児童文学 まとめ記事

『フランダースの犬』19作品比較。電子書籍、児童文庫など特徴まとめ

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『フランダースの犬』は、イギリス生まれの作家ウィーダが生んだ、児童文学。

現在さまざまな出版社から刊行されているので、特徴別にまとめてみた。

  1. ベーシックな1冊なら「新潮文庫」
  2. 児童文庫なら「岩波少年文庫」
  3. 電子書籍版なら「菊池寛訳」
  4. 小さい子ども向けなら「ポプラ世界名作童話」
この記事はこんな人におすすめ
  • 『フランダースの犬』を読んでみたいけど、どれを選んだらいいか迷っている。
  • 児童文庫、電子書籍など、特徴で選びたい。

 

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『フランダースの犬』についてざっくり説明。

『フランダースの犬』(原題"A Dog of Flanders")は、イギリスの女流作家ウィーダが1872年に発表した児童文学

日本語版は1908年(明治41年)に初めて『フランダースの犬』(日高善一 訳)として内外出版協会から出版された。

1950年(昭和25年)以降は、多くの出版社から出版された。

1975年(昭和50年)に日本でテレビアニメシリーズ・世界名作劇場で製作された。

ウィーダ(作)

ウィーダ肖像画[public domain]

1839年イギリス生まれ。女流作家。

ウィーダはペンネーム。本名はマリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー 。

二十歳の頃からウィーダの名で執筆を始める。

代表作の1867年『二つの旗の下に』 は、後に映画化されている。

その他、『ニュールンベルクのストーブ』をはじめ40冊以上の物語を執筆している。

1874年以降、イタリアのフィレンツェに定住。

1908年死去。

参考:ウィーダ『フランダースの犬』村岡花子訳、新潮文庫、1954年

1.ベーシックな1冊、新潮文庫

ウィーダ『フランダースの犬』村岡花子訳、新潮社、1954年

児童文学『フランダースの犬』を紙書籍の一般的な文庫で出しているのは、新潮文庫のみ。

新潮文庫『フランダースの犬』は、1954年、村岡花子の翻訳により刊行された。

村岡花子の翻訳は、格調高い言葉づかいや違和感のない自然な流れが特徴。

もともと少年文学として書かれた原作を、見事に大人が読みやすいような日本語訳に仕上げている。

同時収録『ニュールンベルクのストーブ』。

164ページ、村岡花子訳、新潮社、1954年。

彼らはひとかけのパンとキャベツの葉二、三枚に幸福を味わい、それ以上、地上の幸福も天上の幸福も求めなかった。

引用元:ウィーダ『フランダースの犬』村岡花子訳、新潮文庫、1954年

新潮文庫『フランダースの犬』レビュー記事はこちら。

読みやすい児童文庫

『フランダースの犬』はもともと児童文学として書かれたので、児童文庫のラインナップが豊富。

難しい言葉やふりがながほとんどない村岡訳では、ちょっと難解に感じる人におすすめ。

それぞれ翻訳やイラストに特徴があるので、自分に合ったものがあるかチェックしてみよう。

2.岩波少年文庫

ウィーダ『フランダースの犬』野坂悦子訳、岩波書店、2003年

岩波少年文庫は、1950年に岩波書店より創刊された児童文庫。

創刊50年を迎えた2000年、本の左右の幅を7ミリ増し、ゆったりと読みやすい判型にリニューアルした。

多くの児童書の挿絵を手掛けるオランダの画家、ハルメン・ファン・ストラーテンのイラストからは、当時のヨーロッパの空気が伝わってくる。

野坂悦子の翻訳は「です・ます」調で読みやすく、ふりがなも少ないので大人にもおすすめ。

新潮文庫と同様、短編『ニュールンベルクのストーブ』を同時収録。

悲しい結末の『フランダースの犬』と、ハッピーエンドの『ニュールンベルクのストーブ』をセットで読みたい人におすすめ。

小学校4,5年以上向け。238ページ、野坂悦子訳、ハルメン・ファン・ストラーテン絵、岩波書店、2003年。

そんなわけで、ふたりはパンくずや、何枚かのキャベツの葉を食べていてもしあわせにすごし、この世にもあの世にも、多くを望みませんでした。

引用元:ウィーダ『フランダースの犬』野坂悦子訳、岩波書店、2003年

3.講談社青い鳥文庫

講談社青い鳥文庫は、1980年に創刊された児童文庫。

松村達雄訳の『フランダースの犬』は、1976年、玉川大学出版部により刊行された後、1992年、講談社青い鳥文庫より刊行。2011年、新装版が刊行された。

松村訳は、「です・ます」調で易しく、柔らかい表現が特徴。

亜沙美による現代的なイラストがかわいらしい。

