絵本 街歩きノート

『100万回生きたねこ』作者、佐野洋子の世界。山梨県立美術館

更新日:

名作『100万回生きたねこ』の作者、佐野洋子。

山梨県立美術館で開催されている「佐野洋子の世界展」に行ってきました。

佐野洋子って、『100万回生きたねこ』だけじゃないんだね。

他の作品や、佐野洋子自身の人間としての魅力をたっぷり堪能したので、紹介するね。

  • 『100万回生きたねこ』の世界を堪能
  • 猫を題材にした絵本を堪能
  • 自然と子どもへのまなざし
  • 佐野洋子の生き様にほれる
  • グッズコーナーも熱い!
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概要

佐野洋子

日本の作家、エッセイスト、絵本作家。

1938年、北京に生まれる。

1947年、山梨県に引き揚げ、その後静岡県静岡市に移る。

武蔵野美術大学デザイン科卒。

1971年33歳の時に『やぎさんのひっこし』で絵本作家としてデビュー。

1967年から1968年にかけて、ベルリン造形大学においてリトグラフを学ぶ。

1990年、谷川俊太郎と結婚し、1996年に離婚。

2003年度紫綬褒章受章。

2010年、乳がんのため72歳で死去。

主な作品(絵本)

「ー愛されて40年ー100万回生きたねこ 佐野洋子の世界展」

世代を超えて読み継がれ、昨年出版40周年を迎えた佐野洋子作『100万回生きたねこ』。

本展ではその名作原画(特別出品)を中心に、代表的な絵本の原画、小説の原稿、女性や猫等を描いた銅版画作品をあわせておよそ100点展示することで、絵本作家・エッセイスト・画家、佐野洋子(1938年~2010年)のユニークで豊かな世界を紹介します。

佐野は、第二次世界大戦終戦後、中国から引き揚げて山梨在住の伯父のもとに一家で身を寄せ、子供時代の3年ほどを過ごしました。

佐野がより身近に感じられるように、本展では彼女の幼い頃からの写真や、作画道具、愛用品なども展示します。

出典:山梨県立美術館公式サイト

山梨県立美術館へ!

ももちんのいきつけ、山梨県立美術館。自然いっぱいの公園の中にある美術館だよ。

敷地の入り口には、さっそく佐野洋子展のビッグな看板!

テンション上がりながら、さっそく中へ。

広い敷地内を歩きながら、見えてきた山梨県立美術館!

チケットを購入して、展示会場へ。

展示会場への通路では、とらねこのクッションがお出迎え。

ちょうどショップの前を通り過ぎたので、とらねこグッズや、佐野洋子の作品を物色。

山梨県立美術館のレビュー記事はこちら。

①『100万回生きたねこ』を堪能

展示は全部で5つの章に分かれていた。第1章は『100万回生きたねこ』の世界。

初めからいきなりメインのテーマ持ってきますか!と、ドキドキしながら歩く。

ふつう展示だと、佐野洋子の略歴とかから入るのかなって思ってたけど、そういう前説明が一切ない。

そして、入って早々に、とらねこと一緒に写真が撮れるスポットへ。やっぱとらねこかっこいいわぁ。

ミュージカル

『100万回生きたねこ』は、ミュージカルとしても上演された。演出家のスケッチ、衣装、小道具、舞台装置などの関連美術も展示されていたよ。

上の写真は、『100万回生きたねこ』にちなんで段ボールの造形作家によって製作された小屋の内部の壁画。中に入って撮影したんだけど、かなり不気味だった(笑)

ももちんは絵本が好きだから、ミュージカルにしちゃうってどうなんだろうって思ってたけど、展示では、舞台中の写真もあって、雰囲気が伝わってきた。

小道具とかも見ると、ミュージカルでは、物語の前半部分、とらねこが人間と暮らしていた生のところも、ひとつひとつ、細かく表現されていたみたい。

当時のミュージカルのパンフレットも置いてあって、2013年(森山未來&満島ひかり)と2015年(深田恭子&成河)ではだいぶ雰囲気も違うことがわかった。

どっちも観てみたかったなぁ。

貴重な原画

出版40周年と山梨県立美術館開館40周年を記念して、展示では『100万回生きたねこ』の原画も展示されていた。

『100万回生きたねこ』の原画は、保存のために近年は展示が制限されていたんだけど、会期中展示替え(前期9点、後期9点)を行うことで、展示が特別に許可されたんだって。

