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映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』感想と魅力

2020年6月14日

映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』パンフレット

映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』観てきました。

古典なのに現代的な風を感じる爽やかな映画

現実を「自らの意志で」選択していく四姉妹に、強さと軽やかさを感じました。

今回レビューする映画

この記事でわかること

  • 映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』感想
  • 原作とリンクしているところ、違っているところ

『ストーリー・オブ・マイライフ』とは?

映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(原題”Little Women”)は、2019年にアメリカで公開された映画

日本では2020年6月に劇場公開された。

第92回アカデミー賞は6部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した。

原作はアメリカの女流作家ルイザ・メイ・オルコットの『若草物語』(原題”Little Women”)と『続・若草物語』(原題”Little Women Married, or Good Wives”)。

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ももちん

このあとは監督・キャスト紹介。

感想(ネタバレあり)から読みたいならこちら(後ろへとびます)→→映画の感想

監督/脚本:グレタ・ガーウィグ

アメリカの女優、映画監督、脚本家。1983年生まれ。

2006年ジョー・スワンバーグ監督の『LOL』で女優デビュー。

2012年、後に夫となるノア・バームバック監督『フランシス・ハ』で脚本・主演をつとめる。

2017年にレディ・バード』を監督・脚本を手がけ、同作はアカデミー監督賞とアカデミー脚本賞にノミネートされた。

マンブルコア」という若手による映画ジャンルの制作者としても知られる。

参考:Wikipedia

代表作(監督)

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キャスト

シアーシャ・ローナン(ジョー)

アイルランドの女優。

1994年アメリカ・ニューヨーク生まれ。3歳のときにアイルランドに移住。

2007年公開映画つぐない』でアカデミー助演女優賞にノミネートされる。

2009年公開のピーター・ジャクソン監督映画『ラブリーボーン』で主役をつとめる。

グレタ・ガーウィグ監督作品での主演は『レディ・バード』につづき2度目

今作で第92回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

参考:Wikipedia

代表作(出演)

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エマ・ワトソン(メグ)

イギリスの女優。

1990年フランス・パリ生まれ。5歳のときにイギリスへ移住。

2001年、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』のハーマイオニー・グレンジャー役でデビューし、以降シリーズ全7作に出演

2017年、ディズニーアニメの実写映画『美女と野獣』でベルを演じる

2014年に国連組織 UNウィメンの親善大使に任命されるなど、社会貢献活動にも力を入れている。

参考:Wikipedia

代表作(出演)

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エリザ・スカンレン(ベス)

オーストラリアの女優。1999年生まれ。

2016年、オーストラリアのテレビドラマ”Home and Away”にレギュラー出演。

2018年、ギリアン・フリン原作・エイミー・アダムス主演『シャープ・オブジェクト KIZU-傷-:連続少女猟奇殺人事件』に出演

参考:Wikipedia

代表作(出演)

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フローレンス・ピュー(エイミー)

イギリスの女優。1996年生まれ。

2014年、ミステリー映画”The Falling”でデビュー。

2019年公開のホラー映画『ミッドサマー』で主演を演じ、話題となる。

今作で第92回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。

参考:Wikipedia

代表作(出演)

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ローラ・ダーン(母マーミー)

アメリカの女優。1967年生まれ。

1973年、女優だった母親の出演映画『白熱』でデビュー。

1991年、映画『ランブリング・ローズ』でアカデミー賞主演女優賞ノミネート

2019年、ノア・バームバック監督映画『マリッジ・ストーリー』でアカデミー賞助演女優賞受賞

映画ジュラシック・パーク』メインキャストとしても知られる。

参考:Wikipedia

代表作(出演)

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メリル・ストリープ(マーチ伯母)

アメリカの女優。1949年生まれ。

1977年、フレッド・ジンネマン監督の『ジュリア』で映画デビュー。

1978年公開映画『ディア・ハンター』でロバート・デ・ニーロの相手役をつとめ、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされる。

1979年公開クレイマー、クレイマー』でアカデミー助演女優賞受賞

1982年公開ソフィーの選択』でアカデミー主演女優賞受賞

アカデミー賞常連女優で、2019年までの間に21回ノミネートされている。

参考:Wikipedia

代表作(出演)

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ティモシー・シャラメ(ローリー)

アメリカの俳優。1995年生まれ。

2008年に短編映画出演で俳優デビュー。

2017年公開のルカ・グァダニーノ監督映画『君の名前で僕を呼んで』で第90回アカデミー主演男優賞にノミネート

グレタ・ガーウィグ監督作品出演は『レディ・バード』につづき2度目で、シアーシャ・ローナンとも共演している。

参考:Wikipedia

代表作(出演)

