『ピーターラビットのおはなし』は、イギリスの絵本作家ビアトリクス・ポターが1902年に発表した絵本。
子ども向けの小型絵本だけど、大人が楽しめる要素もいっぱいの絵本だよ。
この記事で紹介する本
この記事でわかること
- 絵本『ピーターラビットのおはなし』の内容と見どころ
- 絵本『ピーターラビットのおはなし』制作秘話紹介
『ピーターラビットのおはなし』とは?
『ピーターラビットのおはなし』(原題”The Tale of Peter Rabbit”)は、イギリスの絵本作家ビアトリクス・ポターが1902年に発表した絵本。
ポターが昔の家庭教師の息子、ノエル・ムーアに出した絵手紙が元となっている。
ポターは今作を1作目として23冊の絵本を発表し、シリーズを総称して「絵本ピーターラビットシリーズ」と言われている。
参考:『ピーターラビットの世界へ ビアトリクス・ポターのすべて』河野芳英著、河出書房新社、2016年、Wikipedia
ピーターラビットシリーズ(原書刊行順)
- 『ピーターラビットのおはなし』(原題”The Tale of Peter Rabbit”)1902年
- 『リスのナトキンのおはなし』(原題”The Tale of Squirrel Nutkin”)1903年感想記事はこちら。
- 『グロースターの仕たて屋』(原題”The Tailor of Gloucester”)1903年
- 『ベンジャミン バニーのおはなし』(原題”The Tale of Benjamin Bunny”)1904年感想記事はこちら。
- 『2ひきのわるいねずみのおはなし』(原題”The Tale of Two Bad Mice”)1904年
- 『ティギーおばさんのおはなし』(原題”The Tale of Mrs Tiggy Winkle”)1905年
- 『パイがふたつあったおはなし』(原題”The Tale of the Pie and the Patty-Pan”)1905年
- 『ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし』(原題”The Tale of Mr. Jeremy Fisher”)1906年
- 『こわいわるいうさぎのおはなし』(原題”The Story of A Fierce Bad Rabbit”)1906年
- 『モペットちゃんのおはなし』(原題”The Story of Miss Moppet”)1906年
- 『こねこのトムのおはなし』(原題”The Tale of Tom Kitten”)1907年
- 『あひるのジマイマのおはなし』(原題”The Tale of Jemima Puddle-Duck”)1908年
- 『ひげのサムエルのおはなし』(原題”The Tale of Samuel Whiskers or, The Roly-Poly Pudding”)1908年
- 『フロプシーのこどもたち』(原題”The Tale of The Flopsy Bunnies”)1909年
- 『「ジンジャーとピクルズや」のおはなし』(原題”The Tale of Ginger and Pickles”)1909年
- 『のねずみチュウチュウおくさんのおはなし』(原題”The Tale of Mrs. Tittlemouse”)1910年
- 『カルアシ・チミーのおはなし』(原題”The Tale of Timmy Tiptoes”)1911年
- 『キツネどんのおはなし』(原題”The Tale of Mr. Tod”)1912年
- 『こぶたのピグリン・ブランドのおはなし』(原題”The Tale of Pigling Bland”)1913年
- 『アプリイ・ダプリイのわらべうた』(原題”Appley Dapply's Nursery Rhymes”)1917年
- 『まちねずみのジョニーのおはなし』(原題”The Tale of Johnny Town-Mouse”)1918年
- 『セシリ・パセリのわらべうた』(原題”Cecily Parsley's Nursery Rhymes”)1922年
- 『こぶたのロビンソンのおはなし』(原題”The Tale of Little Pig Robinson”)1930年
絵本シリーズの特徴と読む順番を次の記事で解説しているよ。
絵本ピーターラビットシリーズ5つの特徴。全24冊一言あらすじ紹介も
左から『ピーターラビットのおはなし』『ベンジャミン バニーのおはなし』『フロプシーのこどもたち』いずれもビアトリクス・ポター作、いしいももこ訳、福音館書店、2019年 絵本「ピーターラビット」シリーズ ...
