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映画『赤毛のアン初恋』感想。恋と友情に揺れる13歳のアンを切りとる

2018年10月17日

映画『赤毛のアン初恋』ポスター。シアターセントラルBe館前。

モンゴメリの名作小説『赤毛のアン』を映画実写化した3部作の第2部『赤毛のアン初恋』を観に行ってきた。

映画ならではのみどころ、小説との違いなどを紹介するよ。

この記事で紹介する映画

こんな方におすすめ

  • 小説『赤毛のアン』の愛読していて、映画にも興味がある。
  • 3部作の第2部『赤毛のアン初恋』のあらすじと見どころを知りたい。

映画『赤毛のアン初恋』

1985年の映画『赤毛のアン』から30年。

2015年、カナダのテレビ局YTVで新たに制作された映画『赤毛のアン』。

カナダ以外では、イギリスやアメリカ合衆国でもテレビで放送され、オーストラリアや日本では2017年に劇場公開された。

映画は全3部作の構成。第一部『赤毛のアン』は2017年公開、今回紹介する第二部『赤毛のアン初恋』、第三部『赤毛のアン卒業』は、2018年秋に順次公開される。

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あらすじ

引用元:映画『赤毛のアン初恋』公式サイト

舞台は1870年代のプリンスエドワード島のアヴォンリー。

もうすぐ13歳になるアンは、グリーン・ゲイブルスでのマシュウ・マリラとの生活にもすっかり慣れた。

ダイアナの家でのお泊り、バースデーパーティーなど、楽しいイベントを経験する。

そんな中、ライバルのギルバートへの気持ちも少しずつ変化していく。

原作小説でもおなじみの「事件」や「失敗」を経験しながら、アンは13歳という揺れ動く年齢をかけぬけていく。

 

主な登場人物

アン・シャーリー・・・・痩せていて、青白く、そばかすだらけの顔をした女の子。自分の赤毛に劣等感を抱いている。想像力豊かでおしゃべり好き。

マリラ・クスバート・・・アンを引き取る老兄妹の妹。背が高く痩せており、現実主義者で働き者。

マシュウ・クスバート・・・アンを引き取る老兄妹の兄。引っ込み思案で、特に女性が苦手。心臓が悪い。

リンド夫人・・・マリラ・マシュウの近所に住む主婦で、詮索好き。10人の子供を育てたベテラン主婦。マリラの古くからの友人。

ダイアナ・バーリー・・・アンの同級生。アンの初めての親友。黒い髪と目、バラ色の頬を持つふくよかな少女。

ギルバート・ブライス・・・アンの同級生。アンが初めて学校に行ったとき、アンの髪を「にんじん」と言ってからかったため、激怒したアンに石盤でたたかれる。

 

映画に盛り込まれているエピソード

新潮文庫版『赤毛のアン』各章タイトル内容映画での登場
第19章 音楽会と災難と告白アンとダイアナはジョセフィン伯母さんを驚かせる〇(設定変更)
第20章 行きすぎた想像力アンとダイアナは想像の「お化けの森」を怖がる〇(設定変更)
第21章 香料ちがいアンはお茶会用に作ったケーキに塗り薬を入れてしまう
第22章 アンお茶に招かれるアンが牧師館のお茶に招かれ、新しい先生(ミス・ステイシー)のことを聞くなし
第23章 アンの名誉をかけた事件アンが「命令遊び」でくるぶしをけがする〇(設定変更)
第24章 音楽会アンはミス・ステイシーを好きになる△(省略あり)
第25章 マシュウとふくらんだ袖マシュウはアンにふくらんだ袖のドレスをプレゼントする第一部
第26章 物語クラブの結成アンはクラスメイトとストーリークラブを結成する第三部
第27章 虚栄の果てアンは自分の髪の毛を緑色に染めてしまう
第28章 たゆとう小舟の白ゆり姫アンはギルバートの謝罪を拒否してしまう〇(設定変更)

第1~18章は前作『赤毛のアン』に盛り込まれた。

第29章以降は、続編『赤毛のアン 卒業』以降に盛り込まれる可能性大。

 

映画『赤毛のアン初恋』を観たきっかけ

ももちんは小説『赤毛のアン』が大好き。

2017年に公開された映画第1部『赤毛のアン』をDVDレンタルで観た。

正直な感想は、原作との設定の違いに違和感を感じたけれど、全3部作なら、最後まで見たい!と思った。

第2部、第3部は山梨でも劇場公開されるので観に行ってきました。

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映画『赤毛のアン初恋』感想

『赤毛のアン 初恋』ポイント

 

