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山梨県立文学館の見どころ。人気の美術館とはしご観覧がおすすめ!

2018年8月24日

山梨県立美術館に来たならぜひ一度は立ち寄ってほしい、山梨県立文学館。

山梨在住8年のももちんが、山梨県立文学館のみどころをお伝えするよ。

こんな方におすすめ

  • 山梨県立美術館に行く予定だけど、同じ敷地内にある文学館も気になる。
  • 山梨県立文学館の見どころを知りたい。

山梨県立文学館について

開館時間

展示室:9:00-17:00(入館は16:30まで)

閲覧室・研究室:9:00-19:00(土・日・祝は18:00まで)

研修室・講堂:9:00-21:00

休館日

月曜日(祝日の場合はその翌日)

祝日の翌日(日曜日の場合は開館)

年末年始、その他臨時開館・休館あり

観覧料

常設展常設展(美術館共通券)企画展
一般320円670円都度変更
大学生210円340円都度変更

※以下の場合はコレクション展、特別展とも無料。

  • 高校生以下の児童・生徒
  • 65歳以上の方(企画展は県内在住者のみ)
  • 障害者手帳をご持参の方と介護の方
  • 11月20日(県民の日につき無料)

交通アクセス

甲府駅からのアクセス

  • 甲府駅バスターミナル(南口)1番乗り場より
    御勅使(みだい)・竜王経由敷島営業所・大草経由韮崎駅・貢川(くがわ)団地各行きのバスで約15分
    「山梨県立美術館」下車。(料金:片道280円)
  • タクシーで約15分。(料金1,700円程度)

自家用車でのアクセス

  • 中央自動車道甲府昭和インターチェンジより約10分。

山梨県立文学館の歩み

山梨県立文学館は、山梨県甲府市「芸術の森公園」内にある。

公園内には山梨県立美術館もあるよ。

山梨県立文学館では、山梨県出身やゆかりの文学者の資料を収集・保存・展示している。

代表的なものは、樋口一葉、芥川龍之介、飯田蛇笏の資料。

「ミレーの美術館」として親しまれている山梨県立美術館に行くなら、ぜひ一度は山梨県立文学館にも足を運んでみてほしい。

もともと山梨県は、博物館等の展示施設が未整備で「文化不毛の地」と評されていた。

そんな中、田辺国男が知事に就任し、「文化不毛の地から文化の発信基地に」という強い意志のもと、山梨県立美術館(1978年)や山梨県立考古博物館(1982年)など公共文化施設が整備されていった。

その流れで、1989年(平成元年)、望月幸明県知事のときに、山梨県立文学館は開館した。

季節ごとにイベントを開催し、茶室や講堂、研究室の貸し出しなども行っているよ。

1973(昭和48)年美術館の建設が決定。
1976(昭和51)年美術館の建設が着工。公園の造営も同時進行。
1978(昭和53)年
11月3日、山梨県立美術館開館。徹夜で待つ人など、開館時間までには約400人が列を作った。
1989(平成元)年
美術館の向かいに山梨県立文学館を開館、芸術の森公園が開園。以降、公園内に彫刻や立体作品が設置される。
2010(平成22)年開館20周年。常設展示室リニューアルオープン、飯田蛇笏・飯田龍太記念室開設
2012(平成24)年観覧者100万人に達する。

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常設展と特設展

今回ももちんが見学したのは、常設展と特設展。常設展の料金320円で、両方とも見ることができた。ラッキー。

山梨県立文学館の常設展では、山梨県出身・ゆかりの文学者の直筆原稿や書簡、愛用品などの展示を行っている。

写真資料も充実しているので、飽きることなく楽しめる。

季節ごとの展示替えを行っている。

芥川龍之介、樋口一葉、飯田蛇笏以外にも、井伏鱒二、太宰治、村岡花子など、多くの文学者の資料を展示しているよ。

また、定期的に収蔵資料を中心にした特設展を開催、年度末には、新収蔵資料を紹介する収蔵品展を開催している。

夏の特設展は、親子で文学に親しめるテーマと内容にしている。

ももちんが今回見学したのは、「童話の花束 子どもたちへの贈り物」という特設展。

 

