書評(小説・児童文学)

『クマのプーさん』本の感想。英国発!世界一有名なクマの児童文学。

投稿日:2019年2月27日 更新日:

『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年


このまえ「クマのプーさん展」に行って、本を読んでなかったことを後悔したので、さっそく読んでみた。

読んでみて、大人になりすぎた自分と、新しい考え方を知ったよ。

今回は、岩波少年文庫『クマのプーさん』を紹介するよ。

こんな方におすすめ

  • 児童文学『クマのプーさん』の見どころを知りたい
  • 「クマのプーさん展」を観に行く前に本を読んでおこうと思っている
  • どの出版社のプーさんを読んだらいいかわからない
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1.背景

左上『クマのプーさん』石井桃子訳、岩波書店、2000年
右上『プー横丁にたった家』石井桃子訳、岩波書店、2000年
左下『クリストファー・ロビンのうた』小田島雄志・小田島若子訳、河出書房新社、2018年
右下『クマのプーさんとぼく』小田島雄志・小田島若子訳、河出書房新社、2018年
いずれもA.A.ミルン作、E.H.シェパード絵

『クマのプーさん』(原題”Winnie-the-Pooh”)は、1926年に発表されたA・A・ミルンの児童文学。

1928年には同様の構成をもつ続編『プー横丁にたった家』(原題”The House At Pooh Corner”)も発表された。

『クマのプーさん』のシリーズはこの二つの物語集と、二つの詩集『クリストファー・ロビンのうた(原題”When We Were Very Young”)』(1924年)『クマのプーさんとぼく(原題”Now We Are Six”)』(1927年)の計4冊からなっている。

挿絵はいずれもE.H.シェパードが手がけている。

日本では1940年に『熊のプーさん』、1942年に『プー横丁にたった家』が石井桃子の翻訳で、岩波書店より刊行された。

参考:Wikipedia

A.A.ミルン(作)

A.A.ミルン1922年

1882-1956。イギリスの作家、詩人。

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E.H.シェパード(絵)

1879-1976。イギリスの画家。

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石井桃子(訳)

1907-2008。埼玉県生まれ。日本の児童文学作家・翻訳家。

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岩波少年文庫について

岩波書店は1940年、石井桃子の翻訳により、日本で最初に『クマのプーさん』を刊行した。

以降、A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳の「クマのプーさん」作品の出版に力を入れている。

2019年2月現在、29冊のクマのプーさん関連作品を出している。

『クマのプーさん』だけでも、装丁を変えて4種類出ている。

岩波書店公式サイト「クマのプーさんの本」のページ

2.本の内容紹介

世界一有名なクマ、プーさんが活躍する楽しいファンタジー。

幼い少年クリストファー・ロビンが、美しいイギリスの森を舞台に、プーやコブタ、ウサギ、ロバのイーヨーなど、仲よしの動物たちとゆかいな冒険をくりひろげます。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

主な登場人物

プーと仲間たちの紹介。「クマのプーさん展」にて撮影

クリストファー・ロビン・・・仲間たちに頼りにされている、森で一番かしこい少年。プーのことが大好き。

プー・・・ハチミツが大好きな、心優しいクマ。

コブタ・・・プーの一番の友人のコブタ。気は小さいけど、仲間想い。

フクロ・・・森一番の物知りのフクロウ。難しい言葉を使いたがる。

ウサギ・・・みんなのまとめ役だが、せっかちでたまに失敗をする。

イーヨー・・・とても悲観的な性格の、年取ったロバ。

カンガ&ルー・・・カンガルーの親子。愛情深い母親のカンガと好奇心いっぱいのルー坊や。

参考:「MOE」2019年3月号

エピソード一覧

物語は、まえがきとお話で構成されている。

お話のタイトルは次のとおり。

  1. わたしたちが、クマのプーやミツバチとお友だちになり、さて、お話ははじまります
  2. プーがお客にいって、動きのとれなくなるお話
  3. プーとコブタが、狩りに出て、もうすこしでモモンガーをつかまえるお話
  4. イーヨーが、しっぽをなくし、プーが、しっぽを見つけるお話
  5. コブタが、ゾゾに会うお話
  6. イーヨーがお誕生日に、お祝いをふたつもらうお話
  7. カンガとルー坊が森にやってきて、コブタがおふろにはいるお話
  8. クリストファー・ロビンが、てんけん隊をひきいて、北極へいくお話
  9. コブタが、ぜんぜん、水にかこまれるお話
  10. クリストファー・ロビンが、プーの慰労会をひらきます そして、わたしたちは、さよならをいたします
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3.本を読んだきっかけ

ももちんが『クマのプーさん』を読んでみたいと思ったのは、渋谷で開催中の「クマのプーさん展」に行ったから。

もともとイギリスの風景や雑貨が好きなので、好奇心だけで、本を読まずに「クマのプーさん展」を観に行ったんだよね。

展示はめっちゃ良かった!

