30代子なし主婦ももちんの乳がん体験記
第8回目は、東京での初診の様子と気持ちを書いていくよ。
ももちんの乳がん闘病記って?
サイト主ももちんが2013年31歳で体験した、若年性乳がん回想録です。
告知時ステージⅡリンパ節転移あり。
術前化学療法〜乳房温存手術・リンパ節郭清〜放射線〜分子標的薬。
2019年4月ホルモン療法を終え、無治療になりました。
東京での初診
乳がんの診断を受けた地元の病院から、東京のS病院への転院を決めて数日後。
S病院、初診の日がやってきた。
病院へは、夫と義母と3人で行った。
明るい雰囲気のS病院
初めてのS病院は、これまでももちんが持っていた病院のイメージとは違って、とても明るくて開放的な空間だった。
(建物に来ただけで癒される・・・。この病院にして良かった。。まだお医者さんに会ってないけど。。。)
完全に形から入るタイプ(笑)
でも、この「形・雰囲気」って、なかなかあなどれない。
本当にしんどいとき、場の雰囲気からストレスを受けないことが、どれだけありがたいことか・・・。
ブレストセンター(乳腺外科)の待合室も、たくさんの本やテレビがあり、明るい空間だった。
なによりおどろいたのは、たくさんの診察待ちの人。
ブレストセンター内だけでも、15~20人くらいはいた。
ももちんのように、旦那さんや家族と来ている人もちらほら。
I先生
担当のお医者さんは、I先生というきれいな女性の先生だった。
ふっと不安の気持ちがよぎる。
(予想外に若くてきれいな先生だな。この人で大丈夫か?)
ももちんの中で信頼のおけるお医者さん像っていうのがあったんだよね。
それは、まさにY病院のM先生のように、「中年以上(=経験豊富)」「イケメンすぎない(=誠実)」「男性」という固定観念。
I先生は、とても明るくて気さくな人だった。
まずは、S病院の特徴について説明してくれた。
当院では、始めから終わりまで1人の主治医が診るというスタイルではなく、一人の患者さんに対して複数の医師が連携して治療にあたります。
問診や触診、エコー検査などを行う担当医と、手術をする執刀医がちがうこともあります。
(えー、そうなんだ。一人のお医者さんに最後まで見てもらえるわけじゃないんだ。ちょっと不安だなぁ。
でも、こういうシステムだからこそ、連携や情報共有が徹底されているのかもな。)
Y病院からのCTとMRIなどの結果をみながら、I先生は今後の治療方針について、ざっくりとお話してくれた。
M先生のお話と違ったのは、手術前に化学療法(抗がん剤)をすることを勧められたこと。
抗がん剤を術前にするか術後にするかで、特に予後が変わるわけではありません。
抗がん剤を手術より先にやるメリットは、抗がん剤の効果がわかりやすいこと。
かつ、それでしこりが小さくなった場合、手術の際の切除範囲も小さくて済みます。
様子を見ながら抗がん剤を進めるので、効かないようなら中断して手術に移ることもあります。
(抗がん剤、やる前提のお話なわけね。。怖いなあ。)
抗がん剤については、テレビなどから、なにやら苦しいイメージ、髪が抜けるイメージしか、情報を持っていなかった。
この時点で、抗がん剤の是非を、自分の中で議論するほどの前情報も、信念もなかった。
ただ、お医者さんが勧めるなら、やろう。というか、自分が受けられる治療は、全部、やりきろう。
それだけは思っていた。
たび重なる通院と検査
S病院での初診で不意打ちだったこと。
治療が始まる前に、一通りの検査を受けてもらう必要があります。
(え!前の病院でやったし、結果もこうして持ってきてるのにぃ。病院事情はよくわからんなぁ。)
その場で、再び、針生検。
今回は、それほど衝撃を感じなかった。
そしてまた後日、CTとMRIを撮ることに。
(またかよ…)と思いながらも、流されるままに、日程は決まっていった。
CT、MRI、骨シンチ、、その都度麻酔を打ったり、造影剤を注射したり、検査そのものが大変だった。
だけど、これから始まる抗がん剤のことで頭がいっぱいだったので、検査を苦しいとは思わなかった。
治療前の不安とあせり
治療前の忙しい準備や検査の期間、ももちんの心は、何か「得体の知れないもの」のヴェールに覆われているみたいだった。
永遠に解き明かせないかもしれない、しかし拭うこともできない、一つの疑問。
「なぜ、自分ががんになったのか。」
自分の生活習慣や行動に、特別にダメなところがあったからじゃないか?