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ビアトリクス・ポター(作)
イギリスの絵本作家。
1866年、ロンドンの裕福な家庭に長女として生まれる。
学校には通わず家庭教師による教育を受け、動植物の観察と絵の才能を伸ばす。
1890年から挿絵で収入を得るようになり、1902年、かつて家庭教師の子どもにあてて描いた絵手紙を絵本『ピーターラビットのおはなし』として発表。
以後30年にわたり、23作の絵本「ピーターラビット」シリーズを発表し、世界中で人気を博す。
一方で、イギリス湖水地方の自然保護活動に熱心に取り組む。
1943年死去。
参考:Wikipedia
次の記事でポター関連作品を紹介しているよ。
「ピーターラビット」原作絵本・電子書籍・アニメ等24作品まとめ
絵本「ピーターラビット」シリーズは、イギリスの絵本作家ビアトリクス・ポターが生んだ絵本シリーズ。 絵本シリーズだけで24冊あるんだけど、他にも関連する絵本や電子書籍、映画があるのでまとめてみた。 この ...
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いしいももこ(訳)
【#神奈川近代文学館】企画展「没後10年 石井桃子展」を開催中。「ノンちゃん雲に乗る」「ちいさなうさこちゃん」など誰もが一度は読んだことのある本の作者、#翻訳者 として活躍した #石井桃子 さんの展覧会です。イベントももりだくさん。詳しくはhttps://t.co/tHWk5T2s6F #児童文学 #絵本 pic.twitter.com/bM0MorHDcL
— 神奈川県庁広報 (@KanagawaPref_PR) 2018年8月1日
1907-2008。埼玉県生まれ。
1950年より岩波書店に勤務。編集者として『岩波少年文庫』の企画編集に携わる。
1954年、ロックフェラー財団研究員として留学するため岩波書店を退社し、横浜港から渡米。1955年9月に帰国。
1958年、荻窪の自宅の一室に児童図書室「かつら文庫」を開く。この取り組みはのちに『子どもの図書館』(1965年)にまとめられ、公共図書館における児童文庫の普及に大きな影響を与えた。
1964年、バージニア・リー・バートンが来日した際、かつら文庫に招いた。
参考:Wikipedia
石井桃子翻訳作品の記事一覧
『ピーターラビットのおはなし』あらすじ
『ピーターラビットのおはなし』(原題”The Tale of Peter Rabbit”) | |
日本語版初版刊行年(順番) | 1971年① |
原書刊行年(順番) | 1902年① |
対象年齢 | 読み聞かせ:4歳から 自分で読む:小学校低学年から |
一言あらすじ
もみの木の下にお母さんと3人の妹フロプシー、モプシー、カトンテールと住むうさぎのピーター。
いたずらっ子のピーターは、お母さんの言うことを聞かずに人間のおじいさんマグレガーさんの畑にしのびこむ。
やがてマグレガーさんに見つかって逃げまどうピーターの、ハラハラドキドキの小さな冒険。
マグレガーさんの畑にしのびこむ
お母さんの言いつけを守らずにマグレガーさんの畑にしのびこむピーター。
マグレガーさんにに追いかけられる
マグレガーさんと畑ではち合わせ!
逃げているうちに畑の中で迷ったり、猫を見かけたり、捕まりそうになって諦めかけたり。
なんとか逃げ切り家に帰る
なんとか逃げ切るが、ピーターは大事な上着と靴を失ってしまう。
疲れ切ったピーターは家に帰ると寝込み、お母さんにお世話してもらう。
『ピーターラビットのおはなし』を読んだ感想
絵本『ピーターラビットのおはなし』を読んだきっかけは、2018年公開映画『ピーターラビット』を観て原作に興味が湧いたから。
「ピーターラビット」って「小さい子ども向け」というイメージが強かったので、それまで手に取ることはなかった。
でも実際に読んでみると、大人も引きつけられる要素がいっぱいの絵本。
ポターの可愛らしく繊細な絵だけでなく、しっかりと読みごたえのある物語にも魅力を感じました。
『ピーターラビットのおはなし』ポイント
絵本としての圧倒的安定感
絵本『ピーターラビットのおはなし』を読んで感じたのは、「絵本のお手本みたいな絵本だな」ということ。
読む前は「シリーズ24冊中の1冊」「小型絵本」という認識が強く、数分で読み終わるような絵本だろうな、と思ってたんだけど。
お話は起承転結がしっかりしていて、ハラハラドキドキおもしろい。
味方と敵がはっきりしていてわかりやすい。
「いたずらしたら痛い目を見る」という教訓が組み込まれているけど、最後は助かる安心感もある。
言うまでもなく、一つ一つの絵が美しくリアルでかわいらしい。
なんというか、1冊の完成度が異常に高いんだよね。
1冊を大型絵本にしてタイトルもしゃれたものにしたら、それもまた人気だっただろうし、大人にももっと読まれたかもしれない。
だけどポターが絵本に触れてほしかったのはあくまで「小さい子ども」。
だからこそ、すみずみまでこだわった良質な絵とお話をあえて小型絵本にまとめ、タイトルもシンプルに『ピーターラビットのおはなし』にした。
このクオリティで他に20冊以上シリーズで出しているのだから、絵本「ピーターラビット」が時代を超えて愛されているのも当然のことだと言える。
「ピーターラビット」というキャラクター
絵本の中で、主人公のうさぎのピーターはどんなふうに描かれていると思う?