だけど、物語をよく知らないので、原画の一つ一つが、どの場面を描いているのかがわかりにくかったんだよね。

後日改めて、本をちゃんと読んでみようと思って、手に取ったのがきっかけ。

A.A.ミルンの物語とE.H.シェパードの絵、両方を楽しめる岩波少年文庫を選びました。

クマのプーさん展公式サイトはこちら。

4.本を読んだ感想

『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

『クマのプーさん』の物語は、100%「ほのぼの」でできている。

汚れがない。みんなありのまま。やさしい。ってのが全体の印象。

「そのままでいいんだよ」

やさしさしかない場所から、プーと仲間たちが呼びかけてくれている。

4-1.大人がなかなか入りこめない?

大人になってから初めて読む『クマのプーさん』は、入り込むのに時間がかかる。

児童向けの読みにくさ

ももちんが読んだのは岩波少年文庫の『クマのプーさん』。当然子ども向けなんだよね。

ひらがなが多く、すらすら読み進めない。

石井桃子の翻訳は古風で味があるんだけど、『クマのプーさん』特有の言い間違い、書き間違いの場面、マジで読みづれえ(笑)

戸たたきの下には、はり紙がしてあって、

ごよのあるしとひぱてください

と書いてあり、鈴ひもの下にも、はり紙がしてあって、

こよないしとたたてください

と書いてありました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

あ、本当はこう言いたいんだね、とわかるまで何度も読み返す。

読者には読みづらいけど、一方で「プーさん」の世界観に忠実なその言葉づかい

なれるまで時間がかかった。

設定が素敵すぎる

初めに登場するのは、ぬいぐるみのクマを大事にしている男の子、クリストファー・ロビンとお父さん。

クリストファー・ロビンが寝る前に、お父さんにお話をせがみにやってくる

語られるのは、ぬいぐるみと仲間たちが織りなす純粋無垢な物語たち。

もうね、設定も内容も、なんか素敵すぎるのね。

現実世界にまみれているももちんは、そんなプーさんの世界になかなか入りきれなかった

しょせん、おとぎ話の世界よね・・・って思った。

大人から子どもに歩調を合わせる

読み初めは、「つらい・・・」と思った『クマのプーさん』。

だけど読んでいくうちに、プーさんと仲間たちのそのまんまのやさしさに、いつしか癒されていることに気づく。

きっと、プーさんたちは、それをやさしさだと思っていない。

何かをしてあげるやさしさの前に、全体にあるのは、「お互いがそのままでいることを許しあっている」というやさしさ

現実では短所とみられがちな、「頭が悪い」「悲観的」「見栄っ張り」みたいなところだって、自分も他の人もジャッジしたり非難したりしない。

それぞれが究極にありのままであることに、いつのまにか居心地の良さを感じるんだよね。

4-2.プー

『クマのプーさん』で一番よく登場するのは、もちろんクマのプー。

プーは、クリストファー・ロビンの持っているぬいぐるみのクマなんだけど、お話の中では森の中に住んでいて、動いたり話したりする。

自分で自分をハッピーに

プーは、頭の回転がちょっと鈍くて、食いしん坊のクマ。

何より好きなのはハチミツ!

お話の中では、ハチミツをおいしそうに食べるプーに心があたたまる。

なにかひと口どう?

