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絵本「長くつ下のピッピ」感想。ニイマンが描く元祖「ピッピ」!

2018年10月4日

『こんにちは、長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、2004年、徳間書店

絵本『長くつ下のピッピ』は、児童文学をさらに小さい子でも楽しめるように、リンドグレーン自身が書き下ろした。

スウェーデンでは定番とされているニイマンの絵を、日本で初めて紹介した絵本でもあるよ。

「長くつ下のピッピの世界展」に行って好きになった人は、必ず見ておきたい絵本。

ももちん
今回は絵本『長くつ下のピッピ』シリーズを紹介するよ。

この記事で紹介する本

こんな方におすすめ

  • 『長くつ下のピッピ』の、絵本ならではの魅力
  • 絵本ピッピシリーズ1冊ごとの紹介

絵本『長くつ下のピッピ』シリーズ

左から『こんにちは、長くつ下のピッピ 』2004年
『ピッピ、南の島で大かつやく』2006年
『ピッピ、公園でわるものたいじ』2009年
『ピッピ、お買い物にいく』2015年
いずれもリンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、徳間書店

こんにちは、長くつ下のピッピ』(原題:kanner du pippi langstrump?")は、1947年、スウェーデンで出版された絵本シリーズの第一作目。

1945年に出版された児童文学『長くつ下のピッピ』(原題:Pippi Långstrumpの作者リンドグレーンが、小さな子でも読めるようにと書き下ろした物語。

絵を担当したのは、児童文学の初版イラストも手掛けたイングリッド・ヴァン・ニイマン。

日本では2004年、石井登志子翻訳により、徳間書店より刊行された。

続編として、次の3作品も刊行されている。

ピッピ、南の島で大かつやく』(原題"pippi langstrump pa kurrekurredutton"1948年)徳間書店、2006年

ピッピ、公園でわるものたいじ』(原題"pippi langstrump i humlegarden"1949年)徳間書店、2009年

ピッピ、お買い物にいく』(原題"pippi gar i affarer"1946年)徳間書店、2015年

リンドグレーンとニイマンの紹介

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石井登志子(翻訳)

児童文学の翻訳家。

1944年生まれ。同志社大学卒業。

スウェーデンのルンド大学でスウェーデン語を学ぶ。

リンドグレーン作品を多数翻訳。

参考:Wikipedia

代表作(翻訳)

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内容紹介

世界一強い女の子ピッピがおとなりにひっこしてきた!

それからはまいにち、たのしいことばかり!

ピッピの生まれた国スウェーデンで世代を超えて愛されているピッピの絵が初めて日本にお目見えしました!

元気いっぱいの「ピッピ」と友だちになってね!

出典:『こんにちは、長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、イングリッド・ヴァン・ニイマン絵、いしいとしこ訳、2004年、徳間書店

 

絵本「ピッピ」シリーズを読んだきっかけ

今回ももちんが『長くつ下のピッピ』を読んだきっかけは、「長くつ下のピッピの世界展」を見に行ったから。

『長くつ下のピッピ』を読んだことがなかったんだけど、ポスターのカラフルな絵にひかれて観に行ったんだよね。

観に行ってみたら、このポスターの絵が、スウェーデンの画家、イングリッド・ヴァン・ニイマンのものであるということがわかった。

「長くつ下のピッピの世界展」で出逢ったニイマン「ピッピ」の世界を、味わうことができるのは絵本だということがわかったので、さっそく図書館で借りてみた。

 

絵本「ピッピ」シリーズを読んだ感想

『こんにちは、長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、2004年、徳間書店

図書館で岩波少年文庫の『長くつ下のピッピ』も一緒に借りることができたので、物語を読み比べてみた。

児童文学のピッピと絵本のピッピ、やっぱり読んでみた世界観がちがう。

絵本ならではの魅力をお伝えしていくよ。

  1. ニイマンの絵をたっぷり味わう
  2. 物語の読みやすさ

ニイマンの絵をたっぷり味わう

絵本にも掲載のピッピのお誕生会のシーン。「長くつ下のピッピの世界展」にて撮影。

絵本のピッピシリーズの魅力は、なんといってもイングリッド・ヴァン・ニイマンの絵にある。

絵本がスウェーデンで出版されたのは1947年なんだけど、その前の1945年に児童文学としてのピッピが出版されている。

ニイマンは、はじめに児童文学ピッピの初版本の挿絵を手掛け、リンドグレーンのお気に入りの画家となり、続編や絵本のイラストもニイマンが手掛けることになった。

日本で初めにニイマンの絵のピッピが紹介されたのは、スウェーデンでの出版から60年近くたった2004年、この絵本『こんにちは、長くつ下のピッピ』でのことだった。

ニイマンの絵のピッピは、当初はモダンすぎて日本人にはなじまないとされていたとのことだけど、こうして日本でも見られるようになってうれしい。

 

とにかくカラフル!

ごたごた荘の大型模型。「長くつ下のピッピの世界展」にて撮影。

絵本の「ピッピの世界」は、とにかくカラフル!