それぞれの13歳

今作では『赤毛のアン』の中でも中盤部分、アンの13歳を切り取って描いている。

盛り込まれているエピソード自体は少なめだけど、子どもから大人になる過程の揺れ動く年頃が、丁寧に映し出されている。

アンとギルバートの淡い恋の場面には、自分の初恋のことを思い出し、キュンキュンすること間違いなし。

アンとダイアナの友情も見逃せない。

 

アン

アン役のエラ・バランタイン、女の子らしくきれいになっていた。

もともとかわいらしい顔立ちだったけど、今作では成長し、大人の入り口に立つアンをぴったり演じている。

なんとか「分別」を身につけたいと奮闘したり、勉強でもみるみる頭角を現し、ギルバートと張り合う姿に精神的な成長も感じる。

小柄なところが、原作での背が高くほっそりしたアンとの違いを感じる。

 

ダイアナ

ダイアナ役のジュリア・ロランドは、ますますほっそり、美しく成長。

原作でのダイアナのイメージ「ぽっちゃりしていてかわいらしい」というイメージからはかけ離れているけれど、育ちの良さ、朗らかさがよく出ていた。

アンと一緒にタフィを作る場面がとっても楽しそう!

今作では「腹心の友」の友情がたくさん切り取られていて、13歳の輝きを感じられる。

 

ギルバート

ギルバート役のドゥルー・ヘイタオグルーは、前作観たときには、「ギルバートにしては幼いなぁ」と違和感を感じた。

今作では、あまり原作の先入観を持ちこまずに観たので、このギルバートはこれですてきだなぁ、と思った。

アンを好きな気持ちと、友だちとして思いあう気持ちがよく出ている。

 

ジョシー・パイ

ももちんが今作で目を見張ったのが、ジョシー・パイ役のステファニー・キンバー。

なんか、目が離せないんだよね。意地悪で生意気そうな感じがすごくよく出ていた。

しかも、ダイアナとは違うタイプの美人。

原作では、美人とされていたのはダイアナとルビー・ギリスだったけれど、映画では、ジョシーが明らかに美人。

いじわるな役は映画の中でいいスパイスなので、次作でも活躍してほしいなぁ。

 

安定の名演技

マシュウ役のマーティン・シーンと、マリラ役のサラ・ポッツフォードは、前作に引き続き、安定の名演技でした。

 

マシュウ、取り乱す

映画オリジナルのシーンが、アンとマシュウが森を散歩する場面。

森の中でマシュウが道に迷ってしまい、取り乱してしまう。

このときアンは冷静で、マシュウを連れて、もと来た道を帰るんだよね。

マシュウに、道に迷ったことをマリラには黙っててほしいと言われたアン。

マリラにこのことを知らせたいけど、マシュウと約束したので悩むところはジンときた。

 

マリラ、かつての恋人と会う

原作では終盤でマリラはアンに、ギルバートの父親がかつて恋人だったと告白する。

映画では、今作でギルバートの父親とマリラがあいさつを交わす場面が出てくる。

ギルバートの父親がマリラをじっと見つめているのに、マリラがつれない感じは、アンとギルバートに通じるものがあった。

 

新登場人物

今作で新登場のミセス・アランと、ステイシー先生。

どちらも、アンのよき相談相手、目標となる素敵な大人の女性。

 

ミセス・アラン

アヴォンリーに新しくやってきたアラン牧師の奥さん。

美しく優しいので、アンはすぐにミセス・アランを好きになる。

原作でも有名な「香料ちがい」のエピソードは、映画でも生き生きと描かれている。

グリーン・ゲイブルスのお茶会に招かれた牧師夫妻のために、アンは張りきってレイヤー・ケーキを作るんだよね。

ところが、バニラだと思って入れた香料が、なんと痛み止めの薬だった。

落ち込み嘆くアンに、ミセス・アランはやさしい言葉をかける。

この一件から、アンはますますミセス・アランのことを好きになるんだ。

 

ステイシー先生

前任のフィリップス先生は、今作で先生を辞める。

代わりにやってくるのが、女性のステイシー先生。

型にはまらず、生徒が興味を持つような教え方をしてくれるステイシー先生を、アンはすぐに好きになる。

ステイシー先生の元で、アンはぐんぐん羽を広げて伸びていくんだよね。

 

フィリップス先生の苦悩

今作の映画でおもしろいのが、フィリップス先生の苦悩が描かれているところ。

生徒に好かれていないことを感じ、誰もいない教室でため息をついていたりするんだよね。

単純に「嫌な先生」という描き方ではなく、一人の人間として描いているところがよかった。

 

