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絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』感想。小沢健二の文が光る

2018年5月23日

小沢健二と日米恐怖学会『アイスクリームが溶けてしまう前に』2017年、福音館書店

ミュージシャン小沢健二が2017年に発表した絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』

とくにアメリカの市民にとってのハロウィーンに焦点を当てて、いろんな角度からハロウィーンを紹介している。

今回は絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』の魅力をお伝えするよ。

この記事で紹介する本

この記事でわかること

  • 絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』のみどころ
  • アメリカのハロウィーン

絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』とは?

絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』は、2017年小沢健二と日米恐怖学会によって、福音館書店より出版された。

小沢健二と日米恐怖学会

ミュージシャン小沢健二。

ハイ・スタンダードを始めPizza of Death レコーズの装幀で知られるイラストレーター ダイスケ・ホンゴリアン。

写真家であり、小沢健二の妻でもあるエリザベス・コール。

ファッションディレクター 白山春久。

この4人の人間と、「不明数の怪物たち」で構成される団体。

楽しい恐怖、心踊る恐怖を提唱し、嫌になっちゃうような恐怖、お先真っ暗な恐怖に対抗する。

『アイスクリームが溶けてしまう前に』では、写真家・守本勝英も参加している。

参考:『アイスクリームが溶けてしまう前に』スペシャルサイト

小沢健二

画像:小沢健二hihumiyo.net

1968年、神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業。

フリッパーズギター解散後、ソロのシンガーソングライターとして活躍。

『今夜はブギーバック』『ラブリー』などのヒット曲がある。

マガジンハウスより1982年(昭和57年)に創刊された女性向けファッション雑誌『オリーブ』(Olive)にて、1994年から1997年まで「DOOWUTHYALIKE」を連載。

小澤俊夫の責任編集による季刊誌『子どもと昔話』で小説『うさぎ!』を執筆。2010年開催の全国ツアーにて、連載の全18話を収録した本3冊のボックスセットを販売。

小沢健二公式サイトで、小沢健二のコラムを読むことができます。→→こちら

 

内容紹介

ハロウィーンって、どんな日か知っている?

それは、アメリカの人たちにとってかけがえのない一日。

ちいさな怪物たちは、「チュリッカ・チュリー!(”Trick or treat!”)」と叫びながら、家々を練り歩く。

大人たちも、この日だけは保護者の仮面を脱いで、悪の首領になれるんだ。

子どもでいられるときは、アイスクリームが溶けてしまう前の、特別な時間。

そんなハロウィーンを鮮やかに描き出す。

 

絵本『アイスクリームが溶けてしまう前に』感想

 

アメリカの文化

ハロウィーンっていうのは、アメリカで毎年10月31日に行われる、お祭り。

もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事だったけど、現代では宗教的な意味合いはほとんどなくなっているよ。

日本でも最近は仮装してパレードしたり、子どもたちにお菓子を配ったりしているよね。

アメリカでは、もっともっと深く根付いているハロウィーンの文化。

ハロウィーンでは、子どもたちが「チュリッカ・チュリー!(”Trick or treat!”)」(お菓子をくれないと、いたずらするぞ!)と言ってお菓子をもらう。

この、アメリカ式の発音もきちんと書かれているのがおもしろい。

小沢健二は別の文献でも、日本では「ウォーター」としているものが、アメリカでは「ワドォ」と発音するとか書いている。

英語の発音が日米でこうも違うのか、とがく然とするけれど、同時におもしろい!って思う。

さて、絵本では、なぜハロウィーンにお菓子をもらう文化になったかも書かれている。

大人対子どもの本当の戦争にならないように、お菓子をあげる文化はつづけられてきたんだよね。

 

ハロウィーンのマナー

アメリカのハロウィーンには、より面白く楽しむためのマナー、決まりみたいなものがあるんだって。

しってた?ももちん、知らなかったよ。

仮装している子をみたら、その子が何の仮装をしているか、当てっこをすること。これはあいさつのようなもので、何も言わないのは失礼にあたるんだって。

それと、衣装を手作りして、家族で楽しむこと。

『アイスクリームが溶けてしまう前に』では、この手作りの過程が詳しく書いてあって、読んでいてわくわくするんだよね。

絵本を読むと、その衣装が本当に作れてしまう。

子どもの頃に読んだ『魔女図鑑』にかいてあったレシピ通りに作った料理を思い出したよ。

日本では、ハロウィーンといっても、衣装を買ってすますことがほとんどだよね。

だけど、アメリカの市民にとっては、もっと本気モード。徹夜してでも衣装を手作りするんだから、それは思い出になるよね。

かぼちゃのランタンも、既製品はお店で売っていない。かぼちゃに自分で顔をほるところから始まるんだ。

 

子どもの成長とハロウィーン

アメリカのハロウィーンは子どもたちの成長とともにある。

衣装も、成長していくにつれて変わっていく。

時には手作りよりも、売っているきれいなお姫様の衣装が着たくなる。

思春期になってくると、セクシーな衣装を作って着たりもする。

そしていつか、お菓子をもらえなくなる時が来る。

『アイスクリームが溶けてしまう前に』では、いつまでもつづくものと思っていた子ども時代を「アイスクリーム」、その終わりを「溶けてしまう」と例えているんだ。

つまり、「子ども時代が終わりを迎える前に」という意味なんだよね。

そんな子ども時代の終わりに、子どもたちはあらためて、「ハロウィーン」というものが自分の中で占めている大きさに気づく。

 

大人が子どもにかえる夜

さてさて、ハロウィーンは、子どもたちだけのものじゃない。

大人たちは普段かぶっている「保護者」の仮面をとり、仮装をして、思い切り子どもたちをおどかしたりするんだ。

悪の首領やドラキュラ、海賊、泥棒、ゴリラ男・・・

大人が子どもにかえったときの本気の仮装は、めっちゃ楽しいし、めっちゃ子どもたちもびびるよね!

ももちんも参加したい!と思ったよ。

大人になるとやることの規模が大きくなる。

中にはランタンの装飾では飽き足らず、家全体をデコる大人たちもいるみたい!

そして、夜遅くなると、大人だけが参加できるパーティが夜通し続くんだ。

悪の首領は、明日は早起きして、会社に行かなければならないけど、その時はまだ来ない。

 

コスチューム写真

巻末には、絵本を読んだ人が「当てっこ」できるように、仮装した子どもたちの写真が載っているよ。

この衣装を手作りしたのは写真家のエリザベス・コールっていう人なんだけど、小沢健二の奥さんなんだよね。

そして、この写真のモデルになっているのは、小沢健二とエリザベス・コールの長男・凜音(りおん)くん。通称”りーりー”。

どの衣装も独創的で、愛が込められているよね。

2017年10月に新宿伊勢丹で行われたコラボショップ「アイスクリームが溶けてしまう前に ~小沢健二と日本恐怖学会のTOKYO解放区~」では、この衣装が展示されたんだ。

他にもハロウィン衣装のDIYに役立ちそうなボタンやマスキングテープといったグッズも販売されていたよ。

 

まとめ

『アイスクリームが溶けてしまう前に』みどころまとめ。

  1. アメリカの文化
  2. ハロウィーンのマナー
  3. 子どもの成長とハロウィーン
  4. 大人が子どもにかえる夜
  5. コスチューム写真

大人が読んで子どもの頃の気持ちを思い出す絵本だよ。

 

小沢健二のLIVEレビュー記事はこちら。

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  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

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