根本的に治さなきゃいけないところがあるんじゃないか?
お医者さんに言われた治療をやるだけでは、足りない気がする。。
心に原因があるのかな?
もう、同じことは繰り返したくない。
そのためには、乳がんになった原因をつきとめなくては。
そんな思いがうずまいていた。
治療と並行して乳がんを知ろう。
がんへの民間療法や東洋医学のアプローチを知ろう。
免疫をあげる対策を知ろう。
心と病気にはどのように関わりあうのか、知ろう。
治療がまだ始まる前から、こんな目標をたてて取り組もうとする、「頑張りぐせが」出ていたんだよね。
当時の日記はこちら。
2013.6.24
検査、検査。CTと骨シンチとな。
まちじかん多いね。
明日、坊主にするかな。外:ウィッグ。中:帽子ということで。
ベリーショートにしたところで、抜けてくるショックはあるしね。
勇気だせい。
一回帰ろう。夫の実家にもお世話になりっぱなしだし。
部屋片づけたいよう。4日間もあれば色々できるからん。
チャイルドももちゃん、それで良いかな。
具合が悪ければ休めば良い。
だれも責めてないよ。
なんだろね、この「やらなきゃ」感。
引用元:ももちんの日記(私物)
妊孕性の温存と遺伝子検査
ももちんが、乳がんの診療や検査と同時進行で受けていたのが、婦人科の受診と遺伝子検査。
婦人科受診
S病院を選んだ理由のひとつに、子どもを望むがん患者のための診療を受けることができる、ということがあったんだよね。
本格的ながん治療に入る前に何か対処ができるかもしれないと思い、一度詳しく産婦人科医からお話を聞きたくて、このタイミングで受診した。
詳しくお話を聞いた結果、がんの治療以外にかけるエネルギーないな、と思ったので、前もっての対処はしないことにした。
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遺伝子検査
遺伝子検査は、がんが遺伝性のものかどうかを調べることで、今後の再発や、もう片方の胸の乳がんの可能性が高いかどうかわかるというもの。
この検査は保険がきかないので、調べるのに数十万かかった。。
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治療前にかかった費用と通院回数
そんなもろもろの検査もやっていたので、治療が始まる前は何度も通院し、かかった費用も相当なものだった。
治療に入る前にかかった費用と通院回数をまとめると次のとおり。
Y病院の通院回数と費用
- 初診:問診、触診、マンモグラフィ、エコー、針生検
- 2回目:乳がん告知
- 3回目:夫と治療説明受ける
- 4回目:CT、MRI
- 最後の通院:CT・MRI検査結果説明、紹介状書いてもらう
かかった費用:約8万円(月に払える限度額)
Y病院の通院回数と費用
- 初診・・・問診、触診、マンモグラフィ、エコー、針生検
- 2回目・・・検査結果(乳がん確定)、治療方針の説明
- 3回目・・・婦人科受診
- 4回目・・・MRI、CT、骨シンチ
- 5回目・・・検査結果説明、治療スケジュール決め
- 6回目~・・・化学療法開始
かかった費用:約8万円(月に払える限度額)+約24万円(保険適用外遺伝子検査)
その他の費用(治療開始前)
1つの病院ごとの月の支払限度額が約8万円と決まっていることを初めて知った。
ももちんは2つの病院行ったから2倍かかった・・・
月をまたぐと、それ以上かかります・・・
トータルの医療費はこちら
治療費200万円超!乳がん体験した30代主婦が思うがん保険2大条件
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検査結果と治療説明
何度目かの通院の日、I先生から、初診でやった針生検の病理検査結果をきいた。(もうわかってるけど…)
