『メアリー・ポピンズ』シリーズ まとめ記事(児童文学)

児童文学『メアリーポピンズ』シリーズで引用されている歌・本まとめ

更新日:

『メアリー・ポピンズ』シリーズは、ディズニー映画化もされているイギリス児童文学の名作。

物語の中には、イギリスの子どもたちなら必ずと言っていいほどなじみ深い「マザー・グース」もたくさん登場する。

今回は、『メアリー・ポピンズ』シリーズで引用されているものの元ネタを紹介していくよ。

この記事はこんな人におすすめ
  • 『メアリー・ポピンズ』シリーズに登場するキャラクターや歌がどんなものか気になる
  • 『メアリー・ポピンズシリーズ』で引用を知って深く味わいたい

 

目次

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『メアリー・ポピンズ』シリーズについてざっくり紹介。

左上『風にのってきたメアリー・ポピンズ』2000年
右上『帰ってきたメアリー・ポピンズ』2001年
左下『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』2002年
右下『公園のメアリー・ポピンズ』2003年
いずれもP.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店

『メアリー・ポピンズ』シリーズは、イギリスの女流作家P.L.トラヴァースによる児童文学。

1934年に発表した”Mary Poppins”以降、「メアリー・ポピンズ」関連作品は8作品刊行されている。

日本では、1954年、林容吉の翻訳で『風にのってきたメアリー・ポピンズ』として岩波書店より刊行された。

P.L.トラヴァース、林容吉の略歴はこちら。(『風にのってきたメアリー・ポピンズ』レビューページへ)

参考にした資料

『メアリー・ポピンズ』シリーズで、特にたくさん引用されているのは、「マザー・グース」と「グリム童話」。

それぞれ先に紹介していくね。

①マザー・グース

” The Real Mother Goose ”表紙。1916年[public domain]

『マザー・グース』は、イギリス・アメリカを中心に親しまれている童謡のこと。

600から1000以上の種類があるといわれる『マザー・グース』は、英米人の教養の基礎となっている。

参考:Wikipedia

『メアリー・ポピンズ』シリーズに登場するマザー・グース一覧

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マザーグースって、種類が多すぎて、CDだと、1枚のアルバムに聴きたい曲が全部入ってないことが多いんだよね。

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②グリム童話

ヴィルヘルム・グリム(左)とヤーコプ・グリム[public domain]

『グリム童話』は、19世紀初頭にドイツのグリム兄弟が収集した昔ばなし集のこと。

参考:Wikipedia

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1.『風にのってきたメアリー・ポピンズ』引用

『風にのってきたメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2000年

ここからは、岩波少年文庫の4冊について、お話ごとに引用されている曲や物語を紹介していくよ。

『風にのってきたメアリー・ポピンズ』では、「踊る牝牛」「鳥のおばさん」というお話でマザー・グースが引用されている。

1-1.「踊る牝牛」引用

W. W.デンスロウによるイラスト。[public domain]

『風にのってきたメアリー・ポピンズ』では、「星が落ちてきて角にささって、踊りが止まらなくなった牝牛」についてのお話が語られる。

この「踊る牝牛」の元になっているのは、『マザー・グース』の”Hey Diddle Diddle”という童謡。

歌詞に”The cow jumped over the moon.(ウシが月を飛びこえた)”という一節がある。

「踊る牝牛」「月をとびこした牝牛」は『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』『公園のメアリー・ポピンズ』でも登場する。

参考:世界の民謡・童謡

マザー・グース”Hey Diddle Diddle”をYouTubeで聴いてみる

1-2.「鳥のおばさん」引用

「鳥のおばさん」は、セント・ポール寺院前でいつも鳥のえさを売っている女性についてのお話。

セント・ポール寺院を再建した人物、クリスタファー・レンの説明の際、「ジェニー・レン」を引き合いに出している。

ジェニー・レン

アメリカにおけるクックロビンの唄の絵本の表紙。 (ヘンリー・ルイス・ステファン画、1865年)[public domain]

「ジェニー・レン」は、マザーグースの一つ”Cock Robin and Jenny Wren(コック・ロビンとジェニー・レン)”からの引用。

マザーグースにはコマドリのコックが登場する有名な歌が二つある。

ひとつは”Cock Robin and Jenny Wren”で、コマドリのコック・ロビンとミソサザイのジェニー・レンは結婚する。

もう一つが”Who Killed Cock Robin(誰がこまどりを殺したの? )”で、コマドリのコックの死からお葬式までが歌われている。

参考:ロビンソン商会 歌詞対訳works

マザー・グース”Who Killed Cock Robin”をYouTubeで聴いてみる

このお寺は、ずっと昔に、鳥の名前のついた人が建てたのです。それは、レンという名で、ミソサザイということです。だけど、歌やおはなしに出てくる、ジェニー・レンとは関係がありません。

引用元:『風にのってきたメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2000年

1-3.「クリスマスの買い物」引用

「クリスマスの買い物」で、ジェインはふたごの弟妹のために「ロビンソン・クルーソー」の本を買う。

プレアデス星団の少女マイアは、星の兄弟アルキオネへのプレゼントに「スイスのロビンソン」を選ぶ。

ロビンソン・クルーソー

ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』初版の扉ページ[public domain]

『ロビンソン・クルーソー』(原題”Robinson Crusoe”)は、イギリスの作家ダニエル・デフォー(1660-1731)の小説。

1719年に第1作が刊行された。

ロビンソンの誕生~船乗りになる~無人島に漂着、独力で生活を築いてゆく姿が描かれている。

参考:Wikipedia

ジェインは、しばらく考えていましたが、けっきょく、白いロバが、おとうさんに何よりいいと思いましたし、また、ふたごが大きくなったら読むようにと、ロビンソン・クルーソーの本を買いました。

