ミュージシャン小沢健二が2017年に発表した絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』。
とくにアメリカの市民にとってのハロウィーンに焦点を当てて、いろんな角度からハロウィーンを紹介している。
今回は絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』の魅力をお伝えするよ。
この記事で紹介する本
この記事でわかること
- 絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』のみどころ
- アメリカのハロウィーン
絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』とは?
絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』は、2017年小沢健二と日米恐怖学会によって、福音館書店より出版された。
小沢健二と日米恐怖学会
ミュージシャン小沢健二。
ハイ・スタンダードを始めPizza of Death レコーズの装幀で知られるイラストレーター ダイスケ・ホンゴリアン。
写真家であり、小沢健二の妻でもあるエリザベス・コール。
ファッションディレクター 白山春久。
この4人の人間と、「不明数の怪物たち」で構成される団体。
楽しい恐怖、心踊る恐怖を提唱し、嫌になっちゃうような恐怖、お先真っ暗な恐怖に対抗する。
『アイスクリームが溶けてしまう前に』では、写真家・守本勝英も参加している。
小沢健二
画像:小沢健二hihumiyo.net
1968年、神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業。
フリッパーズギター解散後、ソロのシンガーソングライターとして活躍。
『今夜はブギーバック』『ラブリー』などのヒット曲がある。
マガジンハウスより1982年(昭和57年)に創刊された女性向けファッション雑誌『オリーブ』(Olive)にて、1994年から1997年まで「DOOWUTHYALIKE」を連載。
小澤俊夫の責任編集による季刊誌『子どもと昔話』で小説『うさぎ!』を執筆。2010年開催の全国ツアーにて、連載の全18話を収録した本3冊のボックスセットを販売。
小沢健二公式サイトで、小沢健二のコラムを読むことができます。→→こちら
内容紹介
ハロウィーンって、どんな日か知っている?
それは、アメリカの人たちにとってかけがえのない一日。
ちいさな怪物たちは、「チュリッカ・チュリー!(”Trick or treat!”)」と叫びながら、家々を練り歩く。
大人たちも、この日だけは保護者の仮面を脱いで、悪の首領になれるんだ。
子どもでいられるときは、アイスクリームが溶けてしまう前の、特別な時間。
そんなハロウィーンを鮮やかに描き出す。
絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』感想
アメリカの文化
ハロウィーンっていうのは、アメリカで毎年10月31日に行われる、お祭り。
もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事だったけど、現代では宗教的な意味合いはほとんどなくなっているよ。
日本でも最近は仮装してパレードしたり、子どもたちにお菓子を配ったりしているよね。
アメリカでは、もっともっと深く根付いているハロウィーンの文化。
ハロウィーンでは、子どもたちが「チュリッカ・チュリー!(”Trick or treat!”)」(お菓子をくれないと、いたずらするぞ!)と言ってお菓子をもらう。
この、アメリカ式の発音もきちんと書かれているのがおもしろい。
小沢健二は別の文献でも、日本では「ウォーター」としているものが、アメリカでは「ワドォ」と発音するとか書いている。
英語の発音が日米でこうも違うのか、とがく然とするけれど、同時におもしろい!って思う。
さて、絵本では、なぜハロウィーンにお菓子をもらう文化になったかも書かれている。
大人対子どもの本当の戦争にならないように、お菓子をあげる文化はつづけられてきたんだよね。
ハロウィーンのマナー
アメリカのハロウィーンには、より面白く楽しむためのマナー、決まりみたいなものがあるんだって。
しってた?ももちん、知らなかったよ。
仮装している子をみたら、その子が何の仮装をしているか、当てっこをすること。これはあいさつのようなもので、何も言わないのは失礼にあたるんだって。
それと、衣装を手作りして、家族で楽しむこと。
『アイスクリームが溶けてしまう前に』では、この手作りの過程が詳しく書いてあって、読んでいてわくわくするんだよね。
絵本を読むと、その衣装が本当に作れてしまう。
子どもの頃に読んだ『魔女図鑑』にかいてあったレシピ通りに作った料理を思い出したよ。
日本では、ハロウィーンといっても、衣装を買ってすますことがほとんどだよね。
だけど、アメリカの市民にとっては、もっと本気モード。徹夜してでも衣装を手作りするんだから、それは思い出になるよね。
かぼちゃのランタンも、既製品はお店で売っていない。かぼちゃに自分で顔をほるところから始まるんだ。
子どもの成長とハロウィーン
アメリカのハロウィーンは子どもたちの成長とともにある。
衣装も、成長していくにつれて変わっていく。
時には手作りよりも、売っているきれいなお姫様の衣装が着たくなる。
思春期になってくると、セクシーな衣装を作って着たりもする。
そしていつか、お菓子をもらえなくなる時が来る。
『アイスクリームが溶けてしまう前に』では、いつまでもつづくものと思っていた子ども時代を「アイスクリーム」、その終わりを「溶けてしまう」と例えているんだ。
つまり、「子ども時代が終わりを迎える前に」という意味なんだよね。
そんな子ども時代の終わりに、子どもたちはあらためて、「ハロウィーン」というものが自分の中で占めている大きさに気づく。
大人が子どもにかえる夜
さてさて、ハロウィーンは、子どもたちだけのものじゃない。
大人たちは普段かぶっている「保護者」の仮面をとり、仮装をして、思い切り子どもたちをおどかしたりするんだ。
悪の首領やドラキュラ、海賊、泥棒、ゴリラ男・・・
大人が子どもにかえったときの本気の仮装は、めっちゃ楽しいし、めっちゃ子どもたちもびびるよね!
ももちんも参加したい!と思ったよ。
大人になるとやることの規模が大きくなる。
中にはランタンの装飾では飽き足らず、家全体をデコる大人たちもいるみたい!
そして、夜遅くなると、大人だけが参加できるパーティが夜通し続くんだ。
悪の首領は、明日は早起きして、会社に行かなければならないけど、その時はまだ来ない。
コスチューム写真
巻末には、絵本を読んだ人が「当てっこ」できるように、仮装した子どもたちの写真が載っているよ。
この衣装を手作りしたのは写真家のエリザベス・コールっていう人なんだけど、小沢健二の奥さんなんだよね。
そして、この写真のモデルになっているのは、小沢健二とエリザベス・コールの長男・凜音(りおん)くん。通称”りーりー”。
どの衣装も独創的で、愛が込められているよね。
2017年10月に新宿伊勢丹で行われたコラボショップ「アイスクリームが溶けてしまう前に ~小沢健二と日本恐怖学会のTOKYO解放区~」では、この衣装が展示されたんだ。
他にもハロウィン衣装のDIYに役立ちそうなボタンやマスキングテープといったグッズも販売されていたよ。
まとめ
『アイスクリームが溶けてしまう前に』みどころまとめ。
- アメリカの文化
- ハロウィーンのマナー
- 子どもの成長とハロウィーン
- 大人が子どもにかえる夜
- コスチューム写真
大人が読んで子どもの頃の気持ちを思い出す絵本だよ。
小沢健二のLIVEレビュー記事はこちら。
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