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作品紹介

引用元:映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』公式サイト 

一言あらすじ

マーチ家の次女ジョーは、作家として身を立てるべく、ニューヨークで下宿をしながら奮闘中。

やりがいともどかしさを感じる日々の中で、幸せだった少女時代がよみがえってくる。

結婚後の現実に向き合う長女メグ病とたたかう三女ベスお金持ちと結婚したいと願うエイミー

自分らしく生きることを願う四姉妹の現在と過去が入りまじりながら、物語は強くあたたかく進んでいく。

 

主な登場人物

長女メグ(エマ・ワトソン):おしとやかでしっかり者の美人。服装などで見栄をはるところがある。

次女ジョー(シアーシャ・ローナン):勝ち気で独立心が強い。作家になるのが夢。

三女ベス(エリザ・スカンレン):恥ずかしがりやで大人しい。ピアノを弾くのが好き。

四女エイミー(フローレンス・ピュー):かわいらしいが、気取り屋でわがまま。絵が得意。

母マーミー(ローラ・ダーン):四姉妹の母親。娘たちを優しく賢く導く。

父ロバート(ボブ・オデンカーク):四姉妹の父親。牧師として戦地へ行く。

マーチ伯母(メリル・ストリープ):お金持ちで気難しい。大きな屋敷に一人で暮らす。

ローレンスさん(クリス・クーパー):マーチ家の隣の大きなお屋敷に住む老人。

ローリー(ティモシー・シャラメ):ローレンスさんの孫。ジョーに想いを寄せる。

ジョン・ブルック(ジェームズ・ノートン):ローリーの元家庭教師。メグと恋に落ちる。

フレデリック・ベア(ルイ・ガレル):ジョーがニューヨークで出会った教師。

参考:映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』パンフレット

 

映画を見たきっかけ

1994年映画『若草物語』DVDパッケージ

ももちんが『若草物語』で一番なじみがあるのが、ウィノナ・ライダー主演の1994年公開映画『若草物語』。

当時中学生で、映画の四姉妹と同世代だったので印象に残っている映画。

今回、豪華キャストで再び実写映画化されるときいて、とても楽しみにしていた。

原作小説を読んだり、関連インタビューもチェックしていました。

ももちん

原作を読んで、時代背景や心の変化の理解も深まりました。

1994年版紹介

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ももちん

このあとは映画の感想(ネタバレあり)。

1回観た記憶と印象での感想なので、記憶が違いがあるかもしれません。

映画を見た感想

映画のポイント

古典なのに現代的な風が感じられる爽やかな作品。

現実を「自らの意志で」選択していく、強く軽やかな四姉妹

衣装や風景、四姉妹の美しさにもくぎづけ。

映画『ストーリー・オブ・マイライフ』を観て感じたのは、爽やかな明るい世界観

「家族」「貧乏」「病気」「差別」といった重たいテーマを扱っているんだけど、なんか軽やか

現代を生きる自分にもすっと入ってきて、このテーマは「古典」だけのものではないんだと、自然に感じられた

四姉妹は、厳しい現実を「自らの意志で」選択していくのであって、決して「耐え忍ぶ」のではない。

その姿から、「さまざまな制約のなかでも自分らしく在る」って、難しいことじゃないのかも・・・?って、希望を感じられました。

ももちん

名画のような衣装や風景、映像美にもほれぼれ。

四姉妹のほとばしる若さと美しさは、目の保養になります。

 

『ストーリー・オブ・マイライフ』感想

 

現在と過去が入り混じる

映画『ストーリー・オブ・マイライフ』は、大人になったジョーが、出版社に原稿を持ち込む場面から始まる

これは、原作シリーズでは2作目『続 若草物語』後半にあたる場面

これまでの実写版映画のように、少女時代から大人になるまでが時系列で進んでいく形ではないんだよね。

大人のジョーの視点から物語が始まることで、少女時代の回想(原作シリーズ1作目『若草物語』)がいっそう鮮やかに浮かび上がる。

 

現在と過去の対比

現在と過去が並行して描かれる今作では、「悩み多き現在」と「幸せだった過去」の対比がはっきりしている。

現在の四姉妹は離れて暮らし、葛藤を抱えている。

ももちん

メグは結婚生活に疲れている。

ジョーはお金のための文筆業に捧げる。

ベスは姉妹がいなくなった家で寂しい療養生活を送る。

エイミーはパリで絵を学びながらも、自分に天賦の才がないと感じている。

こころなしか色あせて見える現在から振り返る過去は、たとえそれがケンカの場面だろうと、鮮やかで美しい

少女時代特有の無敵さと、家族が一緒にいることの信頼感が、映像を通して伝わってくる。

ももちん

母マーミーを取りかこむ四姉妹の姿は、まるで聖母と天使たちのように美しい。。

現在と過去の対比は、物語が進むにつれてギャップがなくなり、成熟した「現在」へと結実していく。

 

