『ムーミン谷の十一月』はトーベ・ヤンソンの小説「ムーミン」シリーズの最後の作品。
ムーミン一家が不在のムーミン屋敷に、6人のキャラクターが集まり、共同生活をはじめる。
衝突をくりかえしながらも、少しずつ絆を深めていく。
この記事で紹介する本
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『ムーミン谷の十一月』とは?
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『ムーミン谷の十一月』(原題”Sent i november”)は、フィンランドの女流作家・画家のトーベ・ヤンソンにより、1970年に刊行された。
1945~1970年に刊行された小説「ムーミン」シリーズ全9作のうち最後の作品。
日本では1968年、鈴木徹郎訳で講談社より刊行された。
参考:Wikipedia
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鈴木徹郎(訳)
児童文学者、翻訳家。
1922年、長野県生まれ。
東京帝国大学(現東京大学)中退。
宣教師からスウェーデン語を教わり北欧文学の道に入る。スウェーデン語、デンマーク語を習得。
1990年没。
参考:Wikipedia
登場人物
- スナフキン:ムーミントロールの親友。自由と孤独、音楽を愛する旅人。
- ミムラねえさん:ミムラ兄弟姉妹の長女。しっかり者でさばさばした性格。
- スクルッタおじさん:気味が悪いほど年をとった、わすれんぼうのおじいさん。
- ヘムレン:ムーミン谷を懐かしんでやってくる。周囲の世話を焼いて回る。
- ホムサ=トフト:ヘムレンさんのヨットに住んでいた、思慮深い少年。
- フィリフヨンカ:几帳面できれい好きの女性の生き物。神経質でちょっとめんどくさい性格。
- ご先祖さま:毛むくじゃらの小さな生き物。ムーミン族の先祖といわれている。
参考:Wikipedia
あらすじ
冬眠に入るまえの十一月。いやしをもとめ、ムーミンやしきに集まったフィリフヨンカ、ホムサ、ヘムレン、スナフキンたち。けれども、ムーミン一家は旅に出ていて・・・。(中略)
トーベ・ヤンソンがおくるムーミン童話の最終巻!
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
第1章 スナフキン、旅に出る
秋がきて、スナフキンはムーミン谷から南へ向かう。
歩きながらフィリフヨンカの家、ミムラねえさん、ヘムレンさんの住宅地を見る。
ホムサ・トフトはヘムレンさんのボートで眠り、スクルッタおじさんはスナフキンに声をかける。
第2章 ホムサは、お話を作るのが大すき
ヘムレンさんのボートに住むホムサ・トフトは大好きなムーミン谷に行くお話をつくる。
ある日、本当にムーミン谷に行くことにする。
第3章 フィリフヨンカの大冒険
フィリフヨンカは冬ごもりの前の大掃除をして窓から落ちそうになる。
危機一髪で助かったフィリフヨンカは気分が変わり、ムーミン屋敷を訪ねることにする。
第4章 スナフキンと五つの音色
南へ旅を続けるスナフキンは、雨の曲を作るのに必要な「五つの音色」をムーミン谷においてきたことに気づき、帰ることにする。
第5章 ヘムレンさんは自分がきらい
ヘムレンさんはかわりばえのしない毎日とヨットに乗れない自分に嫌気がさす。
楽しかったムーミン屋敷での夏を思い出し、ムーミン屋敷を訪ねるが誰もいない。
第6章 魔法の水晶玉
ホムサ・トフトがムーミン谷につくとヘムレンさんがいて、ともにムーミン屋敷で過ごす。
その夜、スクルッタおじさんがムーミン屋敷を訪れる。
第7章 なんでも、わすれるのだ
100歳のスクルッタおじさんはなんでも忘れてしまう。
ムーミン谷の小川へ行こうと思いたち旅に出る。
第8章 電気を食べる、ちびちび虫
フィリフヨンカがムーミン屋敷を訪ねるとムーミン一家はおらず、ホムサ・トフトと出会う。
ホムサ・トフトは夜光虫の「ちびちび虫」の本を読んでいた。
第9章 たまねぎまげのミムラねえさん
ミムラねえさんがミイに会いにムーミン谷にくる。
ムーミン屋敷にはフィリフヨンカ、ヘムレンさん、ホムサ・トフトがいたが、ミムラねえさんは気にせず部屋で眠る。
スナフキンがムーミン谷にやってきて川にテントをはる。
第10章 ご先祖さまは冬眠中
ヘムレンさんとフィリフヨンカは家の仕事をめぐってけんかする。
スクルッタおじさんはストーブで冬ごもりをするご先祖さまに会いたくなる。
第11章 さびしい心は、おしゃべりになる