資料にはこう書いてあった。
- しこりの大きさ:2.1cm
- リンパ節転移:あり
- 組織型:浸潤がん
- 核グレード(悪性度):3(ki-67 78.8%)
- エストロゲン受容体:陽性
- プロゲステロン受容体:陽性
- HER2タンパク:陽性
(なんかよくわからんけど、こっわ。。
全部陽性だし、悪性度高いし、リンパ節転移あるし・・・)
Y病院でもきいていたけど、ももちんの体内のがんは、とても活発らしい。
だからこそ、いろんな治療の効果が期待できる。
治療のスケジュールとしては、次のような説明を受けた。
治療の流れ
- 術前の抗がん剤点滴(6ヶ月)
- 並行して分子標的薬点滴(3ヶ月)
- 並行してゾラデックス注射(ホルモン治療、卵巣保護の意味もあり。月1回×2年)
- 抗がん剤後に手術(乳房温存。約1週間の入院)
- 術後に放射線治療(約1ヶ月毎日)
- その後分子標的薬再開(9ヶ月)
- 並行してタモキシフェン服用開始(5年予定)
(おう。。。薬漬けだな。。。)
治療の内容はよく飲み込めてなかったけど、ある程度スケジュールがわかったことで安心した。
オンコロジーセンター見学
I先生からの説明を受けた後で、化学療法についての詳しい説明を、看護師さんと薬剤師さんから受けた。
(そっか。まずは抗がん剤から入るのか。。やだよー。こわいよー。)
看護師さんも薬剤師さんも親身に説明してくれてありがたかった。
印象に残ったのは、抗がん剤の説明を担当してくれた看護師さんが、妊婦さんだったこと。
かたや、お腹が大きくなったかわいらしい看護師さん。
かたや、乳がんになった青ざめた私。
(優しい看護師さんには申し訳ないけど・・・
やっぱり、不公平すぎねー?)
心の中で毒づいてました・・・
毎回採血、問診をして、体の状態をみながら点滴をしていくので、安心してくださいね。
(抗がん剤や分子標的薬で起こりうる副作用を詳しく説明してくれて)
点滴当日には再度説明させていただくので、いつでも相談してくださいね。
点滴をする場所や点滴当日の流れなども、細かく説明を受けた。
最後に、看護師さんに連れられて、「オンコロジーセンター」の見学に行った。
オンコロジーセンターは、化学療法専用のスペース。
基本的にはここで、毎回日帰りで点滴します。
(抗がん剤て日帰りでできるの?大丈夫かな?ちょっと不安・・・)
行ってみると、待合室には、大勢の点滴待ちの患者さんたち。
(あれ?なんでこんなに普通なの?
私はこんなにドキドキ動揺しているのに。)
抗がん剤ときくと、先入観で、なんか踏み入れてはいけない領域というか、重々しいイメージをもってた。
だけど、実際の待合室はとても和やかで、患者さんたちも「普通」だった。
特に具合が悪そうでもない。
いや、顔色が黒ずんでいたり(抗がん剤の副作用と後でわかる)、かつらや帽子をかぶっている人もいるんだけど、この世の終わりのような感じでは全くない。
(この人たち、すげーな。ほんと、すげーな。)
たんたんとテレビを見たり、看護師さんと挨拶をかわす人を見て、うまく言葉にならない、尊敬と羨望の気持ちが生まれた。
約二週間後に、初抗がん剤投与が決まり、いよいよか、と心を改めて帰った。
二週間後の初めて抗がん剤
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まとめ
ももちんの乳がん体験記⑧まとめ
- 東京での初診
- たび重なる検査で総費用52万円(保険適用外含む)
- 化学療法(抗がん剤)にビビる
次回は、休職と、カミングアウトのことを書いていくよ。
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