児童文学 『赤毛のアン』シリーズ

『虹の谷のアン』ブライス家と牧師館の魅力的な子どもたち!

更新日:

モンゴメリ『虹の谷のアン』村岡花子訳、2008年、新潮文庫

『虹の谷のアン』は、アンの子どもたちと牧師家族の、心あたたまるお話がたくさん詰まっている。

今回は、『虹の谷のアン』の魅力をお伝えするよ。

  1. メレディス牧師と4人の子どもたち
  2. 4人の子どもたちのエピソード抜粋
  3. メアリー・ヴァンス
  4. メレディス牧師とローズマリーのロマンス
  5. 漫画にもなっていた!
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背景

『虹の谷のアン』(原題"Rainbow Valley")は、カナダの女流作家モンゴメリが、1919年に発表した。

日本では、村岡花子の翻訳により1958年、新潮社より出版された。

『虹の谷のアン』は、新潮文庫では赤毛のアン・シリーズの9作目にあたる。

ブライス家の6人の子どもたちと、牧師館の子どもたちを中心とした1年間の物語。

アンは、41歳。

ルーシー・モード・モンゴメリ、村岡花子について詳しくは、次の記事をどうぞ。

ルーシー・モード・モンゴメリの略歴

村岡花子の生涯・作品についてはこちら。

あらすじ

舞台は1907年のカナダ・プリンスエドワード島。

前作『炉辺荘のアン』で、一家の主婦として家族を支えるアンの奮闘ぶりから、1年が経った。

今作ではアンの子どもたちと牧師館の子どもたちを主役として、物語が進んでいく。

ウォルターが名づけた「虹の谷」で毎日のようにブライス家の子どもたちは遊んでいた。

新しくやってきた牧師館の子どもたちと親友になる。

また、孤児メアリー・ヴァンスも登場し、虹の谷の子どもたちの世界が鮮やかに描かれている。

特徴①メレディス牧師との4人の子どもたち

前作『炉辺荘のアン』から、アンの6人の子どもたちが登場して、ずいぶんにぎやかになったよね。

今作では、新しくやってくる牧師とその子どもたちも登場し、物語の中心となっていくんだ。

牧師と子どもたちは、次作『アンの娘リラ』でも続けて登場するので、紹介するね。

メレディス牧師(ジョン・ノックス・メレディス)

グレン・セント・メアリー村へ新しくやってきた牧師。

妻セシリアは4年前に亡くなっているが、なお妻の面影をみながら暮らしている。

4人の子どもと、不器用なマーサ伯母さんとともに牧師館に住む。

神聖な精神と学識を持っており、特に説教においては民衆を夢中にさせるほど素晴らしい。

物質を超越した世界と書物に住んでおり、ぼんやりして他のことに気がまわらない傾向にある。

4人の子どもたちへの深い愛情はあるが、ほとんど放任状態。

青白く端麗な顔立ちの好男子で、少年のような心を持つ。

長男・ジェリー(ジェラルド)

12歳。ウォルターと同い年。

父親譲りの黒髪と大きな黒い目をしている。

活発でカールと一緒にいたずらばかりしているが、頭は良く、正直な少年。

長女・フェイス

11歳。金褐色の巻毛と目をもっている。

ばらのように美しく、陽気ではつらつとし、人を惹きつけるところがある。

よく笑う少女。

次女・ユナ

10歳。ブライス家の双子と同い年。

黒いお下げにあんだ髪と、母譲りの濃い青い目をもつ。

やさしくかわいらしい性格。

あまり笑う方ではなく、どこかもの恋しげなところがある。

他の女の子のように、お裁縫や料理を習いたいと思っている。

次男・カール(トマス・カーライル)

9歳。シャーリーの一つ上。

母譲りの濃い青色の目と、金髪がかった鳶色の髪を持つ。

昆虫が大好きで、よ家の中に持ち込み家族を驚かせる。

 

ブライス家の子どもたちについて、詳しくはこの記事をどうぞ。

特徴②牧師館の子どもたちのエピソード

ここからは、牧師館の子どもたちのエピソードを抜粋して紹介するね。

フェイス:ノーマン・ダグラスとのやり取り

フェイスは、教会の財政をなんとかしたいと、かつて教会に多額の寄付をしていたノーマン・ダグラスに会いに行くんだ。

もう一度教会に戻ってほしいと、お願いしにね。

ノーマン・ダグラスは、村では有名な頑固で短気で怖いおじさん。

フェイスが会いに行ったときもは、不機嫌真っ最中だった。

フェイスがおずおずとお願いするけど、ノーマンは、そのおびえた様子や涙が大嫌い。

一喝して、フェイスを追い出してしまうんだ。

追い出されたフェイスは、我に返り、怒りのスイッチがはいる。

ノーマンのところへ戻り、怒りをぶちまけるんだ。

あんたなんかちっともこわくはありません。

あんたは乱暴な、不正な、暴君のような、不愉快な年寄りです。(中略)