山梨出身・ゆかりの文学者たち

芥川龍之介

1927年(昭和2年)の芥川龍之介。堀辰雄・葛巻義敏・芥川比呂志 編集『芥川龍之介全集第6巻』、1977年岩波書店発行[public domain]

大正期を代表する小説家、芥川龍之介。

山梨へは少年期に徒歩旅行などで何度か訪れている。

成人してからは、1913年、北杜市長坂町の清光寺(せいこうじ)で開かれた夏期大学で「人生と文芸」について4日間の講義を行った。

山梨県の俳人飯田蛇笏と親交があり、俳句や短歌、詩の佳品も残している。

山梨県立文学館の芥川龍之介関連資料は、日本有数のコレクション。

『羅生門』『鼻』の草稿や、夏目漱石からの激励の書簡、河童の絵『水虎晩帰之図』などを展示している。

『鼻』の朗読をヘッドホンで聞くこともできる。

 

略歴

1892年(明治25年)東京生まれ。

1913年(大正2年)、東京帝国大学文科大学英文学科へ進学。

1914年(大正3年)2月に一高同期の菊池寛、久米正雄らと共に同人誌『新思潮』(第3次)を刊行。

1915年(大正4年)10月、代表作の1つとなる「羅生門」を発表、夏目漱石門下に入る。

1916年(大正5年)、小説「鼻」が作家の夏目漱石に賞賛され、文壇に登場。

1919年(大正8年)結婚。3男をもうける。

1927年(昭和2年)7月24日未明、「ぼんやりした不安」の一語を残して自殺。35歳。

時代の動揺を象徴する死として大きな衝撃を与えた。

 

主な作品

  • 羅生門 1915年
  • 鼻 1916年
  • 蜘蛛の糸 1918年
  • 地獄変 1918年
  • 杜子春 1920年
  • アグニの神 1920年
  • トロツコ 1922年
  • 河童 1927年
    他多数

 

児童雑誌『赤い鳥』との関わり

今回観た特設展「童話の花束」では、芥川龍之介と児童雑誌『赤い鳥』とのかかわりを知ることができた。

『赤い鳥』は、1918年(大正7年)鈴木三重吉が創刊した童話と童謡の児童雑誌。1936年8月廃刊。

今年2018年は創刊100年にあたるので、全国各地で企画展が開催されている。

芥川龍之介はこの『赤い鳥』の創刊号のために童話『蜘蛛の糸』を書いた。

展示ではこの『赤い鳥』創刊号の『蜘蛛の糸』紙面や、原稿の複製を見ることができた。

また、偕成社刊の絵本『蜘蛛の糸』のパネルが展示してあって、見ごたえたっぷりだった。

芥川龍之介は、『蜘蛛の糸』のほかに、『杜子春』『犬と笛』『魔術』『アグニの神』などの童話を『赤い鳥』に寄稿しているよ。

 

樋口一葉

樋口一葉の写真(山梨県立文学館蔵)[public domain]

樋口一葉の両親は山梨県広州市の生まれ。

一葉は生活に苦しみながら、「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」といった秀作を発表、文壇から絶賛される。

わずか1年半でこれらの作品を送ったが、24歳6ヶ月で肺結核により死去。

山梨県立文学館では、代表作『にごりえ』の草稿をはじめ、山梨を舞台にした小説『ゆく雲』の草稿や、遺品を展示している。

『たけくらべ』の朗読をヘッドホンで聞くこともできる。

 

略歴

1872年(明治5年)東京生まれ。本名なつ。

幼少時代から読書を好み、7歳の時に曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』を読破したと伝えられる。

1886年(明治19年)、中島歌子の歌塾「萩の舎」に入門。

1889年(明治22年)父則義の死後、17歳にして戸主として一家を担う立場となり、1890年(明治23年)には萩の舎の内弟子として中島家に住み、塾の手伝い料を得るなど、苦しい生活を強いられる。