女性と結婚と仕事

今作で焦点が当てられるのが、「女性と結婚と仕事」という、現代の女性にも身近なテーマ。

女性に対する社会的制約が多かった19世紀のアメリカ。

その中で、ジョー・メグ・エイミーは「何を大切にしたいのか?」を自分に問い、それぞれ違う志を持つ。

ももちん

ジョーは結婚に興味がなく、自分で仕事をして生きていくという志をもつ。

メグは貧乏でも愛する人と結婚し、母親になるという志をもつ。

エイミーは「結婚は経済」と割り切り、お金持ちと結婚するという志をもつ。

男女平等が叫ばれる現代から見ると、ジョーが進歩的で、メグやエイミーは保守的に見える

だけど、本当は「どの志が正しい」というのはなく、大切にしたいものがそれぞれ違っていた、というだけのこと。

今作を見ると、だれひとり状況の「被害者」になっているわけではなく、自ら望んでいることがよく分かる。

ももちん

19世紀に比べて女性の社会進出の機会が拡大している現代でも、なお不平等を叫ぶ声は多い。

なにかひとつを大切に、しなやかに生きていく姉妹の姿から、今の自分も学ぶものがあった。

 

不器用で頑固なジョー

シアーシャ・ローナンがつとめるジョーは、ブルーの瞳とカールした豊かな金髪が印象的

凛々しい顔立ちは強さとかっこよさを兼ね備えていて、外見もジョーに適役。

作中では男性らしい率直さはもちろん、女性らしい感情の激しさ・弱さもしっかり描かれていた。

実はももちん、このジョーの感情の激しさがちょっと苦手だった。

ももちん

映画を見終わったあと、ジョーの声がしばらく頭に響いてて、ちょっとうるさかったな。。って思ったのが正直なところ。

かんしゃくも激しければ、自分の意見が正しいと思ったときの頑固さもすごい。

フレデリック・ベアに自分の小説を批判されたとき、絶交まで言い渡しちゃう。

悔しかったんだろうけど、ちょっと子どもっぽすぎないかな?っておもった。

もちろん、はしゃいでいるときの喜びも体いっぱいに表現する。

家族のために髪を切るし、エイミーが溺れたときは心底自分の性格の悪さを呪う

今作では、決してかっこ良いとは言い切れない、不器用で、見ててイラッとするジョーもしっかり描いている。

裏表をつけられず、常に全身全霊で「自分」を生きているのがジョーなんだよね。

 

エイミーの存在感

今作の四姉妹でもっとも印象深かったのが、フローレンス・ピュー演じるエイミー。

ももちん

原作でちょっと嫌いだったエイミーの株が上がりました。

 

子どもと大人ををひとりで演じ分ける

まず、子ども時代(13歳)と大人時代(22歳)をひとりで見事に演じ分けているのが素晴らしい。

歴代の実写版エイミーをみると、1994年版では子供時代と大人時代で役者が変わっている

1949年版では、エリザベス・テイラーひとりで演じているけど、大人びすぎてて「三女」という設定に変更されている。

それだけ見ても、この成長過程をわざとらしくなく演じ分けるのは、至難の業だとわかる。

フローレンス・ピュー自身は映画公開時点で24歳だけど、13歳時代は絶妙に野暮ったく(笑)子供っぽいわがままさがよく出ている。

アカデミー助演女優賞ノミネートされるのも納得です。

 

強さと弱さのギャップ

大人になって花開くエイミーは、美しさの奥にある女の強さが現れている。

ローリーの前で堂々と「結婚は経済」と言い切り、だらしないローリーを冷たい視線で軽蔑するエイミー、かっこいい。

実は、エイミーはジョーより強い。

ジョーは、ひとりで生きようとするけど孤独も感じ、矛盾した気持ちを抱えてる。

エイミーは、矛盾を一蹴するほどの強さを持っているんだよね。

ももちん

フローレンス・ピュー演じるエイミーのドスのきいた低い声、好きです。。

そんなエイミーの強さが崩れるのが、ローリーに「フレッドと結婚するな」と言われたとき

みるみるうちに泣きそうになり、「好きな人の二番目はイヤ」と本音を口走るんだよね。

ふだん強いエイミーが一瞬見せる弱さに、ぐっときました

 