ヘムレンさんはスナフキンのテントの隣でテント生活を始める。
一人になりたいスナフキンだがヘムレンさんやスクルッタおじさんに邪魔され、とうとうみんなと一緒に過ごすことにする。
第12章 ちびちび虫は、むくむくむく
ホムサ・トフトはちびちび虫のお話をつくり始める。
スクルッタおじさんが魚を捕まえ、フィリフヨンカははりきって料理する。
第13章 フィリフヨンカのさかな料理
フィリフヨンカは料理できることに喜びを感じる。
第14章 ムーミンパパに、木の上の家を
ヘムレンさんは木の上の家を作り始め、ホムサ・トフトを無理やり手伝わせる。
スクルッタおじさんはタンスの鏡に写った自分をご先祖さまだと思いこむ。
第15章 ちびちび虫、うなる
ホムサ・トフトの想像上のちびちび虫は大きくなり、ホムサ・トフトは怖くなってくる。
第16章 ムーミンからの手紙はどこだ
フィリフヨンカはムーミンママのようにふるまおうとするがうまくいかない。
食事の席でホムサ・トフトはヘムレンさんに対する怒りをあらわにする。
第17章 大パーティーの準備
スクルッタおじさんのための大パーティーが催されることになり、フィリフヨンカは口笛を吹きながら余興の準備をする。
ホムサ・トフトはムーミンママを恋しがる。
第18章 シーツの上を「冒険号」は走る
大パーティーではフィリフヨンカの影絵が大好評。
パーティーの後、フィリフヨンカはスナフキンが忘れていったハーモニカを一心不乱に吹く。
ホムサ・トフトは大きくなったちびちび虫を封印する。
第19章 スクルッタおじさんはねむるのだ
フィリフヨンカはムーミン屋敷の大そうじを始め、みんな手伝う。
大そうじが終わった次の日、フィリフヨンカとミムラねえさんは自分の家に帰る。
スクルッタおじさんは洋服だんすで冬ごもりに入る。
第20章 ヘムレンさん、海へのりだす
ヘムレンさんはスナフキンと初めてヨットに乗り、恐怖を克服する。
すっきりしたヘムレンさんは自分の家に帰る。
第21章 ムーミン一家のヨットが見えた
スナフキンは再び旅に出る。
ホムサ・トフトは水平線から近づいてくるムーミン一家のヨットを迎える。
『ムーミン谷の十一月』感想
『ムーミン谷の十一月』は、ムーミン一家が不在なのにムーミン屋敷に集まってしまった6人のことを描いた物語。
前作『ムーミンパパ海へいく』で一家がムーミン谷を離れているあいだのムーミン屋敷を描いているんだよね。
シリーズ最後の作品にして主役のムーミンたちがまったく登場しないのに、ちょっとびっくり。
だけど今作に登場する人たちは、ことあるごとにムーミン一家のことを思いだすので、逆にその存在感を大きく感じる。
特別ではない6人がムーミン一家のことを恋しがりながらも徐々に自立していく様子は、読む側の気持ちとダブってじんわりくる。
『ムーミン谷の十一月』ポイント
かみ合わない6人
季節は秋。
スナフキン、ホムサ・トフト、フィリフヨンカ、ヘムレンさん、スクルッタおじさん、ミムラねえさんの6人はムーミン屋敷にやってくる。
物語の前半で、それぞれがムーミン屋敷に来た理由と6人のかみ合わない様子が描かれている。
一人ひとりの個性がぶつかり合ったり折り合ったりする様子は、現実の人間関係にも通じるものがある。
お話が大好きなホムサ・トフト
初めヘムレンさんのヨットの中に隠れ住むホムサ・トフトは、ムーミン一家の人たちのお話を考えている。
少年ホムサは『ムーミン谷の夏まつり』『ムーミン谷の仲間たち』でも登場したけれど、ホムサ・トフトとは別のホムサ。
だけど、その思慮深さや空想の中に入り込んでしまう性格は共通している。
お話を作ることが好きなホムサ・トフトはムーミン一家に一度も会ったことがないけれど、水晶玉や谷の様子まで思い描く。
ある雨の夜、ホムサ・トフトはお話の中だけでなく本当にムーミン谷にいってみよう、と思い立つ。
ムーミン谷までの道のりははじめてだったけれど、ホムサ・トフトは迷うことなく歩く。
自分のするべきことがわかっているときって、迷いようがないし、力がみなぎるんだよね。
ヨットに乗れないヘムレンさん
今日は11月のムーミン谷にやってきた、#ヘムレン さんと #スクルッタおじさん をご紹介しましょう。ヘムレンさんは毎日同じことの繰り返しで、ある日突然自分が自分であることに嫌気がさしてしまいます。ヘムレンさんは、良かれと思ってみんなについついあれこれうるさく言ってしまうたちなのでした。 pic.twitter.com/YlsukmEJem
— ムーミン公式 (@moomin_jp) November 26, 2019