プーは、いつも午前十一時には、なにかひと口やるのが、すきでした。そこで、いま、ウサギが、お皿や茶わんをとりだすのを見ると、たいへんうれしく思いました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

ももちんはお茶の時間が大好きなので、プーが友だちと「なにかひと口」やる場面を読むとほっこり幸せになった。

プーは自分の家にもハチミツのツボをたくさん持っている。

自分の一番好きなものをよくわかって、ちゃんと大事にしてあげる

それを自然にやっているプーが素敵だな、と思った。

気にしない

プーさんの一番好きなところは、なにごとも気にしないところ

お話の中でプーが登場すると、自然と鼻歌が聞こえてくるみたい。

もちろん、いろんな失敗もするし、「いやんなっちゃう!」ってつぶやくこともたくさんあるけど、次の瞬間には忘れてる。

それに、そんなプーのことをみんなが大好きなんだよね。

「ぼくは、ばかだった、だまされてた。ぼくは、とっても頭のわるいクマなんだ。

きみは、世界第一のクマさ。」クリストファー・ロビンが、なぐさめるようにいいました。

「そうかしら?」と、プーは少し元気になり、それから、きゅうに元気いっぱいになると、

ともかくも、もうかれこれ、おひるの時間だ。」と、いいました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

自分を責めすぎず、引きずらないところ、とってもいいよね。

ヒーローの一面

お話では、プーの友だちへの思いやりが伝わってくる場面がたくさんある。

年取ったロバのイーヨーがしっぽをなくしたときも、プーは自分がしっぽを見つけると言う。

そして実際に見つける。

洪水で家に閉じ込められたコブタを助けるときも、プーのひらめきが大活躍。

ふだんはのほほんとしているプーだけど、ときには友だちのために自分から行動して、実際に感謝されるというヒーロー的一面もあるんだよね。

4-3.クリストファー・ロビン

クリストファー・ロビンは、現実とお話の世界のつなぎ役

現実ではプーはぬいぐるみってわかっているけど、お話の中では、森に住んで、プーや動物たちとおしゃべりして過ごしてる。

お話の中に登場する唯一の人間でもあるんだけど、主役という感じではないんだよね。

プーや仲間たちが繰り広げるお話の中で、あくまで登場人物のひとりとして存在するクリストファー・ロビンは、どこか大人びて見える

人間の子どもらしさ

クリストファー・ロビンは、プーや動物たちよりかしこい。

だからところどころで、プーや動物たちをちょっとバカにしたり、笑ったりするんだよね。

人間の子どもならではの利口さと優しさ、どちらもある。

「ばっかなクマのやつ!」

プーはお話の中で、ちょいちょい変な提案をしたり、失敗もしたりする。

そんなとき、クリストファー・ロビンが心の中でいうのが「ばっかなクマのやつ!」というセリフ。

プーさんの世界では、誰もそんなこと思ったりしないのかな?って思ってたけど、違った。

クリストファー・ロビンは心の中でそんなセリフを言いながらも、プーにその言葉を直接は言わないんだ。

思ってることをそのまま言わないかしこさと、プーへの思いやりが伝わってきた。

ちなみに、角川文庫版の『クマのプー』では、このセリフは「おばかなクマぼう!」だし、

新潮文庫版の『ウィニー・ザ・プー』では、「バカなくまちん」となっている。

翻訳によってずいぶん印象が変わるよね。

さらに詳しく

意外と冷静

プーとコブタが自分の足跡をモモンガーとかん違いするお話がある。

クリストファー・ロビンは、すぐに声をかけずに、木の上からその様子をしばらく見てるんだよね。

途中で「おばかさん。」と声をかけるんだけど、なんかクリストファー・ロビン、大人だな。って思った。

友だちのプーやコブタに会ったからって飛びつくわけじゃない、観察力のある男の子なんだよね。

コブタがプーをゾゾと間違えて大慌てしたときも、クリストファー・ロビンは冷静。

「ほら、あれ、ゾゾの音、きこえるでしょう?」近づくと、コブタは、心配そうに聞きました。

「なんかはきこえるね。」クリストファー・ロビンもいいました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

一緒になって怖がらないし、かといって否定もするわけじゃない。

こういうところ、ちょっとももちんと似てるなって思って共感した。

コブタに笑いぬく

ももちんがクリストファー・ロビンかわいいなって思ったのは、コブタがプーをゾゾと間違えて大慌てしたとき。

最後に、こわがっていた相手がプーだとわかって、クリストファー・ロビン、めっちゃ笑うんだよね。

すると、きゅうに、クリストファー・ロビンは笑いだし・・・笑って・・・笑って・・・笑いぬいたんです。そして、まだそうやって、笑っているうちにーガッチャン! ゾゾの頭が木の根へぶつかり、メチャリとつぶれたつぼのなかから、あらわれ出たのは、プーの頭でした。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

笑いぬくクリストファー・ロビンを見て、心が和みました。

プーのことが大好き

クリストファー・ロビンはプーのことが大好き。

プーが大好きってことを、思ってるだけじゃなく、言葉にして素直に伝えてるところもとってもいいなって思った。

ああ、プー・クマ!」と、クリストファー・ロビンはいいました。「ぼくは、きみがとってもすきなんだよ!

