絵本『よるくま クリスマスのまえのよる』は酒井駒子の大人気絵本『よるくま』の二作目。
クリスマスイブの夜の、男の子と「よるくま」のふしぎな物語。
一作目『よるくま』を読んだことがない人にもおすすめの素敵な絵本。
この記事で紹介する本
こんな方におすすめ
- 大人におすすめのクリスマスの絵本を探している
- 酒井駒子の絵本「よるくま」が気になっているが、読んだことがない
『よるくま クリスマスのまえのよる』とは?
『よるくま クリスマスのまえのよる』は、酒井駒子作の絵本。2000年、白泉社より出版された。
1999年に偕成社より出版された絵本『よるくま』(酒井駒子作)の続編にあたる。
酒井駒子(作)
絵本作家、画家。
1966年兵庫県生まれ。東京藝術大学美術学部油絵画科卒業。
1998年に『リコちゃんのおうち』(偕成社)で絵本作家デビュー。
黒を下地にした印象的な画風、どこか憂いを帯びた幼い子供や動物の絵で人気を得る。
作品は海外でも評価が高い。
参考:Wikipedia
酒井駒子絵本の記事一覧
大人気絵本『よるくま』
【きょうの1さつ】『よるくま』(酒井駒子 作・絵)愛くるしい絵にひかれて買いました。ちょうど夜のねかしつけに手こずっていたので、寝かしつけに読むと、じっくりきいてくれました。親子共々、すっかりはまっています。(1歳・ご家族より) Kaisei webにて365日更新中! https://t.co/6b7fS271q7 pic.twitter.com/6wvNEYsa5H
— 偕成社 (@kaiseisha_PR) 2018年7月13日
酒井駒子作の絵本『よるくま』は、1999年偕成社より出版された。
おかあさんを探すよるくまに出会った男の子。一緒によるくまのおかあさんを探しに行く。
よるくまのかわいらしさと男の子のやさしさ、親子の絆にきゅんとくる、「夜の寝かしつけ」の定番絵本。
『よるくま』と『よるくま クリスマスのまえのよる』では、男の子とよるくまの関係性や、お母さんとの交流が変わっているので、どちらも読んでみるとおもしろい。
『よるくま』俵万智さんの書評(ALL REVIEWS公式サイトへ)
内容紹介
あしたはたのしいクリスマス。だけど、わるいこにはサンタさんこないのかしら?
しんぱいでねむれないぼくのところに、よるくまがやってきてー。
MOE ’99年12月号掲載「よるくまークリスマスのまえのよるー」に、描き下ろし原稿を加え新編集した絵本。
『よるくま クリスマスのまえのよる』を読んだきっかけ
ももちんは最近、『クリスマスのまえのよる』という題名の絵本が何冊もあることを知った。
その絵本の多くは、クレメント・C・ムーアという人が作った”The night before Christmas”という詩を原作としているんだよね。
それで、日本でどんなバージョンの『クリスマスのまえのよる』という絵本があるのか調べて、記事にしたんだ。
そのときに出会ったのが、『よるくま クリスマスのまえのよる』。
読んでみると、『よるくま クリスマスのまえのよる』はクレメント・C・ムーアとは関係なく、酒井駒子の完全オリジナルのストーリー。
酒井駒子の絵本は前から読んでみたかったので、図書館で借りて読んでみた。
クレメント・C・ムーア紹介
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『よるくま クリスマスのまえのよる』を読んだ感想
『よるくま クリスマスのまえのよる』に登場するのは、男の子とよるくま、男の子のお母さんと、よるくまのお母さん。
ももちんは子どもいないし、よみきかせや寝かしつけをするわけでもない。
読む前は正直、親子を描いた絵本の内容、共感できるかわからないなあ、と思って読み始めた。
『よるくま クリスマスのまえのよる』ポイント
心の奥にいる「子ども」に出会える
静かな気持ちで『よるくま クリスマスのまえのよる』を読んでみると、心の奥がコトコト動くのがわかったよ。
サンタさんくるかな?という不安、友だちへのやさしさ、抱っこしてもらいたい気持ち。
ももちんはとっくに卒業してると思い込んでたけど、心の中にそういう気持ちがちゃんとあった。
わるいこだから、サンタさんこないかも
子どもにとって、クリスマスは一年で一番大切な日かもしれない。
サンタクロースからプレゼントをもらえるミラクルが起こる日。
だけど、男の子は「ぼくにはサンタさんこないのかしら」と心配で眠れない。
「だってぼくわるいこだから。きょうママにいっぱいしかられたから。」
子どもの時、お母さんに叱られたとき、自分のこと「わるいこ」と思い込んでしまったことを思い出した。
もっといい子になろう、叱られないようにしようって、思ったことも。