ヘムレンさんは「ヨットを持っているのに乗れない」ことから目をそらし、同じルーティーンを繰り返す毎日を過ごしている。
良かれと思って片づけたり整頓することの大切さをみんなに説いてまわっているけど、みんなは行きあたりばったりで楽しそう。
ふいに、ヘムレンさんは「自分が何もしなくなったらどうなるのか?」と考える。
たぶん、いまとちっとも変わりやしないさ。ほかのやつが、また、だれか、世話を焼きはじめるだけさ。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
ヘムレンさんは、自分がやっていることは、実は「やらなくてもいいこと」なのかもしれないと気づくんだよね。
それと同時に、今まではほかにやることがあるのを言い訳に「ヨットを習っているひまなんてない」と言えたけれど、本当はただ怖くて乗れないのだということに気づく。
もしかすると、ムーミンパパとならヨットに乗れるかもしれない。
そんな淡い期待もいだきながら、ヘムレンさんはムーミン屋敷に向かう。
からまわりのヘムレンさん
ホムサ・トフトがムーミン屋敷に到着すると、先についていたヘムレンさんはまるで主人のようにふるまう。
ヘムレンさんが勝手にルールを持ち出したり、必要のないことまでペラペラしゃべるのがちょっとうざい。
でも、ヘムレンさんもそんな自分に飽き飽きしてるのも伝わってくるんだよね。
思慮深いホムサ・トフトはヘムレンさんに従うけれど、あからさまに自分を閉じている。
怖い思いをするフィリフヨンカ
『#ムーミン谷の十一月』で、ムーミンたちのいないムーミンやしきに期せずして集った #スナフキン、#ミムラねえさん、#フィリフヨンカ、#ヘムレンさん、#ホムサ・トフト、#スクルッタおじさん の面々。その中で、今回は神経質で気難しいと言われるフィリフヨンカをご紹介しましょう。 pic.twitter.com/rMMrZBAviu
— ムーミン公式 (@moomin_jp) November 19, 2019
几帳面できれい好きのフィリフヨンカは、冬ごもりの前に屋根裏部屋の掃除をしている。
うっかり屋根からすべり落ちそうになったとき「死」が頭をよぎり、自分が気にしていたことがどれだけちっぽけなことだったかを思い知る。
目にうつるものすべてが新鮮に映ったとき、こんなとき愉快におしゃべりをしてさわげるのはムーミン一家しかいない、と思いつく。
神経質なわりに思いたったらすぐ行動するところがフィリフヨンカらしい。
ヒステリックなフィリフヨンカ
フィリフヨンカはムーミン屋敷につくなり、一家が不在で掃除もしていないことをヒステリックにさわぎたてる。
フィリフヨンカは、当然この季節はムーミン一家がいるだろうし歓迎されるものだと思いこんでいた。
自分が義務や義理をとっても重んじる性格だから、期待をうらぎられたことが許せなかったんだね。
なんというか、フィリフヨンカしんどいなぁ・・・
忘れっぽいスクルッタおじさん
『ほかのものの名前を忘れると、ちょっとやるせなくなります。しかし、自分の名前を忘れるのは、気楽でいいもんです。』-スクルッタおじさん「ムーミン谷の十一月」http://t.co/1BHGPhB3DQ pic.twitter.com/US4trYIsLO
— ムーミン公式 (@moomin_jp) 2014年9月24日
今作にはじめて登場するのが「気味がわるいほど年より」のスクルッタおじさん。
スクルッタおじさんは、いろんな意味で常識をくつがえすキャラクター。
朝目が覚めると、自分の名前を忘れている。
だけどまったく動じずに、自分に名前をつけるんだよね。
「よし、わしは、スクルッタおじさんなのだ。」
と、この人は、ゆかいそうに、小さな声で自分にささやきました。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
自由なスクルッタおじさん(笑)
遠い昔に行った気持ち良い小川があるムーミン谷への旅を決めたおじいさんは、何日もかけてムーミン谷以外のことはすべて忘れていく。
一番大切なこと以外すべて忘れることができるって、なんてシンプルなんだろう。
心に残ったものが「谷」だけになったスクルッタおじさんは、まったくあたらしい気持ちムーミン屋敷にやってくる。
なんでも平気なミムラねえさん
妹のミイに会いにムーミン屋敷をおとずれたミムラねえさんは、いつもマイペースでケロリとしている。
今作でも自分にとっても満足していて、ぴしっと身なりを整えてさっそうと歩く姿が気持ちいい。