引用元:『風にのってきたメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2000年

スイスのロビンソン

『スイスのロビンソン』(英語題”Swiss Family Robinson”)は、スイスの作家ウィース(1743-1818)による児童文学。

ダニエル・デフォーの有名な『ロビンソン・クルーソー』を下敷きとした二次創作の物語。

参考:Wikipedia

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ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

「この表紙の人たちはなんでしょうースイスのロビンソンね? これは気にいると思うわ。気にいらなくても、絵を見ればいいわ。これつつんでちょうだい!」

引用元:『風にのってきたメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2000年

2.『帰ってきたメアリー・ポピンズ』引用

『帰ってきたメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2001年

『帰ってきたメアリー・ポピンズ』では、「わるい水曜日」「ネリー・ルビナ」というお話でマザーグースや物語が登場する。

2-1.「わるい水曜日」引用

「わるい水曜日」は、ジェインが割れたお皿の絵の中に入り込んで、こわい体験をするお話。

最初ジェインはいつになく不機嫌で、「水曜日の子どもは、なげきがいっぱい」とマイケルにからかわれる。

水曜の子どもは、なげきがいっぱい

「水曜日の子どもはなげきがいっぱい」の元になっているのは、『マザー・グース』の”Monday's Child(月曜日に生まれた子供は)”という童謡。

歌詞のなかで、「月曜日生まれの子供は器量よし 火曜日生まれの子供はたいそう気品があり 水曜日生まれの子供は悲哀でいっぱい」と歌われている。

参考:KITAMOCCHI TIMES

マザー・グース”Monday's Child”をYouTubeで聴いてみる

「水曜日!」と、スプーンでテーブルをたたきながら、大きな声でいいました。「それはジェインの生まれた日。水曜の子どもは、なげきがいっぱい。だから、ジェインはコーンフレークスのかわりに、オートミールをたべなきゃならないのさ!」

引用元:『帰ってきたメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2001年

2-2.「ネリー・ルビナ」引用

「ネリー・ルビナ」は、ノアの方舟のような家に住み、「会話」を売っているネリー・ルビナのお話。

お話の最初で、ジェインが読んでいた「ロビンソン・クルーソー」を閉じる。

ロビンソン・クルーソー

『ロビンソン・クルーソー』(原題”Robinson Crusoe”)は、イギリスの作家ダニエル・デフォー(1660-1731)の小説。

『ロビンソン・クルーソー』についてはこちら。(上に戻る)

「きっと、いつまでもやまないんだわーいつまでも!」

ジェインは、ロビンソン・クルーソーの本をおいて、ゆうつそうに、窓のそとをみつめました。

引用元:『帰ってきたメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2001年

3.『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』引用

『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』では、「トイグリーさんの願いごと」「王さまを見たネコ」「末ながく幸福に」のお話のなかに、たくさんの引用がある。

マザー・グースが多く登場するので、どんな歌か知っておくと、より楽しめる。

3-1.「トイグリーさんの願いごと」引用

「トイグリーさんの願いごと」では、トイグリーさんがいろんなオルゴールを鳴らしてくれる。

その中にマイケルの好きな〈ロンドン橋が落ちる〉と、ジェインの好きな〈オレンジとレモン〉のオルゴールがあるんだよね。

〈ロンドン橋が落ちる〉

"London Bridge Is Falling Down"イラスト。ウォルター・クレーン”A Baby's Bouquet ”より[public domain]

引用元:London Bridge Is Falling Down

「ロンドン橋落ちた」(原題”London Bridge Is Broken Down”)は、イギリスに古くからあるマザー・グースの動揺で、現在では世界中で知られている。

参考:Wikipedia

マザー・グース”London Bridge Is Broken Down”をYouTubeで聴いてみる

〈オレンジとレモン〉

「オレンジとレモン」の遊び方[public domain]

オレンジとレモン(原題”Oranges and Lemons”)は、マザー・グースの1つで、2人がアーチを作りその下を他の子供がくぐり抜ける遊び唄。

ロンドンの鐘がたくさん出てくる唄で、イギリスでは特に好んで歌われている。

参考:Wikipedia

マザー・グース”Oranges and Lemons”をYouTubeで聴いてみる

「これ、〈ロンドン橋が落ちる〉だ! ぼくの大好きな歌だ!」と、マイケルが叫びました。

「いったとおりだろうが!」トイグリーさんは、にっこりして、も一つの箱をまわしました。陽気な節が、はじまりました。

「これ、わたしのだわ!」と、ジェインがうれしそうに大声をあげました。「〈オレンジとレモン〉よ。」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

サルとイタチの歌

マザーグースに”Pop goes the weasel(イタチが飛び出した)”という歌がある。

「トイグリーさんの願いごと」では、メアリー・ポピンズが乗ったオルゴールから、”Pop goes the weasel”が流れる。

参考:英語の歌であそぼ

マザー・グース”Pop goes the weasel”をYouTubeで聴いてみる

〈くつ屋の台をぐるぐるまわって、おサルがイタチを追いかけた。

おサルがいうには、みんなじょうだんーイタチがぴょんととんででる!〉

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

3-2.「王さまを見たネコ」引用

「王さまを見たネコ」では、『マザー・グース』をもとにした物語をメアリー・ポピンズが語り始める。

気むずかしい王さまがネコの助言により愉快な人物になる物語。

その中には、『マザー・グース』の他のキャラクターも登場する。

「王さまを見たネコ」は、『公園のメアリー・ポピンズ』でも「影」として登場する。(「ハロウィーン」)

