『ジュピターズ・ムーン』という映画を観てきました。
この記事で紹介する映画
シアターセントラルBe館
ミニシアター系は久しぶり。
高校生の頃、汽車をのりついで街に出て、古着屋をめぐったり、ミニシアター系の映画を観たり、水色の壁の喫茶店でパフェを食べるのが、なによりかっこいいとおもっていた。
今住んでいるところも、ほどよく寂れていて、中心街といっても、郊外の大型SCに人気を持っていかれ、活気があるようなないような街だ。
そんな「中心街」にあえて残りつづけるお店たちは、ほどよく力が抜けていて、いい意味でお客に媚びず、店主の我が道を貫いている(というより、いつのまにか時代に乗り遅れていたような)妙にツボにはまるお店もあったりする。
そんな不思議な空気の漂う街の中にある映画館。
初めて入りました。
ここでそろえているラインナップは、きっとちょっとした映画通には、毎週通いたい作品ぞろいだと思う。
しかし、いつも不思議に思うのは、こういう田舎は文化度があまり高くないのに、(休日はパチンコ屋ばかりが混んでいる)、よくやっていけるなぁということだ。
今日、私が観た回は、レディースデイなのに、お客は私ひとりだった。
休館日
毎週水曜日(毎月1日サービスデー・祝祭休日と重なる場合は営業)
料金
一般 1,800円
こども(3歳~高校生)1,100円
大学生・専門学生など 1,500円
毎月1日 映画サービスデー 1,100円
毎週月曜 メンズデー 1,100円
毎週金曜 レディースデー 1,100円
その他各種割引あり
交通アクセス
甲府市中央1-5-12 シアターセントラルBe館ボンマルシェビル
JR甲府駅より徒歩10分
ジュピターズ・ムーン感想(ネタバレ)
さて、ジュピターズ・ムーン。
実は、とっても観たかったわけではない。
ふと、この映画館に行ってみたいなぁと思い、調べてみたら、たまたまやっていたのがこれだった。
前も書いたけど、私は結末ハッピーエンドのわかりやすい洋画が好きだ。
そんな私も、たまには前情報全くなしで、映画を観たりする。今回もそんな感じだった。
ハンガリー映画。
あのちょっと古めかしい街並みと、暗めの空気と、皆早足で歩くあの感じ、懐かしかった。
ハンガリーにとっては外国語の英語も、日本とはちがい、学ぶためではなく、コミュニケーションのために存在する。
初対面や、違う人種の人に壁を作るわりに、平気でビーチで裸だったりする。
大陸だなぁと思う。
シリアから来た難民の少年。
医療ミスで患者を死なせてしまった医者。
医者の、初めお金のために少年を利用したり、大酒飲み、ヘビースモーカー、いい感じにクズなのが好き。
少年は、純粋な美少年。
大人の心に普通にある、損得や防御がない。
そんな彼が、ふとしたことをきっかけに、宙に浮くことができるようになる。
この、最先端でも何でもない、低め安定なテンションのハンガリーの風景の中に、
天使のように少年が浮いている、そのギャップ。
そのあり得ない光景を目の前にしたときに、ある人は歓喜し、ある人は心臓が止まり、ある人は気が狂ったりする。
そんなファンタジーが起こる一方で、少年は、まぎれもない人間でもあるのだ。
シリア難民、テロ、差別、、争いと苦悩の中心にいるのだから。
両方が一緒にある世界。
正直、ラスト、えー、これで終わり?と、取り残された感覚になったけど。
今考えてみると、少年との関わりの中で、医者は愛に目覚めた。
少年は、ひとりで、この能力とともに、未知の世界を浮遊していく。
そこにはハッピーな「結末」があるわけではない。
なぜなら、結末なんて、誰にもわからないから。
わからないことをむりやり作らず、わからないままで行く。
そういうことなのかもしれない。
シアターは小さいながらとてもきれいにしてあり、居心地が良かった。
観たい映画も見つかったので、また来ようと思う。