スクルッタおじさんからよくわからない言いがかりをつけられてもかろやかに返答。
そう思うのなら、思ってもいいわよ。なんとでも、かってに思いなさいよ。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
無視も反発も同調もせず、ただ自分でいるところが気持ちいい。
だれかと会ったら話さなければならない、いっしょに過ごさなければならない、そんなルールはミムラねえさんにはない。
外側でなにがおこっていても、ミムラねえさんが心地よく過ごすことにまったく影響しないんだよね。
今作でも、ミムラねえさんはハッとするセリフを連発する。
曲をつかまえたいスナフキン
いつもは秋がくると旅に出るスナフキンですが、『ムーミン谷の十一月』では、スナフキンはムーミンたちのいないムーミン谷で、フィリフヨンカやホムサ・トフトたちと過ごします。スナフキンはなぜ谷に戻ってきたのでしょう? それは8月にムーミン谷で思い浮かんだ曲の調べを取り戻すためでした。 pic.twitter.com/4p3daNNXok
— ムーミン公式 (@moomin_jp) November 10, 2020
南に向かって歩いていたスナフキンは、夏にムーミン谷でひらめいた「五つの音色」がもどってきたことを感じる。
スナフキンは、五つの音色の雨の曲をつかまえるために、ムーミン谷にもどることを決める。
なにかやりたいことが浮かんだとき、ちゅうちょなくきた道をもどる潔さが素敵。
一人になれないスナフキン
ムーミン屋敷につくなりスナフキンはテントの中に引きこもるんだけど、だれかしらが入れかわり立ちかわりテントを訪ねてくる。
スナフキンは、ひとりでいたい気持ちとみんなと過ごさなければいけない気持ちで葛藤する。
葛藤してしまうのは、スナフキンの中に「求めてくる人には優しくしなければいけない」という気持ちがどこかにあるからなんだよね。
スナフキンは、ひきこもっても心がうるさいならいっそみんなとともに過ごそうと決める。
スナフキンはミムラねえさんと似ていてひとりで自由にやりたい性格だけど、ミムラねえさんのようにドライになりきれない優しさがあるんだよね。
スナフキンは、ムーミン一家がいたときの心地よさは当たり前じゃなかったことにも気づく。
ムーミンたちだって、うるさいことはうるさいんです。おしゃべりだってしたがります。どこへ行っても、顔があいます。でも、ムーミンたちといっしょのときは、自分ひとりになれるんです。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
他人といっしょにいるという状況は、ムーミンたちとだっていまだって変わらないはず。
だけど、なぜいまはこんなにわずらわしく感じるのだろう?
そんな素朴な疑問がわくんだよね。
だれかと一緒にいて、疲れるときと疲れないとき。
自分でいられるときといられないとき。
ちがいってなんなんだろう?
フィリフヨンカの苦悩
ムーミン一家がいない共同生活のなかで、いろんな不満がくすぶるのがフィリフヨンカ。
自分を誰かと比べて劣等感を抱いたり、自分が本当にやりたいことを見つめたりする姿に共感する。
ミムラねえさんへのコンプレックス
ミムラねえさんと顔を合わせるときのフィリフヨンカは、ちょっとよそよそしい。
いつも身なりを整えて満足そうにしているミムラねえさんを見るたびに、女性としてのコンプレックスを感じるんだよね。
それからミムラねえさん、まあ、なんてきれいな髪の毛なんでしょうーふいに、フィリフヨンカは、どっと、からだじゅうのつかれが出てきて、(だけど、あの人たち、みんな、わたしをきらいなんだわ。)と思いました。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
自分にないものを持っている人と比べて「うらやましい」と思う気持ち、よくわかる。
ひとつのことで劣等感を感じはじめると、とたんにあらゆる点で劣っているように感じてしまうし、まわりもそう思っていると思いこんでしまうんだよね。
そもそも容姿がまったくちがうふたりだから、比べようがないんだけどね。
料理ができなくてストレス
フィリフヨンカはもともと料理が大好きなんだけど、ヘムレンさんに命令されてやるのが嫌で拒みつづける。
自分の生きがいができないフィリフヨンカは、どんどんストレスをつのらせていく。
命令にはむかうことを優先して、自分の本当の楽しみを捨ててしまったんだね。
そんなとき、機転をきかせるのがスナフキン。
スクルッタおじさんが釣ってきたたった1匹の魚を、6人前に料理できるか疑わしげにフィリフヨンカにたずねる。