これから、あんたを見るたんびにしかめ面してやるから。

出典:モンゴメリ『虹の谷のアン』2008年、新潮文庫

元気の良い、怒ったり笑ったりする、はっきりしたのが好きなノーマンは、大喜び。

二人は和解し、ノーマンは教会に戻ると約束するんだ。

カール:鞭で打たれなかった

カールは末っ子で、今作ではしょっちゅういたずらをしているんだよね。

でも、悪気はなくて、かわいいいたずらばかりなんだけど、ある日、メレディス牧師が見過ごせないいたずらを起こすんだ。

お年寄りのおばあさんの足下にウナギを投げて驚かせ、おばあさんは神経発作を発症してしまう。

カールは死んだうなぎだと思って投げたんだけど、実は生きていて暴れたから、余計におばあさんを驚かせたんだ。

それを聞いたメレディス牧師。

今まで子どもたちに手を上げたことはなかったけど、いよいよ鞭でおしおきをすることを決心する。

カールも、悪いことをしたと反省していたし、なにより父親の悲しい表情をみて、罰は当然受けなければならないと思った。

「とにかく、どんなに痛くっても僕は泣かないよ。

僕が泣いたらお父さんはすごく悲しむだろうからね。

お父さんはもうとっくにひどく悲しんでいるんだから。

自分で自分を鞭で打つことが出来たら、お父さんはしなくてすむのにね」

出典:モンゴメリ『虹の谷のアン』2008年、新潮文庫

そうやって覚悟して父親の書斎にいったカール。

いざ、無知をとったメレディス牧師は、カールのおびえた目を見て、セシリアを思い出すんだ。

ジョン・メレディスは鞭をなげだした。

「あっちへ行きなさい。私には打てない」

カールは父の表情を見て、いっそ、打たれた方がましだと思いながら、墓地へとんでいった。

出典:モンゴメリ『虹の谷のアン』2008年、新潮文庫

父子のお互いの深い思いやりが伝わってくるよね。

特徴③メアリー・ヴァンス

今作の中で、牧師館の子どもたちと同じくらい存在感を放っている登場人物が、メアリー・ヴァンスなんだ。

メアリー・ヴァンスは孤児。

下働きをしていた家のワイリーのおかみさんの虐待に耐えかねて、逃げ出して隠れているところを、牧師館の子供たちに発見された。

彼女は長い亜麻色の髪を二つにわけてお下げにし、とても変わった目をしていたー白い目に見えた。(中略)

そのしなびた小さな顔だけみれば大人か子供かわからないが、背丈からいって年は十二歳くらいらしかった。

出典:モンゴメリ『虹の谷のアン』2008年、新潮文庫

メアリー・ヴァンスは餓えて死にそうになっていて、牧師館の子どもたちはすぐに牧師館に連れかえり、食事をあげるんだ。

たらふく食べて元気を取り戻したメアリー・ヴァンス、牧師館の子どもたちに、自分の生い立ちを話して聞かせるんだ。

「この四年というものあたいは犬よりもひどい暮らしをしてきたんだよ(中略)

あたい孤児院には二年いたんだよ。六つの時に入れられてね。

あたいのおっかあは首つりをしたし、とっちゃんは喉を切って死んだもんでね」

「すごいなあ。どうして?」とジェリーが聞いた。

「酒さ」メアリーの答えは簡単だった。

出典:モンゴメリ『虹の谷のアン』2008年、新潮文庫

本当はとっても快活で、へこたれない性格の持ち主なんだよね。

こういう話を、悪い言葉遣いでいきいきと話すあたりも、牧師館や、ブライス家の子どもたちを惹きつけたんだ。

時には子供たちはメアリーを嫌いになることもあったし、また好きになることもあった。

だがいつでも彼女が面白いことには変わりなかった。(中略)

二週間もたつころには、子供たちはメアリーがいつまでも自分たちと一緒にいなくちゃならないと感じるようになった。

出典:モンゴメリ『虹の谷のアン』2008年、新潮文庫

メアリーはしばらく牧師館にとどまっていた。元来働き者のメアリーは、掃除も裁縫もお手のものだったんだよね。

料理もしたかったけど、マーサ伯母さんが台所だけは明けわたさなかったんだ。

ワイリーのおかみさんに連れもどされるのを怖れていたんだけど、偶然にもワイリーのおかみさんは心臓発作で亡くなっていたことを知らされる。

そのあと、メアリーはどうなったと思う?

なんと、ミス・コーネリア(正しくはマーシャル・エリオット夫人)の養女として引き取られるんだよ!