王さま

W. W.デンスロウによる「コール老王」のイラスト。[public domain]

コール老王(原題”Old King Cole”)は、マザー・グースの1つ。

「王さまを見たネコ」では王さまが「パイプとポンチ酒とヴァイオリン弾きを3人」を呼び寄せる。

マザー・グース「コール老王」の「すぐにパイプめして、お酒杯《さかずき》めしてね、そして胡弓《こきゅう》ひきを三人ほどおめしで。」(北原白秋『まざあ・ぐうす』)と通じる。

参考:Wikipedia

マザー・グース”Old King Cole”をYouTubeで聴いてみる

「許してくれ、忠実なる友よ!」と、王さまが叫びました。「そして、わしのパイプと、ポンチ酒を、もってまいれ、ヴァイオリンひき三人を呼びいれよ!」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

お妃さまとネコ

”Pussy Cat, Pussy Cat(こねこ、こねこ)”はマザーグースの一つ。

「王さまを見たネコ」ではネコは初めお妃さまのもとに現れ、ネズミをつかまえる。

”Pussy Cat, Pussy Cat”では、子猫が女王のところに現れ、女王の玉座の下にいたネズミを驚かせる。

参考:Mother Goose Nursery Rhymes

マザー・グース”Pussy Cat, Pussy Cat”をYouTubeで聴いてみる

巨人退治のジャック

『ジャックと豆の木』Flora Annie Steel作、Arthur Rackham画English Fairy Tales(1918年)の挿絵[public domain]

「巨人退治のジャック」は、イギリスの有名な童話『ジャックと豆の木』(原題”Jack and the Beanstalk”)からの引用。

「王さまを見たネコ」では、ジャックは王さまの庭師をつとめている。

参考:Wikipedia

ボウ・ピープ

「ボウ・ピープ」は、マザーグースの一つ”Little Bo Peep(小さな羊飼い)”からの引用。

「王さまを見たネコ」では、ボウ・ピープは王さまの家畜の世話をしている。

参考:英語の歌であそぼ

マザー・グース”Little Bo Peep”をYouTubeで聴いてみる

二十と四羽のクロドリ

ウォルター・クレインによる、この唄を題材としたイラスト[public domain]

「二十と四羽のクロドリ」は、マザーグースの一つ”Sing a Song of Sixpence(6ペンスの唄)”からの引用。

「王さまを見たネコ」では王さまのパイには、すべて「二十と四羽のクロドリ」という。

”Sing a Song of Sixpence(6ペンスの唄)”にも近い歌詞がある。

参考:Wikipedia

マザー・グース”Sing a Song of Sixpence”をYouTubeで聴いてみる

「わしの宮廷は、最高級の人物でできておる。巨人退治のジャックが、わしの庭園を掘っておる。わしの家畜の世話をするのは、だれであろう、ボウ・ピープその人じゃ。わしのパイには、すべて、二十と四羽のクロドリがはいっておる。別にみるべきものもないとは、なんたることか!」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

月をとびこした牝牛

『風にのってきたメアリー・ポピンズ』の「踊る牝牛」が、ここでも登場。

「月をとびこした牝牛」は、マザーグースの一つ”Hey Diddle Diddle”からの引用。

『月をとびこした牝牛』についてはこちら。(上に戻る)

マザー・グース”Hey Diddle Diddle”をYouTubeで聴いてみる

「そう、わたしはね、」と、牝牛が、首をふりたてていいました。「月を跳びこした牝牛なのよ。」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

金の卵をうむガチョウ

” The Real Mother Goose ”表紙。1916年[public domain]

「金の卵をうむガチョウ」は、マザーグースの一つ”Old Mother Goose”からの引用。

歌詞に”His goose had laid him,An egg of pure gold.(ジャックのガチョウは生んでいた、金の卵を生んでいた )”という一節がある。

参考:Nursery Rhymes Garage

マザー・グース”Old Mother Goose”をYouTubeで聴いてみる

「わたしは、金の卵をうむガチョウなのよ!」と、その鳥が、クワックワッと、えらそうな声をあげました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

ネズミに求婚したカエル

「ネズミに求婚したカエル」は、マザーグースの一つ”A frog he would a-wooing go”からの引用。

”A frog he would a-wooing go”でカエルはネズミの娘のところへ行き、求婚する。

参考:ロビンソン商会 歌詞対訳works

マザー・グース”A frog he would a-wooing go”をYouTubeで聴いてみる

「わたしが、ハツカネズミの娘さんに結婚を申し込みにいったカエルなんです。」と、自慢そうにいいました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

3-3.「大理石の少年」引用

「大理石の少年」というお話では、公園にある大理石の像のネリウスが突然動き出す。

ネリウスはいつも、像の前のベンチに座った人が読む本をうしろから読んでいた。

読んだ本の中に『不思議の国のアリス』と『ロビンソン・クルーソー』があげられている。

〈不思議の国のアリス〉

ルイス・キャロル著『不思議の国のアリス』ジョン・手にエルによる挿絵[public domain]

『不思議の国のアリス』(原題”Alice's Adventures in Wonderland”)は、1865年、イギリスの数学者ルイス・キャロルが発表した児童文学。

幼い少女アリスが白ウサギを追いかけて不思議の国に迷い込み、冒険する様子を描いている。

参考:Wikipedia

〈ロビンソン・クルーソー〉

『ロビンソン・クルーソー』(原題”Robinson Crusoe”)は、イギリスの作家ダニエル・デフォー(1660-1731)の小説。

『ロビンソン・クルーソー』についてはこちら。(上に戻る)

「ぼく、〈不思議の国のアリス〉、そらで覚えてるよ。」と、ネリウスが話を続けます。「〈ロビンソン・クルーソー〉も、たいがいね。」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