このわたしでも、六人前に料理ができっこないっていうおさかな、とっくりと見てみたいもんだわ。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
対抗心もコンプレックスもみんなどこかに行ってしまい魚を料理することだけに集中するフィリフヨンカ、とてもうれしそう。
この日からフィリフヨンカは台所の主人になり、喜んでみんなの食事の準備を引き受けるんだよね。
好きなことだけをできるときの喜びってこんな感じ。
ほかのすべてが吹っ飛ぶんだよね。
ムーミンママになろうとする
フィリフヨンカが台所を仕切るようになると、前の台所の主人・ムーミンママの存在を意識しはじめる。
ミムラねえさんとのなにげない会話がフィリフヨンカにつきささる。
「ムーミンママのいたときと、変わらないっていうことかしら。」
と、フィリフヨンカは、なんの気なしに、細かくいいなおしました。
「どういたしまして、大ちがいよ。」
と、ミムラねえさん。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
この会話、フィリフヨンカが自分のことをどう思っているかでとらえ方が違ってくる。
ミムラねえさんは「ムーミンママとフィリフヨンカがちがう」と言っただけ。
だけどフィリフヨンカはそれを「ムーミンママがいたときの方が良かった」ととらえるんだよね。
そこで、ありのままの自分を肯定できないフィリフヨンカは「ムーミンママのように」なろうとしてしまう。
ホムサへ優しくしようとする
フィリフヨンカは子どもがあまり好きではないけど、急にホムサ・トフトに優しく話しかける。
フィリフヨンカのおどおどした気持ちをにおいで感じたホムサ・トフトは、ちょっと壁をつくりながらも親切をうけとる。
もともと引っ込み思案なホムサ・トフトは、ほっといてほしかったんだよね。
もうお互いが本来の自分とちがうことをやっているので、ぎくしゃく感がすごい。
外で食事しようとする
ある日フィリフヨンカは、日曜日の食事をわざわざ外ですることにする。
ひとり盛り上げようとがんばるフィリフヨンカに、ミムラねえさんが痛い一言。
食卓を外にうつしたぐらいではね、ムーミンママにはなれないんですからね。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
この一言にフィリフヨンカはヒステリックになり、食事はだいなしになる。
でもこの一件で、フィリフヨンカはムーミンママになるという無駄な努力をあきらめるんだよね。
ミムラねえさんの一言
ミムラねえさんのセリフは「ムーミンママになる必要がない」ということであり、決してフィリフヨンカがムーミンママに劣っているということではない。
フィリフヨンカがムーミンママのようになることをすっきりあきらめ、テンション低め(笑)にもどったとき、ミムラねえさんはいう。
ほんとは、あなた、そういうあなたでいるのがいちばんたのしいのね。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
本当の自分以外のなにかになることをやめたとき、そのまんまで無理のないフィリフヨンカがでてきた。
ミムラねえさんはそんなフィリフヨンカを歓迎するんだよね。
フィリフヨンカはようやくありのままの自分をみとめはじめ、ずっとやりたかったことを自由に表現するようになっていく。
ヘムレンさんの迷走
自分が良いことをしていると信じて疑わないヘムレンさんは、それをまわりにも強制してしまう。
善意の押しつけでまわりをいらっとさせるところが絶妙にうざい。。
だけど本当はみんなと仲良くなりたいし、さみしがり屋なんだよね。
ヘムレンVSフィリフヨンカ
ヘムレンさんとフィリフヨンカは、出会ってから何度も言い争いをする。
その原因は、たいていはささいなこと。
落ち葉は触らないほうがいいとか、食事のあとの片付けはだれがする、とかね。
ヘムレンさんがときどき発するセリフにはももちんもむかついた。
命令は男がするんだ。男だ、男だ。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
うちの中のことは女の役目だ。フィリフヨンカと、ミムラねえさんの役目だ。そうだろう。ぼくの言ってることは正しいよね。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
ヘムレンさんは「男」と「女」の役割をそれぞれ果たすのが正しいと思ってる。
