『クリスマス・イブ』はアメリカの有名な絵本作家マーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本。
子どもたちが体験する心たかなるクリスマスの夜を、繊細に表現している絵本。
この記事で紹介する本
こんな方におすすめ
- 大人におすすめのクリスマスの絵本を探している
- マ-ガレット・ワイズ・ブラウンの絵本を読んでみたい
絵本『クリスマス・イブ』とは?
『クリスマス・イブ』(原題”ON CHRISTMAS EVE”)は、1961年にアメリカで初版が刊行された絵本。
アメリカの絵本作家マーガレット・ワイズ・ブラウンが遺した文に、イタリアの芸術家ベニ・モントレソールが絵をつけたもの。
日本では1976年、矢川澄子の翻訳により、ほるぷ出版より刊行された。
マーガレット・ワイズ・ブラウン紹介
絵本『たいせつなこと』感想。疲れた人にしみる美しい絵とメッセージ
『たいせつなこと』は、アメリカの絵本作家マーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本。 大人にもおすすめの絵本なので、魅力をお伝えするよ。 この記事でわかること 絵本『たいせつなこと』のみどころ マーガレット ...
続きを見る
ベニ・モントレソール(絵)
イタリアの芸術家。オペラ演出家、映画監督、デザイナー、絵本作家など、活躍は多方面にわたった。
1926年生まれ。
1959年までに30作にもおよぶイタリア映画の美術畑の仕事をし、34歳のときにアメリカ合衆国に移住。
アメリカ合衆国では、オペラの舞台監督・衣裳デザイナーとして知られた。
1965年に絵を担当した絵本”May I Bring a Friend?”(邦題『ともだちつれてよろしいですか』)でコルデコット賞受賞。
2001年死去。
引用元:Wikipedia
代表作(絵)
矢川澄子(訳)
作家、詩人、翻訳家。
1930年東京都生まれ。学習院大学独文学科卒業後、東京大学文学部美学美術史学科に学士入学したが中退。
1959年、小説家・澁澤龍彦と結婚。1968年離婚。
1969年頃から翻訳業を始め、以降、多数の絵本・児童文学の翻訳作品を刊行。
2002年死去。
引用元:Wikipedia
代表作(翻訳)
内容紹介
まちにまったクリスマス・イブの夜。
ねむれない子どもたちは、そっとベッドをぬけだして、階下へ冒険にでかけました。
そこで子どもたちがみたものは・・・。
マーガレット・ワイズ・ブラウンの遺作に、イタリアの舞台芸術家出身のベニ・モントレソールが絵をつけた、静かで美しいクリスマスの絵本。
引用元:『クリスマス・イブ』マーガレット・ワイズ・ブラウン文、ベニ・モントレソール絵、矢川澄子訳、ほるぷ出版、1976年
絵本『クリスマス・イブ』を読んだきっかけ
ももちんは、もともとマーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本『たいせつなこと』『ちいさなもみのき』を読んだことがあった。
シンプルで、物語の派手さはないんだけど、心に残る文が好きだなぁ、と思っていた。
先日、図書館でクリスマス関連の絵本を探していた時に、この『クリスマス・イブ』を発見。
表紙イラストのオレンジの飾りの美しさに惹かれて、手に取ってみた。
開いてみると、中身もオレンジベースで温かみがあり、マーガレット・ワイズ・ブラウンの文もとても素敵で、心が温かくなった。
絵本『クリスマス・イブ』を読んだ感想
子どものとき、クリスマスって一年で一番わくわくする日だった。
プレゼントをもらえるのはもちろんうれしいことだけど、クリスマスには、ほかにも、目に見えない不思議なわくわくがつまっているんだよね。
絵本『クリスマス・イブ』を読むと、そんな子どものころに感じていたわくわくを思い出す。
子どもにとって特別な聖夜
物語はクリスマス・イブの真夜中のこと。
ベッドを並べて、布団に入ったまま目を覚ましている4人の子どもたち。
明日は待ちに待ったクリスマスかと思うと、そわそわして眠れない。
ひとりの子どもが言う。
「ねむるまえにみんなでしたへいってクリスマス・ツリーにさわっておねがいごとをしよう」