3-4.「末ながく幸福に」引用

「末ながく幸福に」では、大みそかと新しい年の「すきま」に、『マザー・グース』『ロビンソン・クルーソー』『みどりいろの童話集』のキャラクターが現れる。

「すきま」の時間だけは、ふだん仲の悪いキャラクターたちも仲良くなる。

『ロビンソン・クルーソー』

『ロビンソン・クルーソー』(原題”Robinson Crusoe”)は、イギリスの作家ダニエル・デフォー(1660-1731)の小説。

ロビンソン・クルーソーは無人島に滞在中、捕虜の一人を助け出し、フライデーと名づけ召使いにする。

「末ながく幸福に」では、ロビンソン・クルーソーとフライデーが本から飛び出し、ジェインとマイケルとダンスを踊る。

『ロビンソン・クルーソー』についてはこちら。(上に戻る)

『緑いろの童話集』

”Green Fairy Book”1892年刊行の初版本の表紙[
public domain]

『みどりいろの童話集』(原題”Green Fairy Book”)は、スコットランドの作家・民俗学者アンドルー・ラング(1844-1912)が収集・編集した童話集。

12冊からなる『アンドルー・ラング世界童話集』のなかの1冊で、1892年に刊行された。

『みどりいろの童話集』では、『青い鳥』『三びきの子豚』など、42編の童話がおさめられている。

「末ながく幸福に」では、『ロビンソン・クルーソー』や『マザー・グース』と一緒に、この本が「みんなのよく知っている本」として描かれている。

子どもたちがみていると、メアリー・ポピンズは、みんなのよく知っている本を、三冊とりおろしました。〈ロビンソン・クルーソー〉と、〈緑いろの童話集〉と、〈マザー・グース童謡集〉でした。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

三匹の目の見えないねずみ

”Three Blinde Mice”楽譜1609年[public domain]

引用元: Three Blind Mice melody

「三匹の目の見えないねずみ」は、マザーグースの一つ”Three Blind Mice(3匹のめくらネズミ)”からの引用。

”Three Blind Mice”ではネズミたちはお百姓のおくさんから逃げるが、「末ながく幸福に」ではネズミたちがお百姓のおくさんに会いに行く。

参考:世界の民謡・童謡

マザー・グース”Three Blind Mice”をYouTubeで聴いてみる

「三匹の、目の見えないのネズミです。」と、アルフレッドが、笑いながら説明してくれました。「いつも、だれかの足もとで、ちょろちょろしてるんです!」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

コマドリのコック、ミソサザイのジェニー

二匹で登場する「コマドリのコック」「ミソサザイのジェニー」は、マザーグースの一つ”Cock Robin and Jenny Wren(コック・ロビンとジェニー・レン)”からの引用。

「コマドリのコック」「ミソサザイのジェニー」についてはこちら。(上に戻る)

マザー・グース”Who Killed Cock Robin”をYouTubeで聴いてみる

ピニーは、二羽の小鳥と握手しましたが、コマドリのコック、ミソサザイのジェニーと、呼んであいさつしていました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

ハンプティ・ダンプティ

W. W.デンスロウによる「ハンプティ・ダンプティ」のイラスト。1904年[public domain]

ハンプティ・ダンプティ(原題”Humpty Dumpty”)は、マザー・グースのひとつで、またその童謡に登場するキャラクター。

キャラクターは一般に擬人化された卵の姿で親しまれている。

”Humpty Dumpty”ではハンプティ・ダンプティは塀から落ちて壊れ、直せなくなるが、「末ながく幸福に」では王さまがハンプティ・ダンプティを直してくれる。

参考:Wikipedia

マザー・グース”Humpty Dumpty”をYouTubeで聴いてみる

「ハンプティ・ダンプティは、なおせなかったんだと思ってたよ。」

「だれが、なおせなかったなんて、いった?」と、小男が、怒って叫びました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

二十四羽のクロドリと王さま

「二十四羽のクロドリと王さま」は、マザーグースの一つ”Sing a Song of Sixpence(6ペンスの唄)”からの引用。

「末ながく幸福に」では王さまが「二十四羽のクロドリに歌ってもらうためにパイを開く」という。

”Sing a Song of Sixpence(6ペンスの唄)”にも近い歌詞がある。

『二十四羽のクロドリと王さま』についてはこちら。(上に戻る)

マザー・グース”Sing a Song of Sixpence”をYouTubeで聴いてみる

「(中略)だが、いまは、わしをわずらわさんでくれ。わしの、二十四羽のクロドリが歌をうたうんで、わしは、パイを開かねばならんのじゃ。」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

ライオンとユニコーン

ウォルター・クレイン画:ライオンとユニコーン[public domain]

ライオンとユニコーン(原題 "The Lion and the Unicorn")は、マザー・グースのひとつで、またその童謡に登場するキャラクターである。

"The Lion and the Unicorn"はライオンとユニコーンが王冠をかけて戦ってライオンが勝つが、「末ながく幸福に」ではライオンがユニコーンに王冠を差し出す。

参考:Wikipedia

マザー・グース”The Lion and the Unicorn”をYouTubeで聴いてみる

みていると、ライオンは、金の王冠をじぶんの頭からとって、一角獣にさしだしました。

「こんどは、きみがかぶる番だ。」と、ライオンが、いんぎんにいいました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

くつの家にすむおばあさん

W. W.デンスロウによる”There Was An Old Woman Who Lived In A Sho”のイラスト[public domain]

くつの家にすむおばあさんは、マザーグース”There was an Old Woman Who Lived in a Shoe(靴にお婆さんが住んでいた)”の引用。

マザーグースでは、おばあさんはたくさんの子どもの世話にてんやわんやで、子どもたちに厳しくあたる。

「末ながく幸福に」では、子どもたちは大変いい子で、おばあさんは一度もムチを使わない。

参考:Art and Books アート&ブックス

マザー・グース”There was an Old Woman Who Lived in a Shoe”をYouTubeで聴いてみる

おばあさんは、踊りながら、すごく大きいくつをひっぱっていましたが、そのくつには、きゃあきゃあ笑って、男の子と女の子が、たくさん乗っていました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