小学校中学年以上向け、168ページ、松村達雄訳、亜沙美絵、講談社、2009年。

ふたりは、わずかなパンと、何まいかのキャベツの葉っぱで命をつなぎながら、楽しくくらしていました。

この広い天地から、それ以上のものをもとめもしませんでした。

引用元:ウィーダ『フランダースの犬』松村達雄訳、講談社、2009年。

4.ポプラポケット文庫

児童書専門の出版社として出発したポプラ社は、さまざまな年齢向けに『フランダースの犬』を数種類出版している。

ポプラポケット文庫は、2005年に創刊された児童文庫。現在150巻を数える。

牧野千穂の挿絵は、控えめながら素朴で柔らかいタッチの絵で、物語の世界観をそのままあらわしている。

高橋由美子の翻訳は「です・ます」調で読み進めやすい。

小学校中学年以上向け。152ページ、高橋由美子訳、牧野千穂絵、ポプラ社、2011年

5.角川つばさ文庫

2009年に創刊された角川つばさ文庫は、本を読むのがちょっと苦手という子にも「読んでみたい」気持ちを応援する児童文庫。

児童文庫では唯一「です・ます」調ではなく、シャープな印象を受ける訳が特徴。

鳥羽雨の現代的な挿絵が豊富に入っている。

総ルビ、小学校中学年以上向け、154ページ、中村凪子訳、烏羽雨絵、KADOKAWA、2014年。

じいさんは子どもにやさしくて、よくめんどうをみたし、子どもはかわいらしく、無邪気で、素直で、気立てがよく、健やかに育った。

ふたりは、かたいパンひと切れとキャベツの葉っぱの食事だけで満足し、それ以上はなにも望まなかった。

引用元:ウィーダ『フランダースの犬』中村凪子訳、KADOKAWA、2014年。

6.小学館ジュニア文庫

小学館ジュニア文庫の世界名作シリーズは、小学生にわかりやすく&大人も満足できる新訳が特徴。

わかりやすい現代語訳が特徴で、他のジュニア文庫より字が大きめで、紙も厚め。

田邊雅之の翻訳は、読みやすさを重視し語順や文の区切りも工夫されている。

世界名作劇場のフランダースの犬を手がけた日本アニメーションによる挿絵は、小学館ジュニア文庫のために新たに描き下ろしたもの。アニメがなつかしい!という大人にもおすすめ。

総ルビ、小学校3年以上向け。151ページ、田邊雅之訳、小学館、2016年。

パンのかけらと、キャベツの葉が数枚しか食べられなくともです。

そして近所に住んでいる村の人たちにも、天国にいる神さまにも、それ以上の暮らしを望みませんでした。

引用元:ウィーダ『フランダースの犬』田邊雅之訳、小学館、2016年。

電子書籍だけで読める

7.名作『父帰る』の菊池寛の訳が無料で読める

名作『父帰る』の作家・菊池寛の翻訳による『フランダースの犬』。

1928年、興文社より「小学生全集26 黒馬物語・フランダースの犬」として刊行された。

電子書籍版は、現代かなづかいで入力・校正・制作されているので読みやすい。

33ページ、菊池寛訳、興文社(電子書籍化:Amazon)、1928年。

ふたりはもうほんのわずかなパンの皮とキャベツの葉っぱで満足して、その上はなんにも望みませんでした。

引用元:ウィーダ『フランダースの犬』菊池寛訳、興文社(電子書籍化:Amazon)、1928年

8.児童文学翻訳家、矢崎源九郎の訳

数々の児童文学翻訳を手掛けた矢崎源九郎訳による『フランダースの犬』は、1961年、角川文庫より刊行された。

もともと文庫だったので、村岡訳と同様、大人向け。

45ページ、矢崎源九郎訳、角川文庫、1961年。(電子書籍化:2014年、グーテンベルク21)

ふたりは、一かけらのパンと二、三枚のキャベツの葉があれば、それで幸福だった。

そしてそれ以上は、地上の幸福も、天上の幸福も求めはしなかった。

引用元:ウィーダ『フランダースの犬』矢崎源九郎訳、角川文庫、1961年。(電子書籍化:2014年、グーテンベルク21)

9.当時の挿絵やルーベンスの絵が豊富

毛利孝夫訳の『フランダースの犬』は、電子書籍専門出版社、望林堂書店から望林堂完訳文庫として刊行。

当時のモノクロ挿絵36点収録。

物語の山場に登場する絵など、ルーベンスの絵画4点も収録されている。

140ページ、毛利孝夫訳、望林堂書店、2017年。

二人は、干からびたパンが一切れとキャベツの葉が何枚かあるだけで十分に幸せで、この世でもあの世でもそれ以上何も欲しいとは思いませんでした。

引用元:ウィーダ『フランダースの犬』毛利孝夫訳、望林堂書店、2017年。

10.日本で最初の『フランダースの犬』

日高善一の翻訳により、1908年に内外出版協会から刊行。

現在は電子書籍となっているが、古書原本をそのままスキャンした電子書籍のため、読みづらいところもたくさんある。

主人公のネロは清(きよし)、パトラッシュは斑(ぶち)などと訳されている。

131ページ、日高善一訳、内外出版協会(電子書籍化:Kindleアーカイブ)、1908年。

小さい子にも読みやすい!