その意見をかざし、スナフキンに「ぼくの言ってることは正しいよね。」と同意を求めるところももやっとする。
命令されるのが大きらいなフィリフヨンカは、ギャーギャー応戦するけどね(笑)
ヘムレンさんとフィリフヨンカ、お互いいがみあってるけどとってもよく似てる。
二人とも自分の意見を正しいと思ってゆずらないし、それを相手に押しつけるんだよね。
心の奥では自分の意見に自信がないからまわりに確認したがるし、従えたくなるんだよね。
それぞれちがってていいのにね。
スナフキンにわかってほしいヘムレンさん
ヘムレンさんはフィリフヨンカとけんかになったとき、逃げるようにスナフキンのテントに勝手にもぐりこむ。
スナフキンの気持ちを無視して、自分の都合だけで決めてしまうのがむかっときた。
ヘムレンさんはスナフキンになにかと気をつかうんだけど、その方向性が間違っててまたイラッとくる。
黙っているスナフキンにヘムレンさんは自分のことをどんどん話す。
こうやって、相手を思いやることなくあふれるままに自分のことを話すしかないときってだれにでもあると思う。
そういうときって、自分で自分のことを認められなくてだれかにこんな自分のことを「OK」してほしいときなんだよね。
「こんな自分でもOKですか?OKですよね?」っていう確認を、自分ではなく外側に求めてる。
つまりは、さびしくてしかたがないんだよね。
そのまんまのスナフキン
一方スナフキンはというと、ヘムレンさんの話に興味があるわけでも何でもなかった。
ただ、ペラペラ話してくるヘムレンさんに対して無駄なエネルギーをかけずに黙っていただけなんだよね。
スナフキンがただいるだけでヘムレンさんは勝手に癒やされ、すっかり元気をとりもどして一日をはじめる。
スナフキンまで怒らせる
ヘムレンさんはこのあとも「良かれと思って」いろいろやるんだけど、裏目に出てしまう。
ある日ヘムレンさんは「ムーミン谷」と書いた看板を橋にうちつける。
看板をつくった理由は特になく、ただ自分が安心するためだった。
枠をきめておくと安心するってこと、あるよね。
なにかの一員になることで生まれる仲間意識。
だけどこの看板がスナフキンを激怒させる。
スナフキンの激情をはじめてみたヘムレンさんは、すぐに看板を川に流す。
看板で「誰かのもの」を主張することは人間の世界では当たり前のことだから、ヘムレンさんは人間っぽい考え。
スナフキンはそういう考えをきらっているからこそ、ものを持たずに一人自由に生きているんだよね。
看板に激怒するスナフキンは『ムーミン谷の夏まつり』でも見ることができるよ。
看板嫌いは父親のヨクサルゆずりなんだよね。
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ホムサ・トフトを怒らせる
ヘムレンさんはムーミンパパを驚かせようとツリーハウスをつくることを思いつき、さっそくホムサ・トフトを手伝わせる。
ヘムレンさんは、はじめから小さなホムサ・トフトに対して上から目線。
当たり前のように手伝わせるのがもやっとする。
あるときホムサ・トフトのもやもやが爆発し、ヘムレンさんはひとりで作業するようになる。
最終的にツリーハウスが木から落ちてしまったとき、ヘムレンさんは「ただの木のままのほうが、ムーミンパパは好きなのかもしれない」ということに気づく。
そのときはじめて「自分が良いと思ってしていることが、相手にとってはそうではないのかもしれない」とわかるんだよね。
ホムサ・トフトの空想
空想することが好きなホムサ・トフトは、ムーミン屋敷でもひとりでいることが多い。
自分の世界と共同生活の世界、二つの世界を行き来しながら自分を見つめていく様子がよくわかる。
ちびちび虫
ムーミンたち不在の『#ムーミン谷の十一月』に登場する、ムーミンママを慕う小さなホムサ・トフト。眠る前にはいつも自分にお話を聞かせていました。ムーミンママに会いたいあまりにムーミン谷にやってきたトフトは、ムーミンやしきで風変わりな「ちびちび虫」について書いてある本を見つけます。 pic.twitter.com/yWaPm0t9cU
— ムーミン公式 (@moomin_jp) November 24, 2020
ホムサ・トフトが特にひかれるのは、深海生物の本。
本はとても難しい内容だったけれど、そこでみつけた「ちびちび虫」の空想がどんどんリアルになり、ホムサ・トフトは怖くなるんだよね。
だけど、自分で大きくしてしまった空想は自分で小さくすることができる。
