小説『ライ麦畑でつかまえて』で引用されている本・歌・映画まとめ

投稿日:2018年12月26日 更新日:


小説『ライ麦畑でつかまえて』はアメリカの作家サリンジャーの青春小説。

1950年代のニューヨークを舞台にして描かれた物語の中には、当時流行った本・映画・歌もたくさん登場。

今回は、『ライ麦畑でつかまえて』作中で引用されているものの元ネタを紹介していくよ。

 

この記事はこんな人におすすめ
  • 小説『ライ麦畑でつかまえて』を読んだが、カタカナがいっぱいで時代背景がよくわからなかった
  • 『ライ麦畑でつかまえて』で引用されている歌・本・映画・人物を知りたい

 

目次

スポンサーリンク

1.『ライ麦畑でつかまえて』についてざっくり紹介。

"THE CATCHER IN THE RYE"1985年版の表紙[public domain]

”The Catcher in the Rye”は、1951年、アメリカで出版された長編小説。作者はJ.D.サリンジャー。

全世界発行部数累計6500万部を超え、現在も世界中で毎年25万部ずつ売れ続けている。

日本国内発行部数も累計320万部を超えた。

日本では、1952年、橋本福夫の翻訳により『危険な年齢』と題され、ダヴィッド社より刊行された。

1964年、野崎孝の翻訳により『ライ麦畑でつかまえて』と題され、白水社より刊行。

1967年、繁尾久により『ライ麦畑の捕手』と題され、英潮社より刊行。

2003年、村上春樹による新訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』が白水社より刊行。

参考:映画『ライ麦畑の反逆児/ひとりぼっちのサリンジャー』公式サイトWikipedia

サリンジャー、野崎孝、村上春樹の略歴・主な作品(『ライ麦畑でつかまえて』レビュー記事へ)

2.参考にした書籍

左:『ライ麦畑でつかまえて』野崎孝(訳)1984年
右:『キャッチャー・イン・ザ・ライ』村上春樹(訳)2003年
ともにJ.D.サリンジャー(著)白水社刊

引用を調べるにあたって参考にした書籍は上の2冊。

各引用作品に掲載の(P数字)は、野崎孝訳『ライ麦畑でつかまえて』でその言葉が登場するページ。

スポンサーリンク

3.実在する本・歌・映画・人物

『デーヴィッド・カパーフィールド』(P5)

デイヴィッド・コパフィールドの口絵[public domain]

『デイヴィッド・コパフィールド』(原題”David Copperfield”)は、1849年から1850年にかけて、雑誌に月刊連載されたチャールズ・ディケンズの長編小説。

ディケンズの自伝的要素あふれる代表作。

参考:Wikipedia

もしも君が、ほんとにこの話を聞きたいんならだな、まず、僕がどこで生まれたとか、チャチな幼年時代はどんなだったのかとか、僕が生まれる前に両親は何をやってたとか、そういった《デーヴィッド・カパーフィールド》式のくだんないことから聞きたがるかもしれないけどさ、実をいうと僕は、そんなことはしゃべりたくないんだな。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『アトランティック・マンスリー』(P14.18)

1857年11月1日刊行の”Atrantic monthly”[public domain]

"Atrantic Monthly"は、1857年にアメリカで創刊され現在まで続く、歴史ある評論・文芸誌。

文学や文化、教育、政治など、幅広いテーマを扱う。

参考:Wikipedia

先生は『アトランティック・マンスリー』を読んでたが、そこらじゅうに丸薬だの散薬だのがちらばってて、いろんなものがみんな、ヴィックスのノーズ・ドロップみたいな臭いがしやがるんだ。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『アフリカ便り』(P31.32)

「イサク・ディーネセン」ことカレン・ブリクセン[public domain]

『アフリカ便り』(原題”Out of Africa”)は現在では和訳名『アフリカの日々』として知られている。

長年東アフリカで暮らしたデンマークの女流作家カレン・ブリクセン(1885-1962)が、1937年に発表したエッセイ。

英語名では、男性のペンネーム「イサク・ディーニセン」を用いた。

1985年公開のアメリカ映画『愛と哀しみの果て』の原作としても知られる。

参考:Wikipedia

イサク・ディーニセンの『アフリカ便り』という本だ。いやらしい本だろうと思ったが、そうじゃなかったな。とてもいい本だよ。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