ジョージ・ポーギー

引用元: "Georgie Porgie"

「ジョージ・ポーギー」は、マザーグースの一つ”Georgie Porgie(ジョージ・ポージ)”からの引用。

"Georgie Porgie"ではジョージ・ポーギーが女の子にキスをして泣かせるが、「末ながく幸福に」では女の子たちがジョージ・ポーギーにキスしてもらいたがる。

参考:英語の歌で遊ぼ

ザー・グース”Georgie Porgie”をYouTubeで聴いてみる

「ジョージー・ポーギーのおかげで、女の子たちは、たいへん助かるよ。みんな、今夜は、キスしてもらうってきかないんだよ。」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

赤ずきん

ウォルター・クレイン画の赤ずきんとオオカミ[public domain]

『赤ずきん』は、ヨーロッパで古くから伝わる童話。

今日知られている『赤ずきん』の内容の多くはフランスの詩人シャルル・ペロー(1628-1703)によるものとされている。

「末ながく幸福に」では、赤ずきんがオオカミに抱きついている。

参考:Wikipedia

「ほら、赤ずきんが、オオカミに抱きついてるの、ごらんな! どうやって、晩のごはんをたのんだらいいか、おしえようとしてるのさ。」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

ミス・マフェット

「マフェットちゃん」の歌詞をもじったポスター[public domain]

「ミス・マフェット」は、マザーグースの一つ”Little Miss Muffet(マフェットちゃん)”からの引用。

”Little Miss Muffet”ではマフェットちゃんはクモから逃げるが、「末ながく幸福に」ではマフェットちゃんとクモは仲良く話し込んでいる。

参考:Wikipedia

マザー・グース”Little Miss Muffet”をYouTubeで聴いてみる

「おすわり、マフェット。しっかり、つかまってるんだよ!」

おばあさんは、ちいさな、かわいい女の子のほうへ手を振りました。その子は、くつの背中にすわって、大きな黒いクモと、熱心に話をつづけていました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

眠り姫

眠れる森の美女(Edward Frederick Brewtnall画)[public domain]

『眠り姫(眠れる森の美女)』(原題”Sleeping Beauty”)は、ヨーロッパで古くから伝わる童話。

童話では眠り姫は王子様のキスで目覚めるが、「末ながく幸福に」では、鐘の音で自分で目覚める。

参考:Wikipedia

お姫さまは、その鼻を軽くたたいて、ゾウに身をよせました。

「深い夢のなかにいたのです。」と、やさしくつぶやきました。「ですが、打ちはじめの音で、運よく、目が覚めたのですわ!」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

三匹のクマとゴールディロックス

『三匹のくま』Flora Annie Steel作、Arthur Rackham画English Fairy Tales(1918年)の挿絵[public domain]

「三匹のクマとゴールディロックス」は、イギリスの有名な童話『3びきのくま』(原題”the Three Bears”)からの引用。

童話では少女ゴールディロックスはクマを見て逃げかえるが、「末ながく幸福に」では、ゴールディロックスの周りをクマたちが回っている。

参考:Wikipedia

ジェインとマイケルが、そっちをみると、三匹のクマが、ちいさな、金髪の女の子のまわりを、ぶきようにとびまわっていました。

「ゴールディロックスです。」と、眠り姫が、説明してくれました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

パンチとジュディ

人形劇「パンチとジュディ」のキャラクター[public domain]

パンチとジュディ(原題 "Punch and Judy")は、イギリスの人形劇とそのキャラクター、またマザー・グースのひとつでもある。

”Punch and Judy”ではパンチはジュディを殴るが、「末ながく幸福に」ではふたりは愛し合っている。

参考:Wikipedia

「まあ、こんばんは、パンチ! 赤ちゃんはどう、ジュディ?」

眠り姫は、腕を組んで歩いてきた、ふたりの、鼻の長い人形に、手をふってあいさつしました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

ジャックと巨人

「ジャックと巨人」は、イギリスの有名な童話『ジャックと豆の木』(原題”Jack and the Beanstalk”)からの引用。

童話では少年ジャックは巨人を退治するが、「末ながく幸福に」では、ジャックは巨人の肩に乗り、じゃれあっている。

『ジャックと巨人』についてはこちら。(上へ戻る)

「あれが、巨人胎児のジャックと、巨人です。ふたりは、今夜は、心からの友だちなんです。」

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

ウサギとカメ

カメに追いつくことを試みるウサギ[public domain]

『ウサギとカメ』は、足の速いウサギと足の遅いカメが競走をし、最終的にはカメが勝利する話。

イソップ物語の一つとしても知られている。

「末ながく幸福に」では、ウサギとカメが一緒に踊っている。

参考:Wikipedia

ハートのクインとジャック

ジョン・テニエル画:『不思議の国のアリス』のハートの女王とアリス[public domain]

ハートのクインとジャックは、マザーグースの詩”The Queen of Hearts(ハートの女王)”に登場する。

”The Queen of Hearts”では、ハートの女王がつくったタルトをハートのジャック(召使い)が盗み、食べてしまう。

後にルイス・キャロルが『不思議の国のアリス』にハートの女王とジャックを登場させ、ハートの女王の作ったタルトを盗んだという疑いで、ハートのジャックの裁判が行われる。

「末ながく幸福に」では、ハートのクインとジャックは抱きあっている。

参考:Wikipedia

美女と野獣

ウォルター・クレインによる『美女と野獣』挿絵[public domain]