ももちんは映画の印象から「ものすごいいたずらっこなんだろうな」って思ってたけど、絵本を読んでみたら想像と違った。
絵本ではピーターラビットのセリフはほとんどなく、個性がそこまで強調されて描かれていない。
ピーターはたしかに妹たちと比べたらいたずらっこだけど、ついつい畑に入ってつまみぐいしたら不運な事態に巻き込まれちゃった、くらいの感じ。
服を着てるけど完全に擬人化されているわけでもなく、野生のうさぎのように4本足で走るし裸にもなる。
動物らしいかわいらしさを残しながら人間に近い個性や性格もあって、親近感がわくのがピータラビットというキャラクターなんだよね。
そんなピーターが命からがら逃げるのをみると、ついマグレガーさんを「悪い人」って思ってしまう。
ほんとはうさぎを「害獣」「獲物」とみるのはこの時代・土地の農家にとっては当たり前のことで、悪い人というわけではないんだけどね。
ピーターラビットが登場する絵本
今作ではもちろんピーターラビットが主人公だけど、絵本シリーズ全体のなかで「ピーターラビット」はあくまで1キャラクター。
ピーターラビットがメインで登場するのは、今作『ピーターラビットのおはなし』『ベンジャミン バニーのおはなし』『キツネどんのおはなし』の3作品。
他の絵本は、猫、カエル、あひる、ねずみなど、違う動物が主人公として描かれている。
絵本シリーズの中で、キャラクターとしての「ピーターラビット」が登場する作品は次の6作品。チェックしてみてね。
ピーターラビットが登場する絵本
絵本ピーターラビットシリーズ5つの特徴。全24冊一言あらすじ紹介も
左から『ピーターラビットのおはなし』『ベンジャミン バニーのおはなし』『フロプシーのこどもたち』いずれもビアトリクス・ポター作、いしいももこ訳、福音館書店、2019年 絵本「ピーターラビット」シリーズ ...
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「弱肉強食」のリアル
絵本ピーターラビットシリーズには動物界ならではの「弱肉強食」が描かれている。
今作で衝撃なのは、ピーターのお父さんは昔「マグレガーさんの畑に入ってパイにされた」ということ。
人間から見たら「うさぎの肉のパイ」って美味しそうなんだけど、主人公がうさぎの絵本で「にくのパイ」というワードが出てくるとドキッとする。
ピーターが逃げ回る様子は命がけだし、だからといって猫を見かけても決して助けを求めたりしない。
うさぎにとって猫は危険な存在なので、しっかり避けて通るところがリアルだなと思った。
主人公が死ぬような残酷な展開はないけれど、ポターは動物を完全に空想のおはなしとして描くのではなく、現実にある危険も織り交ぜながら描いているんだよね。
生と死が隣り合わせの日常
ももちんが怖さを感じたのは、実はピーターのお母さん。
ピーターのお母さんは子どもたちにお父さんがパイにされたことを、特に感情を交えることなく平然と伝える。
またその夜、ピーターが命からがら逃げおおせて帰ってきて倒れ込んだとき、お母さんがまず思ったことはなんだと思う?