リング・ラードナー(P31.32.218)

リング・ラードナー[public domain]

リング・ラードナー(1885-1933)はアメリカの作家。

アメリカのさまざまな人々を題材とした短篇小説を執筆した。

『ライ麦畑でつかまえて』にある「しょっちゅう交通違反をやらかすとってもかわいい女の子と恋をする交通巡査のことを書いた短編」とは、短編『微笑がいっぱい』(原題”There Are Smiles”)のこと。

参考:Wikipedia

好きな作家は兄貴のD・B、次に好きなのはリング・ラードナー。兄貴が僕の誕生祝いにリング・ラードナーの書いた本を一冊くれたんだ。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『帰郷』(P32.173)

トマス・ハーディ[public domain]

『帰郷』(原題”The Return of the Native”)はイギリスの作家・詩人トマス・ハーディ(1840-1928)が1878年に発表した長編小説。

ホールデンが好きだと言う「ユーステイシア・ヴァイ」は『帰郷』の女主人公で、女神のように気ままで誇り高いキャラクター。

参考:Wikipedia

古典も僕はいっぱい読むよ。『帰郷』とかああいったものをね。古典は好きだな。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『人間の絆』(P32)

カール・ヴァン・ヴェクテンの撮ったモーム[public domain]

『人間の絆』(原題”Of Human Bondage”)は、イギリスの作家サマセット・モーム(1874-1965)が1915年に発表した長編小説。

不自由な足をもつ少年が成長していく半生を描いた本作は、モームの自伝的小説と言われている。

参考:Wikipedia

しかし、あの『人間の絆』ね、サマセット・モームの。去年の夏読んだけどさ。なかなかいい本ではあるよ、でも、サマセット・モームに電話をかけたいとは思わんな、僕は。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『インドの歌』『十番街の虐殺』(P45)

引用元:"SONG OF INDIA" BY TOMMY DORSEY/YouTube WorldWar2Music

『インドの歌』(原題”Song of India”)は1898年にモスクワで初演されたオペラ『Sadko(サドコ)』で使用された曲をもとにした人気曲。

参考:Wikipedia

 引用元:The Ventures Slaughter On Tenth Avenue (Super Sound).wmv/YouTube RockerOfClassics

『十番街の虐殺』は、日本語タイトル『十番街の殺人』(原題”Slaughter On Tenth Avenue”)として知られている。

1936年のブロードウェイ・ミュージカル作品「オン・ユア・トウズ」の曲。

”The Catcher in the Rye”刊行後の1964年となるが、アメリカのインストゥルメンタルバンド・ベンチャーズがシングルとして発売し、ヒットした。

参考:Wikipedia

ストラドレーターは、ひげを剃りながら、口笛で『インドの歌』を吹いていた。奴はとても鋭い口笛を吹くんだが、それがおよそ調子はずれなんだな。それなのに、奴ときたら、『インドの歌』とか『十番街の虐殺』とか、うまい奴でもなかなか吹けないような歌ばかしをいつも吹きたがるんだ。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『ジークフェルド・フォリーズ』(P48)

1912年”Ziegfeld Follies”ポスター[public domain]

『ジーグフェルド・フォリーズ』(原題”Ziegfeld Follies”)は、1907年から1931年までニューヨークのブロードウェーで上演されたショー。

パリのミュージック・ホール「フォリー・ベルジェール」をモデルにしている。

1932年から1936年はラジオ番組になり、1945年にはミュージカル映画になった。

参考:Wikipedia

《ジークフェルド・フォリーズ》の初日の夜にね」(中略)「主役が舞台に立てねえんだよ。馬鹿みたいに酔っ払っちゃってさ。そこで誰に代りをやらせたと思う?かく申すこのおれさ。州知事閣下のせがれ殿だ」

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

ケアリ・グラント(P60)