『美女と野獣』は、フランスで古くから伝わる童話で、美女と野獣が結婚する物語。

「末ながく幸福に」では、美女と野獣が手を取り合っている。

参考:Wikipedia

ウサギとカメが、いっしょに踊っていきました。ハートのクインとジャックが、抱きあっていて、美女が野獣と手をとりあっています。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

ガチョウのグーシー・ギャンダー

「ガチョウのグーシー・ギャンダー」は、マザーグースの一つ”Goosey Goosey Gander(ガアガアガチョウ)”からの引用。

「末ながく幸福に」では、ガチョウのグーシー・ギャンダーがジョンのおもちゃの青いアヒルとダンスを踊る。

参考:英語の歌であそぼ

ザー・グース”Goosey Goosey Gander”をYouTubeで聴いてみる

ちょうど、青いアヒルが、大きな灰色の鳥にしっかり抱かれて、よたよた、通っていったのです。

「あれは、ガチョウのグーシー・ギャンダーですよ!」と、ロビンソン・クルーソーがいいました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

シンデレラ

『シンデレラ』靴がピタリと合ったシーン[public domain]

『シンデレラ』(原題”Cinderella”)は、ヨーロッパで古くから伝わる童話。

「末ながく幸福に」では、シンデレラはジェインのサルのぬいぐるみピニーとダンスを踊る。

参考:Wikipedia

「それから、あすこにピニーがいるーシンデレラといっしょです。」

ジェインは、すばやく、見まわしました。そう、ほんとです。あの、ぼろ切れのピニーが、たいへん、もったいぶって、得意そうに、きれいなご婦人と、踊っていました。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

3-5.「別の扉」引用

「別の扉」では、メアリー・ポピンズ最後の日の朝に、マザーグースが引用されている。

〈クワの茂みをめぐって〉

〈クワの茂みをめぐって〉は、マザーグースの一つ”Here We Go Round the Mulberry Bush(桑の木の周りをまわろう)”からの引用。

手遊び、身体遊び歌の一つとして知られていて、”Here we go round the mulberry bush,On a cold and frosty morning. ”(桑の木の周りをまわろう 寒くて凍えそうな朝に)という歌詞がある。

「別の扉」ではあえてこの歌を引用し、寒くて冷たい風が吹く日だということを強調している。

参考:3ヶ月でほしい英語力を手に入れる独学英語勉強法 - 英語コーチング –

マザー・グース”Here We Go Round the Mulberry Bush”をYouTubeで聴いてみる

その朝は、〈クワの茂みをめぐって〉という歌にあるような、寒くて、やや霧のかかった朝でした。

引用元:『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード/アグネス・シムズ(絵)林容吉(訳)岩波書店、2002年

4.『公園のメアリー・ポピンズ』引用

『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

『公園のメアリー・ポピンズ』では、「幸運の木曜日」「物語のなかの子どもたち」「公園のなかの公園」「ハロウィーン」のお話のなかに、たくさんの引用がある。

ここでも、『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』と同様、マザー・グースが多く登場する。

4-1.「幸運の木曜日」引用

「幸運の木曜日」では、マイケルが一ばん星に願いごとをすると、次の日にその通りになって、こわい思いをする。

ここでもマザーグースが引用されている。

一ばん星に願いごと

マザーグースの一つ”Star Light Star Bright”は、ジェインが一ばん星を見つけて、歌をうたって願いごとをする場面で引用されている。

参考:朗読 マザーグース 第2集

マザー・グース”Star Light Star Bright”をYouTubeで聴いてみる

「ほら、一ばん星が出てるわー願いごとしましょう! どんな節だっけ、マイケル?」

マイケルは、くびをふって、うたおうとしなかったので、ジェインは、ひとりでうたいました。

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

4-2.「物語のなかの子どもたち」引用

「物語のなかの子どもたち」では、公園でジェインとマイケルが〈銀いろの童話集〉という本を読んでいる。

「三人の王子さま」という物語を開いたとき、本のなかから本当に3人の王子さまと一角獣が現れる。

3人の王子たちは、「シンデレラ」「白雪姫」「バドロルブドル姫」「白ネコおばさん」「ちいさな二つ目おばさん」「ババ・ヤガー」「眠り姫」などが自分たちのおばさんだという。

白雪姫

ガラスの棺に入れられた白雪姫[public domain]

「白雪姫」は、ドイツに古くから伝わる民話。グリム童話の一つとしても有名。

参考:Wikipedia

バドロルブドル姫

魔法の庭園に佇むアラジン[public domain]

「バドロルブドル姫」は、『アラジンと魔法のランプ』というお話に登場する姫。

『アラジンと魔法のランプ』では、主人公アラジンと結婚する。

『アラジンと魔法のランプ』は、イスラムの説話集『アラビアン・ナイト』のなかでももっとも有名な物語の一つ。

参考:Wikipedia

白ネコおばさん

「白ネコおばさん」は、17世紀のフランスの児童文学作家、ドーノワ夫人の童話『白猫(原題”La Chatte Blanche”)』に登場する。

”La Chatte Blanche”では、美しい王女が姿を変えられて白猫になっている。

参考:童話作家・北村正裕のナンセンスの部屋

ちいさな二つ目おばさん

『一つ目、二つ目、三つ目』挿絵 by Hermann Vogel.[public domain]

「ちいさな二つ目おばさん」は、グリム童話『一つ目、二つ目、三つ目(原題”One-Eye, Two-Eyes, and Three-Eyes”)』に登場する二つ目の娘のこと。

グリム童話では、最後に王子さまと結婚する。

参考:グリム童話

ババ・ヤガー

バーバ・ヤーガ(イヴァン・ビリビン画)[public domain]

「ババ・ヤガー」は、ロシア民話に登場する妖精の老婆。

骨と皮だけにまで痩せこけた姿をしていて、民話に登場するとき敵役で、子供を誘拐して取って喰うパターンが多い。

参考:Wikipedia

「眠り姫」「シンデレラ」について。(上へ戻る)