1891年(明治24年)、小説家として生計を立てるため、東京朝日新聞専属作家の半井桃水(なからい とうすい)に師事し、指導を受ける。

1895年(明治28年)には半井桃水から博文館の大橋乙羽を紹介される。この年は1月から「たけくらべ」を7回にわたり発表したほか、「にごりえ」「十三夜」などを発表している。

1896年(明治29年)肺結核により死去。

 

主な作品

  • 大つごもり(1894年12月『文學界』)
  • たけくらべ(1895年1月 - 1896年1月『文學界』)
  • にごりえ(1895年9月『文芸倶楽部』)
  • 十三夜(1895年12月『文芸倶楽部』)
    他多数

 

飯田蛇笏

『アサヒグラフ』1948年2月4日号(朝日新聞社)[public domain]

山梨県立文学館には、飯田蛇笏・龍太記念室がある。

日本の俳句界をリードした、蛇笏・龍太父子は山梨県の境川村(現笛吹市)の生まれ。

山梨の風土と自然を、俳句にあらわした二人の俳人の生涯と作品の魅力を紹介している。

 

略歴

1885年(明治18年)山梨県生まれ。

1905年(明治38年)早稲田大学英文科に入学。俳人高浜虚子に師事。

1909年(明治42年)、早大を中退し山梨へ帰郷。

1911年(明治44年)結婚。5男をもうける。

1912年(大正2年)7月には虚子が『ホトトギス』雑欄に復帰したことを知ると、蛇笏も『ホトトギス』への投句を再開。名実ともに同誌の代表作家となる。

1915年(大正5年)、愛知県で創刊された俳句雑誌「キラヽ」の投稿欄の選者となり、のちに主宰者となって誌名を「雲母(うんも)」と改め、活動の基盤とした。

1962年(昭和37年)、境川村の自宅で死去。享年77。

 

主な作品(句集)

  • 『山廬集』 雲母社、1932年
  • 『霊芝』 改造社、1937年
  • 『山響(こだま)集』 河出書房、1940年
  • 『白嶽』 起山書房、1943年
  • 『心像』 靖文社、1947年
    他多数

 

村岡花子

日本ホテル協会『HOTEL REVIEW』4月号(1956年4月10日発行)より村岡花子 [Public domain]

村岡花子は、日本の翻訳家・児童文学者。

児童文学の翻訳で知られ、モンゴメリの著作の多くと、エレナ・ポーター、オルコットなどの翻訳を手がけた。

2014年の連続テレビ小説「花子とアン」の主人公のモデルとなった人物としても有名。

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絶版書籍や翻訳原稿

今回見学した特設展「童話の花束」では、村岡花子の童話作家としての側面をよく知ることができた。

現在は絶版となっている、かわいらしい表紙の童話集がいくつもならんでいた。

また、『赤毛のアン』の翻訳原稿や、三笠書房からの初版本。

『長姉物語』(現在の『スウ姉さん』)や『喜びの本』(現在の『少女パレアナ』)が当時掲載されていた雑誌を見ることができた。

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前田晁

山梨市生まれ。自然主義文学の一つの拠点であった「文章世界」(田山花袋主筆)の編集者として活躍。

自ら『クオレ』『少年国史物語』など児童文学も執筆。

特設展「童話の花束」では、『少年国史物語』原稿や出版された書籍などを展示していた。

 

略歴

1879年(明治12年)山梨県生まれ。

1900年(明治33年)には東京専門学校(現早稲田大学)高等予科、文学部哲学科・文学科に進む。

1904年(明治37年)に卒業し、隆文社へ入社、編集の世界に入る。

1906年(明治39年)には坪内逍遥の紹介で博文館に入社。自然主義文学雑誌『文章世界』の編集に携わる。また、自身も小説や評論を執筆するほか翻訳を手がける。

1909年(明治42年)に徳永寿美子と結婚。

1924年(大正13年)には金星堂「世界文学」を主宰し、『少年国史物語』など児童文学も手がける。

1961年(昭和36年)死去。

 