ケーリー・グラント(1941年)[public domain]

ケーリー・グラント(ケアリ・グラント)(1904-1986)は、イギリス出身の俳優。

1930年代から1960年代にかけて、アメリカ映画の代表的な俳優として活躍。

アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のお気に入りの俳優でもあった。

参考:Wikipedia

とにかく、僕は、その映画を見なくたって平気だった。ケアリ・グラントが出る喜劇とかなんとか、そういうものだったけどさ。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『ヴォーグ』(P93)

制服を着たリー・ミラー(1944年)[public domain]

『ヴォーグ』(原題”VOGUE”)は、1897年にアメリカで創刊されたファッション雑誌。

2018年12月現在、世界18か国と1地域で発行されている。

2006年に公開したヒット映画『プラダを着た悪魔』(原題”The Devil Wears Prada”)は、VOGUEの元編集長アシスタントだったローレン・ワイズバーガーの同名小説を原作にしたもの。

参考:Wikipedia

彼女は持って来ていた『ヴォーグ』誌を読みだしたし、僕はしばらく窓から外を眺めてた。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『パン屋の女房』『三十九夜』(P107)

  引用元:The Baker's Wife - 4K Restoration Trailer (1938)/YouTube FREE TRAILER ARCHIVE

『パン屋の女房』(原題”La Femme du boulanger”)は、1938年に公開されたフランス映画。

監督は、マルセル・パニョル(1895-1974)、主演はレイミュ(1883-1946)。

参考:Wikipedia

『三十九夜』ポスター[public domain]

『三十九夜』(原題”The 39 Steps”)は、1935年公開のイギリスのサスペンス映画。

アルフレッド・ヒッチコック監督、ロバート・ドーナット主演。

原作はスコットランドの作家、ジョン・バカンの小説『三十九階段』。

”The 39 Steps”は、本作含め3度映画化されているが、本作が最も有名。

参考:Wikipedia

いつか、D・Bと僕とで、『パン屋の女房』っていうフランス映画を見に、彼女を連れてったことがあるよ、レイミュの出るね。これには彼女も感心してた。しかし、彼女の気に入りは、ロバート・ドーナットの出る『三十九夜』なんだ。この映画は、はじめからしまいまで、彼女、暗記してるよ。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『恋も数ある中で』(P113)

 引用元:Just One of Those Things - Frank Sinatra/YouTube Maureen Ward

作中で『恋も数ある中で』として登場する歌は、”Just One of Those Things”として有名。

アメリカの音楽家コール・ポーターによる作詞・作曲。

”Just One of Those Things”は1935年のミュージカル『ジュビリー』で歌われた。

参考:Just One Of Those Things よくある話/ジャズ・ピアニスト☆大関敏夫 おおぜき としお☆ホームページ

バディ・シンガーとそのいかれた楽団とは『恋も数ある中で』を演奏してたけど、こんな連中がやってもあの歌は聞けるんだな。あれはすばらしい歌だよ。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

ピーター・ローレ(P114)

ピーター・ローレ(ユーサフ・カーシュ撮影、1946年)[public domain]

ピーター・ローレ(1904-1964)は、ハンガリー出身の俳優。ハリウッドでも活躍した。

個性派脇役として活躍。

参考:Wikipedia

そこへいきなり、彼女はトンマなことを言いだしたんだよ。「あたしとあのガール・フレンドたちはね、昨夜、ピーター・ローレを見たのよ」ってね。「ほら、映画俳優の。実物よ。新聞買ってたわ。イカスわね、あの人」

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

ゲーリー・クーパー(P117)

ゲーリー・クーパー(1936年)[public domain]

ゲーリー・クーパー(1901-1961)は、アメリカの俳優。

1920年代から1950年代に映画スターとして活躍した。

アカデミー賞主演男優賞に五度ノミネートされ、そのうち1941年(『ヨーク軍曹』)と1952年(『真昼の決闘』)の二度受賞した。

参考:Wikipedia

それで僕は、いま向こうに、映画スターのゲーリー・クーパーの姿を見かけたと言ってやったんだ。

「どこに?」と彼女は言うんだなーすっかり興奮しちゃってさ。「どこによ?」

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

メルヴィン・ダグラス(P152)

