『100万回生きたねこ』は、誰でも一度は読んだことがあると言えるほど、ロングセラー絵本。
ももちんは大人になってから読んだけど、本当に本当に大好きな絵本。
読むたびに、新たな発見がある絵本でもあるよ。
今回は、そんな絵本『100万回生きたねこ』の魅力をお伝えするよ。
この記事で紹介する本
この記事でわかること
- 絵本『100万回生きたねこ』の魅力を知りたい
- 絵本『100万回生きたねこ』についてのインタビュー、関連作品
最新情報
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『100万回生きたねこ』とは?
『100万回生きたねこ』は、1977年に出版された佐野洋子作の絵本。
発売以来40年たった現在も愛されるロングセラー。
2000年に100万部を突破、2013年に200万部を突破した。
人生や愛について読者に深い感動を与える絵本として、子供から大人まで親しまれている。海外絵本の訳本もある。
佐野洋子(さの・ようこ)/作・絵
1938-2010。日本の作家、エッセイスト、絵本作家。
作者紹介
『100万回生きたねこ』作者、佐野洋子の世界。山梨県立美術館
名作『100万回生きたねこ』の作者、佐野洋子。 山梨県立美術館で開催されている「佐野洋子の世界展」に行ってきました。 佐野洋子って、『100万回生きたねこ』だけじゃないんだね。 他の作品や、佐野洋子自 ...
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内容紹介
🌹2月14日、バレンタインに贈る絵本 🌹
いろいろな飼い主のもとで何度も生まれ変わる死なないねこが、やがて愛を知り、命を知ります。大切な人に気持ちを込めて、贈りたい絵本です。
『100万回生きたねこ』文・絵:佐野洋子https://t.co/Kf0bBBNSrt pic.twitter.com/FhXRHqJz7p
— 講談社絵本通信 (@kodansha_ehon) 2019年2月14日
100万回も死んで、100万回も生きたねこのお話。
輪廻転生をくりかえしたとらねこは、あるとき、誰のねこでもないのらねことなっていた。
誰も愛することがなかったねこが、1匹の白ねこと出会い、愛を知り、命の尊さに気づく。
絵本を読んだきっかけ
ももちんが最初に『100万回生きたねこ』を読んだのは、大人になってから。
結婚する友人に贈る絵本を探していて、本屋でたまたま手に取ったのがきっかけ。
立ち読みして、あやうく涙が出そうになった・・・。
それで、友人に1冊、自分用に1冊購入したのが出逢い。
2018年5月、山梨県立美術館で「佐野洋子の世界展」をみにいって、改めて絵本『100万回生きたねこ』をしっかり読んでみようと思いました。
『100万回生きたねこ』作者、佐野洋子の世界。山梨県立美術館
名作『100万回生きたねこ』の作者、佐野洋子。 山梨県立美術館で開催されている「佐野洋子の世界展」に行ってきました。 佐野洋子って、『100万回生きたねこ』だけじゃないんだね。 他の作品や、佐野洋子自 ...
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絵本を読んだ感想
何度も読んでいるんだけど、読むたびにヒットする場所が違う、不思議な絵本。
ときには、とらねこを飼う人間の気持ちになってみたり、ときには、しろねこの気持ちになってみたり。
今回読んで感じたことを書いていくよ。
『100万回生きたねこ』ポイント
人間のエゴと猫の視点
主人公のとらねこは、100万回も生まれかわっていた。
最後の一回を残して、全ての生は、人間のものとなる生だったんだよね。
物語の前半は、その「だれかのねこ」であったときのとらねこが描かれている。
死んでも死んでも、とらねこはまた生まれて、だれかのねこになった。