「おばさんたちは?」お巡りさんは、骨折って書きながら、つづけてききました。

「ああ、何百人っているよ。」アモールが、にやっとしていいました。「シンデレラ、白雪姫、バドロルブドル姫、白ネコおばさん、ちいさな二つ目おばさん、ババ・ヤガーーそれから、もちろん、眠り姫もね。」

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

〈銀いろの童話集〉

アンドルー・ラング[public domain]

スコットランドの作家・民俗学者アンドルー・ラング(1844-1912)は、世界中の童話や民話を収集・編集し、12冊からなる『アンドルー・ラング世界童話集』を刊行した。

それぞれの本は、「あおいろの童話集」「あかいろの童話集」など、12色の色が題されている。

12冊のなかに「銀色」はない。

「物語のなかの子どもたち」のなかに登場する〈銀いろの童話集〉や、その中に入っている「三人の王子さま」という物語は、トラヴァースが『アンドルー・ラング世界童話集』を元に創作したものだと考えられる。

『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』の「末ながく幸福に」では、『みどりいろの童話集』が登場する。

参考:Wikipedia

『みどりいろの童話集』についてはこちら。(上に戻る)

ジェインは、〈銀いろの童話集〉のページを繰りました。その本は、すりきれて、色あせていました。長くて、忙しい生活を送ってきていたからです。

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

4-3.「公園のなかの公園」引用

「公園のなかの公園」では、ジェインとマイケルは公園で、小さな箱庭のような公園をつくって遊んでいる。

いつのまにかジェインとマイケルは「公園のなかの公園」の中に入ってしまう。

そこで出会う人のは、「マザー・グース」でよく知っている名前を名乗る人たちだった。

ロビンソン・クルーソー

『ロビンソン・クルーソー』(原題”Robinson Crusoe”)は、イギリスの作家ダニエル・デフォー(1660-1731)の小説。

『ロビンソン・クルーソー』についてはこちら。(上へ戻る)

〈スイスのロビンソン〉

『スイスのロビンソン』(英語題”Swiss Family Robinson”)は、スイスの作家ウィース(1743-1818)による児童文学。

『スイスのロビンソン』についてはこちら。(上へ戻る)

「〈スイスのロビンソン〉には、いつも、たべるものがたくさんあったわ。だけど、マイケル、わたしおなかすいてないから、ほしければ、わたしのケーキたべてもいいわよ。」

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

イーニー、ミーニー、マイニー、モウ

「イーニー、ミーニー、マイニー、モウ」(原題”Eeney Meeney Miney Moe”)は、イギリスの有名な数え歌の一つ。

「公園のなかの公園」では、気の優しいモウおじさんと、3人の息子イーニー、ミーニー、マイニーが登場する。

マザーグースでは「イーニー、ミーニー、マイニー、モウ インディアン(現在は虎)の足をつかまえた。さわぐようならはなしておやり、イーニー、ミーニー、マイニー、モウ」という歌詞がある。

「公園のなかの公園」では、イーニー、ミーニー、マイニーがインディアンをつかまえてはなしてやる場面がある。

参考:世界の民謡・童謡

マザー・グース”Eeney Meeney Miney Moe”をYouTubeで聴いてみる

「イーニー、ミーニー、マイニーーどこにいるんだい!」

ジェインとマイケルは、、目をぱちくりして顔を見あわせると、それから、モウさんのほうを見ました。

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

ヒッコリーおばさんとディッコリとドック

W. W.デンスロウによる「ヒッコリー・ディッコリー・ドック」のイラスト。[public domain]

「ヒッコリーおばさん」と「ディッコリとドック」は、マザーグースの一つ『ヒッコリー・ディッコリー・ドック(原題”Hickory Dickory Dock”)』からの引用。

「公園のなかの公園」では、ヒッコリおばさんが赤ちゃんのディッコリとドックを抱いている。

参考:世界の民謡・童謡

マザー・グース”Hickory Dickory Dock”をYouTubeで聴いてみる

「でも、ヒッコリおばさん、子どもいなかったはずなんだけど!」と、ジェインは、ひとりごとをいって、ふたりのふとった赤ちゃんをじっと見ていました。

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

4-4.「ハロウィーン」引用

「ハロウィーン」では、特別なハロウィーンの晩に、公園にいろんな人の「影」が集まり、パーティをしている。

そのなかには、子どもたちがよく知っている「マザーグース」のキャラクターの影もあった。

亡者の箱

『宝島』1911年版表紙[public domain]

「亡者の箱」は、イギリスの作家スティーブンソン(1850-1894)の小説『宝島(原題”Treasure Island”)』からの引用。

『宝島』では、次のような歌が出てくる。「死人箱島に流れ着いたは十五人 ヨー、ホッ、ホー、酒はラムがただ一本」(『宝島』スティーブンソン作、村上博基訳、光文社、2008年)

「ハロウィーン」では、元船乗りのブーム提督がこの歌に近い歌をうたう。

参考:Wikipedia

「亡者の箱に、十六人ーヨッ、ホッ、ホウ! それから、ラムを一びんだ。」

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

踊る牝牛

「ハロウィーン」で影として登場する「踊る牝牛」のお話は、『風にのったメアリー・ポピンズ』で読むことができる。

星が角にささって踊るのが止まらなくなり、月をとびこした牝牛の物語。

マザー・グース”Hey Diddle Diddle”からの引用。

『踊る牝牛』についてはこちら。(上へ戻る)

マザー・グース”Hey Diddle Diddle”をYouTubeで聴いてみる

「マイケル!」と、ジェインが、ひそひそ声をはりあげていいました。「あれ、踊る牝牛だと思うわ!」

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

王さまを見たネコ

「ハロウィーン」で影として登場する「王さまを見たネコ」のお話は、『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』で読むことができる。