メルヴィン・ダグラス[public domain]

メルヴィン・ダグラス(1901-1981)はアメリカの俳優。

1963年の『ハッド』、1979年の『チャンス』でアカデミー助演男優賞を受賞。

参考:Wikipedia

「知らないはずないわ。メルヴィン・ダグラスといっしょにあの映画に出てた男よ。メルヴィン・ダグラスの弟になるの。ボートから落っこちるあの男よ。知ってるくせに」

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『ロミオとジュリエット』(P173)

フォード・マドックス・ブラウンによる絵画「ロミオとジュリエット」[public domain]

『ロミオとジュリエット』(原題”Romeo and Juliet”)は、イギリスの劇作家シェイクスピア(1564-1616)による戯曲。

参考:Wikipedia

実を言うと、彼女相手に『ロミオとジュリエット』の話をするのは、少々具合が悪かったね、ある意味でさ。つまり、あの芝居、ところどころ、かなりセクシーなとこがあるだろう。そこへもってきて相手は尼さんなんだからな。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

ラント夫婦(P182)

アルフレッド・ラントとリン・フォンタン夫妻(1950)[public domain]

「ラント夫婦」とは、アルフレッド・ラント(1892-1977)とリン・フォンタン(1887-1983)の夫婦。

1920年代~1950年代の舞台の花形俳優であり、しばし共演した。

参考:Wikipedia

それでどうしたかというと、僕は、『なつかしの恋人』の一階の前の特等席を二枚買ったんだ。(中略)僕はたいして見たくなかったんだけど、サリーの奴は、インチキ坊主の女王様だから、この切符のことを話せば、よだれを流すほど行きたがるにきまってるんだ。なにしろ、ラント夫婦が出てんだから。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

ロレンス・オリヴィエ(P182)

ロレンス・オリヴィエ『寄席芸人』(1960年)の宣材写真[public domain]

「ロレント・オリヴィエ」ことローレンス・オリヴィエはイギリスの俳優、映画監督。

1948年公開の映画『ハムレット』で主演を務め、アカデミー主演男優賞を受賞した。

参考:Wikipedia

それに、本当に優秀な俳優だと、自分で自分が優秀だってことを承知してるのが、こっちにわかるんでね、それがつやけしなんだな。たとえばロレント・オリヴィエだってそうだ。僕はあの人の『ハムレット』を見たけどさ。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『トタン屋根のブルース』(P191)

  引用元:Sidney Bechet - Tin Roof Blues (1949)/YouTube bsgs98

『トタン屋根のブルース』(原題”Tin Roof Blues”)は、1923年にニューオーリンズ・リズム・キングスが発表したジャズの名曲。

クラシックの音楽だって口笛で吹けるんだけど、たいていはジャズをやっていた。『トタン屋根のブルース』みたいなジャズっぽいやつをやると、実にうまくてね、ちっとも無理なく楽に吹くんだよー押入れに物を吊しながらだぜーこれはイカシタな。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『サタデー・イーヴニング・ポスト』(P193)

『サタデー・イブニング・ポスト』ノーマン・ロックウェルによる1920年12月4日号の表紙[public domain]

『サタデー・イブニング・ポスト』(原題”The Saturday Evening Post”)は1897年に創刊されたアメリカの雑誌。

1920年代から1960年代までアメリカの中間層の間で最も広く流通し、影響力の強い雑誌の一つであった。

参考:Wikipedia

『サタデー・イーヴニング・ポスト』やなんかの漫画には、街角に立った男が、約束した時間に相手が来なくてすごくおこってる図があるけど、あんなものは、ありゃでたらめさ。会いに来る女の子がすてきな子なら、時間におくれたからって、文句をいう男がいるもんか。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『オリヴァー・トゥイスト』(P214)

『オリヴァー・ツイスト』1838年発行の初版口絵と表題紙。ジョージ・クルックシャンク絵。[public domain]