11.ポプラ世界名作童話(ポプラ社)

ポプラ社の「ポプラ世界名作童話シリーズ」は、小学校に入って、はじめて世界名作に出会う子どもたちのためのシリーズ。

翻訳・濱野京子。小松咲子のカラーイラストがちりばめられ、子どもが読み進めやすくなっている。

小学校低学年向け。133ページ。ポプラ社、2015年。

12.こども世界名作童話(ポプラ社)

同じくポプラ社より、「ポプラ世界名作童話」より少し上の子ども向けに作られたのが、「こども世界名作童話」シリーズ。

世界の優れた名作のなかから、少年少女期にぜひ読んでおきたい代表的な作品を選び、現在活躍中の児童文学者が新鮮な感覚で翻訳したもの。

シリーズのカバーイラストを担当した中島潔は、郷愁を誘う童画や、儚げな女性画で有名。

小学校中学年向け。125ページ、大石真訳、ポプラ社、1988年。

13.子どものための世界文学の森(集英社)

集英社「子どものための世界文学の森」は、子どものうちに、ぜひ読んでおきたい世界の名作40編を精選。

格調高くわかりやすい訳文と、第一線で活躍中の画家やイラストレーターによるさし絵で、名作をより魅力的に紹介するシリーズ。

作品理解を深めるために、ページの余白にコラムや用語解説などをふんだんに掲載。

ラベリー・M.ジョーンズ (イラスト)、榊原 晃三(訳)。小学校中学年以上向け。141ページ。集英社、1994年。

14.10歳までに読みたい世界名作(学研プラス)

学研教育出版の「10歳までに読みたい世界名作」シリーズは、子どもが自分で読みたくなる名作にするために、オールカラーのイラストにこだわっている。

第19巻『フランダースの犬』は、那須田淳訳。

巻頭には物語をわかりやすく紹介する「物語ナビ」を掲載し、主人公のプロフィール紹介、キャラクター相関図など作品を理解する手助けとなっている。

総ルビ、小学校低中学年向け。153ページ。学研教育出版、2014年。

ふたりにとって、キャベツの葉っぱの一まいと、かたくなったパン一かけもあればじゅうぶんに幸せだったのです。

引用元:ウィーダ『フランダースの犬』那須田淳訳、学研教育出版、2014年。

15.トキメキ夢文庫(新生出版社)

新星出版社のトキメキ夢文庫から出た「動物の名作3選」では、『フランダースの犬』のほか、『灰色ぐまワーブの一生(シートン動物記)』『黒馬物語』を1冊に収録している。

ストーリーのハイライトには漫画を取り入れ、挿し絵も豊富に盛り込まれている。

時代背景や物語の舞台について写真を交えた解説もある。

総ルビ、小学校中学年以上向け。256ページ。新星出版社、2016年。

絵本

16.いもとようこの絵本(金の星社)

いもとようこがわかりやすい絵本にした『フランダースの犬』は、2006年、金の星社より出版された。

あたたかな柔らかい雰囲気のいもとようこの絵は、物語にぴったり合っている。

32ページ。金の星社、2006年。

17.世界名作ファンタジー(ポプラ社)

ポプラ社の「世界名作ファンタジー」シリーズは、多くの子どもが一番はじめに自分で読む絵本シリーズ。

翻訳の平田昭吾は、日本のアニメ絵本文化の先駆者であり、300巻以上のの絵本作品を出版している。

日本国外での評価も高く、2005年までに国外の出版冊数が3億巻を突破している。

未就学児~小学校低学年向け。46ページ。ポプラ社、1988年。

アニメファンにおすすめ

18.世界名作劇場ジュニア・ノベルシリーズ(竹書房)

竹書房からは、フジテレビ系列で放送された「世界名作劇場」を小説化したものを、シリーズで出している。

世界名作劇場『フランダースの犬』(監督:黒田昌郎/日本アニメーション制作)は、1975年に放送された傑作アニメ。

絵がかわいらしく文章も平易なので、小学生はもちろん、アニメの『フランダースの犬』をおさらいしたい大人にも最適の1冊。

小学校中学年以上向け。284ページ。竹書房、2012年。

19.徳間アニメ絵本(徳間書店)

「徳間アニメ絵本」シリーズは、スタジオジブリの映画作品を中心に絵本にしたものだけど、世界名作劇場のアニメもラインナップに入っている。

アニメ好きな子どもにおすすめ。

全37巻中、『フランダースの犬』は第36巻。平易な文章で読みやすい。

小学校低中学年以上向け。112ページ。徳間書店、2015年。

まとめ

この中でもおすすめをあげていくね。

  1. ベーシックな1冊なら「新潮文庫」
  2. 児童文庫なら「岩波少年文庫」
  3. 電子書籍版なら「菊池寛訳」
  4. 小さい子ども向けなら「ポプラ世界名作童話」

自分のとっておきの1冊を見つけてね!

『フランダースの犬』内容についてのレビューは、こちらの記事をどうぞ。

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