ごたごた荘は黄色い壁に赤い屋根。家の中の壁は緑色。

ピッピ、トミー、アニカが着ている服も赤とか青とか、原色がいっぱい。

絵を見ているだけで元気になれるし、わくわくしてくる。

 

北欧デザイン

絵本では、ニイマンしか描けない、北欧のインテリアも感じることができるよ。

ピッピの部屋には、スウェーデンの陶芸家、リサ・ラーソンの作品にそっくりな猫の置物も描かれている。

リサ・ラーソンは、リンドグレーンとも交流があり、「長くつ下のピッピの世界展」でも、新作の陶器が展示・販売されている。

アニカが来ている服も、北欧ならではのデザインを思わせるシンプルなストライプや水玉が多く、見ていて楽しい。

 

世界中を旅したピッピ

ごたごた荘の中は、世界中を旅したピッピだからこその物がたくさんおいてある。

食器棚の上には東洋の花瓶。

壁のいたるところに船の絵。ピッピは船が大好きなんだね。

たんすの中には、おもちゃ屋さんにはないような、素敵なものがいっぱい。

しんじゅ貝の取っ手のついたナイフ、チョウの形のブローチ、とりのたまご・・・

ピッピは子どもたちを夢中にさせる宝物をたくさん持っているんだよね。

 

文庫版より幼い「ピッピ」

『長くつ下のピッピ』リンドグレーン作、大塚勇三訳、桜井誠絵、1964年、岩波書店

岩波少年文庫『長くつ下のピッピ』は、1964年、桜井誠の挿絵で出版されている。

日本でピッピと言えば、この桜井誠が描くピッピをあげる人も多いんだよね。

ニイマンの描くピッピと見比べてみると、桜井誠のピッピの方が、大人びて見える。

ニイマンのピッピは、天真爛漫、元気なピッピという感じ。

桜井誠のピッピは、ちょっと成長して、意志の強さや優しさが混じっているように感じる。

岩波少年文庫は小学校中級以上、絵本は小さな子どもも絵だけで楽しめるので、読む年頃に合わせたピッピに出会うことができるようになっている。

児童文学ピッピの感想

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物語の読みやすさ

絵本のピッピシリーズは、リンドグレーン自身が、小さい子でも読みやすいようにと絵本用に書き下ろした物語。

ピッピの魅力が詰まっていて、絵本にしかないおもしろさを感じることができる。

児童文学のダイジェスト版ではなく、エピソードを厳選して丁寧にえがかれている。

「ピッピってどんな子?」「ピッピってどれくらい力持ち?」

小さい子がもつ疑問に答えるように、サーカスやどろぼうのエピソードがちりばめられている。

 

児童文学との違い

岩波少年文庫のピッピと読み比べてみて感じたのは、絵本には「大人とやりとりをするピッピ」が登場しない。

絵本に登場する大人は泥棒とサーカスの人だけ。

文庫で出てくるような、警察官や学校の先生、トミーとアニカのお母さんのような、「ふつうの大人」が出てこないんだよね。

文庫では、ピッピの自由奔放ぶりは、ふつうの大人から見たらお行儀が悪くみえて、叱られることがある。

叱られてピッピが悲しくなる場面もある。

絵本では、そういう「大人から見たらピッピってこう見えるんだ」というのが省略されていて、ピッピはもっと「空想上のキャラクター」になっている。

それぞれで違ったピッピを味わえるので、両方読んでみるとおもしろい。

 

難易度:意外と文字がいっぱい

絵本のピッピシリーズ、意外と文字が小さくて多い。

漢字は全てふりがな付きだけど、文中でもたくさん使われている。

小学校に上がる前の子が一人で読むにはハードルが高いなと感じた。

もちろん、絵だけでも十分楽しめるし、物語を読み聞かせたらめっちゃ楽しいと思う。

ももちん

文字の多さでは、絵本というより児童文学なみ。

小学校低学年でも難しいかも・・・

 

エピソード紹介

岩波少年文庫『長くつ下のピッピ』絵本『こんにちは、長くつ下のピッピ』
ピッピ、ごたごた荘にひっこす
ピッピ、もの発見家になり、けんかをする
ピッピ、おまわりさんと鬼ごっこをする省略
ピッピ、学校にいく省略
ピッピ、門にこしかけ、木にのぼる省略
ピッピ、遠足にいく省略
ピッピ、サーカスにいく
ピッピ、どろぼうに、はいられる
ピッピ、コーヒーの会によばれる省略
ピッピ、英雄になる省略
ピッピ、誕生日パーティーをひらく

 

絵本シリーズ

左から『こんにちは、長くつ下のピッピ 』2004年
『ピッピ、南の島で大かつやく』2006年
『ピッピ、公園でわるものたいじ』2009年
『ピッピ、お買い物にいく』2015年
いずれもリンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、徳間書店

今回紹介した『こんにちは、長くつ下のピッピ』は、絵本シリーズの第1作目。

絵本シリーズは2019年8月現在4作品刊行されているよ。

 