それも、おとなしいユナがミス・コーネリアに頼みに行ったからなんだ。

ちゃんとしたところに引き取られたメアリーは、よく働き、よく尽くし、愛されて育つ。

次作『アンの娘リラ』でも活躍するよ。

特徴④ローズマリーとエレン

今作でメインとなるロマンスは、メレディス牧師とローズマリー・ウエスト。

ローズマリー・ウエストとエレン・ウエストは、少し離れた丘の家に姉妹で寄りそって暮らしているんだ。

妹のローズマリーはとてもきれいな娘で、ナンとダイの音楽の家庭教師をしている。

10歳年上の姉エレンは強い性格で、眉が黒く、声が太い。陽気で機知に富んだ性格。

過去にローズマリーは婚約者がいたけれど、その婚約者は海の事故で死んでしまった。

いつしかその眼から娘らしさが消え去っていた。

それでもローズマリーは、不思議なほど若さを保ち続けていた。

ほとんどの人が子供時代に置き去りにしてきた、生きる姿勢を持ち続けているからなのだろう。

出典:モンゴメリ『虹の谷のアン』2008年、新潮文庫

かつての婚約者との思い出の場所で、ローズマリーとメレディス牧師はばったり出会うんだ。

ローズマリーは、セシリアには少しも似ていなかった。(中略)

ローズマリー・ウェストは、背が高く、金髪で、物静かだった。

けれども、メレディス牧師は、これほど美しい女性は見たことがないと思った。

出典:モンゴメリ『虹の谷のアン』2008年、新潮文庫

ここで、本当は恋に落ちてるんだけど、お互いはそれに気づいていないんだ。

これをきっかけに、メレディス牧師は丘の家に友人として通うようになり、エレンも歓迎するんだ。

でも、エレンとローズマリーは昔、お互い生涯結婚せず、二人で暮らすと約束していた。

エレンはその約束を守ることをローズマリーに強いて、メレディス牧師の求婚を断らせるんだよね。

でもその後、どうなったと思う?

なんと、エレンにロマンスがやってくるんだ。相手はフェイスのところで出てきたノーマン・ダグラス。

結婚したいエレンは、ローズマリーに謝り、ローズマリーは許すんだけど、もう遅いよね。

ローズマリーは求婚断っちゃったんだもん。

あきらめていたところ、再び活躍するのがユナなんだ。

ユナは、メレディス牧師がローズマリーの名前をつぶやいているのを聞いて、ローズマリーに父と結婚してほしいと頼みに行くんだ。

ユナはメアリーから、「継母は恐ろしい」と植えつけられて、本当は怖かったけど、父の幸せのために行動するんだよね。

これをきっかけに、二人はめでたく結婚するんだ。

牧師館の子どもたちにも良いおかあさんができてよかった!

他出版社の『虹の谷のアン』リスト

今回の記事は、村岡花子翻訳の新潮文庫『虹の谷のアン』(2008年)をもとに書いています。

『虹の谷のアン』は2018年7月現在、新潮社以外では、2社、3シリーズ出版されています。

それぞれの出版社ごとに、翻訳者や特徴をあげておきます。

講談社文庫

講談社文庫は、掛川恭子による完訳版。

『虹の谷のアン (講談社文庫―完訳クラシック赤毛のアン 7)』モンゴメリ、掛川恭子訳、2005年

講談社ハードカバー

講談社からの完訳版は、ハードカバーの児童向けでも出版されている。

銅版画家の山本容子の挿絵が入っていて、豪華。

『虹の谷のアン (完訳 赤毛のアンシリーズ 7)』モンゴメリ、掛川恭子訳、1990年

ポプラポケット文庫

ポプラ社の児童文庫、ポプラポケット文庫からは、村岡花子訳『虹の谷のアン』が出版されている。

表紙のイラストは、透明感ある水彩画で多くのファンがいる内田新哉。

『虹の谷のアン―シリーズ・赤毛のアン〈5〉 (ポプラポケット文庫)』モンゴメリ、村岡花子訳、2008年

漫画にもなっていた!

『虹の谷のアン』は、漫画にもなっている。

作者の原ちえこは、『赤毛のアン』シリーズの大ファンなんだって。

ももちんは、プレビューしか見てないけど、小説だと想像するしかない登場人物も、絵になるとわかりやすいよね。

それにしても、『虹の谷のアン』だけじゃなく、他の巻も描いてほしいよね。

わざわざ『虹の谷のアン』を選ぶところがおもしろい!

『虹の谷のアン 上 (KCデラックス)』『虹の谷のアン 下 (KCデラックス)』原ちえこ、2003年、講談社

まとめ

『虹の谷のアン』みどころまとめ。

  1. メレディス牧師と4人の子どもたち
  2. 4人の子どもたちのエピソード抜粋
  3. メアリー・ヴァンス
  4. メレディス牧師とローズマリーのロマンス
  5. 漫画にもなっていた!

子どもたちが入りみだれて、さらにおもしろくなっていくよ!

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