ぼくだってさ。」と、プーはいいました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

クリストファー・ロビンの気持ちに、素直に答えるプーも素敵。

見習いたいなって思った。

4-4.それぞれ魅力ある個性

『クマのプーさん』は、プーとクリストファー・ロビンだけの物語じゃないんだよね。

こんなにも個性豊かなキャラクターたちがいること、読んでみて初めて知った。

コブタ

「あなたもコブタのように勇敢になったことがありますか?」

コブタは、現実ではプーと同じくクリストファー・ロビンのぬいぐるみ。

お話の中では、百町森に暮らすプーの親友なんだよね。

気が小さいなんだけど、プーと一緒に「狩り」にでかけたり、わなを仕掛けたり、いろんな事して遊ぶのが大好き。

E.H.シェパードの絵では、プーとの対比でめっちゃちっちゃく描かれているのもかわいい。

ももちんがほっこりしたのは、「トオリヌケ・キ」の看板(トオリヌケ・キンシが欠けたもの)を、自分のおじいさんの名前だと言って、誇りをもって家の前に立てているところ。

プーとの何気ない会話にやさしさも感じるんだよね。

次作の『プー横丁にたった家』では、勇敢になったり、やさしさを発揮したり、さらに活躍する。

イーヨー

あなたは、どうやって友だちを喜ばせますか?

ロバのぬいぐるみのイーヨー。

お話の中では、年取ったロバとして、じめじめしてさびしい湿地に暮らしている

イーヨーは、悲観的で暗い性格。

それで、あなたのごきげんは、いかがです?」と、プーはいいました。

イーヨーは、首を横にふりました。

あんまりいかがじゃなくてな。」と、イーヨーはいいました。「もうよほどながいこと、いかがという気はしたことがなくてな。

そりゃそりゃ。」と、プーはいいました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

プーの受け答えも秀逸(笑)

こんな性格のイーヨーだから、しっぽをなくしたり、誕生日を忘れられたり、ちょっとした悲しい出来事がよくおこる。

和気あいあいとした仲間の中でも一人落ち込んでいたりするけど、れっきとした仲間の一人。

悲観的な性格もそのまんまでOKしてもらえるって、人間関係じゃあまりないことだから、新鮮に感じた。

プーとコブタが、ハチミツをなめちゃったあとの空っぽのつぼと、割れてしまった風船をイーヨーにプレゼントしたときの反応がかわいい。

イーヨーは、つぼを見ると、すっかり夢中になってしまいました。

「そうじゃ。」と、イーヨーはいいました。「わしの風船は、このなかへはいるぞ。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

この瞬間、たぶんイーヨーが一番うれしかった瞬間なんだろなー。

フクロ

クマのプーさん展で発見したフクロ

フクロはぬいぐるみではなく、野生のフクロウをモデルにしたキャラクター。

森一番の物知りで、難しい言葉を使いたがる

だけど、どんなに難しい言葉を偉そうに使っても、それがわかる聞き手がいないから、おかしなことが起きるんだよね。

「まず、あのなんですって?-あなた、お話の途中でくしゃみをなさったものだから。」(中略)

わたしはね、『まず薄謝!』といったのです。

ほら、また、した。」と、プーはかなしそうにいいました。

「薄謝ですっ!」と、フクロは、大きな声でいいました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

「薄謝(はくしゃ)」をくしゃみと間違えるプーさん(笑)

こういうやりとりがところどころにあっておもしろい。

ウサギ

あなたは困ったとき、だれに助けてもらいますか?