『ピッピ、南の島で大かつやく』

『ピッピ、南の島で大かつやく』リンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、2006年、徳間書店

絵本『ピッピ、南の島で大かつやく』の原作は、児童文学「ピッピ」シリーズの3作目『ピッピ 南の島へ』。

リンドグレーンの娘カーリン・ニイマンが、『ピッピ 南の島へ』から物語を抜粋した。

ピッピとトミー、アニカが、ピッピのお父さんが王様をつとめる南の島へ遊びにいく。

参考:『ピッピ、南の島で大かつやく』リンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、2006年、徳間書店

 

エピソード紹介

岩波少年文庫『ピッピ 南の島へ』絵本『ピッピ、南の島で大かつやく』
ピッピは、まだごたごた荘にすんでいる省略
ピッピ、ラウラおばさんをはげます省略
ピッピ、スプンクをみつけだす省略
ピッピ、クイズをする
ピッピ、手紙をもらう
ピッピ、船にのる
ピッピ、上陸する
ピッピ、サメをこらしめる
ピッピ、ジムとバックをこらしめる
ピッピ、ジムとバックにあきあきする
ピッピ、クレクレドット島をはなれる
ピッピはおとなになりたくない省略

 

『ピッピ、公園でわるものたいじ』

『ピッピ、公園でわるものたいじ』リンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、2009年、徳間書店

絵本『ピッピ、公園でわるものたいじ』は、児童文学シリーズの「ピッピ」にはないオリジナルのお話。

ピッピとトミー、アニカは、新聞で読んだ「ごろつき」を退治しにストックホルムの公園に出かける。

 

『ピッピ、お買い物にいく』

『ピッピ、お買い物にいく』リンドグレーン作、ニイマン絵、いしいとしこ訳、2015年、徳間書店

絵本『ピッピ、お買い物にいく』の原作は、児童文学「ピッピ」シリーズの2作目『ピッピ 船にのる』の一つのエピソード。

ピッピとトミー、アニカはたくさんの金貨を持って町に買い物に出かける。

 

児童文学の「ピッピ」

児童文学のピッピは、絵本よりエピソード数も多く、ピッピのことをもっとたくさん知ることができるよ。

ここではニイマンの絵の児童文学ピッピを紹介。

 

ニイマンのカラーイラストを児童文学で楽しめる!

『決定版長くつ下のピッピの本』リンドグレーン作、石井登志子訳、イングリッド・ヴァン・ニイマン絵、2018年、徳間書店

徳間書店より2018年11月に刊行されたのは、「シリーズ三作」をリンドグレーン自身が1冊の本にまとめた、『長くつ下のピッピの本』

イングリッド・ヴァン・ニイマンのカラーイラストと、絵本シリーズを手掛けた石井登志子の翻訳でそのまま楽しむことができる。

 

岩波書店より新訳・新装丁のピッピシリーズ

上中央:『長くつ下のピッピ 』 2018年
左下:『ピッピ 船にのる』2018年
右下:『ピッピ 南の島へ』2019年
いずれもリンドグレーン作、菱木晃子訳、イングリッド・ヴァン・ニイマン絵、岩波書店

岩波書店より2018年8月より新しく刊行されている『長くつ下のピッピ』シリーズ。

翻訳は、「長くつ下のピッピの世界展」の監修も務めている菱木晃子。

スウェーデンでは2016年にピッピ三部作がそれぞれ改訂され、差別と受け取られかねない表現などが改められた。

新装版ピッピの翻訳は、この2016年改訂版をもとにしている。

絵本も児童文学も、それぞれ違った味わいがあるので読み比べてみてね。

ピッピシリーズまとめ

『長くつ下のピッピ』14作品比較。絵やシリーズなど特徴別まとめ。

『長くつ下のピッピ』は、スウェーデンの作家リンドグレーンが生んだ、児童文学。 現在さまざまな出版社から刊行されているので、特徴別にまとめてみた。 こんな方におすすめ 『長くつ下のピッピ』読んでみたいけ ...

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ニイマンのピッピがLINEスタンプに!

イングリッド・ヴァン・ニイマンのカラーイラストのピッピがLINEスタンプになったよ。

全部で40種類のスタンプで、連絡用なので使いやすそう。

馬を持ち上げたり、ごちそうを食べたり、絵本でもおなじみの光景がスタンプになっててテンション上がる。

長くつ下のピッピLINEスタンプをチェックする

 

まとめ

絵本『長くつ下のピッピ』見どころまとめ。

  1. 絵本『長くつ下のピッピ』シリーズ
  2. 絵本「ピッピ」シリーズを読んだ感想
  3. 絵本シリーズ
  4. 児童文学の「ピッピ」

「長くつ下のピッピの世界展」が気になっている人、行ってみて好きになった人には絶対おすすめ。

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「長くつ下のピッピの世界展」について、詳しくはこちらの記事をどうぞ。

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  • この記事を書いた人

ももちん

夫と猫たちと山梨在住。海外の児童文学・絵本好き。 紙書籍派だけど、電子書籍も使い中。 今日はどんな本読もうかな。

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