚になる
- 「プーさん A to Z」で物語や背景を知る
- たっぷりのカラー原画を楽しむ
- 映像インスタレーション
展示に行く前に絵本を読んでから行くと、味わいが深まるよ。
プーさんの記事
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