『オリバー・ツイスト』(原題”Oliver Twist”)は、1837年から1839年にかけて、雑誌に月刊連載されたチャールズ・ディケンズの長編小説。

ディケンズの出世作で、現代にいたるまで、何度も映画化されている。日本語訳も多数ある。

参考:Wikipedia

ディケンズは二人ともが大好きな作家だったりなんかするわけさ。男はそのとき『オリヴァー・トゥイスト』を一冊持っててね、女のほうも持ってんのさ。いやはや、僕はゲーっていいそうだったね。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

ルーパート・ブルックとエミリ・ディキンスン(P217)

ルパート・ブルック[public domain]

ルパート・ブルック(1887-1915)はイギリスの詩人。

第一次大戦中に戦争についてうたった理想主義的な14行詩、特に「兵士」で知られている。

若くして亡くなったこととその美貌から伝説化された。

参考:Wikipedia

若かりし日のエミリー・ディキンソン。1846年か1847年。[public domain]

エミリー・ディキンソン(1830-1886)はアメリカの詩人。

詩の大半はアメリカ南北戦争中につくられている。

生前は無名だったが、20世紀に入り再評価され、現在は19世紀の文学史上天才詩人とされている。

参考:Wikipedia

兄貴はアリーに野球のミットを持って来させると、ルーパート・ブルックエミリ・ディキンスンと、どっちがすぐれた戦争詩人かってきいたね。アリーはエミリ・ディキンスンって答えた。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『武器よさらば』(P218)

晩年のヘミングウェイ[public domain]

『武器よさらば』(原題”A Farewell to Arms”)は、1929年に発表された、アメリカの作家ヘミングウェイ(1899-1961)の長編小説。

第一次世界大戦のイタリアを舞台にした、兵士と看護婦の恋を描いた。

ヘミングウェイは1954年にノーベル文学賞を受賞。

参考:Wikipedia

D・Bのことで僕の気にくわないのは、あれほど戦争をきらっていながら、去年の夏僕にあの『武器よさらば』っていう本を読ませたことだ。兄貴はすばらしい作品だって言うんだけど、それが僕には理解できないんだ。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『偉大なギャツビー』(P218)

フィツジェラルド(1921)[public domain]

『偉大なギャツビー(グレート・ギャツビー)』(原題”The Great Gatsby”)は、アメリカの作家スコット・フィツジェラルド(1896-1940)が1925年に発表した小説。

フィッツジェラルドの代表作で、アメリカ文学を代表する作品の一つ。

参考:Wikipedia

僕は、リング・ラードナーや『偉大なギャツビー』やなんかなら、僕だって好きだって、D・Bにそう言ってやった。実際またそうなんだ。『偉大なギャツビー』なんか大好きなんだ。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『アメリカ人のためのクリスマス・ページェント』とベネディクト・アーノルド(P251)

「クリスマス・ページェント」とは、イエス・キリスト生誕の物語を劇などで再現する行事。

キリスト教の幼稚園や学校では一般的に行われるクリスマス行事。

フィービが言う「アメリカ人のためのクリスマス・ページェント」では、「アメリカを裏切ったアーノルド・ベネディクトがクリスマス・イブに死にかけているとき、幽霊がやってくる」という始まりと話している。

ベネディクト・アーノルド(ジョン・トランブル画をH・B・ホールが版画にしたものの写し)[public domain]

ベネディクト・アーノルド(1741-1801)は、アメリカ独立戦争での大陸軍将軍。

イギリス軍へニューヨークのウェストポイント砦の引渡しを画策した。

アーノルドは味方を裏切ったために、アメリカではその名前が裏切りの代名詞にされた。

参考:Wikipedia

「芝居のほうはどう?」と、僕は言った。「題はなんていうんだっけ?」

『アメリカ人のためのクリスマス・ページェント』。いやな題ね。でもあたし、ベネディクト・アーノルドになるの。一番大きな役といっていいみたいなの。」

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『ライ麦畑で会うならば』とロバート・バーンズ(P269)

ロバート・バーンズ[public domain]

『ライ麦畑で会うならば』(原題”Comin' Thro' the Rye”)は18世紀のスコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩。