メグの結婚後

エマ・ワトソン演じるメグは、美人でおしとやかな原作のイメージぴったり。

作中でメグが初登場するのは、夫に言わずに高いドレスの生地を買ってしまう場面。

原作では結婚後のメグの悩みにとても共感したけど、過去の実写版映画ではあまり描かれてこなかった

今作では、あえてメグの結婚後にフォーカスがあたっているのが良かった。

現在と過去のギャップが最もはっきりしているのがメグ。

美しいものが好きなメグは、貧乏で好きなものが買えず、子育てに奮闘する日々に疲れを感じている。

そんなときに蘇る回想の場面は、若さと楽しさに彩られている。

ももちん

夫のジョン・ブルックと出会ったとき。

きれいなドレスを着てハメを外したとき。

貧乏でも愛する人との結婚を選び、式を挙げたときの幸せ絶頂期。

そんな幸せな想い出は過ぎ去り、地味で大変な現在にもどったとき、どう生きていくのか

夫への愛に立ち戻り、静かに虚栄心を克服していくメグの姿は、これまでのイメージをより味わい深く、親しみやすいものにしている。

 

明るさを備えるベス

エリザ・スカンレン演じるベスは、透明感がハンパなく、汚れない純真な感じがにじみ出ている

原作では内気でおとなしい天使のイメージだったベスだけど、今作では少し違う印象をもった。

どことなく明るさや強さを感じるベスなんだよね。

劇のときも、ピクウィック・クラブの集会のときも、他の姉妹と同じくらい元気に楽しんでいる。

そんなベスの真価が際立つのは、皮肉にも猩紅熱にかかってから

原作ではベスが他の姉妹を心配し、ジョーが自分を責めるけど、今作ではもっとシンプル。

具合が悪いながらもローレンスさんにお礼を言いに走り、猩紅熱にかかっても誰かのせいにすることなく、無言で闘う

ベスがジョーを頼りにするというより、ジョーがベスを頼りにし、死を引き止めようとするんだよね。

海辺での療養でベスがジョーと語る場面では、泣くどころか、死を受け入れた上でジョーを励ます側に回っている。

愛するものを失うなんて、考えたくもないジョーの弱さとの対比がよくでている。

 

マーチ家を慕う男性たち

作中で描かれるマーチ家は、楽しそうで、華やかで、強い絆で結ばれた女の園

今作に登場する男性たちは、そんなマーチ家の女性たちを慕い、恋に落ち、ときに傷つく

彼らの世界は、彼女たちが現れると鮮やかに輝き、いなくなったとたんに色あせる

ももちん

どんなときもマーチ家の女性たちを見守り、引き立て、脇役に徹する男性たちの存在感が光る。

 

父ロバート

南北戦争に従軍していて不在の父ロバートは、作中では影が薄い

だけど、夫が帰ってきたときのマーミーの「これで愚痴が言える」みたいな安堵のセリフが、ロバートの存在の大きさを物語る。

マーミーにとって夫は、「母親」ではない弱い部分を見せられる唯一の存在なんだよね。

帰還後のロバートとマーミーの掛け合いも、くすっと笑えて素敵。

 

ローリー

隣に住む孤独な少年ローリーは、マーミーを母のように慕い、四姉妹と兄弟のような間柄で接する。

ローリーにとってマーチ家は、長い間、家族の一員になりたいと憧れてきた理想の家庭

大人になってからは、ジョーに失恋し、エイミーには説教をくらいながらも(笑)結ばれる

姉妹に翻弄されながらも、最後には家族の一員になってよかったね。

ももちん

ティモシー・シャラメ演じるローリー、原作から出てきたみたいにはまってます。

 

ローレンスさん

ローリーの祖父ローレンスさんは、無口で強面だけど、優しい心の持ち主

マーチ家では内気なベスと深く心を通わせる

ベスに亡き娘(原作では孫娘)を重ね、ピアノの音にひとり耳を傾けるローレンスさんに、自然と涙が流れる

 

ジョン・ブルック

ローリーの家庭教師をつとめていたジョン・ブルックは、初対面からメグに恋をする。

その心をいつもメグに捧げているので、メグが貧乏で真面目なジョン・ブルックを愛したのもうなづける

映画では原作の頑固さはなく、ひたすらメグを愛し理解しようとする夫として描かれている。

 

フレデリック・ベア

ローリーをふったジョーが、新天地ニューヨークで出逢うのが移民の教師フレデリック・ベア

ジョーの小説を真剣に批評したことで、ジョーを傷つけてしまう

だけど、出会ったときからジョーにひかれていたんだよね。

原作では20歳近くジョーの年上だけど、映画ではそれほど歳は離れておらず、「同志」としての感じが強くでている。

 

ラストの描き方

今作では、終盤でジョーとフレデリック・ベアが愛を確かめ合う場面プラム・フィールドの屋敷に学校を開く場面まで、足早に描かれている。

ここの描き方がちょっと不思議だった。

あまりにあっさりうまくいきすぎていて、「ストーリーっぽさ」を感じたんだよね。

ももちん

「傘の下」のエピソードは本当にあったこととして描かれているの?