気むずかしい王さまがネコの助言により愉快な人物になる物語。

『王さまを見たネコ』についてはこちら。(上へ戻る)

「王さまを見たネコだわ!」ジェインは、そう叫んで、手をのばして頭をなでようとしましたが、さわったのは、空気だけでした。

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

コック・ロビン

「コマドリのコック」は、マザーグースの一つ”Who Killed Cock Robin(誰がこまどりを殺したの? )”からの引用。

”Who Killed Cock Robin”では、コマドリのコックの死からお葬式までが歌われている。

「ハロウィーン」では、コマドリのコックが「葬式」や「埋められた」などの話をする。

『コマドリのコック』についてはこちら。(上へ戻る)

マザー・グース”Who Killed Cock Robin”をYouTubeで聴いてみる

「かわいそうに、コマドリのコック・ロビンくんーそしてまた、その苦労がね!」影のようなネコが、影のようなあくびをしました。「あの葬式は、よういなこっちゃ、すまさられまいよ、それに、あのばか騒ぎときちゃ。」

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

コール王

コール老王(原題”Old King Cole”)は、マザー・グースの1つ。

「ハロウィーン」では王さまの影がパイプとコップをもって、三人のヴァイオリン弾きと一緒にいる。

マザー・グース「コール老王」の「すぐにパイプめして、お酒杯《さかずき》めしてね、そして胡弓《こきゅう》ひきを三人ほどおめしで。」(北原白秋『まざあ・ぐうす』)と通じる。

『コール王』についてはこちら。(上へ戻る)

マザー・グース”Old King Cole”をYouTubeで聴いてみる

マイケルが、ふきだしました。「あれ、コール王さまの影だよ。絵とそっくりだもん!」

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

笛吹きの子のトム

「笛吹きの子のトム」は、マザーグースの一つ”Tom, he was a piper’s son(トムは笛吹きのむすこ)”からの引用。

”Tom, he was a piper’s son”では、トムが笛をならい、上手にふいて周りが躍りはじめる様子が描かれている。

「ハロウィーン」では、笛吹きの子トムの影がフルートを吹き、影たちが踊る。

参考:Singing Bell

ザー・グース”Tom, he was a piper’s son”をYouTubeで聴いてみる

「それから、笛吹きの子のトムもいるだろ!」コック・ロビンが、ジェインをにらみつけました。「あれが、影だったら、なにかの影なんだーちがうといいたいんなら、いってもいいがね!」

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

ガチョウのグーシー・ギャンダー

「ガチョウのグーシー・ギャンダー」は、マザーグースの一つ”Goosey Goosey Gander(ガアガアガチョウ)”からの引用。

「ハロウィーン」では、ジェインとマイケルの影がガチョウのグーシー・ギャンダーの影を追いかける。

『ガチョウのグーシー・ギャンダー』についてはこちら。(上へ戻る)

マザー・グース”Goosey Goosey Gander”をYouTubeで聴いてみる

「ああ、ガチョウのグーシー・ギャンダーさん、待ってよ!」そういうと、空気のような子どものほうは、ふたりともいってしまいました。

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

ボウ・ピープ

「ボウ・ピープ」は、マザーグースの一つ”Little Bo Peep(小さな羊飼い)”からの引用。

マザー・グースではボウ・ピープは羊に逃げられてばかりいる。

「ハロウィーン」では、ボウ・ピープの影が逃げた羊の影を見つけている。

『ボウ・ピープ』についてはこちら。(上へ戻る)

マザー・グース”Little Bo Peep”をYouTubeで聴いてみる

「だけど、ボウ・ピープは、ヒツジをなくしたんだと思ってたよ!」マイケルが、びっくりして叫びました。

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

三びきのクマ

『三びきのクマ』はイギリスの有名な童話。

「ハロウィーン」では、三びきのクマの影がボウ・ピープの影と一緒に踊る。

『三びきのクマ』についてはこちら。(上へ戻る)

「まあ!」と、ジェインが叫びました。「三びきのクマだわ。ボウ・ピープにけがでもさせなければいいけど。」

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

ウィッティントン

リチャード・ウィッティントンと猫。架空の肖像とされる[public domain]

「ウィッティントン」は、14世紀の3期歴任ロンドン市長リチャード・ウィッティントンのこと。

「ウィッティントンと猫」という民話で、一台で巨万の富を築いた人物として描かれている。

「ハロウィーン」では、コリーおばさんが「孫の孫の孫のウッティントン」のことを話している。

参考:Wikipedia

「わたしの、孫の孫の孫に、よく思いださせてやったもんだよ。三度、ロンドンで市長をつとめたんだが。ウッティントンって名まえだったよ。」

引用元:『公園のメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース(作)メアリー・シェパード(絵)林容吉(訳)岩波書店、2003年

まとめ

『メアリー・ポピンズ』シリーズ、作中で引用されているものまとめ。

  1. 『メアリー・ポピンズ』シリーズについて
  2. 「マザー・グース」「グリム童話」紹介
  3. 『風にのってきたメアリー・ポピンズ』引用
  4. 『帰ってきたメアリー・ポピンズ』引用
  5. 『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』引用
  6. 『公園のメアリー・ポピンズ』引用

調べてみたら予想以上にたくさん出てきてびっくり。

実際に曲を聞いてみると、当時のイギリスの子どもの文化などが知れて、『メアリー・ポピンズ』がもっと味わい深くなる。

YouTube動画を1曲1曲きくのも、なかなかめんどくさいんだけどね。

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『メアリー・ポピンズ』シリーズ作品について知りたい?こちらの記事をどうぞ。

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