曲をつけて世界中で歌われているものも数多くあり、”Comin' Thro' the Rye”もその中の1曲。

”Comin' Thro' the Rye”について、詳しくはこちら。(『ライ麦畑でつかまえて』レビュー記事へ)

「君、あの歌知ってるだろう『ライ麦畑でつかまえて』っていうの。僕のなりたいー」

「それは『ライ麦畑で会うならば』っていうのよ!」とフィービーは言った。「あれは詩なのよ。ロバート・バーンズの」

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

ウィルヘルム・シュテーケル(P293)

ウィルヘルム・シュテーケル[public domain]

ウィルヘルム・シュテーケル(1868-1940)はオーストリアの精神分析学者。

同じくオーストリアの有名な精神分析学者ジークムント・フロイト(1856-1939)の初期の生徒。

参考:Wikipedia

「(中略)ウィルヘルム・シュテーケルという精神分析の学者が書いたものなんだ。こう言ってー君、聞いてるのか?」

「はい、もちろんです」

「こう言ってるんだ『未成熟な人間の特徴は、理想のために高貴な死を選ぼうとする点にある。これに反して成熟した人間の特徴は、理想のために卑小な生を選ぼうとする点にある』

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『おお、マリー!』(P326)

 引用元:Oh Marie - Louis Prima/YouTube L. Heitmann

『おお、マリー!』(原題”Oh Marie”)は、アメリカのジャズ・ミュージシャンのルイ・プリマが1944年に発表した歌。

ルイ・プリマはトランペッター、ヴォーカリスト、作曲家として活躍した。

参考:Wikipedia

曲は『おお、マリー!』だった。今から五十年も前になるが、僕は子供の時分にも、あの歌をやってたもんさ。これが回転木馬のいいとこなんだ、いつも同じ歌をやってるってとこが。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

『煙が目にしみる』(P328)

 引用元:The Platters - Smoke Get In Your Eyes - Lyrics/YouTube The Platters

『煙が目にしみる』(原題”Smoke Gets In Your Eyes”)は、1933年、ミュージカルの『ロバータ』のためにつくられた楽曲。

1958年には、コーラスグループのザ・プラターズによって、リバイバル・ヒットした。

参考:Wikipedia

そして演奏してる曲は『煙が目にしみる』だったけど、とてもジャズっぽい、おかしな演奏のしかただったな。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

4.架空の歌手と歌

『リトル・シャーリー・ビーンズ』(P179.237)

 引用元:09.- Little Shirley Beans - NINE STORIES (Trafalgar, 2013)/YouTube GranDerbyTV

物語の中でホールデンがフィービーのために買ったレコード『リトル・シャーリー・ビーンズ』。

この曲は、作中で「エステル・フレッチャー」という黒人の女性が20年前につくったと書かれている。

歌手も曲も実在はせず、サリンジャーによる創作。

『ライ麦畑でつかまえて』刊行後、複数のアーティストによって”Little Shirley Beans”という曲が創作・発表されている。

『リトル・シャーリー・ビーンズ』っていうレコード、これを僕はフィービーに買ってやりたかったんだよ。ところが、これがなかなか手に入らないレコードなんだな。

引用元:『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー(著)野崎孝(訳)白水社、1984年

まとめ

『ライ麦畑でつかまえて』作中で引用されているもの、調べてみたら、実在している人や作品もいっぱいあっておもしろかった。

本を読んだり、曲をきいたり、映画を見たりすると、1950年代のアメリカの空気を味わえて、『ライ麦畑でつかまえて』がもっと味わい深くなる。

ももちんも、読んでみたい本がたくさんあったので、今度読んでみようと思う。

『ライ麦畑でつかまえて』のあらすじや感想を読みたい人は、こちらの記事をどうぞ。

スポンサーリンク

Kindleまとめ

そもそも電子書籍って何?っていうところから、Kindleアプリの操作、Kindle Unlimitedまで、Kindleの記事をまとめたよ。

関連記事と広告

-まとめ記事(児童文学)
-

Copyright© ももちんの書評情報 , 2019 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.