アンとギルバートの関係が新鮮

今作での一番の見どころは、アンとギルバートの恋模様だと思う。

正直、原作とはちがうと感じたけど、映画オリジナルとしてみると、これはこれでありだと思った。

キュンキュンする感じは、映画の方が感じられる。

 

アンとギルバートが仲良し

原作との一番の違いが、アンとギルバート、仲いいじゃん!ってこと。

原作では、アンは一貫してギルバートを無視し続け、勉強では張り合うという設定。

映画では、勉強面で張り合う、というところは同じ。

だけど、一緒に帰ったり、アンの誕生日会で二人だけで話したり、クラスの中でもすでに特別な間柄。

それを象徴するエピソードが、アンとギルバートが一緒に叱られる場面。

ギルバートだけ叱られているとき、アンがギルバートをかばうんだよね。

新鮮な展開がいくつもあって、いいなと思った。

 

アンもギルバートに恋してる

映画を観てて、ギルバートがアンを好きなのはすごくわかる。

そして、アンの方もギルバートに対して好意を持っているんだよね。

クラスの体操で、わざと手を触れ合わせたギルバートを見て、恥ずかしそうに微笑むアンにキュンときた。

 

友情と恋愛に挟まれるアン

アンとギルバートが急速に仲良くなる姿を見て、不安そうな顔をするのがダイアナ。

なんと映画では、ダイアナより先にアンが恋を覚える、という流れなんだよね。

ダイアナとの友情を失いたくないアンは、友情と恋の板ばさみで悩む。

13歳の苦悩、ここでも炸裂です。

 

ここで終わり?の展開

アンとギルバートの名場面と言えば、アンが川でギルバートに助けられる場面。

映画でも、設定を変更してこの場面が描かれている。

アンを助け、仲直りを求めるギルバートを拒絶するアン、という展開なんだけど、アンの「友達にはなれないわ」というセリフに違和感を感じる。

だって、映画では、もう十分今まで友達やってたよね?

ここでいきなり拒絶って、おかしくないか?

次作『赤毛のアン 卒業』で、アンとギルバートはどういう描かれ方をしているんだろう?

気になります。

 

映画オリジナルの設定

映画オリジナルの展開が満載の今作。原作と設定が違う場面をいくつかピックアップ。

お化けの森

アンとダイアナが、お化けをリアルに想像しすぎて、森を歩くのが怖くなってしまうエピソード。

映画では、アンがダイアナの家に泊まりに行く途中で森のお化けを想像し、怖くなる。

その夜ダイアナの家に泊まったアンは、夜中に一人廊下に出て怖くなり、ベッドに飛び込む。

そのベッドにいたジョセフィン・バーリーを驚かすという設定になっている。

原作では、アンとダイアナふたりでベッドに飛び込む設定だった。

アンが一人でミス・バーリーに謝り、仲直りする場面もちゃんと描かれている。

 

「命令遊び」がちょっと物足りない

クラスではやっていた「命令遊び」で、アンはジョシー・パイの命令を真に受け、屋根の上を歩き、くるぶしを骨折するエピソード。

映画では、アンがいざ屋根に上ろうとしたところで、ミス・バーリーに止められ、上らずじまいだった。

このエピソードは、マリラがアンをどれだけ愛しているかを悟る流れにつながっていく場面でもあるので、ここが描かれなかったのは少し寂しい。

 

『赤毛のアン 初恋』ポイント

 

【次作】完結編『赤毛のアン 卒業』

引用元:映画『赤毛のアン卒業』公式サイト

2018年11月には、映画三部作の完結編『赤毛のアン 卒業』が劇場公開された。

アンとギルバートの恋の行方、マシュウ・マリラとの絆の深まりが描かれる。

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まとめ

映画『赤毛のアン初恋』みどころまとめ。

  1. スタッフ・キャスト
  2. あらすじ・盛り込まれているエピソード
  3. 映画を観たきっかけ
  4. それぞれの13歳
  5. マシュウとマリラ
  6. 新登場人物
  7. アンとギルバートの関係
  8. 映画オリジナルの設定
  9. 続編情報

『赤毛のアン』の中でも中盤部分、アンの13歳を切り取って描いている映画だよ。

三部作コンプリートDVD

 

第三部『赤毛のアン 卒業』については、こちらの記事をどうぞ。

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  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

-『赤毛のアン』シリーズ
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