王さま、船のり、サーカスの手品つかい、どろぼう、おばあちゃん、小さな女の子・・・。
とらねこの飼い主になった人は、どのひとも、とらねこをかわいがり、とらねこが死ぬと泣いて、そして埋めるんだ。
これは、ももちんも猫を飼っているからよくわかる。
飼っている猫が死んだら、とても悲しいし、泣きつづけると思う。
猫の方も飼い主を好きだと信じてるし、嫌われてたら立ち直れない。
でも、『100万回生きたねこ』のとらねこはちがったんだよね。
どの人のねこになっても、とらねこは誰かを好きになったことなんかなかった。
だから、死ぬのも平気だったし、とらねこ自身は一回も泣いたことなんかなかったんだ。
とらねこにとっては、人間はどれも同じ。
自分の都合のいいようにとらねこを扱っては、死んでいくのを悲しむ・・・。
そこには、とらねこにとっての幸せを考える人間はひとりもいないんだよね。
ももちんも同じかもって思った。
もしうちの猫たちがのら猫として生きていくこと、家族をつくることを望んでいたとするなら、ももちんはその望みを真っ向から裏切っているもの。
去勢手術したり、家から一歩も出さなかったり、しているもの。。
とらねこの視点にたつと、人間たちがどれだけ自分勝手なのか、身につまされるよ・・・。
とらねこがたどりついた、ひとつの幸せの形
あるとき、とらねこは、だれの猫でもなく、のら猫として生まれ変わる。
りっぱなのら猫になって、自分が大好きなとらねこ。
たくさんのメス猫が、とらねこのお嫁さんになりたがった。
大きなさかなや上等のねずみをもらったり、毛づくろいしてくれる猫もいた。
でも、だれよりも自分が好きな猫は、どのメス猫も好きにならなかったんだ。
そんななか、たった一匹、とらねこに見向きもしない、白い美しい猫がいた。
とらねこと白いねこの運命の出逢い。
とらねこは、白いねこの気をひこうと、毎日毎日白ねこのところへ行くんだ。
100万回死んだことを自慢したり、「きみは、一回も生き終わっていないんだろ」と挑発してみたり、宙返りしてみたり。
でも、白いねこは、「そう。」としか返事をしない。
とうとうとらねこは、プライドをおろし、素直になる。
この白ねこ、ももちんはぐっとくるんだよね。
白ねこは、「そう。」とか、「ええ。」とかしかいわないけど、とらねこのうわべではなく、存在をまるごと愛していたんだよね。
何を言われても、されても変わらず、愛でいる白ねこ。
やがて、白ねこは、かわいい子猫をたくさんうみ、子猫たちが大きくなって、どこかへ行ってしまうと、とらねこと白ねこは、再び二人きりになるんだ。
今まで、死ぬのなんか平気だったとらねこは、白いねこといっしょに、いつまでも生きていたいと思ったんだ。
愛する伴侶を得て、自由な世界で生きる。
過去の生でどんな豊かで、安全に生きてきても、けっして満たされることのなかった望み。
人間にも通じるシンプルな望みなんだよね。
後に作者の佐野洋子は、こう語っているんだ。
私は一冊の絵本を創った。
一匹の猫が一匹のめす猫にめぐり逢い子を産みやがて死ぬというただそれだけの物語だった。
「100万回生きた猫」というただそれだけの物語が、わたしの絵本の中でめずらしく売れた絵本であったことは、人間がただそれだけのことを素朴にのぞんでいるという事なのかと思わされ、何より私がただそれだけのことを願っていることの表われだった様な気がする。
出典:「二つ違いの兄が居て」より 1996年、ちくま文庫『私はそうは思わない』収録
やがて、自然な流れで、白いねこは、とらねこの隣で、静かに動かなくなっていた。
とらねこは、100万回泣きつくしたあと、白いねこのとなりで、静かに動かなくなった。
輪廻転生
『100万回生きたねこ』を大人になって読むと、新しいテーマが浮かんできた。
この物語は、輪廻転生と解脱の物語でもあるんだよね。
はじめ読んだとき、ももちんは不思議に思ったよ。
「100万回も死んでいるのに、100万年も死なない」ってどういうことだろう?