ホムサ・トフトは巨大化した「ちびちび虫」と対話し、ついにはちびちび虫はいなくなる。
この一連の流れは、ホムサ・トフト自身の心の中をよくあらわしている。
ちびちび虫が巨大化したとき、ホムサ・トフトの中には扱い方のわからない怒りのような感情がめばえていた。
実際にこの怒りをヘムレンさんにむき出しにし、後で振り返ってみることで自分の怒りを理解しようとするんだよね。
怒ることを知るホムサ・トフト
ホムサ・トフトははじめからやりたくないことを手伝わされていたけど、「怒る」という選択があることを知らなかった。
それを見ていたミムラねえさんは、ホムサ・トフトにはっとすることを言う。
「あなた、くぎぬきするの、きらいなくせに、しているんでしょう。」
と、ミムラねえさん。
「なぜかと思って、ふしぎなのよ。(中略)おまけに、ヘムレンさんだって、あなたはきらいなんでしょう。」
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
ホムサ・トフトは、ミムラねえさんの言葉を聞いてはじめて「ヘムレンさんを好きかきらいか」ということを考えてみる。
その数日後、ホムサ・トフトは初めてヘムレンさんに反発する。
それほどまでに、「怒り」がだれにでも起こるふつうの感情だということがわからず、押し込めてきたのかもしれないね。
ムーミンママへの理想
1970年出版のムーミン小説最後の作品『#ムーミン谷の十一月』は、ムーミンたちが一度も登場しない小説です。この年、トーベの母シグネが亡くなりました。#トーベ にとってムーミン谷は、幼い日の夏の思い出をもとに描いた楽園でした。でも、いつまでも楽園を描き続けることはできなかったのです。 pic.twitter.com/w4wrcuRjIM
— ムーミン公式 (@moomin_jp) November 4, 2020
ホムサ・トフトはムーミンママに会ったことはないけれど、空想のムーミンママが大好きなあまり理想像がどんどん大きくなっていくんだよね。
そんなホムサ・トフトに助言をするのがスナフキンとミムラねえさん。
ふたりは、ムーミンママはホムサ・トフトの都合のいい存在ではないことを伝える。
スナフキン
ホムサ・トフトの「いつかではなく、ママにいますぐに会いたい」という言葉に、スナフキンはこたえる。
ママのほうが会いたいのは、だれかしらね・・・。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
自分がママに会いたい気持ちしか考えたことのなかったホムサ・トフトは、スナフキンのこの言葉でママ自身にも「気持ち」というものがあることに初めて気づいたかもしれない。
スナフキンは、ホムサ・トフトが自分の空想にのみこまれやすいこともよくわかっていた。
だれかを崇拝することの危険さを感じるスナフキンは、『ムーミン谷の仲間たち』でも見ることができるよ。
ミムラねえさん
自分の空想の中で「理想のムーミン一家」像をつくりあげるホムサ・トフトに、一言ものもうすのがミムラねえさん。
ミムラねえさんは「ムーミンたちは怒ったことなんてないんだ」といいはるホムサ・トフトに言う。
ムーミンパパだってムーミンママだって、ムーミントロールだって、おたがいの顔も見るのもいやになることが、ちょいちょいあるんですからね。
引用元:『ムーミン谷の十一月』ヤンソン作、鈴木徹郎訳、講談社、2014年
ホムサ・トフトはこの言葉を受け入れることができない。
「いつもやさしくて、楽しく幸せなムーミン一家」という夢を壊されたくなかったんだよね。
共同生活の実り
ムーミン一家の癒しを求め集った6人は、期待を裏切られ、むき出しになった不満や寂しさと直面してきた。
そんな日々の中で、それぞれがちょっとずつありのままの自分を受け入れていったんだよね。
気づいたら6人には見えない絆がめばえ、一緒にいて楽でいられる共同生活ができあがっていた。
フィリフヨンカの才能
#ムーミン春夏秋冬
今回のテーマは、2020年に読む、新しくなった『ムーミン谷の十一月』
ムーミン小説の最終作である本作には、ムーミン一家が登場しません。それは一体どんなお話?
現代に合わせて翻訳が改訂された新版では、どんなところが変わったのでしょうか。
続きは⇒https://t.co/jBZy7HHvK0 pic.twitter.com/59lqoxGMdo— ムーミン公式 (@moomin_jp) November 6, 2020
物語の後半で描かれる6人の共同作業が「パーティー」と「大掃除」。
パーティーではフィリフヨンカのかくれた才能が大爆発!