ウサギも、フクロと同じく、野生のウサギをモデルにしたキャラクター。

みんなをまとめたがり、しきりたがる性格。

森に新入りのカンガとルー親子が来たとき、カンガ&ルーを森から追い出すために、いち早く計画を練るのがウサギ

最初から仲間として受け入れないところが、なんだか人間っぽい。

その「ルー坊捕獲計画」でとくいげに指揮をとるのはいいとして、おもしろいのが、どんな反応をするべきかまで考えてるところ。

「すると、カンガが、『ルー坊は、どこへいっちゃったんでしょう?』と、いうだろう。そしたら、ぼくらで、『あはァ!』っていってやるのさ。」

「あはァ!」と、プーは、れんしゅうしました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

精いっぱい勝ち誇った感じで「あはァ!」というところまで考えてる(笑)

プーやコブタには、その意味はよくわかっていないんだけど、いっぱい「あはァ!」を練習するところもかわいい。

結局この計画は失敗し、カンガとルー親子は森の仲間として受け入れられる。

カンガとルー

クマのプーさん展で発見したカンガとルー

『クマのプーさん』の後半から登場するのが、カンガルーの親子、カンガとルー。

カンガとルーはぬいぐるみなので、大きさはプーたちと同じくらい。

母親のカンガは、まるで人間の母親のような愛情で、ルー坊やに接する

次作『プー横丁にたった家』では、トラの子どものトラーが登場するんだけど、トラーのこともまるで自分の子どものように受け入れるんだよね。

ちょっとこの愛情が、『クマのプーさん』の中では異質な感じ

「母親」というキャラクターが強調されていて、ももちんはちょっと苦手。

初めはウサギたちにいたずらされるカンガ&ルーだけど、すぐに仲間になる。

4-5.ありのままのプーと仲間たち

個性豊かなプーと仲間たち。

それぞれのキャラクターが、反対と言ってもいいくらい、全然違っているんだよね。

楽観的なプーと、悲観的なイーヨー。

物知りのフクロと、頭の回転が鈍いプー。

仕切りたがりのウサギ、気の小さいコブタ。

人間の世界では、長所、短所って言われそうだけど、百町森では、ひとつひとつが「個性」なんだよね。

良い悪いがない。

口で言うのは簡単なんだけど、ジャッジなく違いを受け入れるって、すごく難しいこと。

それぞれがありのままで、ゆるーく自然な姿が素敵だと思った。

わかってるふりでうまくいく

お互い、よくわかってないんだけど、なんとなくわかっているふりするときって、あるよね?

『クマのプーさん』も、そんな場面たくさんある。

100%理解することは重要じゃないんだよね。

ゾゾを知らないのに知ってるふり

ゾゾ(ゾウのこと)を見た話をするクリストファー・ロビンに、受け答えをするプーとコブタ。

ふたりとも、ゾゾがなんだかわかってないんだけど、それが何か聞くなんてことはしない。

「ぼくも見た。」と、プーがいいました、ゾゾって、どんなもんだろうなとかんがえながら。

「そんなにちょいちょい見るもんじゃないさ。」と、クリストファー・ロビンが、またなんでもなさそうにいいました。

すると、コブタが、「いまはね。」と、いいました。

「いまは、時期はずれだから。」と、プーもいいました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

わからないことははっきり聞くべき、という考えがくつがえされた。

わかったふりして、ふんふん言っててもいいんだね

なんか心が軽くなった。

間違いだらけだが誰も気づかない

イーヨーへの誕生日祝いを用意したプーは、フクロに「お誕生日御祝い」と書いてもらいに行くんだ。

フクロは、なんとなく、そんな感じのことを書いて、まぎらわす。

おたじゃうひ たじゅやひ おたんうよひ おやわい およわい

プーは、ほれぼれと、それを見物しました。

なに、ちょっとお誕生日御祝いと書いただけのことです。」と、フクロは、なんでもなげにいいました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

間違っていることに気づかないプーは、それを喜ぶ。

できないこともできてるふりしていいんだ

またまた心が軽くなった。

飽きたら終了でいい

人間の世界では、最後までやり抜くのが良いことで、飽きてやめちゃうのは良くないことってされがちだと思わない?

ももちんも、一度始めたら最後までって思ってるから、プレッシャーかけて、興味があってもなかなか手をつけられないってことある。

だけど、プーさん読んでて思った。

飽きたらやめちゃってもいいんだよ

北極探検?

クリストファー・ロビンは、森のみんなを集めて探検にでかける。

目標とするのは、ノース・ポール(北極)。

だけど、実は、クリストファー・ロビン自身も、ノース・ポールって何のことなのかわかってないんだよね。

「プー。」と、クリストファー・ロビンはいいました。「きみ、その棒、どこで見つけた?

