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国土社「世界名作文学集」の『赤毛のアン』感想。落ち着いた訳が魅力

2018年8月6日

モンゴメリ『赤毛のアン』前田三恵子訳、国土社、2004年

国土社「世界名作文学集」シリーズは、2004年に刊行された全10冊の児童文学集。

その中の1冊に『赤毛のアン』がある。児童向けなのに格調高い落ち着いた訳で、物語を楽しめる。

この記事で紹介する本

世界名作文学集『赤毛のアン』

『赤毛のアン』(原題”Anne of GreenGables")は1908年、にカナダの女流作家、ルーシーモード・モンゴメリにより出版された。

日本では、村岡花子の翻訳により、三笠書房より1952年、のちに新潮文庫より1954年に出版。

ルーシー・モード・モンゴメリの著作の中で最も有名な1冊でもあり、実写映画化やアニメ化、舞台化もされている。

モンゴメリ紹介

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前田三恵子(まえだ・みえこ)(訳)

1930年(昭和5年)東京に生まれる。

お茶の水女子大学英文学科卒業。その後アメリカにわたり児童文学を研究し、英米児童文学の翻訳紹介にたずさわる。

出典元:モンゴメリ『赤毛のアン 世界名作文学集』前田三恵子訳、国土社、2004年

代表作(翻訳)

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『世界名作文学集』(国土社)について

今回レビューする『赤毛のアン』は、2004年に国土社より出版されたもの。

『世界名作文学集』(国土社)として、前田三恵子翻訳で製作されたハードカバー。

1990年、国土社から「世界の名作全集」が全30冊で刊行された。

2003~2004年、「世界名作文学集」として、選りすぐった10冊を再版した。

小学校高学年以上向け。

 

『世界名作文学集』ラインナップ

  • 宝島
    ロバート・ルイス・スチーブンソン著、白木茂訳
  • ふしぎの国のアリス
    ルイス・キャロル著、原昌訳
  • トム・ソーヤーの冒険
    マーク・トウェイン著、吉田新一訳
  • オズの魔法使い
    ライマン・フランク・ボーム著、谷本誠剛訳
  • 赤毛のアン
    ルーシー・モード・モンゴメリー著、前田三恵子訳
  • みつばちマーヤの冒険
    ワイマル・ボンゼルス著、高橋健二訳
  • 飛ぶ教室
    エーリヒ・ケストナー著、植田敏郎訳
  • レ・ミゼラブル
    ヴィクトール・ユゴー著、榊原晃三訳
  • 聖書物語
    バン・ローン著、片岡正昭訳
  • アラビアン・ナイト
    かのりゅう編訳

 

世界名作文学集『赤毛のアン』感想

物語の内容そのものについての感想は、新潮文庫版『赤毛のアン』レビュー記事に書いています。

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ここからは、世界名作文学集(国土社)『赤毛のアン』について書いていくよ。

ぱっと見の特徴

モンゴメリ『赤毛のアン』前田三恵子訳、国土社、2004年

表紙は『世界名作文学集』10冊に共通の、飯野和好の装画。

開いてみると、挿絵は一切なく、文字だけ。

文庫本の小説がそのまま読みやすいハードカバーになった感じ。

その分物語に落ち着いて入っていけるので、シンプルに物語を楽しみたい人におすすめ。

 

翻訳

翻訳を担当したのは、数多くの児童文学の翻訳を手がける前田三恵子。

ルビは小学校高学年以上に習う漢字にふられている。

文章以外の資料の少なさから見ても、ある程度活字になじんでいる小学校高学年~中学生にちょうどいいと感じる。

 

表記の違い

多くの人の『赤毛のアン』のベースになっているのが、村岡花子翻訳のものだと思う。

今回紹介する前田訳は、村岡訳と単語の訳し方が違っている。

村岡訳「アボンリー」→前田訳「エイヴォンリー」

村岡訳「いちご水」→前田訳「ラズベリー・シロップ」

前田訳は原作の語感を残している表記が多い。

 