今ならわかるんだけど、死んで生まれてをくりかえしているのは肉体なんだよね。
死なないのは魂のこと。
これを輪廻転生っていうよね。
だいたいの人は、肉体が生まれ変わるたびに、前の生の記憶を忘れる。
けれどこのとらねこは、前はどんな生だったのか、しっかり覚えてたんだよね。
そんなとらねこは、最後の生で、これまでの生と違う生き方をした。
だれかのねこではなく、のら猫として生きたこと。
そしてなにより、愛する猫に出逢い、家族をつくり、自分よりも大切な存在ができたこと。
このとき、自分のことが一番好きだったとらねこは、もういない。
「自分が、自分が、」という自我がいないんだよね。
そして、白ねこが死んだとき、とらねこは、自分より大切な存在を亡くす体験を、初めてするんだ。
とっても悲しい体験。だけど、とらねこが体験したかったことなんだ。
きっと、これまでの生でも、とらねこはわからなかったはず。大切な存在を亡くして泣く、人間たちの気持ち。
そして、ずっとずっと、その気持ちを知りたいと思っていたんだ。
うしなって泣きとおすほど、自分以外の誰かや何かを愛する気持ちを。
そのために最後の生、のらねことして生まれてきて、白ねこに出遭ったんだよね。
とらねこは最後の生で、生きて、体験したいことを、すべてやりきったんだ。
感想おさらい
愛される『100万回生きたねこ』
刊行から40年たち、累計200万部以上売れている絵本『100万回生きたねこ』。
現在では、文学界・芸能界でも、『100万回生きたねこ』のファンだという人も多い。
そんな『100万回生きたねこ』への愛が感じられるインタビューや作品を紹介するよ。
インタビュー
絵本サイトや出版社のサイトで、『100万回生きたねこ』に関するインタビューをいくつか見つけたよ。
講談社絵本通信「100万回生きたねこの部屋」
講談社絵本通信のサイトでは、100万回生きたねこの部屋ものあるんです! 絵本にまつわるインタビューも掲載されています。ご覧になってみてくださいね。 #100万回生きたねこ https://t.co/Pw2PrzlHZX
— 講談社絵本通信 (@kodansha_ehon) 2018年8月24日
『100万回生きたねこ』を刊行している講談社の絵本サイト、「講談社絵本通信」には、「100万回生きたねこの部屋」が開設されている。
『100万回生きたねこ』の40年の歩みや、著名人のインタビューなども掲載されている。
ももちんが面白いと思ったインタビューはこちら。
- 私の『100万回生きたねこ』(講談社公式サイト)・・・2007年、刊行30周年を記念し、各界の著名人からのメッセージを紹介
- それぞれの『100万回生きたねこ』愛されて 200万部突破!(講談社公式サイト)・・・絵本の最初の担当者の打ちあけ話。
- スペシャル・インタビュー 唐亜明(タン ヤミン)私たちの心をとらえて離さない「100万回生きたねこ」の魅力(講談社公式サイト)・・・福音館書店で30年以上にわたって子どもの本の編集に携わっている中国出身の唐亜明さんのインタビュー。
絵本ナビ
【今日の1冊】2月14日 「100万回生きたねこ」
100万回も死んで、100万回も生きたねこがいました。| 絵本ナビhttps://t.co/6Qp1HbHuUi pic.twitter.com/lwR6k4RVe1— 絵本ナビ (@EhonNavi) 2016年2月14日
絵本の総合サイト「絵本ナビ」では『100万回生きたねこ』の試し読みができるほか、関連グッズ販売がされている。
ももちんが興味深く読んだのは、佐野洋子を最後に担当した編集者・山田智幸野(ちさの)さんのインタビュー。
『100万回生きたねこ』の味わいを3ページにわたって解説してくれている。
絵本の中の写真があったり、結末にも触れているので、かなりのネタバレ感あり。
山田智幸野(ちさの)さんインタビューを読む!
トリビュート短編集『100万分の1回のねこ』
【12月刊】江國香織 ・岩瀬成子・くどうなおこ・井上荒野・角田光代・町田康・今江祥智・唯野未歩子・山田詠美・綿矢りさ・川上弘美・広瀬弦・谷川俊太郎著『100万分の1回のねこ』 佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集
https://t.co/LzErjIAJFe— 講談社文庫 (@kodanshabunko) 2018年12月14日
2015年、講談社から、『100万回生きたねこ』に捧げるトリビュート短編集が出版されたよ。
参加しているのは、ひとりひとりが活躍している、人気作家たち13人。
江國香織、岩瀬成子、くどうなおこ、井上荒野、角田光代、町田康、今江祥智、唯野未歩子、山田詠美、綿矢りさ、川上弘美、広瀬弦、谷川俊太郎。
佐野洋子の元夫である谷川俊太郎がどんな短編を寄せているのかも気になる。
今度ぜひ読んでみようと思う。
2018年12月、講談社文庫より文庫が発売。お手頃価格で手に取りやすくなった。
舞台
ミュージカル『100万回生きたねこ』舞台映像 出演:成河 深田恭子 2015年 引用元:YouTubeホリプロステージ公式チャンネル
1989年からは、ミュージカルも上演されているんだって。知らなかった…。
絵本の落ち着いた世界が、ミュージカルでどうアレンジされているのか、気になるところ。
猫はあくまで猫であって、人間が演じるとへんてこに感じちゃうかも?