佐野洋子は生前、「絵本作家」と名乗っていて、絵と文、製本、すべての工程を経て完成する「絵本」という形で世に出すことにこだわりがあった。

だから、今もし佐野洋子が存命なら、原画の展示の許可は下りなかったかもしれないって書いてあった。

ももちんが観たのは前半の原画。絵本ではさらった流してみてしまいがちだけど、1枚1枚の原画をみると、細部へのこだわりが感じられた。

あわせて描かれた当時の鮮やかさを再現したデジタルリマスター版も展示されていて、 違いがわかって面白かったよ。

②猫を題材とした絵本

ももちんは初めて知ったんだけど、佐野洋子の絵本では、猫を主人公にした物語が多いんだって。

第二章では、猫を題材にした3作品『すーちゃんとねこ』、『さかな1ぴき なまのまま』、『空とぶライオン』の原画が展示されていたよ。

ちゃんと、原画の前に、絵本そのものが置いてあって、それは触れて読んでもいい仕様になっていた。

絵本をじっくり読んでから原画も見れたのが良かった。

『すーちゃんとねこ』は、子どもらしくてすきだった。けんかしても、どっちがいいわるいとかなくて、ごめんなさいもなく、あっさり仲直りしてる世界。

『さかな1ぴきなまのまま』は、珍しく油絵具で描いていて、新鮮だった。

あとおもしろかったのが、佐野洋子は猫が嫌いだったんだって。

あたし、猫、きらいなのね(笑)。

なんか、ほら、人間と人間でやると、すごく生々しくなることを、やっぱり、ああいうのができるってのは、なんていうの、ファンタジーとか、そういうことに多いでしょう。

だから、そういう意味で、こう、媒介物として使っているだけで。

それから、カタチとして、犬よりも、そりゃ、きれいなカタチしてるってことぐらいかしら。

してるってことぐらいかしら。

出典:「月間絵本」1978年4月号、すばる書房

だけど、『100万回生きたねこ』のとらねこのモデルは、当時の愛猫だったし、その後も愛猫をモデルにした作品描いてるんだよね。

佐野洋子自身、猫みたいなさっぱりした性格だったのかも・・・って、想像しておかしくなったよ。

③自然と子どもへのまなざし

佐野洋子の他の原画、まだまだたくさんあった。

『わたしのぼうし』、『ふじさんとおひさま』、『ちょっとまって』、『ねえ とうさん』・・・。

どれも自然や動物を豊かに描いていた。

そしてどれも、子どもの視点というか、大人になってから忘れ去っていた視点を思い出させてくれる絵本なんだよね。

佐野洋子の大切にしているものが伝わってきたよ。

ことばや絵を通して、ことばではないことばの背後に、絵ではない絵の背後の、世界の不思議さを分かり合うことなのだ。

ことばで納得し合う、大人の世界で仕事するんじゃなくて本当によかった。

出典:「ことばは通じなくても」より 1995年、新潮文庫『ふつうがえらい』収録

どれも手に取って読める絵本と一緒に展示されていたから、ボリュームがすごかった。

そして、どの作品も、使っている画材とか、統一されているわけじゃないんだよね。

作品ごとに自分が表現できる可能性を追求し続けていたんだね。

④佐野洋子の生き様にほれる

展示も後半に来て、ようやく佐野洋子の紹介がやってきた。

子ども時代の話や、家族のことが写真もたくさんまじえて紹介されていた。

幼少期、北京に住んでいた時代は裕福な暮らしをしていた佐野洋子。

戦後、山梨に引き上げ、子だくさん家族の貧しい生活になる。

7人兄弟だったけど、幼少時に兄弟を亡くしているんだよね。

なかでも、とても仲の良かった、病弱だった兄を亡くした時の体験は、佐野洋子のその後の人生に大きな影響を与えた。

その自伝的小説が、『右の心臓』だと言われているんだ。

佐野洋子は著書『私はそうは思わない』で、次のように語っているよ。

兄の死はかけがえのないものが、奪われ失われることがあるという事を私に教えた。

多分私は愛というものの原型を意識化する前に覚えたのだと思う。

出典:「二つ違いの兄が居て」より 1996年、ちくま文庫『私はそうは思わない』収録

東大卒のイケメンの父親のゆがんだ愛情や、母に冷たくあしらわれた過去なども赤裸々に紹介されていて、興味深かった。

佐野洋子は、2010年に乳がんでなくなるんだよね。

だけど、告知されても、愛するたばこだけは死ぬまで辞めなかったんだって。

愛用していたプラダのバッグや靴も公開されていたけど、黒いシンプルなデザインが潔くて、佐野洋子のまっすぐな生きざまを感じたよ。

講談社の公式サイトで、佐野洋子と20年以上親交のあった、福音館書店の中国出身の編集者、唐亜明さんのインタビューがあった。

そこで語られていたのは、佐野洋子にとって、幼少期を過ごした北京がどれだけ大きな存在だったかということ。

「私、中国人」と発していたとも書いていて、おもしろいエピソードがあったよ。

スペシャル・インタビュー 唐亜明(タン ヤミン)私たちの心をとらえて離さない「100万回生きたねこ」の魅力(講談社公式サイト)

⑤グッズコーナーも熱い!

グッズコーナーは、佐野洋子の著書はもちろん、『100万回生きたねこ』グッズがとても充実していたよ。

ポーチやフィギュア、ポストカード、クッション・・・

関連商品でいろんな猫のポストカードも置いてあって、見てて飽きなかった。

あと、ももちんがつぼだったのは、おじさんのかさ、その物が販売されていたこと!

1万円とか、けっこういい値段したんだけど、しっかりした作りでかっこよかった!

まとめ

「100万回生きたねこ 佐野洋子の世界展」みどころまとめ。

  • 『100万回生きたねこ』の世界を堪能
  • 猫を題材にした絵本を堪能
  • 自然と子どもへのまなざし
  • 佐野洋子の生き様にほれる
  • グッズコーナーも熱い!

ももちんは『100万回生きたねこ』しか知らなかったけど、他の作品も十分楽しめて、理解が深まったよー。

【終了】愛されて40年「100万回生きたねこ 佐野洋子の世界展」

期日: 2018年4月21日(土)~ 2018年6月17日(日)まで
時間: 9時~17時(入場は16時半まで)
観覧料:一般1,000円、大学生500円、高校生以下無料
場所: 山梨県立美術館
主催: 山梨県立美術館 山梨日日新聞社・山梨放送
〒400-0065
山梨県甲府市貢川1-4-27
TEL : 055-228-3322(代表) / FAX : 055-228-3324

絵本『100万回生きたねこ』レビュー記事はこちら。

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