ごちそうやかざりつけはもちろん出し物の影絵はすばらしく、みんなを感動させた。
フィリフヨンカは、これまで自分自身を苦しめてきた「こうあるべき」っていう考えから自由になり、もともと自分の中にあった「物事を楽しむ才能」を開花させていくんだよね。
パーティーのあとひとりになったフィリフヨンカが、スナフキンのハーモニカをそっとふく場面が印象的。
だれかと比べることをやめたとき、やっと本来の自分を好きになることができたフィリフヨンカ。
翌朝掃除を始めたフィリフヨンカは、誰かに手伝いを強制するわけでもなくひとりで楽しそうに動き回る。
そんな姿を見た周りの人たちは、自然に自分たちも掃除したいと思い始め参加するのが素敵。
一日がかりの掃除が終わったあとみんなが玄関でたそがれている挿絵には、静かで心地よい時間が流れている。
6人の共同生活は自然に終わりに近づき、フィリフヨンカとミムラねえさんはそれぞれの家に帰っていき、スクルッタおじさんは冬ごもりに入る。
ヨットに乗れるヘムレンさん
残ったスナフキン、ヘムレンさん、ホムサ・トフトは、静かにそれぞれの時間を過ごす自由さがあった。
お互いに干渉することをやめたとき、かかわることがやさしくなっていくよね。
ある日スナフキンはヘムレンさんをヨット乗りに誘い、ヘムレンさんは一緒に乗る。
スナフキンから舵を代わったときのヘムレンさんの恐怖、すごくよくわかる。
必死で舵をとるヘムレンさんに心配な様子は一切出さず、静かに水平線を見つめているスナフキンの背中が心強い。
ふいにヘムレンさんは力を入れずに舵をとれるようになる。
自転車に乗るときもそうだけど、恐怖からのコントロールをやめて力が抜けたとき、自然と体にまかせてうまくできるようになるんだよね。
「ヨットに乗る」という一大事をクリアしたヘムレンさんは、それがやりたいことでもなんでもなかったことにも気づく。
いままでの「ヨットに乗れない」自分でもなんの不足もなかったことがわかったヘムレンさんは、家に帰っていく。
ひとりぼっちのホムサ
まもなくスナフキンも旅に出て、一人になったホムサ・トフトは森を歩きながらムーミン一家に思いをはせる。
そして突然、自分があいたくて理想化していたムーミンママにも、本当は悲しみや怒りがあることを理解する。
かなしいママもおこっているママも受け入れ、なぐさめたいと思うホムサ・トフトは、かつての自己中心的な空想からは抜けていた。
ムーミン一家がいた島のことを、妬まずに想像するホムサ・トフトは、水平線のかなたにカンテラの光を見つける。
ムーミン一家が帰ってきたことがわかった瞬間だった。
感想おさらい
『ムーミン谷の十一月』が読める本の形
今回ももちんが読んだのは、講談社青い鳥文庫の『ムーミン谷の十一月』。
『ムーミン谷の十一月』は、青い鳥文庫以外にも、文庫やハードカバーで刊行されている。
ソフトカバーの新版
2019年3月に講談社より新しく刊行されているのが、ソフトカバーの『ムーミン全集[新版]』。講談社1990年刊のハードカバー『ムーミン童話全集』を改訂したもの。
翻訳を現代的な表現・言い回しに整え、読みやすくし、クリアなさし絵に全点差し替えられている。
ソフトカバーなので持ち歩きやすい。
これから「ムーミン」シリーズを買って読もうと思っているなら、最新版のこちらがおすすめ。
電子書籍版あり。
新版はココがおすすめ
- 翻訳が現代的な表現、言い回しに整えられているので読みやすい
- クリアなさし絵に全点差し替え
- ふりがな少なめで大人が読みやすい
- ソフトカバーなので持ち歩きやすい
- 電子書籍で読める
講談社文庫
講談社文庫の「ムーミン」シリーズは、1978年に初めて刊行された。
2011年に新装版が刊行。
写真では2011年刊行時の表紙だが、2019年3月現在、フィンランド最新刊と共通のカバーデザインに改められている。
文庫版だけど挿絵が豊富で、ふりがなも少なく読みやすい。
大人が手軽にムーミンを読みたいなら、講談社文庫がおすすめ。
電子書籍版あり。
文庫はココがおすすめ
- ふりがな少なめで大人が読みやすい
- 値段がお手頃で気軽に読める
- 電子書籍で読める
青い鳥文庫
講談社青い鳥文庫は、1980年に創刊された児童文庫。
「ムーミン」シリーズは2014、2015年に新装版が刊行された。
児童文庫だけど、字は小さく漢字も多い。ふりがなもふられているが、難易度は文庫版とそんなに変わらない。
児童文庫はココがおすすめ
- 文庫よりサイズが大きめで読みやすい
- ふりがな付き
- 児童文庫にしては文字が小さいので、子どもが読むなら童話全集か新版の方がおすすめ
まとめ
小説『ムーミン谷の十一月』感想まとめ。
ムーミンシリーズ最後の作品。
必ず自分に近いキャラクターを見つけられる、静かに心にひびく作品だよ。
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