30代子なし主婦ももちんの乳がん闘病記。
第4回目は、乳がんを夫・母・上司に伝えたときの反応と気持ちなどを書いていくよ。
ももちんの乳がん闘病記って?
サイト主ももちんが2013年31歳で体験した、若年性乳がん回想録です。
告知時ステージⅡリンパ節転移あり。
術前化学療法〜乳房温存手術・リンパ節郭清〜放射線〜分子標的薬。
2019年4月ホルモン療法を終え、無治療になりました。
告知後の反応~夫、上司、母~
「2人に1人ががんになる」って、よく言われるよね。それは、統計的に見ても正しい。
だけど、「がん」という言葉は、予想以上に周りに衝撃を与えるんだ。ももちんは、それを周りの反応を通して実感した。
乳がんの告知を受けた当日、ももちんは夫と上司と両親にそれを伝えた。その時の反応を書いていくね。
夫の反応
病院を出て車に戻ってからも、まだ実感がなかった。
なぜ、涙がでないのだろう?
あれ、落ち込んでもないぞ。
どうしたんだろう。
しばらく車でぼーっとしていたら、電話が鳴った。夫からだった。
そう言ったとたん、やっと、涙がでてきた。
涙がとまらず、携帯を握ったまま、激しい嗚咽。
駐車場にいたので、車の前を通りかかった人は、泣きながら電話しているももちんをみてびっくり。明らかにけげんな様子でみてた。
病院だったし、何か不幸を聞いたのだと察知して、同情から見ていたのかもしれない。
夫に話し、激しく泣いたことで、ほんのちょっとだけ、人間としての感情がよみがえってきた。
ほとんど言葉がなかった夫の対応は、ももちんにとっては、とてもありがたいことだった。
これからのこと、励まし、心配、どんな言葉かけられても、なんにも入ってこなかっただろうから。むしろ、苦痛ですらあったと思う。
あと、夫は一緒にいればよかったと言ったけど、告知の時、ももちんは一人で良かったって思ってる。
家族に心配させまいという気持ちが働いてしまうと、告知されたときに、自分の反応をとりつくろってしまっていたかもしれないから。
夫との電話で、泣けたということだけが、少しだけ、自分自身を安心させてくれた。
上司の反応
夫からの電話を切ったら、少し、落ち着いてる感じがした。
いつもの私も少し取り戻し、あ、バイト休む連絡しなきゃー、と思いたち、そのまま車の中で、職場に電話。
そしたら、、悪性だったんです(急に号泣)
あと、今後のことについてはまだ全く考えられないけど、いろんな担当についてできなくなる可能性があります。
あと、皆には内密にしておいてほしいです。
意外と話せるものだなぁ。
こんな事務的なことを、しっかり話してる自分に、私は、どこまでいっても私だなぁ。妙に納得してしまった。
感情はどん底でも、理性は慣性の法則で働くものなのだ。
それにしても、なんの前触れもなく部下からがんを伝えられた店長は、当然ながら、飲み込めていない様子だった。
何かを言おうとしてたけど、言葉が出てこない、そんな様子がありありと伝わってきた。
また相手を沈黙させてしまった。
カミングアウトの相手の反応は、がんになった人自身にとっても、いちいち緊張する場面。
ももちんは後に、SNSやブログを通して早々に乳がんをカミングアウトするんだけど、その理由のひとつが、この「反応に立ち会うしんどさ」だった。
ま、そもそも隠しておこうという気はなかったんだけどね。
その後、車で家へ帰ったんだけど、いつもに増して運転がおぼつかない自分に驚愕。
よく、事故にならなかった・・・。
やっぱり冷静なんかじゃなく、思考停止状態で、ぼーっとしていただけだったみたい。
両親の反応
夕方、夫が帰ってきた。
帰ってきたときの夫は、頼りがいのある夫だった。
ももちんはなんにもできない状態だったけど、一緒になって、落ち込んでいる様子ではなかった。
乳がんと告知されたことを、まずは、夫の実家に電話で伝えてくれた。
その後、ももちんが、自分ではとてもできないと思っていたこと。
私の実家に伝えることも、夫が電話でしてくれた。
夫が青森の私の実家に電話すると、父が出た。
夫が父に伝え、父が外出中の母に伝えた。
父は、あまり飲み込めていなかったようで、返事だけしていたみたい。
電話を切って少したってから、母から電話が来た。
話してて涙がでそうになったけど、こらえた。
このとき初めて、「心配させたくない」という、他者を思う気持ちが発動したみたい。
平静を装っている母の口調は、私を安心させようとしている感じだった。
いつもは、良くも悪くも感情豊かな母だけど、このときは、優しく、力がなかった。
ももちんはというと、夫の前でも泣いて、上司の前でも泣いたのに、このとき、母の前では泣かなかった。
精一杯、大丈夫なふりをした。
自分はとてつもない親不孝をしてる気持ちになったんだ。
この知らせは母にとって、母自身ががんと聞かされるより、辛いものであるのかもしれないということが予想できたから。
なにはともあれ、一番近い家族へのカミングアウトが済んだ。
だからといって、心が少しでも楽になったかというと、そんなことはない。
ただ、「自分は本当に乳がんなんだ。」という実感が増しただけ。
それでも、夫が伝えてくれたから、家族の反応を目の当たりにしなくてすんだ。
その反応も、ものすごいショックや涙というわけじゃなく、あまり「死」と直結させてる感じを受けなかったから、少し救われた。
この夜、毅然といろいろ連絡をしてくれた夫には、心から感謝をしている。
まとめ
ももちんの乳がん闘病記④告知されたときの気持ちと周りの反応、まとめ。
- 夫に電話で話して初めて泣いた
- 上司も飲み込めてなかった
- 母には心配かけまいと平静を装った
次回は、告知後じわじわ湧いてきた実感、告知翌日の様子を書いていくよ。
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