お母さん側からみたら、叱ったから悪い子なんて、サンタさん来ないなんて思っていないけど、男の子はわからない。
それだけ、男の子にとってお母さんは唯一の大きな存在なんだなあ。
よるくまにサンタさんしてあげる
サンタさんを知らないよるくまに「そうだ ぼくよるくまにサンタさんしてあげようか。」と話しかける男の子。
自分のところにくるか心配しているサンタさん、よるくまにしてあげるって、男の子のやさしさキュンとくる。
よるくまがツリーに下がっているかざりをほしがったら、気前よくあげるんだよね。
こどものとき、大事な人にプレゼントあげるときって、とってもいい気持ちだったことを思い出した。
心を込めたプレゼントって、金額や大きさじゃないんだよね。
それを喜んでくれる顔を見ると、一番うれしい。このとき、男の子は本当のサンタさんだったんだろうな。
だっこしてもらえていいなあ
よるくまが自分のおうちに帰って、お母さんくまに抱っこされている姿を見た男の子。
「まだちいさいから いっぱいだっこしてもらえていいなあー」
この言葉に男の子のお母さんを求める気持ち、寂しい気持ち、大きいから我慢しなきゃの気持ちがぎゅっと詰まってる。
男の子をだっこしてあげたくて、切なくなる。
この絵本、お母さんが子どもに読んであげたら、絶対抱きしめてあげたくなるだろうなあ。
よるくまの愛らしさ
『よるくま クリスマスのまえのよる』ではよるくまは一言も話さないんだけど、その姿かたちが、かわいすぎです。
しぐさで伝える
男の子のところに遊びに来たとき、ちょっと首をかしげているよるくま。
男の子と手をつないでうれしそうなよるくま。
「ぼくにはサンタさんこないのかしら」と不安になるぼくに、そっとよりそうよるくま。
しぐさがきゅんときて、あやうく泣ける。
おかあさん大好き
お母さんくまのところに帰ったとき、きゅっとつかまっているよるくま。
1作目『よるくま』では、よるくまはおかあさんがいなくなって泣いてしまう。
『よるくま クリスマスのまえのよる』では、よるくまとお母さんくまのシーンはここだけ。
たった見開き2ページから、変わらずよるくまの「おかあさん大好き」な気持ちが伝わってくる。
酒井駒子の絵
今回初めてじっくりと酒井駒子の絵本を読んで感じたこと。
絵を見てると、子どもの頃の記憶が自然と思い起こされる。
『よるくま クリスマスのまえのよる』は、文のほとんどが男の子のセリフ(気持ち)になっている。
絵本の中が男の子の心の中の世界そのままなんだよね。
ひとりの子どもの心の中の世界は、どんちゃん騒ぎもなければ、おもしろおかしいことばかりが起こるわけでもない。
ただ、よるくまにやさしくしてあげたい。
ただ、おかあさんにだっこしてほしい。
ただ、サンタさんがこないか心配。
そんなシンプルだけど本当の気持ちが、酒井駒子の絵の、シンプルで静かで不思議な世界にそのまま描かれている。
感想おさらい
2021年開催!「みみをすますように 酒井駒子展」
【「耳をすますように 酒井駒子」展】
東京・立川 PLAY! MUSEUM
21/4/10㊏-7/4㊐絵本作家・酒井駒子の美しい絵本原画約200点を厳選し、「ひみつ」「はらっぱ」などのキーワードにわけて紹介します。
展示室を散歩しながら絵とことばに出会うような、新しい展覧会です。https://t.co/NWLiVSZLQV pic.twitter.com/WyKkdx8Ffa
— PLAY_2020 (@PLAY_2020) December 17, 2020
酒井駒子さんの初の本格的個展が、2021年4月から東京・立川にあるPLAY!MUSEUMで開催中。
絵本や書籍25冊の原画200点を展示している。
絵本『よるくま』『よるくま クリスマスのまえのよる』の原画も見ることができるよ。
酒井駒子展ポイント
- 20冊を超す絵本から200点を超す原画を展示
- 特製の額やケースに収められた原画
- 酒井駒子が制作を行う八ヶ岳の景色や音、小さなおもちゃやオブジェのアクセント
- 展覧会オリジナルグッズ
「みみをすますように 酒井駒子展」2022感想。絵本25冊の原画を堪能
東京・立川で開催中の「みみをすますように 酒井駒子展」に行ってきた。 『よるくま』など、酒井駒子さんの絵本が好きな人にはたまらない展示。 展示に行く前に絵本を読んでから行くと、味わいが深まるよ。 この ...
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まとめ
絵本『よるくま クリスマスのまえのよる』みどころまとめ。
小さな子供のころの自分がそっと顔を出すような不思議な絵本だよ。
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