さあ、子どもたちの小さな冒険が始まる。
瞬間を丁寧に切り取る
ぬきあしさしあしで、階下に降りる子どもたち。
ドキドキしながら静かに階段を降りる様子。
あたりからただようモミの木のにおいや、まだあたたかい廊下。
窓の外にちらちらと降っている雪。
何気ない瞬間が、子どもたちにとっては特別な瞬間なのが伝わってくる。
そっと居間に入ると、消えかけの火が燃える暖炉と靴下、立派なツリーと、その下にあるプレゼントの包みたち。
その一つ一つが、息をのむくらい素晴らしくて、子どもたちは動くこともできない。
やがて、外から歌声が聞こえてきて・・・
ファンタジーは起こらないけどドキドキ
絵本『クリスマス・イブ』には、おなじみのサンタクロースや天使たちは登場しない。
おもしろい空想の要素は、一切入っていないんだよね。
登場するのは子どもたちだけ。
クリスマス・イブの夜に、子どもたちがどんなことを感じるのか、どんなにドキドキしているのか。
時間にするとわずか数分の、世界中の子どもたちに本当に起こっているストーリーが、丁寧に描かれている。
心を動かされるのに、強い刺激も、空想の冒険もいらない。
目の前にある一瞬を、奇跡みたいに感じることができる心の大切さを、しみじみと感じられる。
オレンジベースのあたたかな絵
絵本『クリスマス・イブ』は、マーガレット・ワイズ・ブラウンが遺した文に、画家ベニ・モントレソールが絵をつけたもの。
絵はオレンジの地に黒で描かれている。
クリスマスと言えば、赤や緑でカラフルなものが多いけれど、『クリスマス・イブ』はとてもシンプルカラーなんだよね。
だからこそ、大きなツリーや暖炉、プレゼントの包みの華やかさが目をひく。
点描のようなタッチの絵は、どこか幻想的で、瞬間のはかない美しさを切り取るのにぴったり。
舞台芸術家としても活躍したベニ・モントレソールの絵の構図は、まるで舞台を見ているかのように、家全体のつくりもしっかり描いている。
マーガレット・ワイズ・ブラウンのクリスマス絵本
マーガレット・ワイズ・ブラウンが手掛けたクリスマスの絵本は他にもあるので、紹介するね。
『ちいさなもみのき』
『ちいさなもみのき』(原題”THE LITTLE FIR TREE”)は、1954年にアメリカで刊行された。
日本では、1993年、上條由美子翻訳により刊行された。
マーガレット・ワイズ・ブラウンのクリスマスの絵本と言えば、この『ちいさなもみのき』を挙げる人も多いと思う。
1本の小さなモミの木と男の子の物語。
自分で動くことができないモミの木が体験する喜びやさみしさは、どこかヴァージニア・リー・バートンの絵本『ちいさいおうち』(レビュー記事)にも通ずるものを感じる。
コルデコット賞を二度受賞した画家、バーバラ・クーニーの絵は、自然の美しさを過不足なく描いている。
マーガレット・ワイズ・ブラウンのシンプルな文に、よく合っている。
『こねこのみつけたクリスマス』
『こねこのみつけたクリスマス』(原題”A pussycat's Christmas”)は、1949年、アメリカで刊行された。
日本では、中川千尋の訳により、1994年、ほるぷ出版より刊行された。
こねこの目にうつったクリスマスをあらわしていて、猫好きには必読の1冊。
イラストを手がけたアン・モーティマーは、今作以外にも猫を描いた絵本を複数刊行している。
細部まで丁寧に描かれた猫の絵がみどころ。
まとめ
絵本『クリスマス・イブ』みどころまとめ。
- 著者紹介
- 絵本を読んだきっかけ
- 子どもにとって特別な聖夜
- 瞬間を丁寧に切り取る
- ファンタジーは起こらないけどドキドキ
- ベニ・モントレソールの絵
- マーガレット・ワイズ・ブラウンのクリスマス絵本紹介
子どもの心そのものがファンタジーであることを、やさしく教えてくれる絵本だよ。
クリスマスに読みたい絵本については、こちらのバナーからどうぞ。
書籍の表紙画像について、各出版社/著者ご本人から許諾を得るか、版元ドットコム等許諾申請不要の確認のもと掲載しています。表紙画像掲載不可または可否不明の書籍については、Amazonアソシエイトの商品画像リンクを掲載しています。