プーは、じぶんのもってる棒を見ました。そして、

ぼく、ただめっけたんです。それで、役にたつだろうと思って、ひろってきたんです。」

「プー。」クリストファー・ロビンは、おもおもしくいいました。「探検はおわった。きみは、北極を発見したんだよ。

「ああ!」と、プーはいいました。

引用元:『クマのプーさん』A.A.ミルン作、E.H.シェパード絵、石井桃子訳、岩波書店、2000年

プーが川で見つけた棒を「ノース・ポール」とみなし、発見したと宣言するクリストファー・ロビン。

たぶん、飽きちゃったんだと思うんだ・・・。

飽きたら、こんなに堂々とやめていいんだ。しかも、「最後までやった」ふりしてもいいんだ

なんか新しい考え方を見たような気がした。

4-6.シェパードの絵

「クマのプーさん展」に行ってわかったのは、『クマのプーさん』 はA.A.ミルンの文に、E.H.シェパードの絵が合わさって、初めて『クマのプーさん』なんだ、ということ。

A.A.ミルンとE.H.シェパードは直接の話し合いを重ね、ふたりで『クマのプーさん』を作り上げていったんだよね。

そんなE.H.シェパードが描く森やキャラクターは、どれも味わい深い。

実際にモデルになっているというイギリスの森の空気が感じられ、動物たちの描写もいきいきとしている。

表情は点と線だけでシンプルなのに、絵から会話が聞こえてきて、愛着がわいてくる。

クリストファー・ロビンは真正面から描かれていなくて、横顔やしぐさから子どものかわいらしさが伝わってくる。

挿絵が違うと、物語の世界観も全く変わってくるということが、ほかの挿絵のプーさん(角川文庫、新潮文庫)を読んでみてもわかる。

5.【開催中】クマのプーさん展2019

引用元:クマのプーさん展 CM映像/クマのプーさん展公式サイト 

現在、東京・渋谷で「クマのプーさん展」開催中。

貴重な制作資料や写真、手紙などで、「クマのプーさん」誕生秘話を知ることができておもしろかった!

今回紹介したE.H.シェパードの鉛筆素描画をはじめとする作品200点以上を見ることができるよ。

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6.他出版社の『クマのプーさん』

今回の記事は、石井桃子翻訳の岩波少年文庫『クマのプーさん』(2000年)をもとに書いた。

『クマのプーさん』は2019年3月現在、岩波書店以外で2社から出版されているよ。

それぞれの出版社ごとに、翻訳者や特徴をあげておく。

角川文庫『クマのプー』

角川文庫より2017年に刊行されたのは、直木賞作家の森絵都による新訳『クマのプー』。

単純に大人向けに漢字多めというところもあるし、表現が現代語なので、すらすら止まらずに読める

森絵都自身が児童文学も書くので、キャラクターのツボを心得てて、かつわかりやすいんだよね。

挿絵を担当したのは、佐藤さとる「コロボックル」シリーズの挿絵でも有名な村上勉

電子書籍版では、村上勉の挿絵をカラーで楽しむことができるよ。

新潮文庫『ウィニー・ザ・プー』

『ウィニー・ザー・プー』A.A.ミルン作、阿川佐和子訳、100%ORANGE絵、新潮社、2016年

新潮社より2016年に刊行された『ウィニー・ザ・プー』は、エッセイストでテレビにもよく出ている阿川佐和子による新訳

大人向けの単行本なので、やはり漢字多用・ふりがな少なめという点では、石井桃子訳より読みやすい。

阿川佐和子訳は、読んでいて、全体的に甘さというか、柔らかさを感じた。

挿絵を手がけたのは、人気イラストレーターの100%ORANGE

次の記事で各社の『クマのプーさん』シリーズをまとめたので、参考にしてみてね。

関連映画も出ているので、あわせて紹介しています。

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まとめ

小説『クマのプーさん』見どころまとめ。

プーさん感想

  • 純粋すぎて大人が入り込めない
  • いったん入り込めると優しい世界が広がる
  • 石井桃子の名訳は味があってわかりにくい
  • どの個性も素敵
  • シェパードの絵がいい

プーさんが教えてくれたこと

  • そのままでいいんだよ
  • 気にしなくていいんだよ
  • 素直に伝えてごらん
  • どの個性も素敵だよ
  • わかってるふりしていいんだよ
  • 飽きたらやめていいんだよ

続編の『プー横丁にたった家』とセットで読むと、プーさんの世界をより深く味わえるよ。

続編はこちら。

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