くたくたのピーターへの心配ではなく、「服と靴をどこへおいてきたのだろう?」ということなんだよね。
一歩間違えてたらお父さんと同じ運命になっていたことなんて、知るよしもない。
それだけ動物にとって生と死は隣り合わせだし、「死」は日常で当たり前に起こりうること。
「死」を人間の中ではなく動物の中で描いているので、読む側も拒否感なく「生と死」を受け入れやすい。
絵から伝わってくる感情
絵本を見ていて不思議なのは、動物たちの絵はほぼ無表情なのに「感情」が伝わってくること。
今作ではピーターが涙を流す場面が2つあるんだけど、表情は変わらず涙を描いているだけ。
それなのに、なぜか胸がギュッとしめつけられた。
ポターが描く動物の絵は、さらっと描いているように見えて骨格や動きの描写が緻密で的確。
リアルな動物の良さをそのまま描き出しているんだよね。
これはポターが幼少の頃から動物が好きで、多くの動物をスケッチしてきたことが土台にある。
他にも、逃げているピーターの背景を描かないことで感情的な臨場感を出す、という工夫もしている。
また、初めにピーターひとりだけお母さんの話を聞かずにそっぽを向いている絵で、反抗心を表現している。
喜怒哀楽を表情で表すのではなく、背景や仕草を使ってさりげなく伝えようとしているんだよね。
参考:『ピーターラビットの世界へ ビアトリクス・ポターのすべて』河野芳英著、河出書房新社、2016年
感想おさらい
『ピーターラビットのおはなし』制作秘話
絵本『ピーターラビットのおはなし』にまつわる制作エピソードを紹介するよ。
『ピーターラビットのおはなし』制作秘話
『ピーターラビットのおはなし』の原型の絵手紙
絵本『ピーターラビットのおはなし』は、ビアトリクス・ポターが昔の家庭教師の息子、ノエル・ムーアに出した絵手紙が元となっている。
この手紙が書かれたのは、絵本が刊行される9年前の1983年。
ポターが当時飼っていたピーターという名前のうさぎがモデルになっている。
ちなみに、ポターがノエル少年にこの絵手紙を書いた翌日、ノエルの弟エリック少年には『ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし』(原題”The Tale of Mr. Jeremy Fisher”)の元になった絵手紙を書いているよ。
参考:『ピーターラビットの世界へ ビアトリクス・ポターのすべて』河野芳英著、河出書房新社、2016年、Wikipedia
削除された絵
絵本『ピーターラビットのおはなし』では、1902年の原書初版刊行時には掲載されていたけれど、1903年の5刷目から削除された挿絵が4点ある。
その中の一つが、マグレガーさんのおくさんがうさぎの肉のパイ(中身はピーターラビットのお父さん)を持っている絵。
「子どもが怖がるから」「レイアウト上の理由」で削除された絵は、『愛蔵版 ピーターラビット全おはなし集(改訂版)』で見ることができる。
ちなみにマグレガーさんのおくさんがパイを持っている絵は2種類あって、上で紹介しているのは1901年私家版に掲載されていたもの。
1902年の初版で掲載されていた絵は別のもので、おくさんがもう少し美人に描かれていて、後ろに子どもが描かれている。
参考:『ピーターラビットの世界へ ビアトリクス・ポターのすべて』河野芳英著、河出書房新社、2016年、『愛蔵版 ピーターラビット全おはなし集(改訂版)』ビアトリクス・ポター作・絵、いしいももこ・まさきるりこ・なかがわりえこ訳、福音館書店、2007年
絵本『ちびくろサンボのおはなし』
『ピーターラビットのおはなし』を制作するときポターが参考にしたのが、当時ベストセラーになっていた絵本『ちびくろサンボのおはなし』(原題"The Story of Little Black Sambo")。
『ちびくろサンボのおはなし』はスコットランド出身の絵本作家・ヘレン・バンナーマンが1899年に発表した絵本。
ポターは当時人気のあった大型の絵本ではなく、『ちびくろサンボのおはなし』のように小型で子どもが手に取りやすい形にした。
絵本のタイトルも『ちびくろサンボのおはなし』の"The Story of 〜"を参考にして、"The Tale of Peter Rabbit"とつけた。
このタイトルには2つの意味がある。
一つは、題名に主人公の名前を入れるのが子どもにわかりやすいこと。
もう一つは"tale"(物語)と"tail"(しっぽ)をかけているんだよね。
『ちびくろサンボのおはなし』は世界中でいろいろな挿絵のものが刊行され、お話も変えられているものが多い。
ポターが参考にした1899年初版『ちびくろサンボのおはなし』はヘレン・バンナーマンが絵も文も手がけている。
日本語版は1999年に怪書房から刊行されているよ。
参考:『ピーターラビットの世界へ ビアトリクス・ポターのすべて』河野芳英著、河出書房新社、2016年
制作秘話おさらい
「ピータラビットのおはなし」が読めるさまざまな形
『ピーターラビットのおはなし』は、この記事で紹介した福音館書店の絵本以外の形でも楽しむことができる。
現在出ている『ピーターラビットのおはなし』は次の通り。
絵本以外の『ピーターラビットのおはなし』
- 【2022年3月】新訳絵本シリーズが早川書房より刊行!