絵本が大好きなだけに、すんなり入れないかもしれないなぁ。
でも、もし今度上演されることがあれば、みてみたいな。
- 1989年 「100万回生きたねこ」(ミュージカル、OSK日本歌劇団)
- 1996年 「DORA 100万回生きたねこ」(ミュージカル、沢田研二主演)
- 2013年 「100万回生きたねこ」(ミュージカル、森山未來・満島ひかり主演)
- 2015年 「100万回生きたねこ」(ミュージカル、深田恭子・成河主演)
さらに詳しく
『100万回生きたねこ』特別インタビュー深田恭子さんが語った「私がリビングに飾っている特別な絵本」(講談社公式サイト)
ミュージカルで舞台化された際にヒロインを演じた深田恭子のインタビュー。
佐野洋子についてもっと知りたい!
佐野洋子は、絵本以外にたくさんのエッセイも刊行していて、その考え方や生きざまに惹かれる人も多い。
佐野洋子についてもっと知れる映画や本を紹介。
佐野洋子の著作一覧(佐野洋子official site)
ドキュメンタリー映画
出典:『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』公式サイト
2012年12月8日、小谷忠典監督による、佐野洋子の晩年を記録した映画『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』が日本公開されたよ。
予告編を見たらわかるけど、佐野洋子は、「顔を映さない」という条件で出演しているみたい。
コーネリアスの音楽もこの世界に合ってるなぁ。これもみてないので、今度みてみる。
MUJI BOOKS
【MUJI BOOKS】ずっといい言葉を文庫で。人と物4 「佐野 洋子」 | 大ベストセラー絵本『100万回生きたねこ』の作者である佐野洋子は、悩める1児の母であって、普通のくらしを大事にするひとりの女性でした。(続きを読む)…https://t.co/FVlqETKpaR pic.twitter.com/I1Ml2C6Ngo
— 無印良品 (@muji_net) 2018年1月11日
無印良品が展開する書店MUJI BOOKSでは、独自の本の出版も行っている。
文庫本「人と物」は、ジャンルを問わず、くらしを見つめた文筆家を取り上げ、複数の短編を集めて1人1冊の仕立てに編集している。
その中の1冊が佐野洋子。
佐野洋子の著作4冊から10編のエッセイと、書籍未収録の原画や、日々の記録写真などを収録。
MUJI BOOKS 人と物4 佐野洋子をチェックする!
日常で『100万回生きたねこ』を楽しめる!
『100万回生きたねこ』は、さまざまなグッズやLINEスタンプにもなっているよ。
『100万回生きたねこ』関連グッズ
【Today’s BE@RBRICK】
おはようございます!
今日は #世界こどもの日。世界中のこどもから大人にまで愛され続けている 「 #100万回生きたねこ 」シリーズ、たくさんありますよ。ふとした瞬間に何回も読みたくなる、素敵な作品です。今日もいってらっしゃい!
#メディコムトイ #とらねこ #佐野洋子 pic.twitter.com/gSj4KIEh30— 株式会社メディコム・トイ (@MEDICOM_TOY) 2018年11月20日
2018年春に山梨県立美術館で開催された『100万回生きたねこ 佐野洋子の世界展』に行ったとき、いろんなとらねこグッズが販売されていて、めっちゃテンション上がった。
『100万回生きたねこ』関連グッズは期間限定、数量限定が多く、手に入りにくいものが多い。
フィギュアなどの企画・販売を手掛けるメディコム・トイが販売しているとらねこグッズがかわいい。
フィギュアのみならず、カリモクとコラボした壁時計など、品質もしっかりしている。
『100万回生きたねこ』関連グッズを楽天でチェックする
LINEスタンプ
1977年に出版されてから、多くの方に愛される『100万回生きたねこ』がLINEスタンプになりました!
アンニュイな表情と汎用性が高い言葉で、とっても使いやすそうです。『100万回生きたねこ』好き、絵本好き、猫好きへのプレゼントにもおすすめなので、どうぞご覧ください!https://t.co/RVPSDh1k09 pic.twitter.com/sDtqWbpTig— 講談社絵本通信 (@kodansha_ehon) 2018年9月21日
『100万回生きたねこ』はLINEスタンプにもなっている。
絵本にはないセリフを言っちゃってるとらねこおもしろい!
40種類のスタンプで日常も『100万回生きたねこ』まみれになろう。
まとめ
絵本『100万回生きたねこ』みどころまとめ。
何度もくりかえし読みたい絵本。久しぶりに手に取ってみてみてね。
佐野洋子の作品について知りたい人は、こちらの記事をどうぞ。
『100万回生きたねこ』作者、佐野洋子の世界。山梨県立美術館
名作『100万回生きたねこ』の作者、佐野洋子。 山梨県立美術館で開催されている「佐野洋子の世界展」に行ってきました。 佐野洋子って、『100万回生きたねこ』だけじゃないんだね。 他の作品や、佐野洋子自 ...
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