それとも小説の中のこととして描かれているの?

シアーシャ・ローナンは実はジョーではなく、オルコットなの?

なんだか、ちょっと謎が残る終わり方だった。

そこがうれしくて、続編ができるなら観たいなぁ、と勝手に思いました。

 

原作と映画の違い

今作では、原作での主要なエピソードがほぼすべて盛り込まれていて、さらにメグの結婚後など今まで映画では描かれなかった部分も描かれていた。

他に、原作から映画に丁寧に描かれている場面、原作と映画が違う場面は、ざっくり次のとおり。

原作から描かれている

  • ジョーが、母マーミーも昔短気だったと知り勇気づけられる
  • 母マーミーが奉仕活動中、老人から出生した息子たちの話を聞き、同情する

原作と映画が違う

  • フレデリック・ベアが若くてかっこ良い(原作ではジョーの20歳近く年上のおじさん)
  • 髪を短く切って泣いているジョーをなぐさめるのがエイミー(原作ではメグ)
  • ジョーが孤独感から愛と寂しさを混同し、ローリーとよりを戻す手紙を書く(原作では二度断る)
  • ジョーが書いた小説は編集者には良さがわからなかったが、娘たちが夢中になったことから出版を決めた
ももちん

原作へのリスペクトが感じられ、原作好きの人もまだ読んでない人も深く味わえる内容。

 

メイキングインタビュー

引用元: ティモシー・シャラメら”若草物語”キャストによる、こだわりのシーン解説。| VOGUE JAPAN

You Tubeでは、映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』のインタビュー動画を複数見ることができる

撮影するうえで気をつけたことや、監督・役者のこだわったポイント、メイキング中のお茶目な一面などを知ることができておもしろい。

監督のグレタ・ガーウィグ自身優れた女優でもあるので、役者陣とのやりとりや仲の良さが伝わってくる。

動画9:22〜は、本作でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞したジャクリーヌ・デュランの話題

本作では本当に衣装が素晴らしくて、姉妹それぞれの個性をあらわしている。

あ!と思ったのが、「姉妹それぞれの色がある」という点。

インタビュー中では、「エイミーは青、ジョーは赤、メグは緑」と言っている。

実はこれ、原作でそれぞれが持っている聖書の表紙の色と同じ。(ベスは鳩色)

そういう細かいところまで、衣装に反映させているのがすごい。

メイキング本

インタビュー動画一覧

 

過去に映像化された『若草物語』

名作『若草物語』は、これまでにも何度か映像化されている。

古典映画としてだけでなく、現代版や邦画、アニメも制作されているよ。

見比べてみるのもおもしろい。

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原作紹介

上段左から松本恵子訳、新潮文庫、1986年
麻生九美訳、光文社古典新訳文庫、2017年
矢川澄子訳、T・チューダー絵、福音館文庫、2004年
下段:上下巻、海都洋子訳、バーバラ・クーニー絵、岩波少年文庫、2013年
いずれも『若草物語』ルイザ・メイ・オルコット作

映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』の原作は、ルイザ・メイ・オルコットの小説『若草物語』と『続・若草物語』

原作では四姉妹の個性や心情描写が細かく描かれていて、活字ならではの味わいがある。

『若草物語』はさまざまな出版社から刊行されているので、自分にあった本を探してみてね。

ももちん

『若草物語』『続・若草物語』両方読めるのは、角川文庫講談社青い鳥文庫、2019年12月に刊行された『若草物語 1&2』。

小説比較

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まとめ

映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』感想まとめ。

『ストーリー・オブ・マイライフ』感想

 

古典なのに現代的な風を感じる爽やかな映画。

原作を読んでいても読んでいなくても楽しめるよ。

 

DVD&ブルーレイ

メイキング本

映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』公式サイト

 

映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』公式サイト

 

原作小説『若草物語』については、こちらの記事をどうぞ。

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  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

-『若草物語』シリーズ
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