主な作品

児童文学
  • 『青い目のかに』1954年、同和春秋社
  • 『少年国史物語』1933~36年、早稲田大学出版部
翻訳作品
  • 『クオレ』アミーチス作、1927年、平凡社
  • 『科学物語』アンリ・ファーブル作、1955年、福村書店
  • 『聖書物語』ヘンドリックヴァン・ルーン作、1931年、東京堂

 

徳永寿美子

甲府市生まれ。夫の前田晁に勧められて童話を書き始める。

日常の親子の対話や自然との心のふれあいの中に題材を求め、母親の立場から書かれた作品は、「おかあさん童話」と呼ばれた。

特設展「童話の花束」では、徳永寿美子の直筆の色紙「童話とともに四十とせをへにけりただひとすじに」が展示されていた。

 

略歴

1888年(明治21年)山梨県生まれ。

1906年(明治39年)に東京府立第二高等女学校(現東京都立竹早高等学校)卒。

子に即興の話をせがまれたことから童話を書くようになる。

1921年(大正10年)には最初の作品集である『薔薇の踊子』を刊行し、以来母子の愛情を主要なテーマとした作品群を発表し、「お母さん童話」と呼ばれた。

翻訳も数多く手がける。和歌や絵画も手がける。

1970年(昭和45年)死去。

 

主な作品

童話
  • 『童話集 赤い自働車』1923年、金星堂
  • 『小学生童話 雲をながめる』1939年、童話春秋社
  • 『おかあさんのおひざ 母と子の童話教室』1954年、三十書房
翻訳作品
  • 『小公子』バーネット作、1956年、偕成社
  • 『フランダースの犬』ウィーダ作、1966年、金の星社

 

閲覧室

1階のロビー手前にある閲覧室では、山梨県立文学館所蔵の図書・雑誌などが閲覧できる。

文学について調べるための参考図書、山梨県出身の文学者の著作などを揃えている。

また、所蔵作品の検索端末、原稿などが見られる画像情報端末、ゆかりの文学者の映像や文学作品の映像などを自由に利用できる。

ももちんが行った見たときは特設展「童話の花束」に関連した作品が豊富に展示。

芥川龍之介『蜘蛛の糸』、前田晁『少年国史物語』、徳永寿美子『うさぎのたねまき』などを、実際に手に取ってみることができた。

 

展示以外の見どころ

ロビー

広いロビーには、過去の展示のポスターがずらり。1枚1枚見ごたえがあり、展示も観てみたくなった。

ショップ

若干照明暗めの(笑)ショップでは、山梨に関連のある作家の作品がたくさんあった。

つなぐNPOという団体が発行している山梨各地のフットパスの冊子も取り揃えていた。

ももちんは村岡花子関連の冊子を見つけたので購入。

今度これを片手に、甲府を散歩してみようと思う。

営業時間:9:30~16:20

つなぐNPO公式サイト

喫茶室

ロビーを奥に進むと、喫茶スペース「黒蜜庵 きなこ亭」がある。

窓から見えるのは日本庭園。

ひっそりしているので、一人でもくつろげる。

チケットなしでも利用可能。

営業時間:9:30~17:00(ラストオーダー16:30)

芸術の森公園

山梨県立文学館がある芸術の森公園では、いろんなところに彫刻が配置されている。

バラ園や日本庭園、ボタン園もあり、散歩には最適だよ。

芸術の森公園紹介

山梨県立美術館と庭園特徴。本物のミレー、散歩、ランチの極上の休日

山梨に来たなら一度は立ち寄ってほしい、山梨県立美術館。 山梨在住8年のももちんが、山梨県立美術館のみどころをお伝えするよ。 この記事はこんなあなたにおすすめ 今週末山梨に行くので、山梨県立美術館の特徴 ...

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まとめ

山梨県立文学館の見どころまとめ

  • 開館情報
  • 山梨県ゆかりの文学者たち紹介
  • カフェ、ショップ、庭園

山梨県立美術館に来たら、ぜひ、文学館も寄ってみることをおすすめするよ。

 

同じ敷地内にある山梨県立美術館について知りたい人は、次の記事をどうぞ。

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  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

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