- 福音館書店絵本シリーズ前作が1冊で読める「全おはなし集」
- スマホで読める「電子書籍」
- おはなしを聴いて楽しむ「CD/Audible」
- 紙芝居
- 映画・アニメ
【2022年~】新訳絵本シリーズが早川書房より刊行!
川上未映子さんの翻訳で、絵本〈ピーターラビット〉を刊行します!
世界中で愛されつづけている絵本を、早川書房が公式出版社として2022年3月から刊行開始。
子どもから大人まで楽しめる、新しいピーターラビットたちをお届けします。
今日16日から予約開始。くわしくは↓https://t.co/eZpHGrJY36— 早川書房公式 (@Hayakawashobo) December 16, 2021
2022年~2024年、早川書房よりピーターラビット絵本シリーズが順次刊行された。
絵本『ピーターラビットのおはなし』初版刊行から120周年を迎え、早川書房はフレデリック・ウォーン社と公式提携を結んだ。
それを機に、2002年にフレデリック・ウォーン社より刊行された「決定版」シリーズを全23巻で刊行。
『ピーターラビットのおはなし』には挿絵が6点加えられ、色彩も初版に近づけるなどの改定がほどこされている。
大人も楽しめる「ピーターラビット」
「ピーターラビット」の絵本でこれまでの定番とされてきたのは、福音館書店・石井桃子訳のシリーズ。
初版から50年以上経っていることや、幼い子どもを読者として想定していることから、現在の主な読者は小学校低学年までの子どもと年配層となっている。
早川書房の新訳版はその間の世代、30代〜50代の読者も楽しめるように考えられている。
翻訳を手掛けるのは作家・詩人として活躍する川上未映子。
訳文ではほどほどの漢字(ふりがなつき)を使っていることから、幅広い年代が読みやすくなっている。
また原文で韻を踏んでいるところは訳でも韻を踏むなど、詩人ならではの工夫も盛り込まれている。
参考:『この本読んで!2022年春号』出版文化産業振興財団、『MOE (モエ) 2022年4月号 [雑誌]』白泉社、川上未映子による新訳で、絵本 ピーターラビット™ シリーズ(全23巻)刊行決定・予約開始!/hayakawabooks.com/
全巻セット
早川書房絵本シリーズポイント
- 最もベーシックな「絵本」という形(大きさは福音館書店とほぼ同じ)
- フルカラーの挿絵。削除された挿絵も加えられている
- 川上未映子による新訳。30代〜50代の大人も楽しめる訳文
- 『ずるいねこのおはなし』は入っていない(全23冊)
その他の、絵本以外で楽しめる「ピーターラビットのおはなし」については、次の記事で紹介しているよ。
「ピーターラビット」原作絵本・電子書籍・アニメ等24作品まとめ
絵本「ピーターラビット」シリーズは、イギリスの絵本作家ビアトリクス・ポターが生んだ絵本シリーズ。 絵本シリーズだけで24冊あるんだけど、他にも関連する絵本や電子書籍、映画があるのでまとめてみた。 この ...
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まとめ
絵本『ピーターラビットのおはなし』まとめ。
子ども向けの小型絵本だけど、大人が楽しめる要素もいっぱいの絵本だよ。
福音館書店絵本
早川書房絵本
電子書籍
「ピーターラビット」特集
今作の続きのお話の絵本『ベンジャミン バニーのおはなし』を次の記事で紹介しているよ。
絵本『ベンジャミンバニーのおはなし』感想。絵本ピーターラビット続編
『ベンジャミン バニーのおはなし』は、イギリスの絵本作家ビアトリクス・ポターが1904年に発表した絵本。 絵本『ピーターラビットのおはなし』の続編としても知られている絵本だよ。 この記事でわかること ...
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