省略されている部分

国土社世界名作文学集の『赤毛のアン』は、原作より4章分省略されて翻訳されている。

また、各章の内容もところどころ省略されている。

マシュウがアンにふくらんだ袖のドレスをプレゼントする章では、お店でのとんちんかんなやりとりをする様子が省略されている。

あくまで児童向けの抄訳版であるので、これを読んでひかれたら、ぜひ完訳版も読んでみてね。

新潮文庫版『赤毛のアン』国土社『赤毛のアン』
第1章 レイチェル・リンド夫人の驚き1 リンド夫人のおどろき
第2章 マシュウ・クスバートの驚き2 マシュウ=カスバートのおどろき
第3章 マリラ・クスバートの驚き3 マリラ=カスバートのおどろき
第4章『グリン・ゲイブルス』の朝4 グリーンゲイブルズの朝
第5章 アンの身の上5 アンの身のうえ話
第6章 マリラの決心6 マリラ、心をきめる
第7章 アンのお祈り7 アンがとなえたお祈り
第8章 アンの教育8 アンの養育がはじまった
第9章 レイチェル・リンド夫人あきれかえる9 リンド夫人、あきれかえる
第10章 アンのおわび10 アンのおわび
第11章 アン日曜学校へ行く11 日曜学校へ行ったアン
第12章 おごそかな誓い12 誓いと約束
第13章 待ちこがれるピクニック13 期待のよろこび
第14章 アンの告白14 アンの告白
第15章 教室異変15 学校でのひとさわぎ
第16章 ティー・パーティの悲劇16 悲劇の招待
第17章 新しい刺激17 人生への新しい興味
第18章 アンの看護婦18 アンの応急手当
第19章 音楽会と災難と告白19 思わぬ事件、告白
第20章 行きすぎた想像力(省略)
第21章 香料ちがい(省略)
第22章 アンお茶に招かれる20 お茶にまねかれたアン
第23章 アンの名誉をかけた事件21 アンの名誉のために
第24章 音楽会(省略)
第25章 マシュウとふくらんだ袖22 新調のドレス
第26章 ストーリークラブの結成(省略)
第27章 虚栄の果て23 虚栄と苦悩
第28章 たゆとう小舟の白ゆり姫24 不運な白ゆり姫
第29章 忘れられないひとこま25 記念すべきできごと
第30章 クイーン学院の受験26 受験クラスつくられる
第31章 二つの流れの合うところ27 広い流れへ
第32章 合格者発表28 合格者発表
第33章 ホテルの音楽会29 ホテルの音楽会
第34章 クイーンの女学生30 クイーンズ学院の女学生
第35章 クイーン学院の冬31 クイーンズ学院での冬
第36章 栄光と夢32 栄光と夢
第37章 死のおとずれ33 死のおとずれ
第38章 道の曲り角34 道のまがり角

 

脚注・解説

本文中に注釈や解説、資料は一切ないので、時代背景などの学習用ではない。

巻末の前田三恵子による解説では、モンゴメリと『赤毛のアン』についての概要がさらっと載っている。

 

前田三恵子翻訳のもう1冊の『赤毛のアン』

翻訳家の前田三恵子は、国土社『世界名作文学集』以外にも、児童向け『赤毛のアン』の翻訳をてがけている。

それが、集英社『子どものための世界文学の森』の『赤毛のアン』。

集英社「子どものための世界文学の森」は、子どものうちに、ぜひ読んでおきたい世界の名作40編を精選。

作品理解を深めるために、ページの余白にコラムや用語解説などをふんだんに掲載。

『赤毛のアン』は、全40巻のうち第9巻。

国土社『世界名作文学集』は挿絵が一切ないけど、こちらは挿絵が多く、文の量は少ない。

児童書のイラストを数多く手がける山野辺進の挿絵。

小学校中学年以上向け。141ページ。集英社、1994年。

 

まとめ

国土社『世界名作文学集』の『赤毛のアン』みどころまとめ。

  1. 「世界名作文学集」について
  2. 小学校高学年以上向け
  3. 前田三恵子訳が素敵
  4. 挿絵や注釈はないので、純粋に物語を楽しむ用。

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  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

-書評(小説・児童文学), 『赤毛のアン』シリーズ
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